メイクの仕上がりを変える!
ツール選びと使いこなし術
21/09/07 6min read
ベースメイク用のスポンジやブラシ、パフ・・・。毎日何気なく使っていると思いますが、実は選び方や使い方、コスメとの相性によっても、仕上がりを大きく左右します。今さら聞けない基本の使い方から、道具にこだわるプロのアドバイスまで、ベースメイクのツールにフォーカスします。
おすすめのツールと相性のよいコスメも合わせてご紹介します。
CONTENTS
プロがツールにこだわる理由
プロのヘアメイクアップアーティストは、コスメと同様に、道具にもこだわりとても大切にしています。
「化粧品の持つパフォーマンスを最大限に引き出すのがツール。使う化粧品と相性のよいツールを使うことがもちろん最も大事ですが、たとえば同じファンデーションでも、スポンジを使うか、ブラシを使うかよって、仕上がりの質感を変えることができます」というのは、ヘア&メイクアップアーティストの酒井真弓さん。老若問わず素早く美しい肌をつくる達人で高い信頼感を得ています。
特にメイクのキモともいえるベースメイクは「ツールを使いこなしてこそ!」と断言。
「まずツールを丁寧に使うことは仕上がりの美しさにつながります。ひとつのスポンジ、1本のブラシでも、持つ位置や顔に当てる角度を変えたり、顔のどのパーツに使うかによって使いわけたりすることでよりベストな仕上がりを目指せ、メイクの技術もアップします」
スポンジとパフで透明感ある均一なセミマット肌に仕上げたメイク
使い方で仕上がりに差がつく!ベースメイクの基本ツール
酒井さんが「これだけあれば、ベースメイクには必要十分」という基本のツール
は、次の5つ。
・ファンデーションブラシ
・ファンデーションスポンジ
・コンシーラーブラシ
・パフ
・フェイスブラシ
「ファンデーションをブラシでつけると、均一な質感で磨いたような肌に仕上げることができます。ファンデーションの密着感を高め、化粧持ちをアップさせてくれるのがスポンジ。肌のアラをきれいにカバーするためのコンシーラーブラシは、細かい部分や凹凸にもムラなくなじむように設計されています。パウダーやメイクの仕上げ用としては、大まかにいえば、マットめに仕上げたいならパフ、ツヤっと仕上げたいならフェイスブラシがおすすめです」と酒井さん。
「皆さん、持っているものばかりだと思いますが、使い方には意外に無頓着だったりするかも? ファンデーションやパウダーなどを含ませる量、ブラシの持ち方や動かし方など、適切な使い方をすることが、なりたい肌になるためにはとても大事です」(酒井さん)
それぞれのツールと、使い方のポイントを解説してもらいました。
「ファンデーションはスポンジで付けるのが一般的ですが、陶器のような均一で薄づきの仕上がりのためにぜひ使って欲しいのはブラシです」(酒井さん)
リキッドファンデには平筆タイプがおすすめ。密集した毛の断面が平らなフラット型や、丸型のブラシは、肌当たりがよく、リキッド、クリームの他、パウダーファンデにも使えます。
使い方ポイント1〜ブラシにしっかりファンデを含ませる
ムラのない仕上がりのために、手の甲などにファンデーションを出し、ブラシを何回か往復させて毛の内側までファンデーションをよくなじませることが大事です。
使い方ポイント2〜平筆ブラシ
平筆タイプのブラシは、鉛筆を持つように柄を握り、頬や額の広い面から、顔の中心から外に向かってブラシをねかせ気味にのばしていきます。フェイスライン側が薄くなり自然に仕上がります。次にTゾーン、最後にブラシを立てて毛先を使って目元、口元、小鼻まわりなどをムラなく塗ります。
使い方ポイント3〜フラット・丸型ブラシ
断面が平ら、または丸くカットされたタイプのブラシは、毛先の断面を使って塗ります。リキッドファンデなら、まず両頬に少し多めに、残りを額とあご先に置いてからブラシで顔全体に塗り広げた後、下から上に向かってくるくると円を描くようにまんべんなくブラシを動かしていきます。パウダーファンデーションの場合は、先にパウダーをブラシに含ませてから、同様に塗っていきます。頬や小鼻まわりの毛穴もしっかりカバーして磨いたようなツヤ肌に仕上がります。
●おすすめのファンデーションブラシ
なめらかで均一に仕上がりカバーや重ねづけも自在
あらゆる質感のファンデーションに対応。色を混ぜたり重ねづけもしやすく、色ムラや毛穴など気になる部分もなめらかにカバーしてプロ級の仕上がりに。
このブラシと好相性のファンデーション
フラットな先端が顔のあらゆる曲線にリーチ
