全てのジャンル

EARTH MALL with Rakuten Magazine 未来を変える読み物

2018/7/24更新

MSC認証って美味しいの?カツオの一本釣り漁の「明豊」さんに聞いてみた。

訪問したのは、日本で 3 番目に MSC 認証を取得した宮城県塩釡の「明豊」。 明豊では、日本の伝統漁法である一本釣りにこだわり、その後の加工から流通に至るまでを網羅した事業を展開しています。 MSC 認証とは、漁業に関わる人たちも消費者もみんなで “世界の海から魚の乱獲をなくし、持続可能な漁業を守る” ための制度のこと。 認証された漁業による水産物は、「海のエコラベル」と呼ばれるラベルを付けることができ、消費者もこのエコラベルの付いた商品を買うことで簡単 に海と漁業を守る取り組みに参加することができます。 今回は明豊の代表取締役社長である松永賢治さんに直接、MSC 認証取得までの経緯と日本の漁業に対する想いを伺ってきました!

漁業への挑戦は、“震災”がきっかけだった

ウドウとコタベのアイコン画像 松永さん!本日はどうぞよろしくお願いいたします!

松永賢治さんのアイコン画像 はい、明豊のカツオと私たちのMSC認証に関する取り組みについて何でも聞いてくださいね。

ウドウのアイコン画像 ありがとうございます!では、はじめに明豊という会社について聞かせてください。
元々は、水産加工業一本で漁業は行っていなかったと聞いたのですが本当ですか?

松永賢治さんのアイコン画像 はい。以前は、加工から流通のみを扱っていました。
今は全部で6隻の保有船を使って、原料の魚を調達するための漁業も行っています。

ウドウのアイコン画像 そうだったんですね。だとすると、自ら原料を調達するため漁業に挑戦されるきっかけみたいなものがあったのでしょうか?

松永賢治さんのアイコン画像 そうですね、大きな転機は「震災」でした。
加工業は原料の魚がなければ操業できませんが、当時は東北全体の漁獲量が落ちていることもあり、これからの見通しも立たない状態でした。そこで、最終的に出た答えが「自分達で魚を獲るしかない!」だったんです。正直、“必要に駆られて”のギリギリでの判断でしたよ笑

ウドウのアイコン画像 なるほど...。
当時は、東北はもちろんのこと日本全体が大きな不安に包まれていたような雰囲気でしたよね。その中で、全く知らない業種へ挑戦することは相当な勇気が要る状況ではなかったですか...?

松永賢治さんのアイコン画像 そうですね。社内でも意見は割れていました。
やはり、今まで手をつけてこなかった全くの異業種だったので勝手が分かりませんし、上手く行くかも確信を持てなかった。結局、1ヶ月の間しつこくしつこく説得を続けて、なんとか中古船を購入し操業することができましたよ。
今考えればあの時の決断は間違っていなかったのだと思います。

松永賢治さんのインタビュー中の画像

「幼い頃に感じた活気を取り戻したい」

ウドウのアイコン画像 松永社長の熱意と勇気があったからこそ、明豊の今があるのですね。
そういえば、明豊の本格的な漁業への挑戦は2012年から始まっていますが、漁業船を操業し始めた時からMSC認証については意識していたのでしょうか?

松永賢治さんのアイコン画像 はい、MSC認証については親会社の営業職に従事していた十数年前から知っていました。その時点では「そんなものがあるんだな」と言う程度の感覚だったのですが、いざ自分が漁業を始めるとなると自らの生い立ちもあって一気に意識するようになりましたね。

ウドウのアイコン画像 生い立ち...というと?

松永賢治さんのアイコン画像 実は、私自身漁業で有名な静岡県焼津市の出身で、幼い頃から魚に囲まれて育ちました。
当時は、漁業も右肩あがりに伸びていて、漁港に船が溢れる光景を当たり前のように目にしていたんですね。
その後、大学は東京の大学に行って、卒業後は育った環境もあってか地元に戻り水産加工メーカーに就職しました。

そこで、久しぶりに地元の街を見て思ったのは「船が昔より減ったなあ」という印象でした。街自体もどこか前より活気がなくなったような。
会社に入り働いている内に、海の資源が枯渇している状況や、にも関わらず魚自体の値段は下がっている状況を少しずつ知ることになりました。

そこから、このままでは日本の漁業がダメになってしまう危機感を持つようになったんです。

ウドウのアイコン画像 松永さんのお話を聞いて、震災後に漁業へ挑戦することになったタイミングと元気が無くなった日本の漁業への危機感が、MSC認証の必要性に気付く大きなきっかけの2つだったように見えます。
どうにかより沢山の国内漁業に関わるみなさんにも、MSCの取り組みを知ってもらえたら嬉しいですよね。

コタベのアイコン画像 さて、ここからは明豊の扱うカツオについて聞いていきたいと思いますが…

松永賢治さんのアイコン画像 おっと。そしたらここからの内容はカツオ自身が詳しいはずなので、彼らに直接聞いてみてください!

