ペットの世界にも予防医療の風、注目の補完療法に迫る(2014/12/3)

補完療法と東洋医学の関係

補完療法とは、東洋医学の考えに基づくものです。

東洋医学は、病の根本原因を探る「原因療法」とされ、病の悪い部分だけを処置する「対症療法」（＝西洋医学）とは違います。

東洋医学の目的は、身体が本来持っている自然治癒力を高めることです。
血流や神経の流れに着目した結果、指圧、整体、マッサージなど医療行為ではない補完的な療法が確立したのです。（対症療法と原因療法の違いより）

その東洋医学の考えからきているペットの補完療法は、病気と健康の間の「未病」時にマッサージや整体など補完的な療法をペットに施すことで、自然治癒力を高め、病気やけがを防ぐものです。

ペットの補完療法の背景

では、なぜペットの補完療法が高まりつつあるのでしょうか？

その背景には、ペットの寿命の飛躍的な伸びと西洋医学の限界があります。

ペットの寿命は、犬の場合、現在平均14歳で、30年前の約4倍、（『いぬのしあわせ』より）また、猫の場合も約1.7倍、最近では、20歳以上も珍しくありません。（『ペット愛』より）

年を取れば、ペットも病気やけがをしやすくなります。室内飼いが一般化したことで、逆に環境に対する抵抗力が弱り、病気にかかりやすくなった一面も見逃せません。

もう一点は、西洋医学では解決できない原因不明の症状が急増したことです。
苦しむペットをなんとかしてやりたいという飼い主の思いが補完療法につながったといえます。

補完療法の種類と目的

補完療法の種類を紹介しましょう。

・マッサージ

むかしからあり、手技だけで、筋肉をほぐし、血液やリンパの流れを刺激し、関節部位を補強するなどの処置をする。（整体とマッサージの違いより）

目的:　腰痛、肥満、運動器症候群（ロコモティブシンドローム）の予防・改善。

・整体

東洋医学に学んだ療法。手だけでなく、足や補助道具を用い、身体全体のゆがみやズレを改善することを目的にする。（整体とマッサージの違いより）

目的:　手術後のケア、筋力低下、関節症等の歩行困難などのリハビリや緩和ケアなど。

・薬膳

「中国の伝統医学（＝中医学論）に基づいた食材と中国医薬と組み合わせた料理」のことで、季節ごとに食べてよい食材、食べない方がよい食材があり、食べ合わせを考えることで病気を予防する効果があるとされています。（コトバンクより）

目的:　食餌を通じて自然治癒力を高め、病気になりにくい体質に改善する。

これらをペットの状態によって組み合わせ、自然治癒力を高めるのが目的ですが、マッサージを中心とする補完療法は、身体の異変に気づきやすく、初期段階で適切な処置を取ることができ、ペットとの信頼や絆を深めることにもなります。

（アール・グラウンド　栗山のり子代表より）

獣医師との関係

補完療法を民間の団体だけではなく、獣医師も注目している理由は、やはり西洋医学の限界です。
近年、西洋医学と東洋医学を併用した治療を行う「統合治療」を掲げる動物病院が増えたのも、治癒できない事例が急増したからではないでしょうか。

整体以外に漢方やアロマ、鍼、ペット用サプリメントなどを積極的に取り入れている医院もあります。
このようにペットの補完療法の需要は、今後ますます高まりをみせると思われます。
大切なペットと長く一緒にいるためにも獣医さんと相談しながら適切なケアをしてきましょう。

参考

アール・グラウンド　栗山のり子代表　犬の補完療法
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140210/bsl1402100500000-n1.htm
いぬのしあわせ　平均寿命
http://www.nisshin-pet.co.jp/shiawase/wanwan_vol01.html
ペット愛　猫の平均寿命
http://www.pet.ai/nekonoheikinjyumyo.aspx
対症療法と原因療法の違い
http://the-peace-company.com/peace7/if/ryouhou.htm
整体とマッサージの違い
http://www.platon-school.jp/seitai4/cat177/post-3.html
おだ動物病院グループ
http://oda-animalsupport.com/group/holistic.html
コトバンク　薬膳
http://kotobank.jp/word/%E8%96%AC%E8%86%B3

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