短く柔らかで密集した毛足でとてもやさしい肌当たり。フラットで傾斜のある先端が顔の曲線にフィットし、小鼻や目もとまでムラなく素早く塗れます。
このブラシと好相性のファンデーション
ファンデーションをのばしたりなじませるのに便利なスポンジ。
「パウダー、リキッドのどちらのタイプにも使え、厚塗りになりにくく肌にしっかり密着させることができます。ブラシで塗ったあとの仕上げに使うのもおすすめ。ほどよく弾力があり、肌当たりのよいものを選ぶのがコツです」(酒井さん)
使い方ポイント1〜面積のあるスポンジ
大きさのある平らなスポンジは、頬や額、フェイスラインには広い面を滑らせるように使って、すばやくファンデーションをなじませることができます。凹凸のある小鼻まわりは側面を使い、そっと押すか、とんとんと軽くたたき込むようになじませます。
使い方ポイント2〜角のある小型スポンジ
小さめサイズで厚みがあり角のあるスポンジは、スタンプ塗りに便利。ポンポンとスタンプを押すように、ファンデーションを塗ることで、つきすぎを防ぎ、軽やかな仕上がりになります。小鼻や目のキワなどは尖った角を使うと薄く密着させ、ヨレやメイクくずれを防ぐことができます。
●おすすめのスポンジ
計算された形状ですみずみまで美しく仕上がる三角形スポンジ
ツヤとうるおいあふれるバームファンデーション「グロウイングシームレスバーム」のために開発されたスポンジ。ファンデーションを付けた後、フェイスラインや小鼻などをなじませるように使うのがおすすめ。ほどよい弾力となめらかな肌当たりで、広い面、側面、角と使い分けて、顔のあらゆる部分にムラなくファンデーションをフィットさせます。
このスポンジと好相性のファンデーション
プロの愛用者も多い逸品
持ちやすいサイズで五角形にカットされた機能的なスポンジ。ファンデのタイプを選ばず、下地を塗るときにも便利。薄づきでなめらかな肌をつくり上げます。
気になる部分を補正してベースメイクの完成度をアップするために必須のコンシーラー。ですが使うのが意外と難しいという声も多いアイテム。
「コシがありピンポイント使いもしやすい専用のブラシを使えば、指でつけるよりムラなくより効果的にカバーしながら自然に仕上げることができます。つける量やブラシの動かし方にもコツがあります」(酒井さん)
使い方ポイント1〜量をつけすぎない
量が多すぎるとカバーした部分に厚みが出たりくずれやすくなるので注意。手の甲でブラシにコンシーラーをなじませたあと、2〜3回ブラシを滑らせて量を調整します。
使い方ポイント2〜クマや色ムラのカバー
目の下のクマをカバーしたいときは、コンシーラーブラシにコンシーラーか、明るめのファンデーションをほんの少量を取り、目頭から目尻へ向かって滑らせながらのばしてなじませます。赤みや色ムラなども一方向にブラシを滑らせてカバー。
使い方ポイント3〜ピンポイントを隠す場合
ニキビ跡やシミなどのピンポイントをしっかりカバーしたい場合は、気になる部分に直接コンシーラーを少量点おきし、ブラシの先を使ってコンシーラーの周囲をぼかして肌になじませます。
●おすすめのコンシーラーブラシ
狙った部分をしっかりカバー
コンシーラーを適量含ませやすい平筆ブラシ。尖った先端で細かいポイントにも正確になじませることができます。柔らかいけれどコシのあるブラシで耐久性にも優れています。
好相性のコンシーラー
密集度の高いブラシで隙なく自然にカバー
クルエルティーフリー(動物由来成分不使用)の「テディ―ベアヘアTM *」のブラシ。先端は小鼻まわりや目元の細かい部分にもリーチして気になる部分をきれいに埋めるようにカバー。
*独自開発の人工毛
好相性のコンシーラー
テカリを抑えメイクの持ちをよくし、ふんわり肌へ仕上げるパウダーは、パフで簡単に手早くつけることができます。
「柔らかな肌当たりで、パウダーをしっかりと含ませることのできる、大きめで厚みのあるタイプを選びましょう。パフは叩き込むのではなく、肌の上から押さえるのが正しい使い方です」(酒井さん)
使い方ポイント1〜粉を揉みこんで入れ込む
パウダーをパフにつけてそのまま肌に乗せるのはNG!パフを両手で揉みこみ、パウダーを中に入れ込みます。さらに、手の甲などに一度つけて余分なパウダーを落としてから肌に当てると粉っぽくなるのを防ぐことができます
使い方ポイント2〜押さえるように使う
パウダーをまんべんなく含ませたパフで、テカリやすいTゾーンやあご、頬の順で軽く押さえるように当てていきます。目もとや小鼻まわりはパフを折り曲げて使います。
