妊娠中でもお風呂に入れる?入浴のポイントや注意点を解説|医師監修
2024/11/21
妊娠中でもお風呂に入ったり湯船につかったりしても大丈夫です。長風呂や転倒には注意が必要です。妊婦さんの入浴のポイントと注意点について医師監修のもと解説します。
妊娠中は、今まで当たり前にしていたことに制限がかかることがあります。お風呂に入る際にも「湯船につかっても大丈夫?」「入れないタイミングはある?」などと心配になる方が多いのではないでしょうか。
妊婦はのぼせや貧血を起こしやすいため、入浴時に気をつけたいポイントがいくつかあります。本記事では、医師監修のもと、妊婦が安全にお風呂に入るためのポイントや注意点などを解説します。妊娠中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
コロンビア大学病院 一般産婦人科医
常盤真琴先生
山形大学医学部卒業、日本医師免許取得。ニューヨーク大学メディカルセンターにて産婦人科研修を修了。米国医師免許取得。現在コロンビア大学病院にて一般産婦人科医として勤務。
目次
妊婦さんはお風呂に入ってもいいの?適切な入り方はある?
妊娠中に湯船につかると、お腹に水圧がかかって、胎児に影響があるのではないかと心配になりますが、妊婦さんも毎日湯船で全身浴して問題ありません。
お風呂で体を温めると、血行の促進やむくみの軽減などの効果があり、妊娠中のマイナートラブルを予防することにも役立ちます。湯船につかると、ストレスを緩和する脳内物質が分泌され、リラックス効果を得られることもメリットです。
しかし、熱いお湯や長風呂は体に負担がかかるためおすすめできません。湯船につかる時間は10分、お湯の温度は38〜41度ほどが目安です。なお、体調が優れない時や、つわりがひどい時は、無理して入る必要はありません。体調が良いときに、入浴を楽しむと良いでしょう。
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妊娠中にお風呂に入るメリット
妊婦さんが湯船につかると、健康面でさまざまなメリットを得られます。妊娠中はむくみや疲労を感じやすくなるため、調子が良い日はシャワーだけで済ませず、短時間でもお湯につかることがおすすめです。
ここからは、妊娠中にお風呂に入るメリットについて解説します。
マイナートラブル対策になる
お風呂で湯船につかり、体の温度が上がると、妊娠中のマイナートラブルを緩和できる可能性があります。マイナートラブルとは、ホルモンの変化や体重増加、子宮による内臓の圧迫などが原因で引き起こされる不快な症状のことです。
たとえば、肩や腰の違和感、体のだるさ、肌荒れなどは、妊婦さんによくあるトラブルです。これらの症状は体が冷えていると悪化する可能性があるため、入浴の温浴効果で体を芯から温めることは、症状の予防や改善に役立ちます。
もし、湯船につかるのが難しい場合は、シャワーを活用して温まると良いでしょう。肩、背中、腰など、疲労感や張りを感じるところにシャワーを当て、温めながらマッサージすると症状を改善できることがあります。
むくみ軽減や疲労回復につながる
入浴すると、血行促進やリラクゼーション効果を得られることもメリットです。お湯に入ると体が温まって血管が拡張する、適度な水圧がかかるなどの変化が生じます。これによって、余分な水分や老廃物が排出されやすくなり、むくみが改善できるのです。
また、身体が温まると全身の筋肉や関節の緊張が和らぎ、疲労感が軽減します。特に、妊娠中は体重増加で下半身の筋肉の負担が増大するので、1日の終わりにゆっくりお風呂に入り、むくみや疲労をリセットできると良いですね。
心も体もリラックスできる
お風呂に入ると体が温まり、リラックス効果を得られます。これは、副交感神経が優位になることが要因です。副交感神経の主な働きは、筋肉の緊張を和らげること、呼吸を深くゆっくりにすること、心拍数・血圧を低下させることなどがあり、心身のストレスの軽減にも役立ちます。
また、湯船につかると浮力が働き、筋肉や関節の緊張が緩和されることもメリットです。妊娠すると体の重心が変わって普段使わない筋肉に負担がかかったり、常に体に力が入ったりする状態が続きやすいため、重力から解放されると非妊娠時以上に心地よさを感じるでしょう。
妊娠中お風呂に入るときの注意点
妊娠中のお風呂はメリットが多い一方で、のぼせや転倒などのリスクが高まります。ここでは、妊婦が入浴時に注意すべきポイントについて具体的に解説します。
熱いお湯と長風呂は避ける
妊娠中に入浴する際は、お湯の温度と入浴時間に注意が必要です。熱いお湯に長時間つかると、血圧が急激に低下することがあります。
特に、妊婦さんは非妊娠時よりも血液量が増えますが、それ以上に血管が拡張するため、血圧の変動に体調を左右されやすい状態です。低血圧になると、のぼせや立ちくらみを引き起こしやすく、転倒のリスクが上がることが考えられます。
急激な体温上昇や血圧の急降下による湯あたりを防ぐためにも、お湯の温度は38〜41度になるように調節してください。
また、長風呂をすると、エネルギー消費量が増え、かえって疲労が蓄積する可能性があります。体の深部体温の上昇が長引くと胎児の発育に影響を与える可能性もあるため、湯船につかる時間は10分以内を目安にすると良いでしょう。
