医師監修│妊娠初期は下痢になりやすい?原因や受診が必要な症状は?
2023/12/15
妊娠初期には下痢をしがちになるなど身体の不調が起きる場合があります。記事では、妊娠初期に下痢になりやすい理由や、病院への受診が必要な症状、予防方法などを解説。併せて、薬の服用は問題ないのか、流産など赤ちゃんへの影響はないかといった疑問にもお答えします。
「妊娠してから下痢をしやすくなったけど、これは妊娠初期特有の症状?」「下痢の回数が増えて、赤ちゃんに影響がないか不安」など、心配に思っている妊婦さんもいるでしょう。妊娠初期に下痢の回数が増えると、心身ともにつらいですし、赤ちゃんへの影響が気になるかもしれません。
そこで本記事では、妊娠初期に下痢が続きやすくなる原因や対処法、受診の目安などについて詳しく解説します。
この記事の監修者
コロンビア大学病院 一般産婦人科医
常盤真琴先生
山形大学医学部卒業、日本医師免許取得。ニューヨーク大学メディカルセンターにて産婦人科研修を修了。米国医師免許取得。現在コロンビア大学病院にて一般産婦人科医として勤務。
目次
妊娠初期は下痢になりやすい!3つの理由をチェック
妊娠初期は、下痢になりやすくなる妊婦さんもいます。腹痛が続くと胎児への影響などが心配になるかもしれません。
ここでは、妊娠初期に下痢が続きやすくなる3つの理由を解説していきます。
女性ホルモンの影響
まず考えられるのが、女性ホルモンの影響です。妊娠初期には、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが普段より盛んに分泌されます。プロゲステロンによって自律神経の働きが乱れ、下痢をしやすくなるのです。
また、プロゲステロンには体内に水分を溜め込む働きもあります。これにより腸内の水分量が減り、逆に便秘気味になってしまう人も少なくありません。
腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を弱める働きもあることから、人によっては便秘と下痢を繰り返すケースもあります。このような場合は、女性ホルモンの影響を受けていると考えられるでしょう。
つわりによる食生活の変化
つわりの影響で冷たいものしか食べられなくなったという人は多いものです。温かい食事が一切ダメになる人もなかにはいるでしょう。冷えたゼリーやアイスクリーム、飲み物などを食べる回数が増えた影響で、お腹を冷やして下痢をしてしまうことがあります。
また、味付けの濃いものや脂っこいものを好んで食べるようになり、無意識のうちに胃腸に負担がかかっている人もいます。また、食べづわりの影響で食事量が増え、消化不良を起こすケースもあるでしょう。
つわりによって食生活がこれまでと変化したことで下痢をしやすくなることがあります。食べづわりの対処法について詳しくは「食べづわりにおすすめな食材とは?つらい食べづわりの対処法を紹介」の記事で解説しています。
心理的な変化・ストレス
妊娠中は心と体の変化が大きいもの。常にストレスを抱えた状態になったり、「これから私の体はどうなっていくのだろうか」「赤ちゃんは無事に育つだろうか」と不安を感じたりしながら過ごしている妊婦さんはとても多くいます。
特に初めての妊娠だと、すべてが初めてのことだらけで大きな戸惑いを感じるでしょう。こうした心理的な変化やストレスにより自律神経のバランスが崩れ、それにより胃腸の働きが悪化して下痢につながってしまうことがあります。
病院の受診が必要な下痢の症状
妊娠初期の下痢には、様子を見ていて大丈夫なものと、病院の受診が必要なものとがあります。次のような症状が出ている場合は、早めに病院を受診して検査をしてもらいましょう。
嘔吐や発熱など別の症状を伴う場合
下痢だけでなく、嘔吐や発熱など別の症状を伴う場合は、感染症が原因となっている可能性があります。ウイルス性腸炎や食中毒、消化器疾患などが考えられるため、早めに受診しましょう。
病原体の種類によっては赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。また、高熱が続くと羊水の温度が上がって赤ちゃんに影響が出ることがあるので注意が必要です 。
熱が続くときは、診察の上、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤を飲んで早めに熱を下げたほうが赤ちゃんへの影響を抑えられるでしょう。
膣からの出血を伴う場合
膣からの出血を伴う下痢の場合は、切迫流産の可能性があります。営業時間外であってもすぐに産婦人科に電話をし、相談しましょう。 なお病院を受診する際は、いつから下痢がはじまったのか、どのような症状を伴っているのかを伝えましょう。
下痢に血が混ざっている場合も要注意です。鮮血の場合は痔、もしくは直腸などから出血している恐れがあります。痔の場合は大きな心配はいりませんが、念のため早めに病院を受診してください。便が黒っぽくなっている場合は、胃や十二指腸潰瘍などの上部消化管で出血している可能性があります。 出血が疑われる場合は、産婦人科に連絡しましょう。
長期間下痢が続く場合
長期間下痢が続く場合は、細菌による食中毒を起こしている可能性があります。食中毒の種類によっては、早産など赤ちゃんへ悪影響を与える場合があるため、病院を受診すると安心です。
また、下痢により脱水する可能性もあります。脱水状態になると吐き気が生じることがあるため、つわりがひどくなったと感じる人がいるかもしれません。妊娠初期は多くの人がつわりに悩まされる時期です。なるべく水分補給をするよう心掛けましょう。水分補給が難しい場合は、点滴などで対処してもらえる場合もあります。無理をせず、病院を受診しましょう。
下痢と嘔吐が続く場合
下痢と嘔吐が続くと、脱水してしまい、 低血圧になる可能性があります。もし、めまいやふらつきなどの症状が出ていたら、既に低血圧になっているかもしれません。
こうした事態を予防するために、下痢のときは水分補給が大事です。もし、吐き気や嘔吐などで飲み物を摂取することが難しい場合は、点滴が必要となる可能性があるため病院を受診しましょう。
妊娠初期に下痢止めや整腸薬は飲んでも良い?
