頻尿は妊娠初期症状のひとつ?原因と対処法を解説|医師監修
2024/3/28
頻尿は妊娠初期症状の一つで、症状は後期まで続くことが多いです。ホルモンバランスの変化や子宮が大きくなり膀胱が圧迫されることが原因です。この記事では詳しい原因と対処法、あわせて起こりやすい膀胱炎などのリスクについて医師監修のもと解説します。
妊娠初期の症状には、つわり以外にもさまざまな症状が見られます。頻尿もその一つです。頻尿の原因や対処方法、尿路感染症についても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の監修者
コロンビア大学病院 一般産婦人科医
常盤真琴先生
山形大学医学部卒業、日本医師免許取得。ニューヨーク大学メディカルセンターにて産婦人科研修を修了。米国医師免許取得。現在コロンビア大学病院にて一般産婦人科医として勤務。
目次
頻尿は妊娠初期症状の一つ
妊娠初期症状とは、妊娠の初期に見られる身体の変化のことです。妊娠初期症状には微熱が続く、便秘になる、強い眠気を感じるなどの症状があり、頻尿もそのひとつです。特に冷えていなくてもトイレが近いと感じることがあります。
妊娠初期とは、妊娠13週までを指します。妊娠初期症状は、早ければ妊娠3週目頃から起こりはじめます。妊娠3週目といえば、まだ予定生理日の1週間前ですが、それくらいの時期から妊娠による身体の変化を感じるママもいます。
なお、妊娠初期に気を付けることや、頻尿以外の妊娠初期症状については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
妊娠初期に気を付けることとは?妊娠初期の状態を解説!【助産師監修】
医師監修│妊娠初期は下痢になりやすい?原因や受診が必要な症状は?
【医師監修】妊娠初期の眠気には原因がある!仕事中の眠気対策を解説
妊婦は便秘になりやすい?つらい便秘の原因や解消方法について解説【助産師監修】
妊娠中の頻尿の原因は?
頻尿は妊娠初期から出産まで続くことが多く、多くの妊婦さんが経験する症状です。妊娠中は、血液量の増加により妊娠全期を通して頻尿になりやすいですが、妊娠時期によって異なる原因で頻尿になることもあります。
ここでは、妊娠時期ごとに発生しやすい頻尿の原因を解説します。
【妊娠全期】血液量が増加するから
妊娠中は、子宮で赤ちゃんを育てるために母体の循環血液量が増加するため、全期を通して頻尿になりやすいです。腎臓は血液の老廃物をろ過して不要な水分と一緒に尿として排泄する働きがあります。妊娠によって母体の循環血液量が増加し、ろ過する血液量も増加することで、尿量が増えて頻尿となります。
【妊娠初期】ホルモンバランスが変化するから
妊娠初期は、血液量増加の影響に加え、ホルモンバランスの変化が原因で頻尿になるケースが多いです。
受精卵が子宮に着床すると、プロゲステロンというホルモンの分泌量が増加します。このホルモンは、膀胱の筋肉をゆるめる働きがあるため、尿意を感じやすくなったり、頻尿になったりします。
【妊娠後期】成長した赤ちゃんが膀胱を圧迫するから
妊娠後期は、大きくなった子宮が膀胱を圧迫することが原因で頻尿になりやすくなります。
妊娠週数が進んで子宮が大きくなってくると、子宮の前方にある膀胱が子宮に圧迫されて膀胱の容量が小さくなります。そのため、妊娠していないときに比べると、より早く膀胱がいっぱいになるように感じて頻尿になるのです。
妊娠初期の頻尿の対処法
頻尿は妊娠中の生理現象であるため、完全に頻尿にならないようにするのは難しいです。しかし、頻尿による不快感を軽減するためのいくつかの方法がありますので、紹介します。
とにかくトイレは我慢しない
尿意は生理現象のため、我慢しないようにしましょう。妊娠中は、尿意を感じてトイレに行っても実際に出る尿の量は少ない傾向がありますが、尿意を我慢せずにこまめにトイレに行くことが大切です。
