賃貸で敷金は戻ってくる?引越しで損しないポイント|楽天引っ越し見積もり

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敷金は借主が部屋に傷をつけたり汚したりした場合の修繕費用として、貸主が預かっておくお金です。
敷金で損をしないために、住んでいる間、そして退去する際に気をつけなければいけないポイントをご紹介します。

目次
  1. 敷金の性格と民法改正で変わったこと
  2. 原状回復義務と敷金返還義務
  3. 返還される敷金を減らさないためのポイント
  4. 敷金精算書の原状回復費用に納得できない場合は
  5. 専門家の助けを借りることも視野に入れて
  6. 部屋をキレイに使うことを心がけて敷金は満額返してもらう
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敷金の性格と民法改正で変わったこと

敷金は、借主が家賃を滞納した時の保険金、または借主が住んでいる間に部屋を汚したり、壊したりしたところを元に戻すための修繕費用となる、賃貸契約の際に従来から行われていた慣習です。
これまでは法律として定められているものではなかったため、修繕費用として差し引かれる金額が多すぎるケースや、追加費用が請求されるなどトラブルが起こりやすいといったことが指摘されていました。
2017年5月に民法の改正に伴い、敷金と原状回復のルールが法律で定められました。
実質的には敷金の役割に大きな変化はないものの、法律に明文化されたことで一方的に借主が不利になる契約を結びづらいこと、貸主が敷金返還に応じない場合の対策など一定の効果が期待されています。※1、2、3、4

※1 法務省 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について/2019年9月17日閲覧
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html
※2 民法(債権関係)の改正に関する要綱案 p56敷金/2019年9月17日閲覧
http://www.moj.go.jp/content/001136445.pdf
※3 不動産賃貸経営博士 2020年民法改正(再建法改正)で不動産経営は変わる?民法改正のポイント/2019年9月26日閲覧
https://www.chintaikeiei.com/kanri/minpoukaisei/
※4 不動産関連取引実務に対する民法改正の影響/2019年9月26日閲覧
https://www.noandt.com/ja/publications/2015/documents/aresvol25.pdf

原状回復義務と敷金返還義務

借主には原状回復義務、貸主には敷金返還義務が定められています。
借主の原状回復義務とは、借りた時の状態に戻すというわけではありません。
生活する上でやむを得ない損傷や劣化の部分は除き、借主が故意につけた傷、一般的な掃除や手入れを怠ったために使えなくなってしまった部分についての負担を求められます。
一方貸主は、敷金から原状回復費用を差し引いた残額を、借主に返還しなければなりません。
基本的に、借主が普通に部屋を使っていたのであれば、敷金は全額返還されるものです。
ここで問題となるのは、退去時までについた汚れや傷が、普通に生活していてついたもの(通常損耗や経年劣化)か、借主が責任を取る必要のあるほど、酷いものかという点です。
この線引きについて、国土交通省が過去の判例に基づいた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めています。※5

借主が負担する必要のある損耗・毀損

  • フローリングや壁につけてしまった傷
  • ペットによる引っかき傷
  • 引越しの際につけた傷
  • 釘穴やネジ穴

借主が負担する必要のある傷は、基本的に本人の過失等によって発生した物に限定されます。
フローリングや壁などに傷をつけてしまった場合はもちろんですが、重いものをかけるために壁に打ち付けた釘やネジの穴は、借主が負担して補修しなければなりません。
転居先の生活でも注意しましょう。

借主が負担する必要のない経年劣化・通常損耗

  • 日光による畳や壁紙の色あせ
  • 家具を設置したことによる床の凹み
  • ポスター等を貼った画鋲の後

クロスの色あせなど、通常生活を送っていて発生した汚れの場合、借主に補修する義務はないのですが、判断が微妙なこともあります。
たとえば、通常程度の喫煙でクロスに付着したヤニの汚れは、クリーニングで洗浄できる程度であれば問題ありません。
しかし、借主がヘビースモーカーで、壁紙に付着したヤニがクリーニングでは落としきれないと判断され、クロスの張り替えが必要になった場合など、補修にかかる金額を負担しなければならないケースがあります。

※5 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)/2019年9月17日閲覧
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

