内祝いとは?知っておきたい基本知識
結婚祝いや出産祝いなどのお祝い事には「内祝い」というものがあります。この「内祝い」とは、結婚や出産などお祝いの節目に、親しい方や身内へ喜びを分かち合うために贈り物をすることです。
内祝いとはもともと「身内のお祝い」であり、身内の「内」と「祝い」が残って「内祝い」という言葉ができたと言われています。そのため、親戚や近所の人に贈ることを意味するのが正解です。ただし、地域によって内祝いの考え方が異なる場合があるので、両親などに確認して地元の慣習に合わせると良いでしょう。
内祝いとお返しは違う
内祝いとお返しは混同してしまいがちなので、間違えないように正確な意味を把握しておくことが大切です。実際に、内祝いは「お返し」としての意味合いとして贈るケースが多いですが、本来の意味は大きく異なります。
内祝いとは「お祝いをいただかなくても感謝の気持ちで贈り物をすること」です。つまり、内祝いはお祝いをいただいてなくても贈るものなので、主に普段からお世話になっている親戚や近隣の方、仲が良い友人に贈ります。
一方、お返しは、結婚祝いや出産祝いなどのお祝いをいただいた方に、お返しとして感謝を伝えるために贈ります。お祝いをいただいた方に返すのが「お返し」と認識しておきましょう。
このように内祝いとお返しは、厳密には使い方に違いがありますが、内祝い=お返しとして使う人や習慣もあるので注意しましょう。
内祝いの種類は様々
内祝いの種類は様々あるので、ここからは代表的な内祝いの種類を紹介します。
・結婚内祝い
結婚内祝いは、結婚したことの報告の意味を込めて、親族や近隣の方など親しい人や普段からお世話になっている方に贈り物をすることです。
・出産内祝い
出産内祝いは、赤ちゃんが生まれたときに、親族や近隣の方、親友などに子供が生まれたことの報告の意味を込めて、贈り物をすることです。
・初節句内祝い
初節句内祝いは、子供の初節句にお祝いをいただいた場合、お祝いの食事の席や遠方の方にお礼の品を贈ることです。
・新築内祝い
新築内祝いは、新しい家を建てたときに親族や近隣の方など親しい人や普段からお世話になっている方に贈り物をすることです。また、新居に招待する「新築披露」の意味も含みます。
・快気内祝い
快気内祝いは、自身が病気や怪我療養中で、お見舞いに来てくれた方に、全快ではないがお見舞いに対するお返しを贈ることです。
熨斗(のし)とは?
内祝いの品を贈る際には、熨斗(のし)が必要になります。まずは、この熨斗がどのようなものなのか把握しておくことが大切です。
そもそもお祝いの品などの贈答品には、「贈る理由」と「贈り主」を記載した「掛け紙」を掛け、水引でくくり、掛け紙の右肩に飾りである「熨斗」を添えて贈っていました。この熨斗は、もともとはあわび貝を薄くして干したものであり、「生もの」や「めでたいもの」の象徴として使われていました。
現在では、この「掛け紙」「水引」「熨斗」がセットになったもの(熨斗紙)を使うのが一般的です。
熨斗の表書きの書き方は、毛筆・筆ペンを使うのがマナーであり、色は濃い黒色を使いましょう。ボールペンやサインペンは控えた方がよいです。筆ペンが苦手な方はサインペンでも良いですが、あまり好ましくありません。
内祝いの熨斗(のし)の種類
熨斗には大きく分けて「紅白」と「黒白」の2種類があり、その中で紅白の熨斗に「結び切り」「蝶結び」があるので、合計3種類あります。紅白はお祝い事、黒白は弔事に使われるので、内祝いは紅白の熨斗を使います。
同じ内祝いでも、内祝いの内容によって熨斗の種類が「結び切り」「蝶結び」に分かれます。
結び切り
結び切りを使うときは、主に婚礼関係や病気が全快したときです。結婚内祝いや快気内祝いなどに使われます。この結び切りは「生涯結ばれる」「固く結ばれて離れない」という意味があります。
蝶結び
蝶結びを使うときは、主に出産の内祝いや入学の内祝いに使用します。水引の意味は「結び目を何度も結び直すことができる」ことから、「何度もお祝いして良い」ものに使われます。
この水引は5本が一般的ですが、目上の方などより丁寧に対応したい時は7本を選ぶと良いでしょう。
内のしと外のしの違い
熨斗の使い方には、「内のし」と「外のし」があります。同じ熨斗でも内のしと外のしで意味が変わってくるので、使い方の違いを押さえておきましょう。
内のしとは、品物に直接熨斗を掛ける方法です。内のしは、包装紙に熨斗が隠れてしまうので、内祝いなど控えめに品物を贈りたい場合に使用することが多いです。また、贈答品を郵送するときに、熨斗を傷つけないようにするため内のしの方が好まれます。
