魔の3週目とは?赤ちゃんが泣き続ける理由や乗り越え方|助産師監修
2024/11/21
魔の3週目とは、生後3週目ごろに訪れる赤ちゃんが泣き止まなくなる時期のことです。胎外に出た不安や体内時計が整わず眠い状態が続くことが要因です。助産師監修のもと「魔の3週目」について解説します。
赤ちゃんが生後3週間を過ぎたころに「理由もなく泣く」「1日中機嫌が悪い」などの変化が訪れることがあり、これを魔の3週目と呼びます。グズグズの原因が分からず、不安や疲れがたまっているママやパパも多いのではないでしょうか。
本記事では、魔の3週目が起こる理由や乗り切る方法を助産師監修のもと詳しく解説します。赤ちゃんの突然の変化に悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事の監修者
助産師・看護師・保育士
河井恵美先生
25年以上、病院、行政、教育関係、海外での医療活動に従事。親御さんへのアドバイスを充実させるため保育士・公認心理師の資格を取り役立てている。現在は、エミリオット助産院を運営。
目次
魔の3週目とは?赤ちゃんの状態は?
魔の3週目とは、赤ちゃんが明確な理由がないにも関わらず泣き続けたり、昼夜問わず機嫌が悪い状態が続いたりする現象のことです。多くの場合、生後3週目〜6週目ごろが多く、2週間程度続きます。
急に激しく泣き続けるようになるため、ママやパパはどうすれば良いか分からず戸惑ってしまうでしょう。特に、育児に慣れていない新生児のうちは少しの変化で不安になることが多いため、あらかじめ魔の3週目について理解を深めておくと冷静に対処できます。
なお、この現象の程度は個人差があり、すべての赤ちゃんに訪れるわけではありません。
次に、魔の3週目の主な現象を紹介します。
なかなか寝てくれず、グズグズと泣き続ける
魔の3週目の赤ちゃんは、次のような状態になることが多いです。
- 昼夜問わずグズグズして機嫌が悪い
- 寝たと思ってもすぐに起き、夜泣きが増える
- 入眠がスムーズにできない
- よく泣くようになる
- 大声で泣く
あまり泣かなかった子やよく眠る子が、長時間大きな声で泣くようになったり急に細切れ睡眠になったりします。この期間はミルクをあげたりおむつを変えたりしても泣き止まないことが多いです。
魔の3週目だとは分かっていても、泣き止ますためにミルクをあげる回数やおむつを替える回数が増えているママ・パパも多いのではないでしょうか。そこでご紹介したいのが、楽天の子育てサポートサービス「楽天ママ割(無料)」です。
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魔の3週目が起きてしまう原因
魔の3週目が起きる原因は、まだはっきり解明されていません。しかし、赤ちゃんが泣くということは、何らかの不安要素があると考えられ、次のようなことが引き金になる可能性があります。
お腹の外へ出たことに対する不安
赤ちゃんは生まれてすぐではなく、少し時間が経ってからお母さんのお腹の中から外に出たことを認識するため、魔の3週目が起きるという説があります。
胎内の赤ちゃんは、大きな音や光など、外の刺激から守られていました。しかし、お腹の外ではさまざまな刺激に囲まれるため、違和感や不安から泣くことが増えるのです。
泣いている赤ちゃんに体内音を聞かせると泣き止むことがあるのは、ママのお腹の中を思い出させ、不安を和らげるためだと考えられています。
上手に眠れないことでずっと眠さを感じている
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ自力で入眠する方法が身についておらず、眠たいのになかなか眠れません。起きている時間が長くなることで常に眠さを感じているのに、泣いて興奮し余計に寝られないという悪循環に陥ります。
新生児は、昼夜を問わず短いサイクルで睡眠と覚醒を繰り返すことが特徴です。個人差がありますが、機嫌良く起きていられる時間は1〜2時間が目安です。
それを超えると寝ぐずりがひどくなる可能性があるため、新生児のうちは2時間以内に寝かしつけると良いでしょう。
体内時計がまだ整っていない
生後間もない赤ちゃんは昼夜の区別がなく、「概日リズム」と呼ばれる約24時間の周期に身体の状態が合わせられていません。しかし、日中はママやパパの活動に合わせて起きている時間が長くなる傾向にあるため、眠さから不機嫌な状態が続き、泣きやすくなります。
