お歳暮とは?お歳暮のマナーと基礎知識

お歳暮とは?お歳暮のマナーと基礎知識。お歳暮とは年末に、お世話になっている方に物を贈る行為、またはその品物を指します。時期と期間や、私たちの暮らしに根づくお歳暮の起源、お中元・お年賀との違い、一般的な贈る相手など、お歳暮の概要をご紹介します。

お世話になっている方へ日ごろの感謝を伝えるため、お歳暮を贈る風習があります。季節の贈り物としてよく耳にする「お歳暮」ですが、お歳暮についてあまり詳しくご存知ない方も多いのではないでしょうか?

今回は、お歳暮についてのことや具体的にどんな相手に贈るのか、お歳暮にまつわるマナーなどについて解説していきます。

お歳暮とは

まずは、お歳暮について詳しく見ていきましょう。

お歳暮は、日ごろからお世話になっている人に、1年の感謝のしるしとして贈るものです。
もともとは年末の時期に、ご先祖様の御霊前へのお供物を、親族や近所の人に配っていたことが始まりとされています。

日本には、お正月にご先祖様の霊をお迎えする「御霊祭」という風習がありました。
その御霊祭のためのお供え物として、嫁いだ人が実家に、もしくは分家の人間が本家に品物を持って行った物がお歳暮のはじまりだと言われています。

お歳暮は年末に贈るものです。
しかし、年末とひとくちに言っても、その時期は、地域によって少し異なります。
たとえば、関東地方では、12月上旬~12月20日頃までに贈るものとされています。

マナー上では、12月31日までに届けば問題ないとされています。
しかし、年の瀬は何かと慌ただしいもの。さらに、実家に帰省したり、旅行先で年越しを迎えたりするという人もいるため、あまりぎりぎりの時期に届くとかえって迷惑になってしまうこともあります。

そのため、地域を問わず、12月20日頃までに届くようにすると良いでしょう。

また、お歳暮とよく似た挨拶の贈り物に「お中元」があります。
お歳暮が冬の年末年始の挨拶に対して、お中元は夏の挨拶の贈り物です。
日ごろの感謝を伝える季節の挨拶という意味では同じですが、お歳暮の方が比較的重視され、高価な贈り物をする傾向があります。

お歳暮は誰に贈る?

お歳暮は、お世話になっている人に贈るものと前述しました。
しかし、「お世話になっている人」といっても、いろいろな関係の人がいますよね。
お歳暮とは、どんな人に贈るものなのかを見ていきましょう。

お歳暮を個人で贈る場合は、親や上司、恩師、習い事の先生など、一般的には目上の方に贈るものとされています。
誰に贈らなければいけない、贈ってはいけないといった決まりはありませんので、最近では遠くはなれて暮らす友人や親しい同僚などに贈ることもあります。

しかし、お歳暮は毎年継続的に贈ることを前提に贈るもので、その年の1回だけ贈ることは失礼になってしまいます。
今後もずっと関係が続く人に贈るべきですが、年によって贈ったり贈らなかったり、ということにならないよう、毎年のスケジュールにしておくのも良いでしょう。

その年に特にお世話になり、一度だけ贈りたいときは、お歳暮としてではなく「お礼」として贈りましょう。
また、お歳暮の時期も避けた方が良いでしょう。

個人同士ではなく、会社同士でお歳暮を贈ることもあります。
会社にとって、取引先の一年のご挨拶回りができるいい機会です。

しかし、業種によってはお歳暮を受け取ることができない会社も存在します。
特に大企業の場合、コンプライアンスの観点からお歳暮のような贈答品のやりとりが禁止されていることも。

取引先にお歳暮を贈りたい場合は、事前に確認を取ってから贈るようにしましょう。

お歳暮を贈るときのマナーも気をつけよう

お歳暮には、さまざまなマナーが存在します。
せっかくお歳暮を贈っても、マナー違反をしていると、お礼どころかかえって失礼になってしまうことも考えられます。
ここからは、お歳暮を贈るときのマナーについて詳しく見ていきましょう。

お歳暮を送る場合のマナー

まずは、お歳暮を配送で贈るケースのマナーです。

お歳暮を配送で贈る場合、品物だけでなく送り状も添えて送るようにしましょう。
品物に同封して送るのが一般的ですが、送り状と品物を別々に送っても構いません。
ただし、別送する場合は品物よりも先に送り状が届くようにしましょう。

お歳暮の送り状は、ただ品物を贈ることを伝えるだけではなく、日ごろの感謝の気持ちを伝える手紙です。
また、メッセージカードのようなカジュアルなものではなく、正式な挨拶状のひとつなので、書き方にもマナーがあります。

