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EARTH MALL with Rakuten Magazine 未来を変える読み物

2019/11/19更新

「サステナブル」を意識したら、仕事のし方が変わった!?

食品や日用品といった生活必需品から、気に入った服や雑貨、はたまた家具まで。私たちは日々、さまざまなお買い物をして暮らしています。そんな消費に新たに「サステナブル」という軸が加わったら、今までよりもっと自分が納得できるお買い物ができるようになった……という声が、少しずつ増えています。「milieu」編集長の塩谷舞さんと、アパレルブランド「LOLIPOPKNIFETOKYO」プロデューサーの大久保楓(ぷるこ)さんも、そんな変化を感じているそうです。お二人の価値観の変化は、仕事のし方にも影響しているのでしょうか。座談会は続きます。(前編はこちら


オピニオンメディアmilieu編集長・文筆家 塩谷(しおたに)舞さん
プロデューサー、SNSコンサルタント、ディレクター 大久保楓(ぷるこ)さん
エシカル・ファッションプランナー 鎌田安里紗さん


 

自分の信念に合う仕事を重ねていきたい

鎌田 前編では、どうしてエシカルやサステナブルな消費に興味を持ったのか、いち消費者としての感覚が変わり始めたきっかけや、いま現在のモノの選び方について話してもらいました。ここからは、それがどんなふうに仕事に影響しているかをうかがえればと思うんですが、しおたん(塩谷舞)さんは、仕事上でも変化はありましたか? 

塩谷 そうですね、語弊を恐れずに言えば「お仕事をお断りする軸」がひとつ増えたのは大きいなと思っています。

鎌田 「断る軸」?

塩谷 たとえば、これは先日SNSにも書いたんですが、ペットボトル飲料の広告キャンペーンなどはお断りしています。あと最近はサブスクリクションで毎月商品が届くような月額制サービスも増えていますが、そうしたものだと従来の商品よりもパッケージが増えてしまうので、包材の素材などを都度問い合わせています。

広告代理店の担当者さんにそうした質問をすると大抵びっくりされるのですが、これからは「環境に配慮している」というのが消費者にとっても大切な判断基準になっていくからこそ、絶対にスルー出来ないと思っていて。

鎌田 そうですよね。逆に、そこの理念が合致して、こちらの確認や質問に真摯に応えてくれる方だったら、いっしょにより良い成果を生み出していけそうですよね。

塩谷 そうそう。それに、ときどきビジネスの側面からは「世の中がサステナブルな消費にシフトすると経済が停滞するのでは」と懸念する声も聞くのですが、私はそうは思っていないんですね。

大量生産・大量消費とは確かに対極にあるのかもしれないけど、例えば私自身が使っているお金の総額は、以前たくさんのものを買っていた頃とあまり変わってないんです。むしろ、一つひとつの買い物を吟味するから、前よりも高いものを買ったりもしているし。単価は高くても、工芸品や、生産背景のみえるファッションブランドを好むようになりました。

世界的な工業化で一部の人々に集中していた富が、あらためて各国、各地の作り手たちのもとへ移動していくような流れが今、出来つつあるのかもしれません。少し理想論かもしれませんが……。

あとは食や体験、読書や映画などのコンテンツ産業と呼ばれるものなど、物質的ではなく、精神的に満たされる消費に関心が移りつつある。自分もそうだし、世の中も少しずつシフトしているように感じます。

「嘘をつかない」立場を表明したら信頼が増した

鎌田 ぷるこちゃんは、SNSでエシカルやサステナブルなことについて投稿をすると、同世代の女の子たちから「大学で環境に関するこんな授業があって」みたいなコメントが寄せられて、皆で話している感じで楽しいっていう話をしていましたよね。これ、とってもいいなと思いました。

 消費者としての意識が変わったのと同時に、情報を発信する側として、最近変えていこうとしていることはありますか? ぷるこちゃんも、仕事としてPRの案件を請け負うことがあると思うのですが。

ぷるこ 自分のSNSをたくさんの方が見てくれて、インフルエンサーとしてPRのお仕事をいただくのはありがたいなと思っています。ただ、やっぱり自分個人としてこの半年くらいは消費を見直す機会が多かったので、私もしおたんさんと同じで、お仕事で何かを紹介するときも「本当に自分の理念に合うモノ」だけにしたいと思い始めています。

 そういう自分のスタンスをどう伝えたらいいか悩んでいたら、しおたんさんが相談に乗ってくれて、「#honestPR」というテンプレートをSNSにつくってくれたんです。ここに自分のやりたい仕事とできない仕事をまとめて、まずこれを見てもらうことで、自分の仕事の理念を企業側にもフォロワー側にも提示するようにしています。