コタベのアイコン画像 ...カツオに直接...?

MSC認証のカツオの画像

魚にも海の環境にも優しい、日本伝統の“一本釣り漁”

明豊の扱うカツオ画像 おう!俺たちカツオになんか質問かい?

コタベのアイコン画像 !?(美味しそう...)
えっと....、では明豊で扱っているカツオさん達を獲るための漁法などについて教えてもらっても良いですか...?

明豊の扱うカツオ画像 もちろん!俺らカツオは日本伝統の漁法である“一本釣り”で釣り上げられている。実はここに、日本で4つしかないMSC認証漁業のうちのひとつなった大きな理由があるんだよ。
...聞きたいかい?

コタベのアイコン画像 もちろん!!それはどんな理由なんでしょうか!?

明豊の扱うカツオ画像 一本釣りはその名の通り、一匹ずつ釣り上げるから他の種類の魚を獲ってしまう“混獲”をするリスクが低いんだ。その上、小さな魚を釣り上げないよう配慮することもできる。

例えば、巻き網漁だと効率が良い反面、サイズや種類を確認する前に巻き上げる網の中で魚が死んでしまうこともあるんだ。だから、認証には漁法の違いも影響しているのさ。

コタベのアイコン画像 へー!漁法によって魚たちや海への影響も違ってくるんですね。
そしたら、漁を行う一本釣り船についても詳しく聞かせてください。

MSC認証のカツオの画像

明豊の扱うカツオ画像 了解!明豊で操業しているカツオ漁船は一度漁港を出ると、1ヶ月?2ヶ月の間カツオを獲り続ける。基本はカツオの群れの動きを追って航路を決めるのだけれど、時にはニュージーランド近くのタスマン海まで行くこともあるんだ。

コタベのアイコン画像 タスマン海...日本からだと...約8,000km!?
そんな遠くまで漁に行くんですね!?想像以上に過酷そう…

明豊の扱うカツオ画像 ははは笑
そうだな、到着するまでに日本から漁船で約2週間、15日ほどはかかるよ。

コタベのアイコン画像 それだけの移動距離だと塩釜へ帰ってくるにも、相当時間がかかりますよね?
その間カツオさん達はどうやって保管されているんですか...?

明豊の扱うカツオ画像 実は、それが俺たちカツオの美味しさの秘密!
MSC認証に合った一本釣り漁では釣り上げられた後、生きた新鮮なまま冷やされて船内に保管される。だから、漁港に戻るまでも鮮度が落ちることがないんだ。

ちなみに、明豊ではオリジナルの“船上での瞬間冷凍”を行なって美味しさを閉じ込めている。だから数ヶ月船上にいても味に影響はないんだよ。

コタベのアイコン画像 なるほど。(どのくらい新鮮で美味しいんだろう...)

明豊の扱うカツオ画像 そうだ!聞くより、食べて確かめた方が早いかもな!どうだい一口食べてみるかい?

コタベのアイコン画像 えっ!?いいんですか?(カツオさんの前でいいのかな...)
では...いただきますっ!!
...もぐもぐ...くっー!美味いっ!!

なんだか味がいつも食べているカツオより濃いような感じがします。まさに、旨味がぎゅっと閉じ込められているようです!

見た目にも身が真っ赤で、カツオ自体の新鮮さが伝わりますね...!

明豊の扱うカツオ画像 だろ?鮮度にはとびきりの自信がある!
明豊の漁船では生きている内に一気に冷凍されるからな、まるで今釣り上げたばかりのように感じられるはずさ!

MSC認証のカツオの画像

コタベのアイコン画像 はい!魚たちや海の環境にも配慮できて、新鮮で美味しいカツオも提供できる...。MSC認証を受けた一本釣り漁法のメリット、そして明豊のカツオの美味しさの秘密がだいぶ理解できてきたような気がします!

長年の経験で培われた明豊の加工技術

コタベのアイコン画像 そしたら次は、加工について聞かせてください!
漁港に着いてから、カツオさんたちにはどんな行程が待っているんですか?

明豊の扱うカツオ画像 まず俺たちは、冷凍されたまま明豊の倉庫に移される。そこでは1年間で約2,000トンもの魚が出入りしていて、1日に10~15トンがそこからまた加工場へ移されて出荷の準備が行われるのさ。

コタベのアイコン画像 うわ!1日にそんなに沢山の魚が加工されていくんですね…

MSC認証のカツオの画像

明豊の扱うカツオ画像 はは、かなりの量だよな笑
俺たち明豊のカツオは釣り上げられてから加工の間、一度も解凍されることがない。タタキにするための焼き上げも冷凍のまま行われるんだよ。
そして、みなさんの手元に渡る時に初めて解凍されるから俺らは新鮮なんだ!

