重箱に飾り保存がきくお正月の料理。これは、「神様をお迎えした新年に台所を騒がせてはならない」という考えによるものだそうです。普段忙しい女性が正月の三が日に休めるように、とも言われます。本来は「年迎え」の膳として大晦日に食べるものでしたが、現在ではほとんどの地方で元日以降に食べるのが普通。ただし、北海道など一部の地方には、かつての名残りで大晦日に食べる風習が残っているようです。地域による作り方やレシピの違いも面白いおせち料理ですが、最近では洋風や中華風のおせちにも人気が出ています。
伝統的なおせち料理の重詰めには五段重を使いますが、近年では三段重がよく利用されます。重箱に詰めるのは、めでたさを「重ねる」という意味で縁起をかついだもの。重箱は上から順に一の重、二の重、三の重、与の重、五の重と数えます。四段目が与の重(よのじゅう)と呼ばれるのは四(し)が死を連想させ縁起が悪いと考えられているためだとか。四段重が正式と言われる場合もありますが、これは控えの重(五の重)を省略した形だそうです。
「おせち」という言葉は元々「お節句」が変化したもので、いわゆる五節句(七草の節句 1/7、桃の節句 3/3、端午の節句 5/5、七夕の節供 7/7、菊の節句 9/9)に神前にささげる節句料理の総称で、1年で1番大切なお正月料理だけに「お節」という言葉が残ったと言われています。
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