送り状の書き方のマナー

では、送り状の書き方のマナーについて見ていきましょう。

送り状は、パソコンやワープロを使用するよりも手書きのほうが感謝の気持ちをより伝えやすくなります。
また、基本的に縦書きで作成しましょう。

送り状には、基本構成があります。送り状の基本構成は以下のとおりです。

1.頭語

手紙の冒頭に書く言葉です。拝啓、謹啓、拝呈など。

2.時候の挨拶

頭語の次に書く言葉です。季節に合わせて言葉を選びます。
お歳暮は年末に贈るものなので、年末にふさわしい言葉を選びましょう。

「師走の候、皆様におかれましてはご健勝にお過ごしのこととお喜び申し上げます」
「年の瀬も押し迫り、お忙しい日々と存じます」など。

3.送り状の本題

1年の感謝を伝える言葉とお歳暮を送る旨、送り状を別送する場合はいつ頃届くのかを記します。

4.今後のお付き合いをお願いする言葉と、結びの挨拶

手紙の後に書く、締めくくりの言葉です。
時候の挨拶と同じく、時期・季節に合わせて選びます。

「厳しい寒さが続きますがご自愛くださいませ」
「来年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」など。

「今後のお付き合いをお願いする言葉」と合わせて結びの挨拶を記すこともあります。

5.結語

手紙の最後に書く言葉で、頭語とセットになっています。
「拝啓」には「敬具」
「謹啓」には「謹言」
「拝呈」には「敬白」
と、どの頭語を使用したかによって使用すべき結語が変わるので注意しましょう。

お歳暮を持参する場合のマナー

直接訪れることができる場合は、お歳暮を手渡しした方が良いとされています。
お歳暮を持参して、感謝の挨拶を述べてお渡しするのが理想です。
お歳暮を直接手渡す場合にもマナーがありますので、持参する場合のマナーも見ていきましょう。

まず大切なのは、訪問する時間に気を付けることです。
たとえどんなに親しい相手だとしても、連絡をせずに突然訪問するのは失礼ですから、必ず事前に訪問する旨を連絡し時間を決めておきましょう。

訪問する時間は、なるべくなら相手の都合に合わせます。
ただし早朝や夕方以降、食事時は避けた方が良いでしょう。
午前なら10時~11時頃、午後なら14時~16時頃が目安です。

5分ほどまでなら遅れても問題ありませんが、それ以上遅くなる場合は必ず連絡を入れましょう。
また、遅れてしまうのはもちろんですが、早すぎるのもマナー違反です。
約束の時間より早く到着してしまっても家を訪れず、約束の時間まで待つようにしましょう。

お歳暮を持参して訪問する際は、身だしなみにも気をつける必要があります。
礼装のようなかしこまった服装をする必要はありませんが、ラフすぎる服装で訪問するのは失礼にあたります。
寒い時期ですので上着や防寒具を身に着けている場合は、インターホンを押す前に脱いでおきましょう。

お歳暮を手渡すタイミングは、玄関先で挨拶をする時です。
手渡してすぐに帰るのが手順とされています。

玄関先で渡してすぐに帰るのがマナーですが、室内へ案内された場合、あまり遠慮するのも失礼になりますので、お邪魔させていただきましょう。
部屋に通されたあと、挨拶をして渡します。

お歳暮を手渡しする際に、今年一年お世話になった挨拶をします。
「今年も大変お世話になりましてご挨拶に伺いました。心ばかりの品ですがお納めください」など、お礼とお歳暮を持参した旨を述べましょう。

挨拶の他にも、「お好きだとうかがったので」「ご家族でお召し上がりください」「大変評判の品のようですので」など、品物に関する言葉もあるとより印象的です。

のしの書き方

お歳暮には、熨斗(のし)を掛ける必要があります。

のしにもさまざまな種類がありますが、お歳暮の場合、水引は紅白の「花結び祝い」「一般お祝い用」などを選びます。
水引で分けられたのしの上半分には「お歳暮」「御歳暮」などを書きます。
のしの下半分には、贈り主の氏名を記入します。
氏名は、フルネームで書くのが一般的です。

連名で贈る場合は、下半分の中央に、右から目上の順番に書くとされています。
連名で氏名を記入するのは3名までが一般的とされており、それ以上の場合は全員の氏名ではなく、代表者のみの氏名を記入します。

会社から贈る場合は、会社の名前ではなく、会社の代表者の氏名を記入しましょう。
会社名を記入したい場合は、代表者の名前の右上に小さく書きます。

お歳暮を受け取った時はどうする?

お歳暮を贈っていない人からお歳暮をいただいたら、お返しを贈るべきなのでしょうか?お歳暮を受け取った時にどうすれば良いのかを見ていきましょう。

お礼状を書く

まずは、できるだけ早くお礼を伝えましょう。
特に配送で受け取った場合は、その日のうちか次の日には連絡をするようにします。

電話やメールで伝えることも増えてきていますが、お礼状を書いて送るのが正式なお礼です。
受け取ったことをなるべく早く伝えるために、一旦電話でお礼を伝え、その後改めてお礼状を送るとより丁寧な印象を与えます。

お歳暮のお礼に送るお礼状は、正式な挨拶状なので書き方にもマナーがあります。
まずは、お歳暮のお礼状の基本構成を見てみましょう。

1.頭語

2.時候の挨拶

3.お礼状の本題

お歳暮を受け取った旨と、いただいたことに対するお礼の言葉を述べましょう。
「素敵なお品をありがとうございました」「早速使わせていただいております」など、いただいた品に対するちょっとした感想も添えると、喜びの気持ちがより伝わりやすくなります。