生後3~4か月ごろから、体内時計を調節するホルモン「メラトニン」の分泌が始まり、昼間は活動して夜は睡眠をとるというリズムが整い始めます。
生後3か月ごろには生活リズムが大人に近いサイクルに整う子が多くなるため、それまでは赤ちゃんの睡眠パターンに合わせた生活を送ると良いでしょう。
魔の3週目とコリックの違い
魔の3週目と似た現象のひとつに「コリック」があります。コリックも魔の3週目と同様に、明らかな理由なく赤ちゃんが長時間激しく泣きます。生後1か月以内に始まり、生後6週間ごろにピークを迎えることが一般的です。
仮に、明らかな理由がないのに激しく泣くことが、1日3時間以上かつ週3日以上、それが3週間以上連続して生じている場合は、コリックであると考えられます。
魔の3週目との主な見分け方は「赤ちゃんの泣き方」と「現象が収まるまでの期間」です。次に、魔の3週目とコリックの違いを具体的に解説します。
赤ちゃんの泣き方
魔の3週目は「なんだか機嫌が悪い」という状態が続き、グズグズと泣くのが特徴です。一方でコリックはいきなり大きな声で激しく泣き叫び、そのまま長時間泣き続けることが多いです。
どちらも理由がわからず泣くことには変わりありませんが、コリックの方がより長期的で、数時間単位で泣き止まないことが多い傾向です。
また、魔の3週目は昼夜問わず突然泣き出すのに対して、コリックは夕暮れ時から泣き始めるのが多いことが特徴で、別名「黄昏泣き」ともいわれています。
現象が収まるまでの期間
魔の3週目もコリックも生後3週間ごろに始まりますが、現象が収まる時期は異なります。一般的に魔の3週目は生後1〜2か月ごろに落ち着くのに対して、コリックは生後3〜4か月ごろまで続くことが特徴です。
コリックも魔の3週目と同様に、原因が解明されていません。しかし、一日の疲れがたまっていたり、成長に伴いさまざまな刺激への感受性が向上したりすることではないかと考えられています。
疲れすぎる前に寝かしつける、静かな環境を作り不安を取り除くなどの対策をすると、コリックが早く落ち着くかもしれません。
赤ちゃんを寝かしつけるコツ
魔の3週目は、一生懸命あやしてもなかなか泣き止まず、寝かしつけが難しいものです。そんなときは、次に紹介する寝かしつけのテクニックを試してみてください。
ホワイトノイズを聞かせる
泣いている赤ちゃんを落ち着かせる方法の一つに、ホワイトノイズがあります。ホワイトノイズとは、さまざまな音が均等に含まれる持続的なノイズのことです。
ホワイトノイズは、ママのお腹の中で聞いていた血流や呼吸音などの体内音と似ており、赤ちゃんが安心し眠りやすくなる効果があると考えられています。
ホワイトノイズが流れるぬいぐるみや動画なども多数あり、手軽に試せる方法です。赤ちゃんの注意が散漫にならないように、静かな環境でホワイトノイズを取り入れると良いでしょう。
おくるみで包む
赤ちゃんはママのお腹の中の狭い空間で過ごしていたため、おくるみに包んで身体に適度に包まれている感覚を与えると安心して眠りやすくなります。また、外的な刺激により手足がビクッとなるモロー反射の刺激を優しく包み込む効果があることもメリットです。
おくるみに包んだら、優しい音楽をかけたり話しかけたりして、心地のよい空間を作るとなお良いでしょう。
おくるみの効果や巻き方は「赤ちゃんに使う「おくるみ」とは?巻き方や巻く時の注意点を紹介」で、モロー反射については「モロー反射とは?いつまで見られるか、激しい場合の対処法まで解説【医師監修】」で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
赤ちゃんを揺り動かす
赤ちゃんを揺り動かすと、早く泣き止み入眠がスムーズになることがあります。赤ちゃんはママのお腹の中で羊水に包まれて揺れていたため、ジッと止まっているよりも動いている方が安心できるからです。
室内で歩き回るのが難しい場合は、その場でゆらゆら赤ちゃんを動かしてみましょう。泣いているうちは早めに、赤ちゃんがうとうとしてきたら、ゆっくり動かすことがコツです。
横向きに抱っこする
新生児のスタンダードな抱き方は仰向けですが、眠らないときは横向きに抱っこしてみるのも良いでしょう。
