福島県相馬市で創業し、現在は宮城県名取市に工場を構える水産加工会社「株式会社センシン食品」。
地元で獲れた魚のおいしさをそのまま、自宅で手軽に楽しめると評判です。
センシン食品の二代目で同社のオンラインストア「魚のおんちゃま」店長・高橋大善さんに、
産地や製造プロセスのこだわりなど、おいしさの秘密を伺いました。
福島県相馬市で創業し、現在は宮城県名取市に工場を構える水産加工会社「株式会社センシン食品」。
地元で獲れた魚のおいしさをそのまま、自宅で手軽に楽しめると評判です。
センシン食品の二代目で同社のオンラインストア「魚のおんちゃま」店長・高橋大善さんに、
産地や製造プロセスのこだわりなど、おいしさの秘密を伺いました。
2007年、高橋さんのお父さまで現社長・高橋永真さんが、福島県相馬市に創業した「センシン食品」。
福島県沖で獲れた新鮮な魚を加工して、大手飲食チェーンや量販店に向けて製造販売していました。ところが、2011年の東日本大震災の影響で工場が全壊。2016年に現在の地、宮城県名取市・閖上(ゆりあげ)に工場を再建し、新たなスタートを切ったのです。
実は震災当時、東京で音楽の夢を追いかけていたという高橋さん。2014年、家業に携わることを決意して地元・相馬市に帰ると、すぐに一般消費者向けの通販事業を立ち上げたと振り返ります。
「震災後は風評被害もあり、既存のお取引先はすべて失いました。でも、恨みつらみを言っていても仕方がない。今できることをやろうと。社長に相談もせず、勝手に“通販事業部長”を名乗って、勢いで始めてしまいました(笑)」
そうして、商品の写真撮影からページデザインまで、当時は素人だった高橋さんがひとりで担い、ECサイトをオープン。ようやく手応えを感じ始めたのは、2018年頃からでした。
「まじめに商品づくりに取り組んできましたし、工場直売で品質のよさには自信がありましたが、お客さまから高い評価をいただけるようになったのは嬉しかったですね」
「魚のおんちゃま」のコンセプトは、“パパッと作れる、魚介の専門店”。揚げるだけ・焼くだけ・ご飯にのせるだけ…といった、手軽においしい魚が味わえる魅力的な商品が揃います。中でも人気なのが、福島県沖で獲れた魚で作るフライ。
「既製品に比べて、わかりやすくおいしいです。通常、大規模な工場では効率よく回すために冷凍原料を使いますが、魚介は冷凍・解凍をするたびに水分が出て、うまみも抜けてしまいます。そのため弊社では、特殊凍結1回のみ。フライなら、水揚げされたばかりの鮮魚を生の状態で仕入れ、手作業で衣をつけて最後に冷凍するのです。これだけで品質に圧倒的な差が出ます。身がしっとり・ふっくらしていて、冷凍なのに手作りのようなおいしさです。白身魚のフライは、ぜひタルタルソースで召し上がっていただきたいです」
サバはサバ、タコはタコなど、魚種を絞って展開する水産加工会社が多いなか、「魚のおんちゃま」は幅広い魚種を扱い、年間40~50種もの商品を製造しているとか。
「冷凍原料を使わず、その時に水揚げされた魚で作っているからです。どの魚も旬で新鮮ですし、多品目なのでいろいろな魚を楽しんでいただきたいですね」
東京で暮らしている頃、居酒屋で刺身を食べた時に、当たり前のように食べていた地元の魚のおいしさに気付いたという高橋さん。
「福島の魚は“常磐もの”と呼ばれ、全国でもトップクラスの高品質。“黒潮と親潮がぶつかる漁場”など、海ばかりがフィーチャーされがちですが、獲れた魚をどう処理するかで品質に差が出ます。福島の漁師さんは、気性は荒いけれど、腕のいい人ばかり。そうした漁師さんのがんばりが“常磐もの”というブランドを支えているのだと思います」
魚フライと並んで人気の「地魚の漬け丼セット」「漁師モーニング漬け」にも、ヒラメやスズキ、ブリ、ツブ貝など、福島県沖で獲れた魚介類がぜいたくに使われています。さらに、魚を漬ける調味液も厳選。
「保存料無添加の調味料を使っていて、料理酒は福島産、醤油は現在の工場がある宮城産です。地産地消もありますが、品質がよいものを選んだら、結果的に地元のものになりました。震災以降、こうした横のつながりも増えたなと感じます」
最後に、お客さまへメッセージをいただきました。
「水揚げに依存した作り方をしているため、年中販売できなかったり、水揚げが少ないと欠品になってしまったり、お客さまにはご迷惑をおかけして申し訳なく思っています。品質の高い水産加工品をご提供する上では仕方のないことだと、ご承知おきいただき、その時に水揚げされた魚をお買い求めいただけたら嬉しいです。弊社の商品は、どれも品質がよくておいしいと自負していますので、なじみのない魚、食べたことのない魚でも臆せずチャレンジしていただきたいです」
ふくしまの海は、黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかる好漁場。
そこで獲れる魚介類は「常磐もの」と呼ばれ、高く評価されてきました。
焼き魚や漬け丼、鍋料理などで極上の常磐ものをめしあがれ!