一方、外のしは品物を包装紙でラッピングし、その上から熨斗を掛ける方法です。熨斗が外に出ており目立つため、お祝いであること強調したいときなどに使用することが一般的です。
そのため、内祝いではなく「結婚祝い」や「出産祝い」などを贈るときは外のしの方が適しているでしょう。ただし、地域により意味合いが違うので両親や祖父母、身内に確認するのが無難です。
内祝いの熨斗(のし)の書き方
内祝いの熨斗は、内祝いの内容によって書き方が異なるので注意が必要です。使用する水引の種類も異なるので、内祝いを贈る際には注意しましょう。ここからはそれぞれの内祝いごとに熨斗の書き方を紹介します。
結婚内祝いの場合
結婚内祝いで使用する熨斗は以下の通りです。
【熨斗の書き方】
・使用する熨斗は紅白の結び切り
・表書き:「内祝い」または「寿」
・下差出人:新郎新婦の名前を連名
名前を記載するとき、仕事で旧姓を続けて使用する場合でも、新姓を書くのが一般的です。また、両家の姓を並べて書いても構いません。基本的に結婚内祝いやお返しを贈るときは、披露宴に出席しなかった方に贈ります。披露宴に出席した方には、当日引出物を渡します。
出産内祝いの場合
出産内祝いで使用する熨斗は以下の通りです。
【熨斗の書き方】
・使用する熨斗は紅白蝶結び
・表書き:「内祝い」
・下差出人:赤ちゃんの名前
赤ちゃんが双子の場合表書きの書き方は、右側に先に生まれた赤ちゃんの名前、左側に後から生まれた赤ちゃんの名前を書きます。三つ子以上の場合は、生まれた順に右から左に書いていきます。
家族などの身内や友人などの親しい間柄の人に内祝いを贈る場合は、差出人名がなくても失礼にはなりません。ただし遠方の方は分かりにくいため、差出人の名前は書いた方が好ましいです。
初節句内祝いの場合
初節句内祝いで使用する熨斗は以下の通りです。
【熨斗の書き方】
・使用する熨斗は紅白蝶結び
・表書き:「内祝い」「節句内祝い」
・下差出人:赤ちゃんの名前
初節句内祝いの場合、熨斗の上に女の子なら「桃の花」、男の子なら「菖蒲」のみで内祝いと記載しないケースもありますが、表書きのみでも問題ありません。
初節句内祝いを贈る時期は、お祝いの日から1週間以内が好ましいとされています。もしお返しを贈るのが遅くなる場合は、挨拶状にお詫びを加えてお返しの品と一緒に贈ります。
初節句内祝いのお返しは、いただいたお祝いの品の半返しか1/3返しが基本ですが、相手との関係によって変わるので注意しましょう。お返しの品が高価すぎると相手に気を遣わせてしまい、安すぎると失礼になってしまいます。
新築内祝いの場合
新築内祝いで使用する熨斗は以下の通りです。
【熨斗の書き方】
・使用する熨斗は紅白蝶結び
・表書き:「御祝」「御新築御祝」
・下差出人:贈り主
差出人の名前は基本的に贈り主の名前ですが、基本的に「世帯主の名前」を記載します。家族として贈ることを伝えたい場合は、「一家の苗字」を書きます。
また、新築祝いを招いて新築披露をした場合は、内祝いを改めて贈る必要はありません。ただし、高額な新築祝いをいただいた場合で、新築披露で振る舞った飲食代を負担しても割が合わないときは、別でお返しを用意すると良いでしょう。
新築披露をしない場合は、新築祝いをいただいた方全員に、お返しを贈ることが基本です。ただし、新築祝いや新築内祝いに関しては地域だけでなく、家柄や家の伝統的なルールがある場合も多いので、親族に確認しておくのが無難でしょう。
快気内祝いの場合
快気内祝いで使用する熨斗は以下の通りです。
【熨斗の書き方】
・使用する熨斗は紅白の結び切り
・表書き:「快気祝」「快気内祝い」
・下差出人:体調を崩していた本人の苗字
快気内祝いは基本的に体調が全快したときに贈ります。しかし、「自宅療養は続けるもののひとまず退院できた」「まだ退院していないけどお礼をしたい」といった場合、お見舞いのお礼をしたい場合もあるでしょう。
このような場合は「快気祝い」「快気内祝い」とは異なるため、表書きを「御見舞御礼」や「退院内祝」にしましょう。
内祝いの種類に合った熨斗を使って贈りましょう
結婚や出産したときは、内祝いとしてお祝いの品を近隣の方や親戚など身近な人に贈ることが一般的で、贈るときは熨斗(のし)をつけます。この熨斗は内祝いの種類などによって使い方が異なるので、しっかりと使い分けを覚えておきましょう。
特に内祝いの種類によって使用する水引の種類や表書きが異なるので注意が必要です。正しいマナーを守れば、相手にお礼や感謝の気持ちを伝えやすくなります。
今回は内祝いの熨斗の種類や書き方を紹介しました。この内容を参考にお祝いごとに合わせて熨斗を選び、祝いを贈ってみてください。