医師監修|妊婦はスイカを食べたらダメ?メリットや注意点を解説
2024/5/17
スイカは水分以外にも、ビタミンやカリウムなどの体に良い栄養素が含まれており、むくみ改善や水分補給の効果もあります。この記事では、スイカを食べることのメリットや注意点、おすすめの食べ方をご紹介します。
つわり中は食べられるものが限られることもあり、スイカなら食べられるという方も多いと思います。中には、「妊娠中なのにスイカを食べてもいいの?」「どのくらいの量をどのくらいの頻度で食べても良いの?」と不安に思う方もいるでしょう。
結論から言うと、妊娠中であっても食べ過ぎなければスイカを食べても大丈夫です。この記事では、妊娠中にスイカを食べてもいい理由について解説するとともに、食べるメリットや注意点、おすすめの食べ方も紹介します。
この記事の監修者
コロンビア大学病院 一般産婦人科医
常盤真琴先生
山形大学医学部卒業、日本医師免許取得。ニューヨーク大学メディカルセンターにて産婦人科研修を修了。米国医師免許取得。現在コロンビア大学病院にて一般産婦人科医として勤務。
目次
妊娠中にスイカを食べてもOK!ただし食べすぎはNG
先述の通り、妊娠中にスイカを食べても問題ありません。スイカには豊富な水分が含まれているほか、カリウム、ビタミンC、β-カロテンなど妊娠中にうれしい栄養素が含まれているからです。しかし、スイカには、体を冷やす効果があるため食べ過ぎには注意しましょう。
スイカを食べるメリットや食べる頻度の目安は後ほど紹介します。なお、妊娠中に食べてはいけないものを知りたい方は「妊婦が食べてはいけないもの一覧!摂取量&注意点も│管理栄養士監修」をご覧ください。
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妊娠中にスイカを食べるメリット
先ほども触れたように、スイカは妊娠中にうれしい栄養素が含まれている食品です。スイカにはどのような栄養素が含まれているのか、それによりどのようなメリットがあるのかを解説していきます。
スイカの約90%が水分なので水分補給やつわりに良い
スイカは英語で「ウォーターメロン」と呼ぶだけあり、約90%が水分でできています。妊娠中は水分が不足しやすいため、スイカを食べることで自然に水分補給ができるのがメリットです。脱水症状が起こりやすい、つわり中にもおすすめです。
つわり中の食べ物については「つわりを軽減させる食事とは?おすすめの食べ物や食べるタイミングを紹介【管理栄養士監修】」でも詳しく解説しているので、併せてチェックしてみてください。
食物繊維を含み体調管理をサポート
スイカには食物繊維が含まれ、満腹感やお通じをよくするサポートをしてくれます。体重管理が必要で、便秘気味な妊婦さんにはうれしい効果ですよね。
妊娠中の便秘については「妊婦は便秘になりやすい?つらい便秘の原因や解消方法について解説【助産師監修】」で詳しく解説しているので、お悩みの方はこちらも併せてご覧ください。
カリウム、シトルリンはむくみ改善が期待できる
スイカに多く含まれるカリウムには、ナトリウム(塩分)の排出を促す効果があります。妊娠中はむくみやすいので、塩分とり過ぎたと思ったら、スイカを食べて余計なナトリウムを排出するのもおすすめです。
また、シトルリンという血流をよくする成分も含まれています。シトルリンはスイカやゴーヤーなどウリ科の植物に多く含まれている栄養素で、むくみ改善に役立つでしょう。
ビタミンCは美肌効果がある
スイカに含まれるビタミンCには、美肌にうれしい効果があります。ビタミンCは、肌のハリツヤに欠かせないコラーゲンを生成したり、肌のシミの元となるメラミン色素の生成を抑止したりします。
また、ビタミンCには鉄分の吸収率を上げる効果もあります。鉄分は吸収率が悪いですが、ビタミンCで吸収率を上げることで貧血予防にも繋がります。
