暮らしに国産木材を取り入れることで、持続可能な社会へチェンジすることを目指す「WOOD CHANGE」。この取り組みを知ってもらおうと、2023年10月7日(土)、8日(日)の2日間、長野県白馬村の体験型複合施設「Snow Peak LAND STATION HAKUBA」の週末マルシェに出展、ポップアップイベントを開催しました。
木に触れ、森を知る2日間のイベント
北アルプスの雄大な山脈を望みながら行われたWOOD CHANGEのイベント。3連休とあって、会場のSnow Peak LAND STATON HAKUBAには朝から多くの人が。たくさんの方にイベントに参加してもらえるのでは?と期待が高まります。
今回のテーマは「Good Select~木を選ぶことはGoodなこと~」。なぜ国産木材を使うことがGoodなのか、その理由を知ってもらうこと。さらに直接木に触れることで、生活に木を取り入れるきっかけづくりをすること。それがイベントの目的です。会場にはワークショップスペースのほか、WOOD CHANGEやGood Selectの取り組みを発信するブース、国産木材を使った商品の展示コーナーを設けました。
目で、鼻で、指先で、木の個性を実感!
「世界にひとつ」を作るワークショップ
「木の良さを体感していただきたい!」と企画したワークショップ。あらかじめカットされた木のカッティングボード、コースター、そして子どもたちが大好きな「ぽっくり」から好みのものを1つ選んでやすりをかけ、焼印を入れてオイルで仕上げます。材料には、東京都檜原村のスギやヒノキを使いました。
同じ木から作られた、ほぼ同じ大きさの素材。にもかかわらず、色や年輪、かたちなど、一つひとつに個性があります。そして、それを選ぶ基準も人それぞれ。赤い木目が好きで選んだと教えてくれた女の子。丸い年輪に枝の跡が重なっているのがリンゴのように見えたと微笑んだ親子。「ちょうどキャンプ用のカッティングボードを探していたんです」という男性は、ミミ部分の自然な歪みに一目ぼれしたのだとか。微妙な色や模様に素材の個性を見いだせることも、木材のおもしろさです。
木を磨くのは、粗さの異なる2種類のサンドペーパー。表面はもちろん、エッジ部分も滑らかにし、使い心地よく仕上げます。
印象的だったのは、やすりがけを始めると、大人も子どもも時間をかけて丁寧に作業をする人が多かったこと。洋服の袖口や肘のあたりに木の粉がついても、おかまいなしです。ワークショップを行なったタープの下では、ときどき北アルプスからの風に乗って、木の香りがふんわりと漂っていたのでした。
木材を滑らかに整えた後は、いよいよ仕上げです。数種類の焼印から好きなデザインを選び、作品のポイントとなるように焼きごてを当てます。
その後、オイルを塗って完成です。使用したオイルは食用のエゴマ油。木にオイルがなじむと木目や色が際立つようになり、作品の見栄えが一気に上がります。参加者の皆さんも思わず笑顔に。
木材にやすりがけをして作る小物。手軽に取り組める作業ながら、木の個性と温もりを備えた、世界にひとつしかない作品になりました。参加者の皆さんは、木という素材の豊かさや味わいを実感している様子でした。
子どもも大人も夢中!新発想の木のおもちゃ
当日はワークショップや展示コーナーのほか、木のおもちゃで自由に遊んでもらえるプレイエリアを設置。用意したのは宮崎県諸塚村のスギの無垢材を使用した「TSUMIKI」です。
建築家・隈研吾氏が設計したTSUMIKI。V字型のピースの組み合わせ次第で、さまざまなかたちを作り出すことができる、創造性を刺激するプロダクトです。子どもたちはもちろん、大人の方も自由な発想でTSUMIKIを楽しんでいました。
みんなに知ってほしいから。日本の木を選ぶことがGoodな理由
WOOD CHANGEとは、国産木材の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする活動です。では、なぜ日本の木材を使うことがGoodなことなのでしょうか 。この問いに詳しく答えたのが情報発信のブースです。