転倒に注意する
妊娠中期以降はお腹が大きくなり、足元が見えにくくなったりバランスを崩しやすくなったりして、転倒のリスクが高まります。浴室に入るときや、浴槽への出入り、脱衣所での着替えなどは足元を十分に確認し、ゆっくり移動してください。
また、妊婦さんは貧血になりやすく、入浴中もめまいやふらつきが生じることがあります。特に、浴槽から出る際は立ちくらみを起こしやすいので、注意が必要です。妊婦健診で貧血を指摘されたときは、一人での入浴を避ける、シャワーで済ませるなどの対策をすると良いでしょう。
妊娠中の体調の変化については、「妊娠初期に気を付けることとは?妊娠初期の状態を解説!【助産師監修】」でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
なお、入浴剤の使用は問題ありませんが、保湿成分が多く配合されているタイプは浴槽が滑りやすくなります。入浴剤が底にたまらないようによくかき混ぜ、使用した日はいつも以上に転倒に注意しましょう。
水分補給を忘れない
お風呂に入る前に、コップ1〜2杯の水を飲むことを習慣付けることがおすすめです。入浴中は体が濡れているため、汗をかいていることに気付きにくいですが、1度の入浴でおおむね800mlの水分が失われるといわれています。
妊娠中は基礎体温が上昇し、ただでさえ汗をかきやすい状態です。脱水症状にならないように、こまめな水分補給を心がけてください。
妊婦さんの水分補給には、水や麦茶がおすすめです。詳しくは「妊娠中の飲み物は何が良い?飲むべき・避けるべき飲み物|医師監修」で解説していますので、併せてご覧ください。
湯冷めと乾燥対策をする
お風呂から出たら、湯冷めと乾燥への対策が必要です。お風呂から上がったら、清潔なタオルで体の水分をしっかり拭き取り、季節に応じたパジャマを着ます。また、髪が濡れたままだと水分が蒸発する際に熱が奪われ、湯冷めの原因になるので、早めに乾かすと良いでしょう。
妊娠中は、ホルモンバランスや基礎代謝の変化により、より肌が乾燥しやすくなっています。特に、入浴後は体から皮脂が落ちているため、季節を問わず、早めに全身の保湿をすることが理想です。
皮膚を保湿することは、妊娠線対策への効果も期待できます。お腹や太もも、胸などは、保湿力の高いクリームを使用すると良いでしょう。
妊娠線のセルフケアについては、以下の記事も併せてご覧ください。
妊娠中のお風呂についての疑問にお答え!
ここからは、妊娠中のお風呂に関する良くある疑問とそれに対する回答を紹介します。「温泉に入っていい?」「破水したらお風呂はどうする?」などの疑問について詳しく解説しているので、妊娠中の方はぜひご覧ください。
入浴剤は使っていいの?
妊娠中でも、入浴剤は使用できます。しかし、妊婦さんは匂いに対して敏感になり、吐き気の原因になることがあるため、つわり中や体調が優れないときは避けた方が良いかもしれません。また、肌が敏感になっている方は、敏感肌向けの商品がおすすめです。
入浴剤の成分によっては浴室内が滑りやすくなります。使用時はいつも以上に転倒に注意してください。
温泉に入ってもいいの?
2014年までの温泉法では、妊婦が温泉に入ることはタブーだとされていました。しかし、温泉が妊婦さんや胎児に悪影響を与えるという医学的な根拠はなく、現在は妊娠中でも温泉に入って良いという考えが一般的です。
基本的に妊婦さんが入れない泉質はありませんが、肌が弱い方は硫黄泉やラジウム泉などの刺激が強い温泉は避けた方が良いでしょう。
妊娠中の温泉の利用について詳しく知りたい方は、「【医師監修】妊婦は温泉に入ったらダメ?感染のリスクは?安全に楽しむポイントを解説!」をご覧ください。
温泉でも自宅と同様に高温や長風呂を避け、適切に水分補給を行うことが大切です。また、体調の悪いときは、長距離移動は避けましょう。
妊娠中の移動については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
妊娠中、お風呂に入っちゃダメなタイミングはあるの?
妊娠中、お風呂に入ってはいけないタイミングはありません。しかし、破水した後は、入浴できません。破水後にお風呂に入ると膣から細菌が侵入して、赤ちゃんが感染症を引き起こす可能性があるからです。
湯船につかることはもちろん、シャワーも使用できません。もし、入浴中に破水した場合はすぐにお風呂からあがり、病院に向かいましょう。
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妊娠中でも、お湯の温度や時間に気をつければ、お風呂に入っても問題ありません。湯船につかると血行が良くなり、マイナートラブルの予防やむくみの軽減に役立つこともあります。ただし、妊婦さんはバランスを崩しやすいため、転倒に注意が必要です。
また、脱水症状や肌の乾燥も起こりやすいので、適切な水分補給と保湿を行うと良いでしょう。妊婦さんも、注意点に留意しながら日々のお風呂タイムを楽しんでください。
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