2020/1/31更新
2019年12月14・15日、楽天によるソーシャルインパクトの祭典「Rakuten Impact Days of Optimists 2019」(以下、IDO 2019)」が開催されました。
会場で目を引いたのが高さ2.4mの巨大なガチャ。デイリーポータルZの倉庫にあったものを持ってきたものです。
巨大なガチャは要らない(けどまだ使える)ものを交換するために2日間フル稼働しました。
どうやっていらないものを交換するのか、何が交換されたかを2日間ガチャの前に立っていたデイリーポータルZライターのきだてたくさんに紹介してもらいます。
皆さんは「ガチャ」とか「ガチャポン」って呼ばれる機械、ご存知ですよね。
硬貨を入れてダイヤルをガチャガチャッと回すと、なんか小さい玩具とか出てくる、アレです。
要するに小銭と引き換えにランダムで玩具をゲット、というシステムですが……正直なところ、出てきたやつが嬉しいのは一瞬で、翌日ぐらいには「これ、要らないなー」って感じになりません?
どうせ要らないものが出てくるなら、いっそお金じゃなくて、“要らないものを入れたら、要らないものが出てくる”システムでもいいじゃないですか。
「何を言ってるのかよく分からない」という方のために、以下で説明いたします。
デイリーポータルZは、数年前にこの“要らないもののサーキュラー・エコノミー(循環型経済)”とも言えるシステムを考案しました。
まず最初に、Aさんが「まだ使えるけど、でも今の自分には不要だなー」というものを持ってきます。それを我々が受け取って、巨大なガチャのカプセルに封入。このために開発された巨大なガチャマシーンに投入します。
そうしたら、Aさんは1回ガチャを回すことができます。
ハイ、ガチャガチャ…コロン、と出てきたカプセルには、先に他の人が持ってきた「まだ使えるけど、でも今の自分には不要だなー」というものが出てくる。
しかも、それが単に手渡されるのではなく、ガチャから出てくるというのも重要なポイント。なんとなくいいものが当たった気になれるじゃないですか。
自分には不要だけど、もしかしたら他の誰かには嬉しいものになるかもしれません。つまり、不要品が巡り巡って、役に立つ可能性があるんです。
これは、要らない(けどまだ使える)ものを持ってきてもらえる限り、いつまでも止まることのない永久機関=サステナブルなエコシステムと言えるでしょう。言えないかな。どうだろう。
IDO 2019は、3日間開催のクローズドイベント。「まだ使えるものガチャ」と名付けられた我々の永久機関は、会期2日目・3日目に、会場の端っこの方に置かせてもらいました。
あと、この準備段階(前写真)でマシンの中に入ってる「使えるけど要らないもの」は、楽天の皆さま及びガチャスタッフに投入してもらってます。
まずIDO 2019の2日目は、「Rakuten IT School NEXT」。
楽天社員のボランティアスタッフと高校生の皆さんが協働し、テクノロジーを活用しながら、2030年の未来を作るアイデアを立案するプロジェクトの成果発表会です。
今回のイベント参加者の皆さんには、事前にガチャの趣旨と共に「自分では要らないけど、まだ使えるものがあったら持ってきてください」とお願いしてます。
で、全国各地から高校生と学校関係者が、自分には要らないものを持って集まってくれました。普通なら「何を言ってるのか」と怪しむところな気がしますが、みんな真面目でいいひとたちだ。
ちなみに、まだ使えるものを持ってきてもらう際には、もれなく、いらないものシートに「どういう経緯で入手したか、なぜ不要になったのか、これが当たった人へのメッセージ」などを記入してもらってます。
このシートは現物と一緒にガチャカプセルに封入しているので、当たった人には「へー、そういう経緯で要らなくなったのか」とか、そういうことが伝わる仕組みです。
写真の方(こちらも能登高校関係者)は、「石川県の海岸でひろったメノウ石」を持ってきて、EARTH MALL編集長ママベさんが入れた「Rakuten テニスキャップ」が当たり。
それはともかく、ママベさんのいらないものシート、自分は「テニスしないので」という理由で持ってきておきながら、「テニスはじめてください」というメッセージは、あんまりな気が。
ただ、実は能登は大きな大会が開催されるほどテニスが盛んな土地柄だそうで、まぁ結果オーライかも。
