2020/3/13更新
EARTH MALL アドバイザーとしていつもお世話になっている蟹江教授(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)が、今年3月に完成したご自宅を「SDGハウス」(SDGsの経済・社会・環境の三側面から建築デザインを検討)にしてしまったという壮大な話しをキャッチ。当然、家の中もSDG!?ということで、新居に必要な家具や備品の買い物をEARTH MALL編集部でお手伝いさせていただくことになりました。そこで今回は、「サステナブルなイスってなんだろう?」というお題で、楽天社内にあるイスをリサーチ。SDGs研究の第一人者である蟹江教授による、超サステナブルなお買い物レポートをお届けします!
※本記事は、各イスの外的要素を中心に話しを進めています。「選び方」の基準としてご参考ください。
「子供と共用の書斎で使うイスを買いたい」という蟹江教授。実は楽天本社の来客室は1部屋ずつ違った家具が配置されているショールーム風になっており、材質やデザインなどさまざまなものが揃っている。それならば、ここでイスを物色してみようということで、まだひとけのない平日の朝にお越しいただき、スタート。
<今回レビューするポイント>
楽天本社で使用しているイスの中から、素材や耐久性などサステナブルな観点を中心に椅子をチェックしていきます。みなさまのお買い物の参考にもなるように、特性を把握できるレーダーチャートも作ってみました。
天童木工は、木を曲げてかたちをつくる「成形合板」の技術を日本で初めて取り入れた家具メーカー。ひとつひとつ工場で制作しており、100人を超える職人たちが、その技術から生まれる家具を生み出している。
EARTH MALL編集部(以下、EM):さっそく、いまいる会議室の椅子から順番に見ていきましょうか(壁に貼られている商品説明をチェック)。
あ、天童木工さんの椅子ですね。オリンピックの卓球台も作っているっていう話しを聞いたことあります。成形合板って書いてありますが、そもそも合板ってどう思いますか?。
蟹江:何を素材にしているかにもよりますよね。認証材を使ってる合板もあるんですよ。
EM:木を無駄にしないという側面もありますよね。国産の間伐材とか使ってる可能性もあります。
蟹江:国産というのはいいですよね。でも、サステナブルかどうかは、今の情報だけだと判断がちょっと難しいかな……。もうちょっと調べてみたいですね。
無垢家具つくりの貴重なカルチャーを備える町、北海道旭川市でつくられている家具メーカー。厳しい自然と共存しながら育まれた材木を使用している。
EM:お、このイスは座面が牛革ですね。木材はブラックウォルナットだから国産ではなさそうです。
蟹江:牛革ってどう思いますか?基本的には食肉用の皮を使ってるケースが多いと聞いたことがあります。日本では結構あまっていて困っているみたいですよ。
でも、「革って、なにか飲み物とかこぼした時に大変そう」って、うちの奥さんが言ってたからその点がちょっと気になるな。
EM:汚れですか……。
蟹江:座り心地で言うと、幅が広いし木の感じも丈夫でいい感じです。張替えとかのメンテナンスができるなら革もいいかな。壊れても修理できて長く使えるっていうのも、サステナブルの大事な要素ですよね。
EM:長持ちするかという点でいうと、この楽天ショールームの特徴は、既に沢山の人が数年使ってるイスが試せるってことですね(笑)。使ってるうちにガタついてきたり、シミが出来てくるものもあったりしますけど、このイスはしっかりしてます。革って結構、いいんじゃないですか?
