健康によいイメージがあるわかめ。妊娠中も味噌汁や酢の物等に入れて、日常的に摂取している方も多いのではないでしょうか。しかし、わかめに豊富に含まれるヨウ素はとり過ぎると胎児に影響を与える可能性があるため、食べ過ぎに注意しなければなりません。

そこでこの記事では、妊娠中にわかめを食べる際の注意点を解説します。わかめ以外の妊娠中に気をつけたい食品も紹介するので、ぜひ最後まで読んでください。

妊娠中わかめの食べ過ぎはNG！その理由は？

適量であれば、妊娠中にわかめを食べることは問題ありません。しかし、わかめや昆布をはじめとする海藻類はヨウ素を多く含んでいるため、過剰摂取は避けるべきです。大量のヨウ素を摂取すると、胎児に甲状腺機能障害が起こる可能性があるといわれているからです。
しかし、ヨウ素は細胞の成長に必要な栄養素でもあります。より詳しくヨウ素について見てきましょう。

妊婦さんは、わかめに含まれる「ヨウ素」に注意！

ヨウ素はエネルギーの代謝や細胞の発達、成長に必要不可欠な栄養素であり、妊娠中に必要な成分のひとつです。妊娠中にヨウ素が不足すると流産や死産、胎児の先天異常などにつながる可能性もあります。

しかし、ヨウ素は日本人がよく口にする海産物に多く含まれるため、不足することはあまり考えられません。むしろ、気がつかないうちに摂取しすぎてしまうことがあります。前述のとおり、過剰摂取すると胎児の甲状腺機能を低下させる可能性があるため、とり過ぎには注意が必要です。

例えば、昆布やひじき、わかめ、のりなどは一食あたりのヨウ素の含有量が多い食品です。過度に気にする必要はないですが、毎日何杯も昆布だしを飲む、毎日大量のわかめを食べるというような偏りのある食生活は避け、バランスのよい食事を心がけましょう。

妊娠中のわかめの摂取目安量

「日本食品標準成分表2020年版（八訂）」によると、乾燥わかめの水戻し100gあたりのヨウ素含有量は1,900μg 、1食分（1人前）10gあたり190μg です。

厚生労働省が発表した日本人の食事摂取基準では、妊娠していない18歳以上の女性のヨウ素の1日摂取推奨量は130μgです。妊娠中は通常時のプラス110μgが目安となり、1日あたり240μgが摂取推奨量となります。よって、乾燥わかめの水戻しであれば、1.25食分程度で1日分のヨウ素が摂取できることになります。

なお、非妊娠時はヨウ素の耐容上限量が3,000µg（3mg）ですが、妊娠中の耐用上限量は2,000µg（2mg）と少なく設定されています。妊娠期間中に1〜2日耐容上限量を超えたからといってすぐに胎児に影響を及ぼすわけではありませんが、日常的に耐容上限量を超えないようにしましょう。

わかめを食べるときの注意点

ヨウ素が多く含まれるわかめは、食べる量や食べ方に注意しなくてはなりません。例えば、昆布だしを使った味噌汁にわかめを入れる、わかめの酢の物とひじきの煮物を一緒に食べる、などの組み合わせだと耐容上限を超えやすくなります。

妊娠中にヨウ素の過剰摂取にならないための具体的なポイントを解説します。

ほかのヨウ素を含む食品と一緒に食べ過ぎない

わかめを献立に取り入れる場合は、ヨウ素を多く含む食品を一緒に食べないようにしましょう。

わかめ以外にヨウ素が多い食材は、昆布、ひじき、もずくなどの海藻類、ヨード卵や貝、えび、カニなどがあります。これらの食品と一緒にわかめを食べると、ヨウ素の1日の推奨摂取量や耐容上限量を超える可能性があるため注意が必要です。

特に昆布はヨウ素の含有量が多く、素干しの昆布やきざみ昆布は1gで1日の耐容上限を超えてしまいます。汁物にわかめを入れる場合は昆布だしを避け、かつおだしを使うなどの工夫をしましょう。

妊娠中に注意したい海藻類については「医師監修｜妊婦は昆布を食べてもいい？食べる際の注意点も解説！」「妊娠中にひじきを食べてもよい？摂取目安量を解説｜医師監修」でも詳しく解説しています。妊娠中の食事の注意点について知りたい方は、あわせてチェックしてください。