4.相手への心遣い・健康を気遣う言葉

お歳暮をいただくシーズンは寒さが厳しく、年末年始の準備にも何かと忙しい時期です。
体調を崩しやすい時期のため、相手を気遣う言葉も入れるようにしましょう。

5.今後のお付き合いをお願いする言葉

6.結びの挨拶

7.結語

挨拶状というのは、基本の構成はほとんど同じです。
前述でご紹介した、お歳暮に添える送り状とは主題が異なりますが、時候の挨拶や相手への心遣いの言葉、今後のお付き合いをお願いする言葉は必ず入れるようにしましょう。

品物を贈ってもよい

お歳暮のお礼に、ちょっとした品物を贈るのももちろん構いません。
その際にも、品物にはお礼状を添えるようにしましょう。

お歳暮のお礼に贈る品物は、いただいた品物と同等の値段のものか、半額程度のものでも問題ありません。

お歳暮には何を贈る?

せっかくお歳暮を贈るのですから、相手に喜んでもらえるものを贈りたいですよね。
ここからは、お歳暮には何が贈られているのか、定番のギフトを紹介します。

人気ギフト

お歳暮の定番ギフトには、グルメが多いです。
なかでも、肉加工品・海鮮・惣菜・お酒は、特に人気の高いギフトです。

食べ物ではまずハムやソーセージ、ローストビーフのような加工肉は、大人から子どもまで家族で食べやすいもので、調理に必要な手間も少なく、忙しい年末年始のごちそうにぴったりでしょう。

海鮮も見栄えが良く豪華な、嬉しいギフト。
お子さんのいる家庭から年配の方まで、幅広い世代で美味しく味わうことができます。
特にカニのような、ちょっと贅沢な気分が味わえる海産物がおすすめです。

また開けるだけ、温めるだけで食べられる、美味しい惣菜もお歳暮の人気ギフトです。
有名レストランや老舗旅館が監修したものや、なかなか食べられないご当地グルメなど、少し珍しい味をご自宅で手軽に味わうことができます。

最後に消え物としてお酒を飲む人に贈るなら、お酒のギフトもおすすめです。
年末は家族や親戚、友人が集まる、という人に送れば、たくさんの人に楽しんでもらえることでしょう。
いずれの場合も、普段自分で買うものよりも少し高価な、いいものを選ぶのがポイントです。

カジュアルギフトが増加

最近では、お歳暮のようなフォーマルなギフトも、のしやお礼状などを省いてカジュアルに贈られることが増えてきました。
カジュアルギフトは単価が安いものを贈ることが多く、友人同士のコミュニケーションとして、記念日ではない日にも贈られています。

また、SNSなどで気軽に贈れるオンラインギフトなども増えています。
オンラインギフトは、送り先の住所や氏名などを知らなくても、URLやQRコードを送信し、送られる本人が自分で住所などを入力するサービスです。
主にギフトカードや電子マネーなどがやりとりされています。

カジュアルなお歳暮は、あまり形式張ったことをしたくないけれど、お世話になったお礼にメッセージやギフトを贈りたい、という若い世代の間で徐々に広まってきています。
このように、お歳暮も時代とともに多様化しています。

日ごろの感謝をこめてお歳暮を贈りましょう

お歳暮は、1年間お世話になった人へ、日ごろの感謝の気持ちをこめて贈る贈り物です。
なかなかお礼を伝えることができなくても、お歳暮という形をとると感謝の気持ちを素直に伝えやすく、相手にもより伝わりやすくなります。

お世話になっているお礼の気持ちを込めて選んだお歳暮は、より仲を深め、今後も良いお付き合いを続けていくための大切な行事です。
なかなか会えない人にも、配送で贈ることができるため、挨拶の良い機会になるでしょう。

お歳暮にはさまざまなマナーがあります。
相手に気持ちよく受け取ってもらうためにも、マナーはしっかりと守り、心のこもったお歳暮を贈ってみてください。

お歳暮のマナー・ガイド

お歳暮とは?

お世話になった人に一年の感謝の気持ちを込めて年末に贈るギフトを指します。日本で始まったのは室町時代からと言われています。

贈る時期は?

一般的には12月13日~12月20日までと言われています。関東地方や関西地方、贈るものによって望ましいとされる時期が異なる場合があります。

お歳暮とお中元の違いは?

お中元とお歳暮とは夏と冬にお世話になった方々に贈り物をするという慣習のこと。一見同じような慣習ですが、実は少しだけ違いがあります。お中元とお歳暮の違いについて詳しくご紹介します。

お歳暮とお年賀の違い

お年賀やお歳暮の意味やその違い、贈る時期などは意外と知られていないもの。誰にも聞けない当たり前と思われることを丁寧に解説します。

お歳暮を贈るべき相手とは?

上司や取引先、親族によって気を付けたい贈り方のポイントや、お歳暮で贈ってはいけない品物など、贈り方についてご紹介します。

お歳暮を贈ってはいけない相手

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