2018/11/29更新
「エシカル消費」(エシカル=倫理的な)の大切さを発信している一般社団法人エシカル協会理事の末吉里花さんに、「未来を変える買い物と暮らし」をテーマにお話を聞いたインタビューの後編です。 前編では、買い物をエシカルに変えるだけで世界が抱える問題を解決する可能性があることや、マイペースに楽しく取り入れることがポイントだということを教えていただきました。後編では、末吉さんおすすめの商品や、エシカルを取り入れたことで人生に起きた変化についてお伺いします! (取材は“未来を、ともに育てる”というコンセプトで食を通じたエシカルな空間を提供するオーガニックレストラン『Sustainable Kitchen Rosy』で行われました)
じゃあ後半では、末吉さんの「マイエシカル(自分のエシカルな買い物のルール)」を伺いたいと思います。
はい。私は、「新しく買うものをエシカルなアイテムにすること」をマイエシカルにしています。
おおー!かっこいい!
なるべく、ではありますけど、心がけています。
ちなみに今日身につけている洋服などもエシカルなものなんですか?
そうです。三重県の職人さんがつくった〈ヤシマ真珠〉のアコヤパールイヤリングに、地球(環境)に配慮したものづくりをしているアパレルブランド〈S.ESSENTIALS〉のワンピース。リングは生産・流通過程で紛争や児童労働に関わっていない〈HASUNA〉のジュエリーにしました。講演など表に出る機会が多いので、身に着けるものはできるだけエシカルなアイテムをチョイスするのも、マイエシカルです。
さっきから気になっていたんですが、このポーチも……?
はい。エシカル商品です。〈Escama Studio〉というブランドのポーチなのですが、実は缶のプルタブからできているんです!
ああ、たしかによく見たらプルタブだ! すごいなぁ。
かっこいいですねー!日本でつくられているんですか?
ブラジルの工場でつくられています。もともとブラジルにはリサイクルのプルタブを編んでつくる工芸品があって、それを日本人のニーズに合わせて商品開発しているそうです。ニューヨーク近代美術館MoMAのショップでも取り扱われるくらいの商品なんですよ。
メタリックな素材だけど派手すぎないし、おしゃれですね。
しかも、アルミだから軽いんです。あと錆びないから長く使えます。最近買い直したんですが、前に使っていたものは10年使いました。
そんなにもつんですか。
すでにあるものに付加価値を加え、新しいものを生み出すことを“アップサイクル”って言うんですけど、まさにアップサイクルな商品ですよね。リサイクルは形が変わるけれど、アップサイクルは元の形を活かしながら新しい形になる。
アップサイクルっていいですね。価値が高まっていく感じがして。
しかもこのポーチはデザインが素敵だから、エシカル商品とか関係なく、純粋に買いたくなりますね。
うふふ、ありがとうございます。あと、私は肉を食べない「NO MEAT DAY」をつくるよう心がけています。実は、からあげがすごく好きなんですけど……。
末吉さん、からあげ好きなんですか?親近感、湧きます(笑)。
はい、大好きです(笑)。でもお肉って、温室効果ガスの増加と密接に絡んでいるんです。飼料の栽培に必要な肥料やトラクターなどの機械が温室効果ガスを排出したり、牛のゲップにメタンが含まれていたりと、要因はさまざまあるのですが、環境に大きな負荷がかかるので、ほどほどにしています。
末吉さんのお話を伺っていると、エシカル消費ってできることの幅が本当に広いんだなぁと感じます。
そうなんですよ! 伝統工芸品や障がい者のつくった製品などもエシカル商品ですし、地産地消、車やオフィスのシェア、リペアして長く使い続けることもエシカル消費の一つです。
ここまでお話を伺ってきて、エシカル消費は良いものだし、意外と簡単に取り入れられそうだ、ということがわかってきました。でも実際にやろうとすると、ちょっと面倒に思う人もいる気がするんです。世界の問題を解決できるのはわかるけれど……腰が重いというか、自分ごとじゃないというか……。
うんうん。
そこで末吉さんに聞きたいのが、「エシカル消費は“私”にどんないいことがあるのか」ということ。
たしかに「世界に良い=自分にも良い」じゃないと続かないですもんね。
そうなんです。
たとえばファストファッションって1着あたりの値段は安いですけど、あまり着ないですぐ捨てたりしませんか? ファストファッションの洋服を10着買う場合と、とびっきりのエシカルファッションを1着買う場合、「どちらが長持ちする?」「どちらが大切に長く着る?」って考えてみると、後者だと思うんですね。それは結果的にお金の節約になると思っています。
あとは、ものを選ぶ基準をエシカルにしていると、楽なんですよ(笑)。流行りに惑わされないし、自分を必要以上に大きく見せてアピールする気持ちがなくなるし、エシカルを大事にする自分を誇りに思える。私らしくいられて、楽ちんなんです。
エシカルが軸になるから、あれこれ考えなくて良いんですね。
そうなんです。選択肢がいい意味で狭まっているから、買い物も悩まないですし。
あと、エシカルアイテムのようなストーリーのあるものを買うと、そこから人とのつながりが生まれてくることもありませんか?