コタベのアイコン画像 なるほど。明豊ならではの“生産(漁業)と加工流通の一連の流れ”が出来上がっているからこそ、MSC認証に配慮しながら新鮮なカツオをいただくことができるのか...。
カツオさん、色々教えてくれてありがとう!

明豊の扱うカツオ画像 おう!これからも俺たちをいっぱい食べてくれよな!

「後世に生きる次の世代のための選択を」

松永賢治さんのアイコン画像 カツオ達の話はどうでしたか?

コタベのアイコン画像 はい!MSC認証を取得した理由のひとつでもある、一本釣り漁法のメリット。そして明豊さんで釣り上げられ、加工されるカツオの美味しさの秘密が分かったような気がします!
それから、カツオ...とても美味しかったです!

松永賢治さんのアイコン画像 それは良かった!私たちで扱う魚達の新鮮度には大きな自信を持っています。
MSC認証の基準に合わせるための調整は必要になりますが、後世のことを考えた取り組みには漁業者・加工業者のアクションがまず必要だと考えています。

ウドウのアイコン画像 今回、未来の魚を取り巻く環境を意識した、明豊さんの生産(漁業)・加工・流通の取り組みについて知ることができました。
ただ、同時に日本の漁業を変えていくには消費者によるアクションも当然必要になってくるはずです。松永さんから、カツオを直接口にする消費者の方々に向けて伝えたいことはありますか?

松永賢治さんのアイコン画像 もちろん、売り手や買い手の意識が変わらなければ、MSC認証を持つ漁業者は増えず、日本の漁業の未来はありません。
値段だけで魚を選ばずに、ぜひMSC認証ラベルを確認していただきたい。いつまでも美味しい魚を子どもたちに食べさせられるような選択をして欲しいと思います。
今、どの魚を選ぶかで、20年、30年後の未来が変わってきます。魚に関わる全ての人と協力して、日本の漁業を変えていきたいですね。 これが、食卓でカツオや色々な魚を食べてくださっている皆さまへのメッセージです。

ウドウのアイコン画像 今回のお話を通して、私自身も微力ながら漁業の未来のために何かできることを探していきたいと思えました。私たちの選択が変われば、さらに多くのMSC認証商品がお店にも増えていくはずですよね!
松永さん、今回は貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました!

MSC認証商品の認定書

ウドウとコタベのアイコン画像 業界では珍しい漁業・加工の両方を知っている松永さんの言葉には、日本の漁業への強い危機感が感じられました。

これまでの大量消費が当たり前の社会では、いかに安く食卓に届けるかが大事で、海の生態系や有限な水産資源の問題が二の次になってきたのかもしれません。
現に、ここ20年で塩釜の一本釣り漁船の数は半分に。それに対して、効率性を重視した巻き網漁を行う漁船の数は変わっていないそうです。

一方で、MSC認証を取っている商品は、一本釣りのように選ばれている魚なんだということも分かってきました。十分に育ったものだけが選ばれ、特に明豊さんだと輸送方法にも工夫があって鮮度が高い。これは、MSC認証だからこそ生まれる美味しさと言えるんじゃないでしょうか。

まずは、今回の記事を読んでくださったあなたから。
選ばれた美味しさのあるMSC認証の商品を試してみませんか?
未来を変える買い物を、始めましょう!

■■

関連商品


今回の EARTH MALL イノベーター

松永賢治さんのアイコン画像 明豊漁業株式会社
松永賢治さん

2012年創業。2013年に塩釜港で初水揚げを行う。2015年からMSC認証取得の為の審査に入り、翌年2016年10月に日本で3番目のMSC認証漁業となった。
現在は、遠洋漁船4隻・旋網漁船2隻を保有。魚に優しく、環境にも優しい日本伝統の「一本釣り漁法」にこだわり世界の海から原料となるカツオを中心とした魚を調達している。

■■

関連記事

EARTH MALL with Rakuten

EARTH MALL with Rakutenは、「楽しくサステナブル な買い物の文化をつくっていきたい」という思いから生まれた、楽天市場によるインターネットショッピング&オンラインメディアです。環境、社会、経済への影響を配慮した商品をキュレーターとEARTH MALL編集部がご紹介していきます。

カテゴリ一覧

新着記事

注目のキーワード

EARTH MALL with Rakuten Magazineとは

  • EARTHAMALL with Rakuten Magazine
  • 「EARTH MALL with Rakuten Magazine」は、未来を変える身近なお買い物アイデア満載のWebマガジンです。
     
    「楽しくサステナブルな買い物の文化をつくりたい」という思いから生まれた当サイトでは、「新しいライフスタイルや買い物についての考え方」や、生産者や事業者の「挑戦の物語」、編集部が体当たりで「やってみたこと、探した商品」まで幅広くご紹介します。

EARTH MALL with RakutenのSNS

  • twitter
  • instagram
社会的責任[CSR]