ぷるこさんのSNSに書かれた「#honestPR」


鎌田 私も見ましたよ。特に最近は環境問題やサステナブルに興味がある、って書いてありましたね。

ぷるこ はい。そういう案件はまだまだ少ないですが、自分はこうです、って宣言したことで、フォロワーさんからの信頼感は上がったと感じています。

この間「#honestPR」をアップしてから初めてPR案件をひとつ投稿したんですが、「嘘をついていない本音の投稿だとわかるから、参考になる」というコメントが多かったんです。それが目的だったわけじゃないんですけど、皆PR案件もステマ(※ステルスマーケティング、やらせ)も見慣れているからこそ、自分のスタンスを明らかにするほうがフォロワーさんとちゃんと信頼関係を築けるんだな、と思いました。

鎌田 自分のアパレルブランドも、生産過程から見直してリニューアル予定なんですよね?

さっきも少し話が出ましたが(※前編)、自分が選ぶ立場でも生産過程に不当労働がないかとか、環境への影響がどうなっているか、動物から素材をもらう場合は動物の福祉などのたくさんの軸があって、なおかつ現実的に手の届く値段を設定できるか、ということもある。そのバランスを取ることに、モノを提供する側として挑戦しようとしているのは、本当に尊敬しますね。

ぷるこ ビジネスとして、そのバランスをとるのは、めっちゃ難しくて、悩むことがすごく多いです。特に私のブランドは10代から20代の女の子がお客さんだから、100%オーガニックの生地や国内生産にこだわって高くなって皆が買えなくなってしまったら、この考えを広めたいからリニューアルしようとしてるのに意味ないのかなぁ…、と思ったり。

生産の背景、素材、価格……モノは複合的に成り立っている

塩谷 ぷるこちゃんがそういうことに悩んで、安里紗ちゃんにアドバイスをもらったみたいに、もっとサステナブル関連の情報に、横のつながりができるといいですよね。

エシカルやエコの哲学を持ったブランドはたいてい小規模で、SEO対策もあまりしていないから、検索してもなかなか出てこなかったりする。百貨店に行けば見つかる……というようなものでもないからこそ、なかなか巡り会えなくってもどかしいんですよね。

鎌田 本当にそうですよね。

塩谷 だからこそ、そうしたブランドや商品を、厳しい目を持ってキュレーションしたプラットフォームの重要性は増してくると思うんです。

それに、その商品が本当に環境に優しいかどうか、何時間も資料や論文を読んで比較検討してから買う消費者なんて、そうそういない。科学的な知識がないとわかりづらいことも多い領域だからこそ、メディアやプラットフォーム側がしっかり審査基準を持って、消費者に紹介していく流れは必然だろうなぁと。だからこそ、楽天さんのEARTH MALLはめっちゃ良いなぁと思ってて。突然ステマっぽくなりましたが、本当に(笑)。

鎌田 「EARTH MALL」のいいところは、認証マークなどを軸に商品を選べる一方で、キュレーターのレコメンドからも選べることだと思います。ぷるこちゃんが、「#honestPR」を掲げたらフォロワーさんの信頼感が増したと話していたように、「この人のレコメンドなら信頼できる」という軸で買い物ができると、客観的な指標とはまた違う納得感がありますよね。

 「よいモノ」って、生産背景だけでも素材だけでも値段だけでもない、いろんなバランスで成り立っているから、それを判断して教えてくれる人がいるのは重要だと思います。

ぷるこ よくある「診断テスト」みたいなのがあったら、気軽に興味を持ちやすいのかなと思います。。こんなときあなたならどっち? ってチャートをたどっていくと、お勧めのサステナブルな商品を教えてくれる、みたいな。
それで「ふーん」で終わる人もいていいし、気になったら商品を見てもらえたらいいし。サステナブルと大きく言っても何に重きを置いているかは人それぞれだと思うので、じゃあ自分はなにを軸に消費しているのかがわかるといいのかなって。意外とそれを考える機会ってないと思うから。

大事なのは、自分が納得しているかどうか

塩谷 判断材料といえば、就職・転職先を探すのに、さっきの“エシカル度”のような指標が企業ごとにわかったら役立ちそうです。

鎌田 それ、すごくおもしろい! 実際にいま、私が受ける相談で一番多いのが「エシカルな就職先がうまく見つからない」ことなんです。エシカルやサステナブルに熱心な会社はだいたい小規模で新卒を採らないし、一方で大企業だと複雑すぎてサステナブルな事業をしているかどうかが判断できない、と。そこがもう少しわかりやすくなるといいですね。ほかに、メディア側からの視点で何かアイデアはありますか?