●おすすめのパフ
うっとりするほどやわらかな贅沢パフ
ソフトでしなやかな弾力のあるパウダーパフ。粉含みもよくテカリを抑えてふんわりと肌にヴェールをかけます。
パール入りのパウダーなどを使ってツヤ肌に仕上げたいときには、フェイスブラシがおすすめ。
「くるくると肌を磨くように使うと毛穴にもしっかりとパウダーを入れ込むことができるので、カバー力もアップします。最後にハイライトなどをさっとひとはけというときにもフェイスブラシの出番。大きめで毛量の多い、ふんわりと肌触りのよいブラシを選びましょう」(酒井さん)
使い方ポイント1〜パウダーをしっかり毛の中に含ませる
パフ同様にフェイスブラシも、パウダーをまんべんなく毛の中に含ませることが大切。キャップにパウダーを一度取り、ブラシをくるくると回してパウダーをつけたら、手の甲などで余分なパウダーを落としてから顔につけます。
使い方ポイント2 〜肌を磨くようにブラシを動かす
パウダーを適量ブラシに含ませたら、肌を磨くようにくるくると動かしながらつけていきます。ブラシを下から上へ動かすのが、毛穴レスな肌に仕上げるコツ。最後にブラシをティッシュオフして、もう一度顔全体を軽くはらうようにすると、余分なパウダーが落ちて、メイクくずれもしにくい美しい仕上がりに。
●おすすめのフェイスブラシ
フルカバレッジの隙のない肌へ
密度が濃く短い毛でしっかりとパウダーをのせることができ、心地よい肌当たりで顔全体を隙なくカバーして洗練肌へ。太めの柄が手になじみ使いやすさも◎。
充実のブラシコレクションのひとつ
プロの評価も高いパーフェクト ブラッシュ コレクション。フェイスブラシは、たっぷりの毛量でしっかりパウダーを含み、丸くカットされた先端で均一につけるだけでなく、ぼかしたり、重ねづけも自在。
相性のよいパウダー
ブラシを使って磨いたようなうるツヤ肌に仕上げたメイク
プロ目線で選ぶ優れものツールで極上肌を目指す
多種多様なツールの中には、「どう使うの?」と思うユニークな形のものも。それは使いやすさや仕上がりの美しさを追求して設計されているから。
「実際に使ってみると、テクいらずでメイクの腕が格段に上がったように仕上がるので、ぜひトライしてみて」と酒井さん。メイク上級者を目指して使ってみたいちょっとマニアックな優秀ツールをピックアップ!
たとえば、持っていて損はないのが、扇型ブラシ。動かす方向にむかって、だんだん色が淡くなりテク自然なグラデーションをつけることができます。
「仕上げのパウダーやハイライト、シェイディングなどに使えます。フェイスラインをすっきり、小顔に見せたいときは、シェイディングカラーをブラシにとり、耳横からあご先に向かってさっとひとはけして」(酒井さん)
●使ってみたいこだわりのツール
メイク気分も上がるコントゥアリング用ブラシ
頬骨を高く見せたり、フェイスラインをすっきりさせたり、自然な立体フェイスをつくる扇型ブラシ。ソフトでいてコシのあるオリジナルの合成毛と、長めの柄で思い通りの仕上がりに。
好相性のブロンザー(シェイディングカラー)
アーティストのこだわりから誕生したファンデーションブラシ
手にすっぽり収まる花のような形。高密度×垂直構造のブラシ毛は、肌に垂直に当てると適度な圧がかかりファンデーションを薄く自然に塗ることができます。凹凸や細かい部分もブラシのエッジを使えば隙なくフィット。
好相性のファンデーション
おわりに
最後に大切なことをもうひとつ。優秀なツールも使いっぱなしではダメ。前に使った化粧品などが残ったまま、汚れたまま使うとムラづきしたり、色が濁って仕上がりが悪くなってしまうことも。古なって素材が劣化すると肌当たりも悪くなり肌トラブルを招く場合もあります。
「スポンジは定期的に新しいものに取り替えて。ブラシは使い終わったら必ずティッシュオフして残ったファンデなどをぬぐうこと、パフやスポンジも専用の洗剤で洗ってきちんと乾かすお手入れを習慣にしましょう。上等なブラシなどは高価ですが、大切にお手入れしながら使えば10年でも使えます」と酒井さん。
プロをお手本に、ツールを大切に上手に使いこなして、極上の仕上がりを叶えましょう!
ヘア&メイクアップアーティスト/酒井真弓さん
有名ヘア&メイク事務所を経て独立、長きに渡って雑誌、TV、広告、CMなど幅広い媒体で活躍しています。ヘアアレンジやメイクの講師、プライベートレッスンも行い、豊富な知識と高い技術をわかりやすく伝える活動も行っています。
モデル/濱田あおいさん
Instagram@aoihamada