令和6年度国産乳製品等競争力強化対策事業(国産チーズ競争力強化支援対策事業)
日本国内約300軒を超える工房で、こだわりと職人の技が光る美味しいチーズが作られています。
今回は、広島でチーズ工房を探しました。
上ノ原牧場は、作りたての自家製チーズ、チーズをふんだんに使った料理が楽しめるレストランや直売ショップ、そして放牧エリアで牛や山羊と触れあうことができるとあって、多くの人々が訪れる人気スポットです。その敷地内にある「上ノ原牧場フェルミエ・カドーレ」は、牧場で飼育されている乳牛から毎日絞られる合計約750リットルの牛乳で、ジェラートやチーズを作り出す工房となっています。
今回は、代表の上田敏英さんにお話を伺わせていただきました。
取材:2020年
「チーズづくりは、もともとやってみたかったのです」と
教えてくれたのは、上ノ原牧場フェルミエ・カドーレの上田敏英さん。経営者であり、自らの手でチーズを作り上げる職人です。
今でこそ、国産ナチュラルチーズの名工房として名を馳せる
上ノ原牧場ですが、創業当初は牛乳の出荷だけを行っていたといいます。
乳製品づくりという新たな挑戦がはじまったのは、敏英さんが父親から経営を受け継いだ頃の約30年前から。
まずは自家製ジェラートが好評を得て順調なスタートを切り、その3年後には牛舎で放し飼いにすることで牛たちが感じるストレスを軽減する方式に変えて、牛乳のさらなる品質の向上に着手。飼料にも気をつかい、乾燥麦やトウモロコシなどに、サイロで発酵させた地農場栽培牧草をまぜたものにして、遺伝子組み換えではないものだけで牛を育てるようになりました。
そうしてできあがった自牧場の牛乳を原料にして、自分たちの手でチーズを作りたい。念願のチーズ作りへの挑戦を開始した上田さんは、自らが製法を学ぶべく、時には北海道まで足を運んで技術の習得に励みました。
温度や湿度など、様々な条件がその味わいを大きく左右するその奥深さを知った上田さんが、最終的に頼りにしているのは、時に機械でも計測できないほどの些細な違いがわかるような職人としての感覚だといいます。
そんな感覚を研ぎ澄ませて作り上げた上ノ原牧場のチーズは、数々のコンテストで受賞するまでになりました。現在は、地元の広島は元より日本中に多くのファンを持つ銘品として親しまれています。
チーズ料理に欠かせない名パートナー。手間暇かけて作られたフェルミエ・カドーレのクリームチーズは、原料となる牛乳のフレッシュさと濃厚な味わいが認められ、「第10回 ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト・フレッシュ部門」で優秀賞を受賞。
フェルミエ・カドーレのカマンベールチーズは、作り手の情熱が込められた逸品。デリケートな製造過程を経て、約1ヶ月後に完成する。食べる際は、ワインやフルーツとの相性が良く、リンゴを添えてもおすすめ。