排尿を我慢しすぎると、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症になるリスクが上がる可能性があります。特に妊娠中は、免疫力が低下して感染しやすい状態となっているため、注意が必要です。また、トイレに行く回数が増えるからといって、水分摂取を控えることもおすすめできません。尿路感染症については後の項目で解説します。
利尿作用のあるカフェインの過剰摂取を控える
カフェインには利尿作用があるため、とりすぎないようにすることで、頻尿を少しでも予防することにつながるでしょう。
コーヒーや紅茶などに入っているカフェインは、胎児への影響を考えて妊娠中は摂取を控えている方も多いと思います。カフェインは、コーヒーや紅茶カップ1-2杯程度など、少量であれば妊娠中でも問題ないと考えられています。
しかし、過剰摂取すると胎児に影響を与えることもあるため、頻尿の症状が無くても摂取量には注意しましょう。また、カフェインは緑茶やエナジードリンク、チョコレートなどにも含まれているので、頻繁に飲んだり食べたりするものについては、一度カフェインが含まれているか確認しておくと安心でしょう。
カフェインの摂取量については「カフェインを摂り過ぎはNG!妊婦さんに及ぼす影響と対策【管理栄養士監修】」で詳しく解説しています。
尿意を起こしやすい冷えに注意
寒い季節や冷房による身体の冷えが強いと、尿意が起こりやすくなります。特に、夏場は暑いからといって、冷えた部屋に長時間いるとママの身体が冷えてきます。ひざ掛けや腹巻を使うなど、冷え対策を忘れずに行いましょう。また、体を締めつける服装は血流を悪くして冷えを引き起こしやすいため、ゆったりとした下着や洋服を着用するといいですね。
尿漏れパットで心に余裕を
頻尿だと尿漏れも気になるもの。歩くときの振動や脚の動きなどが膀胱を刺激し、尿意を催すことがあります。また、精神的に緊張すると頻尿の症状を助長させることもあります。尿漏れパットや生理用ナプキンなどを当てて、不安を減らし、心に余裕を持つことで頻尿や尿漏れ対策ができるでしょう。
妊娠中の頻尿は尿路感染症にご注意を
妊娠中の頻尿は、尿路感染症への注意も必要です。前述のとおり、妊娠中はホルモンバランスの変化による、おりものの増加や免疫力の低下から、膀胱炎や腎盂腎炎など尿路感染症の原因となる細菌に感染しやすい状態となっています。感染しやすい状況でも予防する方法はあります。予防方法について詳しく説明してきます。
予防方法は我慢しないこと
尿路感染症を予防するには、排尿を我慢しないことが大切です。尿道に入り込んだ細菌は尿で流せる場合があります。そのため、水分をよくとって、排尿を我慢しないようにしましょう。たくさん水分をとって尿を作り、膀胱を洗い流すイメージです。
尿意を我慢して膀胱で尿が滞ると感染症にかかるリスクが上がるため、トイレに行きたくなった時には我慢せずトイレに行きましょう。水分は、特に医師のアドバイスがなければどんどんとって大丈夫です。
ほかにも感染症にならないためには、シャワーや入浴、下着もこまめに着替えるなど、身体を清潔に保つことが大切です。
排尿後でも残尿感(尿が残った感じやまだ尿が出そうという感覚)がある、排尿時に尿道あたりに痛みがある、尿が白く濁っているなど、いつもと違う症状が見られたら早めにかかりつけの病院を受診しましょう。
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妊娠初期の症状のひとつである頻尿について、原因や対処方法、尿路感染症について解説しました。頻尿は、妊娠によってホルモンバランスが変化すること、循環血液量が増えること、妊娠後期には大きくなった子宮に膀胱が圧迫されることなどが原因と考えられています。尿意を我慢せずに排尿することや身体を冷さずに清潔に保つこと、尿漏れパッドや生理用ナプキンなどで対策しておくと安心です。
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