2016年創業、福島県いわき市にある水産加工会社「海神(わだつみ)」。
主力商品は、全体の7割以上を占めるシマホッケの干物。
脂ののったシマホッケは、これまでの干物の概念を覆すおいしさだと評判です。
代表取締役の石井英樹さん、統括の鈴木惇平さんに、
干物づくりのこだわりやおいしい焼き方、今後の展望などを伺いました。
2016年創業、福島県いわき市にある水産加工会社「海神(わだつみ)」。
主力商品は、全体の7割以上を占めるシマホッケの干物。
脂ののったシマホッケは、これまでの干物の概念を覆すおいしさだと評判です。
代表取締役の石井英樹さん、統括の鈴木惇平さんに、
干物づくりのこだわりやおいしい焼き方、今後の展望などを伺いました。
石井さんは福島県いわき市の出身で、干物の道40年の大ベテラン。独立後に「海風干物店」を設立しますが、自身で商品開発を行いたいという明確なビジョンを持ち、2016年に水産加工会社を吸収合併、「海神」が誕生しました。同年にはいわき市内に工場兼社屋が完成し、現在も地元に根差し、干物づくりを行っています。
「独立した翌年、東日本大震災が起きました。辛い経験ではありましたが、生まれ育った福島への思いもありましたし、今こそ誰かの力になれるんじゃないかと。周りが避難する中、私は地元へ留まることを決めました」と、石井さんは当時を振り返ります。
「海神」では、原料となる魚介類の仕入れから加工・販売まで行い、完成した干物は中央市場や商社を経て、スーパーなどの店頭に並びます。同じいわき市で営むネットショップ「釜庄」でも、一部「海神」の干物を購入できるそうです。
「海神」の代名詞ともいえるのが、昔ながらの伝統製法で作られるシマホッケの干物です。表面は香ばしく、身はふわふわ。箸を入れると脂があふれ出すジューシーなおいしさで、全国のファンを魅了しています。
「ホッケの干物で重要なのは、乾燥時間。今は効率重視で2~3時間の業者さんが多いですが、当社は5~7時間かけてじっくりと乾燥させます。すると、表面がべっ甲飴のようにツヤッとした色になり、うま味が凝縮された干物に。昆布だしをベースにした調味液にもこだわっていて、魚のうま味を最大限に引き出してくれます」と鈴木さん。
原料の仕入れは、石井さんが担当。長年の経験から、旬の漁場で水揚げされた脂ノリのいいシマホッケだけを厳選し、一年中提供できるように注力しています。一般的なホッケが200~300gなのに対し、「海神」のホッケは約600gと特大サイズなのも人気のゆえんです。
極上の干物をよりおいしく味わうために、石井さんに焼き方のコツを伺いました。
「やはり直火がいちばん。身の表面に軽く酒を振ってから焼くと、きれいな焼き色がついてふっくらと仕上がります。フライパンなら、電子レンジで温めてから焦げ目をつけるようにすると、早くて上手に焼けます。加熱時間の目安は、冷凍状態から500Wのレンジで5分です。おにぎりやお茶漬けにして食べるのもおすすめですよ」
そのまま食べることの多い干物ですが、味が染みやすくて味付けもシンプルなため、意外にもアレンジしやすいのだといいます。
そんな特長を生かし、干物のおいしさを手軽に味わえる新商品を開発しているそうです。
「レンジアップするだけで食べられる洋風の冷凍干物です。シマホッケの干物と“パセリ・バター・オリーブオイル”“レモン・ペッパー”などの調味料が入っていて、袋のまま温めるだけで完成します。魚の調理が苦手な方、ひとり暮らしの方など、普段あまり干物を食べない方にもぜひ試していただきたいですね」
最後に、おふたりに今後の展望を伺いました。
「福島県内で水産加工している業者は小規模なところが多く、原料価格の高騰などを受けて、経営状況は決してよいとは言えません。その中でも打開策を見出すため、積極的に商品開発を行って、これからもバリエーション多く、品質のいい商品をお客さまにお届けしていきたいと思います」
(鈴木さん)
「今後、福島県産の魚介類で商品を作りたい思いもありますし、伝統を重んじながら、日々おいしいものを追求しています。同じ干物でも、3年先、5年先に、どんな進化があるのだろう、どんな味に出会えるのだろうと、ぜひ楽しみにしていただきたいです。」(石井さん)
取締役社長 石井 英樹さん
統括 鈴木 惇平さん
伝統製法にこだわった干物や、漬魚など、豊富なラインナップの水産加工品をご提供。西京漬、もろみ味噌漬、味醂漬など伝統的漬魚をメインに新しい味付けを提案しています。
ふくしまの海は、黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかる好漁場。
そこで獲れる魚介類は「常磐もの」と呼ばれ、高く評価されてきました。
焼き魚や漬け丼、鍋料理などで極上の常磐ものをめしあがれ!