妊娠中は赤ちゃんに優先的に鉄分が運ばれるため、鉄分が不足し貧血になる妊婦さんが多いです。貧血になるとめまいや立ちくらみなどの症状が出るため、妊娠中も貧血予防は大切です。鉄分の多い食べ物やレシピは「妊婦さんにおすすめ!鉄分の多い食べ物とレシピを紹介【管理栄養士監修】」で詳しく紹介しています。鉄分を意識した食事のデザートにスイカを食べると効果的かもしれませんね。
β-カロテンは夏特有の紫外線ストレスを抑える
β-カロテンは強い抗酸化作用を持つ栄養素です。老化や生活習慣病の原因となる活性酸素の働きを抑え、取り除く働きがあります。免疫を高める働きもあり、健康維持に役立つでしょう。
さらに、β-カロテンはビタミンAが不足したときに、ビタミンAに変わる働きがあります。ビタミンAと違い催奇形性のリスクがないため、過剰摂取の心配も不要です。
葉酸は胎児や赤血球に効果がある
スイカを食べることで、妊娠中に大切な葉酸を摂取できます。葉酸は神経系や胎児の発達に重要な栄養素として知られており、不足すると赤ちゃんが神経管閉鎖障害を発症するリスクが高くなります。
特に、妊娠初期は脳や脊髄など体にとって重要な部分を作る時期のため、この時期に母体の葉酸が不足すると赤ちゃんが神経管閉鎖障害を発症する可能性が高くなります。初期以降も胎児や妊婦さんの赤血球の生成に関わるため、葉酸は全期間を通して積極的にとりたい栄養素です。
妊娠中にスイカを食べる際の注意点
妊娠中にスイカを食べるメリットは多々あると説明してきました。ここからは、覚えておいてほしい注意点を紹介します。
食べすぎには注意(1日100〜200gが目安)
スイカは水分が多くヘルシーな果物ですが、食べ過ぎるとカロリーのとりすぎにつながります。スイカ一切れ(S玉1/8カットで225gと仮定)で92kcal、糖質20.7gを摂取することになるため、一度にたくさん食べるのは控えたほうがよいでしょう。なお、厚生労働省は果物の摂取目安を約200g/日と定めています。
また、スイカに含まれる水分とカリウムの効果で、食べ過ぎると頻尿のリスクが高まる点にも注意しましょう。
妊婦さんの頻尿について詳しい情報を知りたい方は「頻尿は妊娠初期症状のひとつ?原因と対処法を解説|医師監修」をご覧ください。
よく洗ってから食べる
スイカは皮まで食べることはないため洗わずそのまま食べる人も多いですが、よく洗ってから食べることをおすすめします。スイカの皮にはリステリア菌という食中毒菌が付着している可能性があるからです。リステリア菌はスイカの皮だけではなく、土、水、動物の腸管内などあらゆる場所に存在します。スイカは加熱しないため、水道水など浄化された水でよく洗うことが予防策となります。
なお、妊娠中は非妊娠時に比べ、リステリア菌への感染率が約20倍高くなっている状態です。万一感染すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があり、流産や死産の原因になるといわれています。出生後も低体重や敗血症など、後遺症等を引き起こす原因となるため、衛生管理には注意しましょう。
出典:FORTH|厚生労働省検疫所
種は消化の妨げになるので食べない
スイカには無数の種があるため、取り除くのが面倒で食べてしまう方もいるでしょう。しかし、スイカの種は消化の妨げになる恐れがあるため、できるだけ食べないようにしましょう。食べ過ぎると消化器系に負担をかけたり、のどに詰まったりする可能性があります。
万一、食べてしまっても、体に害は及ばないため心配しすぎなくても大丈夫ですが、取り除きながら食べるのが安全です。
体の冷え・腹痛に気をつける
スイカの水分やカリウムは身体を冷やす効果があるため、食べ過ぎには注意しましょう。また、水分をとりすぎると胃酸が薄まり、消化機能が低下することもあります。さらに、スイカで体が冷えている状態で揚げ物など脂っこい食事をとると、消化不良で下痢を引き起こす可能性もあるため、食べ合わせにも注意しましょう。