乾燥わかめではなく、生わかめを使う

妊娠中は、乾燥わかめよりも生わかめがおすすめです。乾燥わかめの方が全般的に栄養価が高いため、同じ摂取量でもヨウ素の含有量が多くなります。

また、わかめや昆布などの海藻類に含まれるヨウ素は水に溶け出しやすいため、水洗いや茹でこぼしなどの調理が必要な生わかめを使用することで、ヨウ素を多少除去できるのもメリットです。

特に酢の物や炒め物などわかめの使用量が多い料理を作る場合は、生わかめの方がよいでしょう。

適量ならOK！妊娠中にわかめを食べるメリット

わかめには妊娠中のママや赤ちゃんに必要な栄養素が豊富に含まれています。
さらに、わかめは低カロリーのため、体重管理をしたい妊婦さんにとって食べやすい食材です。適量を守りつつ、わかめを使用した料理も献立に取り入れましょう。

具体的に、妊娠中にわかめを食べることで期待できるメリットを解説します。

食物繊維による妊娠中の便秘解消

素干しのわかめには、食物繊維が100gあたり38.8g*も含まれています。食物繊維が多いイメージがあるごぼうでも100gあたり5.7g*のため、わかめの食物繊維含有量がいかに多いか分かるでしょう。

食物繊維は胃や腸で水分を吸収して膨張し、腸を刺激することで便通をよくする効果が期待できます。妊娠中はホルモンの変化、つわりにより食事量や水分量の減少、子宮による腸の圧迫などが原因で便秘に悩む女性は多いでしょう。食物繊維が多いわかめを食べることで、便秘解消の効果が期待できます。

また、食物繊維は腹持ちがよいのもメリットです。お腹がすきにくく、食べ過ぎや間食を予防できるでしょう。

※出典：文部科学省「日本食品標準成分表2020年版（八訂）」

ミネラルによるむくみ防止と胎児の脳の成長促進

わかめには、鉄分やカリウムなどのミネラルが豊富に含まれます。

ミネラルは、身体のさまざまな機能を維持するのに必要不可欠な栄養素です。ミネラルが豊富なわかめを食べることで、胎児の脳の正常な発達を促すことができるでしょう。

また、カリウムは妊娠中の女性が発症しやすい、むくみの解消が期待できます。カリウムには、ナトリウムや水分の排出を促進する効果があるからです。

わかめは妊娠中のママや胎児によい影響を与える栄養素が豊富に含まれているため、摂取量には気を付けつつ、普段の献立に組み込んでいきましょう。

妊娠中わかめ以外にも気を付けなくてはならない食べ物

妊娠中には、わかめや、わかめと同じくヨウ素が含まれる海藻類以外にも気をつけなくてはならない食べ物がいくつかあります。
例えば、食中毒のリスクがある生ものは避けるのがベター。アニサキスが寄生している可能性があるサバやサケ、リステリア菌のリスクがある生ハムやスモークサーモンは特に注意が必要です。妊娠中は免疫力が低下しやすく、食中毒の原因菌に感染しやすくなるといわれています。
食中毒の恐れがある食品については、以下の記事でも詳しく解説しています。気になる食品があればチェックしておきましょう。
「【医師監修】妊婦さんはお刺身を控えるべき？食中毒の予防法を解説！」
「【医師監修】妊娠中にいくらは食べてはいけない？リスクや対処法も」
「医師監修｜妊婦は生ハムを食べちゃダメ？食べたい場合の対処法は？」
「妊婦さんは生卵を食べちゃダメ？生卵に潜むリスクや食べる際の注意点とは【産婦人科医監修】」

また、アルコールは少量であっても胎児にさまざまな影響を残す恐れがあるため、控えましょう。妊婦が飲酒すると、低体重や形態異常、脳障害などの胎児性アルコール・スペクトラム障害を引き起こす可能性があります。

そのほかにも、胎児の発育不全のリスクが増加するカフェインを含む食品や飲料、脳の発達に影響を与える水銀を多く含む魚なども妊娠中に控えたい食品です。

ほか、妊娠中に注意すべき食べ物については、「妊婦が食べてはいけないもの一覧！摂取量＆注意点も│管理栄養士監修」でも詳しく解説しています。妊娠中のママやパートナーが妊娠中のパパはぜひチェックしてください。

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わかめは、胎児の甲状腺機能を低下させる可能性があるヨウ素が豊富に含まれているため、妊娠中の過剰摂取に注意しなければなりません。ただし、わかめには妊娠中に必要なミネラルや食物繊維も含まれています。過剰に食べたり、避けたりせずに、妊娠中はバランスよくさまざまな食品を取り入れることが大切です。

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