令和6年度国産乳製品等競争力強化対策事業(国産チーズ競争力強化支援対策事業)
日本国内約300軒を超える工房で、こだわりと職人の技が光る美味しいチーズが作られています。
今回は、栃木でチーズ工房を探しました。
1947年に牧場をはじめ、約70年の歴史を持つ今牧場(いまぼくじょう)。那須高原の朝日を浴びて育った牛と山羊の元気で力強く、美味しいミルクを使用したチーズを毎日製造しています。
牧場のすぐ隣にチーズ工房がある好環境で、搾乳後すぐに加工ができるため、新鮮なミルクの味わいが感じられるチーズが特長。
今回は、髙橋雄幸さん・髙橋ゆかりさんからお話を伺わせていただきました。
取材:2020年
「今牧場チーズ工房」の特徴は、自家牧場で採れた新鮮なミルクだけを使っていること。共に暮らし、愛情を注ぎ込んだ約300頭の牛と山羊たちが与えてくれるミルクを、自分たちの手で仕立て上げたチーズ。それが今牧場チーズ工房のチーズなのです。
最高のチーズを作るために、今牧場チーズ工房が一番大切にしているのは「ミルクを運ばない」こと。ミルクは、わずかな温度の変化や空気中に紛れ込んでいる様々な菌にも敏感に反応してしまいます。また、乱暴に扱うと脂肪分が分離してしまい、熟成にも影響します。
絞りたてのミルクを守るために、髙橋さんは搾乳室の隣にチーズ工房を作りました。高低差を利用したパイプラインを通じて工房のタンクに直接注ぐという理想的な方法で、鮮度と品質を保つ事が出来るようになったのです。それは、牧場仕込みだからこそ成しえた、ミルクにやさしい運び方といえるでしょう。
ミルクの源となるエサには、栄養価が高く水分の安定した干し草を厳選。干し草は水分量も一定で、搾乳量などのコントロールがしやすいのだそうです。その結果、ミルクに余計な雑味が混じらず、牛・山羊のミルク本来の風味が楽しめるようになり、チーズの味にも大きく貢献しているのです。
「おいしいチーズは余韻の残るチーズ」だと語ってくれた雄幸さん。原料のミルクの元になるエサからもこだわり、牛・山羊を育てるところからチーズ作りがはじまっている今牧場だからこそ追求できることが沢山あります。
これからも、私たちをあっと驚かせるチーズが今牧場チーズ工房から生まれ続けてくることでしょう。
「りんどう」は濃厚な牛のミルクで作るウォッシュタイプチーズ。クリーミーで柔らかな口当たりが特徴で、食べやすく、ソースとしても利用可能。国内外で高評価を受け、熱を加えても香りが残るためピザやグラタンにも最適。名前の由来は那須町の花「りんどう」から。
「茶臼岳」は山羊のミルクで作る人気チーズで、製造は難しく、熟成前の木炭粉まぶしは特に繊細。熟成が進むとまろやかな味わいになり、山羊のミルクの甘みと柔らかな酸味が楽しめる。賞味期限は約4週間で、時間が経つほど味が深まる。