「Rakuten IT School NEXT」でのガチャは、トータル44回転。つまり44個の要らないけどまだ使えるものが、44人の方のところへ届いたということになります。これぞサーキュラー・エコノミー。
当たったものはたとえ「うーん、要らねぇ」と思っても、ちゃんと家までお持ち帰りいただくシステムとなっています。
さて、イベント3日目は、社会起業家の皆さんと楽天スタッフが取り組む社会課題解決プログラム「Rakuten Social Accelerator」。
こちらでも多くの方々が要らないものを持ってきて、要らないものを持って帰る不要物循環システムがフル回転となりました。
この日は大人から子どもまで、様々な年齢層が入り乱れて要らないものを持ち込む、という相当にカオスな状態。
「ポラロイドカメラ(フィルム付き)」「亀のクリスマス飾り」「体組成計」「すごろくトランプ」「PS3のソフト」「木のバッジ」…と、お持ち込み品リストだけ見ても、その混沌っぷりはご理解いただけるはず。
もしかして、ガチャを回した人も、自分が何に巻き込まれているのか分からなかったんじゃないでしょうか。
ちなみに、今回のお持ち込み品の中でも、「うわー、あれ当てたいなー」と狙う人が特に多かったのが、タニタの「体組成計」。
これは、医療現場での判断を助ける医師同士の質問解決アプリ『Antaa』を立ち上げた会社の方が、「健康に関する出品をしたかったから」という理由でお持ちいただいたもの。
しかも、いらないものシートには「毎日測って健康になってください。私はこの子(体組成計)を使って7kgやせました!」という衝撃のメッセージが! それ間違いなしの大当たりですよ。
ということで、2日間に渡って大回転した「まだ使えるものガチャ」は、これにて終了。
参加者の皆さんには概ね喜んでいただいたようで、「他人の要らないものでも、ガチャから出てくるとなんとなくいいものな気がする」というメソッドの正しさは実証された…んじゃないかな、と。
家に持ち帰った頃には「やっぱり要らないな」になってる可能性も高いですが。
最後にレポートで紹介しきれなかった交換の一部をご紹介します。
石川県の海岸でひろったメノウ石 →楽天のテニスキャップ
わらしべ長者のような交換です。今ごろテニスキャップが馬になっているかもしれません
ナイキのカバン → 光るiPhoneケーブル(どこかの国のお土産)
海外旅行みやげは余りがちです。
水を入れると芽がでるパンダ→新品靴下3セット
インテリアが一転、やたらと実用的なものになりました。
パソコン用アームレスト → 水を入れると芽がでるパンダ
さっきのパンダはアームレストを持ってきた男性の元へ。
マッサージボール→ 美顔マスク
美容用品から美容用品に、美しい交換になりました。
新品ネクタイ→せんとくんの手ぬぐい
手ぬぐいも首に巻くことができるのでネクタイ代わりにすることもできるはず!
ガラスのマグカップ→琉球ガラスのグラス
こちらもコップからコップへ。こんなにうまく行く交換はめったにありません。
靴用 防水スプレー → ポーチ GLOBE TROTTER
大当たりの交換ですね。出た人の表情からも分かります。
低反発のスリッパ→楽天ロゴ入りストラップ2本
「困ったように笑いながら」という歌の歌詞そのままの表情に注目です。
モバイルバッテリーにもなる充電器 → すごろくトランプ
実用品が純粋な娯楽品になりました。
すごろくトランプ → お茶を入れられるタンブラー
さっきのトランプを持ってきた人はタンブラーに。娯楽がふたたび実用品になりました。
カメラストラップ → LANケーブル
「まだ使えるけど要らない」という言葉がこれほどぴったりのものはありません。LANケーブル。
きだてたく
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。
小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。
EARTH MALL with Rakutenは、「楽しくサステナブル な買い物の文化をつくっていきたい」という思いから生まれた、楽天市場によるインターネットショッピング&オンラインメディアです。環境、社会、経済への影響を配慮した商品をキュレーターとEARTH MALL編集部がご紹介していきます。
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