赤ちゃんは、お腹を下にして寝ると包まれているように感じます。その安心感に子宮内の心地良さを思い出し、眠りが深くなり、物音がしても目を覚ましにくくなります。
しかし、うつ伏せの状態で布団に寝かせるのは、SIDS(乳幼児突然死症候群)や窒息のリスクが上がるため避けなければなりません。横向きで抱っこして赤ちゃんが眠ったあとは、ゆっくり仰向けにしてから布団に寝かせることが大切です。
ベビーマッサージを行う
ベビーマッサージはリラックス効果があり、呼吸が深くなることで眠りやすくなります。オムツ替えや沐浴の際に、優しくタッチしてあげると良いでしょう。
また、お腹に「の」の字を描くようにマッサージすると、腸のぜんどう運動が促進されて、うんちやおならを排出するのを助けます。お腹が張っていると感じた際は、マッサージをすると不機嫌が落ち着くかもしれません。
魔の3週目を乗り越える方法
赤ちゃんがずっと泣いていると、ママ・パパも疲れやストレスを感じますよね。魔の3週目を乗り越えるためには、一人で抱え込まずに周りを頼ることが大切です。次に、具体的な対策方法を詳しく解説します。
パートナーや家族を頼る
赤ちゃんの泣き声を聞き続けると、親は精神的に追い詰められることがあります。特に、頻繁な夜泣きで睡眠不足になると気持ちが沈みがちです。
つらいと感じたときは自分一人で抱え込まず、パートナーや家族に頼ることが大切です。出産後数週間は産後うつ病を発症しやすい時期でもあるため、パートナーと交代で自分の時間を確保したり、昼寝をしたりしてリフレッシュすると良いでしょう。
専門家のサポートを受ける
産後ケアやカウンセリングなど専門家のサポートを受けるのも一つの方法です。たとえば、産後ケアホテルでは、助産師や保育士が24時間常駐し、赤ちゃんを一時的に預かってもらったり、育児の悩みを相談できたりします。
近年は、国が産後ケアに力を入れており、費用の一部を負担する自治体も増えてきているため、経済的な負担もそこまで大きくないことが多いです。
ワンオペが多いママ・パパや、家族だけでは大変なときは、無理せず専門家や専門サービスを利用しましょう。
周りと比べない
魔の3週目が訪れるタイミングや赤ちゃんの状態は個人差が大きいため、周りと比べても意味がありません。たとえば、1日1時間しか泣かない子もいれば、5時間泣く子もいます。
魔の3週目に限らず、ほかの赤ちゃんと比べると不安やストレスが増す原因になるため、目の前のわが子に合わせて育児を進めることが大切です。
なお、赤ちゃんが泣くとお腹が空いているのが原因ではないかと思う方が多いですが、必要以上にミルクをあげると、お腹が張って余計不機嫌になる可能性があります。
新生児に適切なミルクの量は「新生児のミルクの量・あげる間隔の目安を月齢別に解説【助産師監修】」で詳しく解説していますので、ミルク育児をしている方は目安にしてください。
また、新生児期は吐き戻しや便秘をしやすい時期でもあります。周りと比べ過ぎないことは大切ですが、分からないことは調べて解決策を知ることが大切です。
以下の記事では吐き戻しや便秘の原因、対処方法などを詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
原因を追求しすぎない
魔の3週目を迎えた赤ちゃんは、泣いていても明確な理由がないことも多く、原因を追求しすぎるとママやパパのストレスが増えることがあります。仮に原因が分かっても、対処法があるとは限りません。
魔の3週目は成長に伴う自然な現象の一部であると考え、いつかは終わるものだと割り切った方がストレスを感じにくくなります。熱や便秘など体調的な原因がなければ、見守るだけでも問題ないでしょう。
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魔の3週目を迎えた赤ちゃんは、明確な理由もなく泣き続けたり、一日中グズグズしたりします。赤ちゃんをスムーズに寝かせるためには、ホワイトノイズを聞かせたり、おくるみに包んだりして安心感を与えることがポイントです。
時には家族を頼ったり専門家のサポートを受けたりしながら、無視せず魔の3週目を乗り越えられると良いですね。
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