返還される敷金を減らさないためのポイント

退去時に貸主側の判断で原状回復費用が計算されて、敷金精算書が借主側に送られます。
入居時と退去時で部屋の状態にどの程度の差があるか、退去時に傷や汚れなどがあれば、その補修は借主の責任になるのかという判断が、原状回復費用が発生するかどうかのポイントです。※6、7

入居時の部屋の状態をしっかりと記録しておく

もともとあった傷や汚れ、壊れそうだった設備を原状回復費用として請求されないように、入居時の状態をしっかりと記録しておくことが重要になります。
国土交通省のガイドラインには、入居する際、室内でどの項目を確認すればよいのかという「入退去時の物件情報及び原状回復確認リスト(例)」が掲載されています。※5
このリストをもとに部屋をチェックし、傷や汚れのある部分をスマートフォンのカメラで撮影しておけば、借主の責任によるものではない場合に主張することができます。※
法律上の立証責任は貸主側にありますが、両者の主張が食い違った場合、借主側に有利な判断材料として画像などを提示できます。

古い物件の場合は経年劣化のウェイトが高まる

汚れや破損を借主の責任で補修すべきかを判断する際、築年数(耐用年数)と入居年数が考慮されます。※
新築で、入居直後に壊したり、傷をつけたりしたものは借主の負担割合が多く、古い建物に長く住むことでついた汚れや傷などの場合は、通常使用・経年劣化によるものと判断され、負担割合が少なくなる傾向にあります。※8、9

特約があっても敷金は取り戻せる

敷金に関連する賃貸契約上の特約には、「原状回復特約」や「ハウスクリーニング特約」があります。
この特約は、入居時点の契約にハウスクリーニングの費用やペットを飼った場合の消臭費用などを盛り込むためのものです。
しかし、借主の負担範囲や金額が不明確な場合、または負担が不当に大きい場合は、入居時に特約のある契約を結んでいたとしても、無効となるケースがあります。
退去時に返還された敷金が少なすぎるようでしたら、特約の内容も確認してみましょう。

退去前の清掃で印象を良くする

敷金を満額で返還してもらうため、まずは引き渡しの前までに部屋の清掃をきちんと行っておくことが重要です。
特に洗面所などの水回りや換気扇、備え付けのエアコン等は重点的に行いましょう。
中でも台所の油汚れは時間がかかりますので、引越しが決まった時点から複数回に分けて清掃するとよいでしょう。
特に、掃除をしなかったことで発生した水回りのカビや腐食は、借主負担による原状回復となる場合があるため、台所、トイレ、お風呂などは念入りにチェックしましょう。※5

※6 部屋探しの達人 敷金が返還されるまでの手順と期間について
https://heyasagashi-tatsujin.com/henkan-tejun.html
※7 不動産経営博士の「お悩み大家さん」敷金返還する時期タイミングはいつ?クリーニングや改装が終わった後に返却すべき?
https://www.onayamiooyasan.com/question/3670.html
※8 「敷金返還請求訴訟」①~大家さんはいくら返還すればいいの?/2019年9月26日閲覧
http://h-sougou.com/genkou/3sikikin.html
※9 【不動産の法律_第3回】敷金・保証金返還に関するトラブル/原状回復の範囲、通常損耗補修特約やクリーニング特約の注意点/2019年9月26日閲覧
https://ir-i.jp/expert/?p=748
※10 敷金変換.com 【敷金返還】知っておきたい特約(原状回復・クリーニング特約)とは/2019年9月26日閲覧
https://next-gyouseisyosi.com/furi-tokuyaku/
※5 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)/2019年9月17日閲覧
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

敷金精算書の原状回復費用に納得できない場合は

部屋を大切に使っていたにもかかわらず、身に覚えのない原状回復費用が請求されていた場合には泣き寝入りせずにしっかりと主張すべきです。
それでも貸主側が応じない場合は、法律的な手続きに踏み切る方法も残っています。

まずは内容証明郵便で意思を示すこと

借主側の主張を内容証明郵便で貸主側に伝え、敷金返還に向けた意思があることを示しましょう。
内容証明郵便は、書式のルールを守れば専門家でなくても作成することが可能です。
あとで訴訟になった場合の証拠になり、5年と定められた「敷金返還請求権」の時効を一時的に停止させる効果もあります。
どうしても貸主の対応に納得できないときの主張手段として、最初に行うものです。
※11