ありますね。気づいたら、つくり手のアトリエを訪ねている自分がいたりとか(笑)。エシカルからご縁が広がっていくのも楽しいです。
ちなみにEarth Mallではキュレーターのみなさんに、楽天市場で買えるおすすめの商品を伺っているんです。
楽天市場さん、いろいろなエシカル商品がありそうですよね。
いくつかおすすめを選ぶとしたら?
まずは〈People Tree〉。かわいいイラストが描かれたフェアトレードのチョコレートでおなじみですよね。ワンピースやストールなどお洋服も充実しているので、一度のぞいてみると楽しいと思います。
日常的に使うもので、末吉さんが愛用しているアイテムはありますか。
食器用や洗濯用の洗剤は、〈アラウ.〉シリーズを使うことが多いですね。値段が市販のものとそこまで変わらないので、取り入れやすいんです。
たしかにお求めやすい価格。
洗剤って重いから、ネットで買って届けてもらえると楽でいいですよね。「エシカルなアイテムはどこで買えるの?」って本当によく聞かれるので、楽天市場で買えるのは、うれしいです。
これからエシカル消費が買い物のスタンダードになっていくには、どうすれば良いと思いますか?
うーん。私もいつも考えているんですけど、なかなか難しくて。実は日本のエシカル消費って、北欧やヨーロッパに比べると20年くらい遅れてるって言われているんですよ。
20年……。
ヨーロッパだと、スーパーでたまたま手にとった商品がエシカルだった、ということも多いようです。日本も少しずつそういう社会になってほしい。
うんうん。
それは誰か一人、どこか一つの組織が頑張っても変わらないと思います。政府、企業、NPOやNGO、メディア、生産者、そして私たち消費者……それぞれが協働することが大切です。いろいろな立場の人が関わりあうことによってみんなの意識が変われば、いずれ大きな変化へとつながるはずです。
最後に、末吉さんからEarth Mallに応援メッセージをいただけますか?
シンプルに「Be the Change.」で。
ガンジーの有名な言葉ですね。
はい。「あなた自身が変化になりなさい」という意味です。私がエシカル消費を広める活動を続けている原動力は、アウトドア用品メーカー〈パタゴニア〉の創設者イヴォン・シュイナードさんからもらった言葉なんです。
おお、どんな言葉ですか?
活動を続けようか迷っていたとき、「もしあなたが活動をやめたら、あなたは問題の一部になる」って。続けて、「でもあなたが勇気を出して活動を続けていけば、あなたは解決の一部になる。人は何を言うか、何を思うかではなく、何をするかでその価値が決まる」って言ってくださったんです。
心に響きますね。
だから行動あるのみ。変化を起こしていくのみ。
「消費の仕方を変える」ということを、一人ひとりが自分ごととして受け止められるといいですね。
私たちは、一人ひとりが社会の一部ですからね。自分が変われば世界も変わるはず。逆に言うと、自分が変わらないと周りも変わらないから、まずは自分から。
まさに「Be the Change.」ですね。
僕はEarth Mallを通じて、みんなに「最近、買い物でワクワクしていますか?」って問いたいんです。
今はものがあふれているから、買い物の基準がぶれてしまいがちだと思います。適当にお金を使うんじゃなく、買い物に誇りを持てるとうれしいですよね。それが身近な楽天市場さんでできるって、すごいことだと思います。
せっかく買い物をするなら……。
人や社会、環境にいいものを買いたい。
誰かに話したくなる、誇りを持てる買い物を。
楽天市場から買い物は変えられると本当に思っています。小さなアクションを積み重ねることで、未来を変えよう。そういう思いをこのEarth Mallで広めていきたいです。
これからのEarth Mall、楽しみにしています!
(写真・文=忠地七緒)
一般社団法人エシカル協会 代表理事
末吉里花さん
慶應義塾大学総合政策学部卒業。TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。また司会や、レポーター、モデレーターもこなす。フェアトレードやエシカルを中心に活動を展開し、日本全国の企業や高校、大学などで講演、各地のイベントでトークショーを行う。著書に『祈る子どもたち』(太田出版)。新刊『はじめてのエシカル』(山川出版社)。
EARTH MALL with Rakutenは、「楽しくサステナブル な買い物の文化をつくっていきたい」という思いから生まれた、楽天市場によるインターネットショッピング&オンラインメディアです。環境、社会、経済への影響を配慮した商品をキュレーターとEARTH MALL編集部がご紹介していきます。
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