なお、下痢は妊娠初期症状の一つでもあります。「医師監修│妊娠初期は下痢になりやすい?原因や受診が必要な症状は?」でも詳しく解説しているのでご参考ください。
妊婦さんにおすすめのスイカの食べ方
妊娠中の味覚の変化などでスイカなら食べられるという状況になった方も、そのまま食べるだけだと飽きてしまいますよね。ここからは、おいしくスイカを食べるための方法を紹介します。
ミキサーで作れるスイカジュースやゼリーにして食べる
つわり中など固形物を食べるのが辛い場合は、ジュースやスムージー、ゼリーなど、のどごしのよい形に調理すると食べやすくなります。スイカだけミキサーにかけてジュースにしてもいいですし、ほかの野菜や果物と一緒にミキサーにかけてスムージーにするのもおすすめです。スムージーにすれば、スイカだけでなくほかの食品の栄養素も手軽に摂取できます。
ジュースやスムージーより食べ応えがほしいときは、ゼリーにするのもひとつの手段です。難易度が高いと感じる方のために、簡単に作れるレシピを3つ紹介します。
レンジで作る☆西瓜のゼリー
スイカの種を取り除き、ブレンダーやミキサーで液状にしてから、粉寒天を入れて電子レンジで加熱するだけで簡単に作れます。寒天は加熱しないと固まらないので、しっかり加熱するのがポイントです。
詳しいレシピや作り方は「レンジで作る☆西瓜のゼリー(投稿者:もぐもぐばばち)」をご覧ください。
スイカゼリー
スイカとカルピス、キウイフルーツの3層がきれいなゼリーです。余力があれば、チョコペンでスイカの種を描くと、よりスイカらしい見た目になります。
詳しいレシピや作り方は「スイカゼリー(投稿者:JHENI)」をご覧ください。
夏:1回で2種類!スイカdeゼリー&シャーベット
スイカゼリーを作ったあとに残った果肉をシャーベットにした、一度で二度おいしいデザートです。種を取り除く作業以外はとても簡単に作れます。暑い夏に楽しみたいひんやりデザートはいかがでしょうか。
しいレシピや作り方は「夏:1回で2種類!スイカdeゼリー&シャーベット(投稿者:コイクウィン)」をご覧ください。
ほかの果物と一緒にたべる
スイカはほかのフルーツとも相性がよく、組み合わせて食べるのもおすすめです。
- ベリー系:甘みと酸味のバランスがよくなり、よりさっぱり食べられます。
- 柑橘系:スイカに足りない酸味を補い、より爽やかな味わいになります。
- マンゴー:まるでカクテルのようなトロピカルな味わいになり、リッチな気分が味わえます。
妊娠中の果物について詳しく知りたい方は「妊娠中に食べてはいけない果物はある?注意点も紹介【医師監修】」をご覧ください。
黄色と赤の違いは含まれる栄養素と甘みの質
スイカには赤と黄色の果肉がありますが、見た目だけでなく栄養素と甘みの質が異なるのはご存知でしょうか。
赤はリコピン、黄色はβ-カロテンが多く含まれ、どちらも抗酸化作用を持ちますが、リコピンの方が強い抗酸化作用を持つといわれています。また糖度は変わりませんが、赤はしっかりとした甘さで、黄色はあっさりとした甘さという違いもあります。
どちらも身体にいいのは変わりないので、好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
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スイカは妊娠中に悩みがちなむくみを解消し、胎児の健やかな成長に役立つ栄養素を含んでいます。ただし、食べ過ぎると体を冷やしたり、消化不良や下痢の原因になるため、一度に多く食べるのは避けましょう。
スイカはそのまま食べるだけでなく、ジュースやスムージー、ゼリーにしてもおいしく食べられます。ぜひさまざまな食べ方を試してみてくださいね。
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