情報発信基地となったのは、荷台にかわいい木のおうちを乗せた車「森デリバリー号」。ワークショップで使った木材とともに、東京都檜原村からはるばるやって来ました。窓を開けると、森のディスプレイとWOOD CHANGEのムービー、カラフルなポスターが日本の森の現状や役割、日本の木を選ぶことがGoodな理由を伝えていました。
国土の約3分の2を森林が占める日本では、戦後に植えられたスギやヒノキが木材としての伐り時を迎えています。こうした木を伐って使うことは、林業や木材産業に携わる人びとの所得向上や雇用の創出、さらに、山村地域の活性化につながります。
森と生きる人びとや産業、地域が元気になると、日本の森も元気になります。それは、伐採後の土地に苗木を植え、手入れをしながら育てるという健全な森づくりができるから。このことは私たちの環境を守るためにもとても重要です。
たとえば、二酸化炭素(CO2)などの排出量が増えたことで起きている地球温暖化。その対策としてCO2の排出を減らすことは避けて通れません。そこで注目されるのが、光合成によりCO2を吸収して蓄える木の特性。その吸収量は若い木のほうが多いのです。それ以外にも、手入れが行き届き、しっかり根を張った樹々が育った森には、土砂災害を防ぐはたらきがあります。また、雨水をしっかり蓄える水源としての機能、生物多様性を守る役割も。
森の多面的なはたらきを活かすためには、木を伐って植え、育ててまた伐るというサイクルを繰り返すことが大切です。そのために私たちにできることは、国産材を使った製品を暮らしに取り入れること。日々の買い物が、日本の森を守り、人の暮らしや環境をよりよくするアクションにつながるのです。
思わず欲しくなる! バラエティ豊かな木のプロダクト
森デリバリー号のすぐ隣にはタープを設置し、国産木材で作られたライフスタイル系とアウトドア系、2パターンの商品をご紹介しました。もちろん、すべて国産木材が使われています。
ライフスタイル系のグッズを展示するコーナーでは、食器や文具、ルームフレグランスなど、作り手のアイデアと想いが詰まったプロダクトがずらり。木の魅力を存分に活かした製品から、一見すると木が原料に含まれているとは思えない意外性のあるものまで、驚くほど多種多様!
こちらは、ヒノキの清々しい芳香が楽しめるルームディフューザー、ウッドチップ、ウッドボールです。原料は、岐阜県中津川の加子母(かしも)ヒノキ。リビングやベッドサイドに置けば、家にいながら森林浴をしているような気分に浸れます。
虫歯菌・歯周病菌に対し抗菌活性のある青森ヒバの精油を配合したハミガキジェル。青森ヒバとスペアミントの爽やかな香りが魅力です。歯みがき後、そして翌朝に違いを感じるユーザーが多いのだとか。
アウトドア派の注目を集めたのが、キャンプに持っていきたくなる木のアイテム。あると便利なスツールやミニテーブルのほか、BBQコンロで肉や魚を載せて焼くことで食材に燻製風の香りづけができる吉野杉のウッドプランクまで、こちらも幅広いラインナップが揃いました。
自然の中でお酒をたしなむなら、ヒノキの香りを楽しめる酒器はいかがでしょう。徳利やお猪口、つまみ皿などが揃ったセットは、ウレタンクリア塗装のおかげで簡単にお手入れできるのもうれしいポイントです。
木から生まれた製品は私たちの想像以上に多彩。暮らしのさまざまなシーンで木の製品を選ぶことは、実は意外に簡単なことなのです。
木を選ぼう。はじめの一歩を踏み出すために
木の作品を作る、木のおもちゃで遊ぶ、優れた木の商品を手に取る― 木という素材を五感で受け止めることを大切にした今回のイベント。参加者の皆さんにとって、木の豊かさを実感する機会になったのではないでしょうか。さらに、木を伐る人や育てる人、木でものづくりをする人、樹々が育つ山や森のことに思いを馳せる瞬間があったかもしれません。
日常の中で、私たちは家具や生活雑貨、文具など必要なものを選んでいます。今まで何気なく選んでいたものを「どうせなら木を使ったものはないかな」と探してみる。それがWOOD CHANGEへの大切な一歩です。さぁ、暮らしに日本の木を取り入れてみませんか。