7~8種類の樹種を常備し、木そのものの表情でのバリエーション展開を可能にしている。また、ワックスには、植物とハチミツから作り上げた環境にやさしい無農薬・無漂白の“未晒し蜜ロウワックス”を使用。デザイナーはカイ・クリスチャンセン。
蟹江:あ、これ座りやすい!背中が動いてカクッカクッってなる!!これいいな~(写真下から2番目の「No.42チェア」をお試し中)。
EM:ご満悦ですね(笑)。
蟹江:この部屋は、いろんな種類があるんですね。全部違う形にするっていうアイデアいいですね。
EM:あえて違うのを使うって、おしゃれな感じがします。注文時に材質も選べるみたいですね。
蟹江:へー、おもしろいですね。いろんなイスを家で楽しめるって贅沢。
EM:日本の職人さんが作ってるっていうのもポイントですね。地域の伝統産業に貢献できます。
蟹江:でもこれは座り心地が本当にいいですね。いままで座った中で一番好きです。
デンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーによってデザインされた木製デザイナーズチェア。何一つ無駄がなく、これ以上シンプルにできない究極の構造と美しさを併せ持つ。本品はリプロダクト。
EM:ちょっとドッシリしたイスですね。
蟹江:(座ってみて)デカい!
EM:おお、深めのすわり心地。
(壁の説明書きを見て)あ、ケネディー故大統領が使用したって書いてあります!
蟹江:え、そうなの!?
EM:蟹江先生、一気にテンション上がりましたね……(笑)。
「これ、ケネディーが座った椅子なんですよ~」って自慢しながら座ることができますよ。あと、「何一つ無駄がない、究極のシンプルを追求したデザイン」とも書いてあります。構造と美しさを持ち合わせた椅子ってことですね。
蟹江:ケネディーが座ったとか、究極のデザインとか、そう言われると座り心地がよく感じてくるっていうのもありますよね(笑)。
EM:“ストーリーも大事“ってことですね。結構重要なポイントを発見した気がします。
蟹江:そうですね、サステナビリティはストーリー大事です。
EM:長く使うってことを考えると、あんまりデザイン性が高すぎるものよりシンプルなものの方がいいかもしれませんね。
蟹江:あ、そういう観点も大事。家で使うものだし、落ち着くデザインがいいなぁ。
MERRYFAIRは、デザイン性だけでなく、グリーンカード認証を取得するなど環境に配慮した素材・製造方法を採用し、リサイクル可能な製品を生み出している。
EM:ちょっとテイストを変えて、こういうオフィスっぽいデザインの椅子はどうですか?
蟹江:いままでは家でどっちかっていうとこういう感じの椅子を使ってたんですよ、実は。高さも調節できるし、いいですよね。……これ、結構座り心地いいですね!。
EM:(笑)
蟹江:でも、分解はできるのかな?捨てる時はどうしたらいいんだろう。廃棄とか気になっちゃうな。化学繊維も使ってるだろうし、中の綿とかバネとかどうなってるんだろう。
EM:そうですね、これを適切に捨てようと思うと結構難しそうですね。
蟹江:椅子の解体業者とかってあるんですかね?
EM:スクラップにして鉄だけ抜くとか、そういう感じになりそうですよね。そう考えると、やっぱり素材は非石油系・非金属系のシンプルな天然素材がいいんですかね……。
蟹江:気持ちいいんですけどね、座った感じは。オフィスで使う時は、やっぱりこういうタイプがいいなと思います。これを木で作れるといいですね。
EM:一通り座ってみましたが、どうですか?
蟹江:総合的には、あの「カクッカクッ」ってなった椅子がいいな~。
EM:宮崎家具製作所さんの椅子ですね(笑)。だいぶお気に入りですね。
今日出てきた観点としては、「長持ち」と「デザイン」。あとはその「カクッカクッが好き」みたいな細かい好みをちゃんと求めていくということが、意外とサステナビリティにつながるんじゃないかなと思いました。
蟹江:そうですね。いくらサステナブルな素材でできたイスでも、好みのデザインではなかったら「長く使える」っていうところにつながらないですもんね。
あと、椅子だけに限らず、物を選ぶ時には「どうやって捨てるか」とか「修理やリサイクルできるか」とか、ライフサイクルまで含めて検討することも大事ですね。そうなると、その商品で使っている素材とかもちゃんと把握した上で買い物をする必要が出てくると思います。
EARTH MALL with Rakutenは、「楽しくサステナブル な買い物の文化をつくっていきたい」という思いから生まれた、楽天市場によるインターネットショッピング&オンラインメディアです。環境、社会、経済への影響を配慮した商品をキュレーターとEARTH MALL編集部がご紹介していきます。
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