次に打つ手は少額訴訟

内容証明郵便を送っても貸主側が応じない、対応に納得できないといった場合には、少額訴訟という方法があります。※5、11
敷金返還トラブルなど、双方の話し合いで解決しない場合に利用されることの多い法的手段です。
少額訴訟は、

  • 簡易裁判所で行われる、民事訴訟を扱う裁判制度
  • 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限定される
  • 1回の裁判で審理され、即日判決が言い渡される
  • 通常の裁判よりも手続きが簡易で、弁護士を立てなくても訴訟を起こせる
  • 費用が安くすむ

などの特徴があります。※11
デメリットとしては、相手方が弁護士をつけるなどして通常の裁判を望めば、少額訴訟から通常の民事裁判に移行してしまうことです。※13
簡易裁判所の窓口には敷金返還請求のための訴状用紙が用意されており、当事者同士で争われるケースが多くを占めていて、通常の裁判とは違い、弁護士費用などをかけずに訴訟を起こすことができます。※5、12

※11 敷金返還.com 元不動産屋行政書士が教える!敷金返還を実現させる虎の巻【絶対保存版】/2019年9月26日閲覧
https://next-gyouseisyosi.com/shikikin-henkan-toranomaki/
※5 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版) p.33、p.123~124/2019年9月17日閲覧
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
※12 弁護士白書2018年版 簡易裁判所の少額訴訟事件における弁護士等の関与状況/2019年9月17日閲覧
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2018/3-1-5_tokei_2018.pdf
※13 (株)オーロラビル 少額訴訟制度とは?(退去精算・メリット・デメリット)
http://www.aurora-net.co.jp/kanri/index04_07.html

専門家の助けを借りることも視野に入れて

トラブルになった場合、数多くの賃貸物件を扱う貸主側は借主よりも知識を持っており、場数を踏んでいるという意味で有利な立場にあります。
その上で、借主は自分の主張を貸主に認めさせるわけですから、判断材料や交渉の方法について、専門家から必要に応じたアドバイスをもらいましょう。※5、11

国民生活センター

敷金トラブルについて年間1万件以上の相談件数がある国民生活センターは、抱えてしまったトラブルが不利なものではないか、解決するためにどういう方法をとればいいのかという情報やアドバイスを得るのに適しています。※
相談やアドバイスをもらうことにとどまりますが、費用もかからないので、最初の段階の相談先としておすすめです。※11、14

行政書士・司法書士

行政書士は許認可に係る書類や契約書、示談書など、司法書士は法律関係や登記などの書類作成を代行する専門家で、どちらも、内容証明郵便の作成を代行してくれます。※15
なかでも法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所で行われる140万円までの民事訴訟などの代理人となれるので、交渉や裁判所の手続きを代行してもらうことができます。 ※16
ただし、すべての行政書士、司法書士が敷金トラブルに精通しているわけではないので、敷金トラブルにおいて実績のある依頼先を見つけることが重要です。

※5 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)/2019年9月17日閲覧
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
※14 賃貸住宅の敷金・原状回復トラブル(各種相談の件数や傾向)_国民生活センター/2019年9月23日閲覧
http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/chintai.html
※15 内容証明・公正証書・その他|日本行政書士会連合会/2019年9月23日閲覧
https://www.gyosei.or.jp/information/service/case-certification.html
※16 日本司法書士会連合会|司法書士の業務/2019年9月23日閲覧
https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/business.html
※11 敷金返還.com 元不動産屋行政書士が教える!敷金返還を実現させる虎の巻【絶対保存版】/2019年9月26日閲覧
https://next-gyouseisyosi.com/shikikin-henkan-toranomaki/

部屋をキレイに使うことを心がけて敷金は満額返してもらう

賃貸物件は、借りている部屋ということを意識して大切に使っていれば、原状回復のための費用は必要ありませんし、ほとんどの場合は満額返還されます。
普段から部屋をキレイに使うことを心がけ、無用なトラブルが起きないようにしたいものです。

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