妊娠時期にかかわらず、下痢をしているときに自己判断で下痢止めを飲むのはおすすめできません。下痢には、体内の細菌やウイルスを排泄する働きがあります。下痢止めはこの働きを止めてしまうため、下痢の治りが遅くなってしまうことがあるのです。
そのため、細菌やウイルスが原因の下痢に下痢止めは原則使用できません。どうしても薬を飲みたい場合は、整腸薬を飲むと良いでしょう。ビフィズス菌や乳酸菌などが主成分のため、赤ちゃんに影響を与えることはありません。
整腸薬に下痢止めのような即効性はありませんが、腸内環境が整うので症状を和らげることができます。ただし、自己判断で市販薬は購入せず、症状を診てもらうためにも病院を受診するようにしてください。
妊娠初期に下痢が続くと流産・早産の危険性はある?
短期間かつ軽度の下痢であれば、赤ちゃんへの影響はないと考えていいでしょう。ひどい下痢であったとしても、早産や流産につながることも考えにくく、基本的には心配しなくてもかまいません。
ただし、「下痢が長引く」「激しい下痢が続く」「下痢に黒褐色の血が混ざる」「嘔吐や発熱など別の症状が出ている」などの場合は、感染症にかかっている可能性があります。感染症の種類によっては赤ちゃんへの影響が懸念されるため、病院を受診しましょう。そのほか、下痢によって体力を消耗しているときも、早めに病院を受診するようにしてください。
どのような行動が流産につながるか心配な人に向けて、「妊娠初期に避けたい流産しやすい行動!流産の確率や原因│医師監修」で具体的な行動について詳しく解説しています。気になる人はこちらも参考にしてみてください。
妊娠初期の下痢・腹痛を予防する方法
妊娠中に下痢や腹痛になった場合、食事や生活に気をつけることで、つらさを緩和したり症状を落ち着かせたりできます。ここでは食事と生活に関する5つの対処方法を見ていきましょう。
【食事】温かい食べ物や飲み物を摂る
体の冷えが原因で下痢や腹痛が起きている場合は、体を温める食事や飲み物をとるのがおすすめです。みそ汁や甘酒などの発酵食品であれば、腸の調子を整える効果も期待できます。
ただし、妊娠初期でつわりの症状がある人は、温かい食事や飲み物で吐き気を催すことも考えられますので、体調と相談して摂取するようにしてください。つわりなどで温かい食べ物や飲み物が摂れない場合は、お風呂やカイロ、湯たんぽなどで体を温めるといいでしょう。不快感がない人は、夏場であっても腹巻きをしてもよいでしょう。
つわりを軽減させる食事について、「つわりを軽減させる食事とは?おすすめの食べ物や食べるタイミングを紹介【管理栄養士監修】」で紹介していますので、併せてご覧ください。
【食事】刺激物を避ける
下痢をしている、あるいは下痢になりやすい状態のときは、辛いものを控えましょう。辛いものは腸を刺激しやすく、下痢を誘発しやすいためです。
妊娠中に辛いものを食べるときの注意点や影響については「妊娠中に辛いものを食べてもいい?食べる際の注意点についても解説!」で詳しく紹介しています。
【食事】脂質は控えめに
下痢のときの食事は、脂質を控えめにした消化吸収のいいものがおすすめ。脂質を消化吸収する際に発生する物質(脂肪酸)が腸を刺激し、下痢がひどくなってしまうからです。脂質をあまり使用しない、和食を中心としたメニューなどを選ぶとよいでしょう。
【食事】不溶性食物繊維はほどほどに
不溶性食物繊維とは、水に溶けにくい性質がある食物繊維のこと。きのこ類やごぼうなどの食品に多く含まれる傾向があります。不溶性食物繊維は腸を刺激して排泄を促す働きがあるため、下痢をしているときには不向きです。
【生活】健康的な生活を心掛ける
ホルモンバランスの乱れによる下痢の場合は、十分な睡眠をとる、軽い運動をするなどの対策もおすすめです。一見、下痢への対策とは関係がないように思えますが、運動をすることで腸の動きがよくなるので便秘、下痢の解消につながります。
妊娠中にどのような食事を選べばよいのか、迷っている人は多いかと思います。そのような人は「妊婦が食べてはいけないもの一覧!摂取量&注意点も│管理栄養士監修」や「妊娠初期にいい食べ物とは?栄養たっぷり食材を管理栄養士が紹介!簡単レシピも♪」の記事も参考にしてみてください。
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妊娠初期の頃に起こる下痢は、早産や流産など赤ちゃんへの影響があるのではと心配になるかもしれませんが、基本的に症状が下痢だけであれば心配はいりません。ただし、下痢だけでなく嘔吐や発熱を伴う場合は感染症にかかっている恐れがあります。また、出血している場合は切迫早産の可能性があるため、様子見はせず、病院を受診してください。
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