塩谷 感情に訴える「バズりやすい」動画でバッと注目を集めるテーマがある一方で、すごく重要なのに画的に地味でかわかりにくいから注目されない、というテーマもあって。情報の伝わり方に濃淡があるなと思います。そこに隠れてしまった問題にどうスポットを当てるかも、課題ですね。

私含めて、科学的な知識が浅い人が感情的に動いてしまうことによって、本来の目的からずれてしまうこともあると思うんです。一方で、正しい知識を得たくても、気軽に専門家に問い合わせできる場が少ないですよね。

ぷるこ 安里紗さんみたいに、“聞けば何でも答えてくれる”サイトがほしい(笑)。

塩谷 そうなの! 法律の分野だと、弁護士ドットコムのように弁護士資格を持った方々が、様々な人の質問に法的に回答してくれるQ&Aメディアがあるじゃないですか。それに、個人事業主や中小企業の面倒を見てくれる顧問弁護士さんの存在もあります。

個人も企業も、環境問題に真摯に向き合っていくべき時代だからこそ、顧問弁護士ならぬ「顧問環境学者」のニーズが増えていくんじゃないかなぁ。少なくとも、私は今そうしたパートナーを探しています。

安里紗さんは、10年くらいこういう領域で活動を続けてきて、だいぶ周りが変わったなという感覚はあるんでしょうか? 当初と比べて情報は多分めちゃめちゃ増えていると思うんだけど、だからといって簡単に判断して選べるようになってるわけでもないですよね。

鎌田 まさに、しおたんさんの言う通り、サステナブルに関する情報も商品も確実に増えています。ですが同じ「サステナブル」というキーワードを用いていても取り組みの質にムラがあるので、玉石混交の中からいいものを見極める難しさが新たに生まれていると感じます。

 とはいえ、いい商品の選択肢は確実に多くなったから、自分の判断軸を持つことが大事になるんだと思います。モノってすごく複合的で、「どうつくられたか」という客観情報だけでなく、「自分が大事にできるか」「納得して買えるか」という主観の部分もすごく大事ですよね。正解はないけど、自分に問いかけながら、身近なところから取り入れる人が増えたらな、と。

ぷるこ 身近なところといえば、私は最近タピオカ用のステンレスのストローを買いました!

 バッグは小さいのが好きだけど、今日はタピオカを飲むぞ、という日はストローが入る大きさのバッグにしてる。でもまだストローの種類が少ないから、いろんな色やデザインのをつくって、女子高生は皆それをペンケースに入れて持ち歩いたら楽しいなと思うんですよね!。

鎌田・塩谷 ペンケース(笑)!

鎌田 ほんとにそのくらいカジュアルな感じで生活に馴染むといいですよね。お買い物ってそもそも日常の中ですごく楽しい瞬間だから。

2人がこれからも、感じたことや考えたことを皆にシェアしてくれて、サステナブルな消費の輪が広がっていったらうれしいです。今日はありがとうございました!

(写真=忠地七緒 文=高島知子)



オピニオンメディアmilieu編集長・文筆家
塩谷(しおたに)舞さん

大阪とニューヨークの二拠点生活中。1988年大阪・千里生まれ。京都市立芸術大学卒業。大学時代にアートマガジンSHAKE ART!を創刊、展覧会のキュレーションやメディア運営を行う。2012年CINRA入社、2015年から独立。

プロデューサー、SNSコンサルタント、ディレクター
大久保楓さん(ぷるこ)

1999年生まれ大阪府出身。女子高生YouTuberぷることして活躍後、10代でアパレルブランド「LOLIPOPKNIFETOKYO(ロリポップナイフトーキョー)」を立ち上げ。ブランドをサステナブルなものにするため準備中。YouTuber時代の知識を活かし、YouTubeビジネスとインスタグラムマーケティングのコンサルティングも手掛ける。

エシカル・ファッションプランナー
鎌田安里紗さん

中学まで徳島で育ち、2008年高校進学と同時に単身上京。渋谷109のスタッフとしてアルバイトをする傍ら、雑誌『Ranzuki』のモデルとしてデビュー。現在は慶應義塾大学の博士課程に在籍し、同大学総合政策学部の非常勤講師も勤める。同時にエシカル・ファッションプランナーとして、国内外問わず、幅広く活動中。


 
 

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