2022/4/8更新
この記事では、出産後の女性に訪れる「ガルガル期」について解説します。助産師監修のもと、ガルガル期とは何か、ガルガル期の乗り越え方や、周囲の家族がどのような対応をすべきかについてご紹介します。
目次
産後の一定期間、赤ちゃんが生まれて幸せと感じる反面、赤ちゃんに触れられると嫌な気持ちになったり、夫や家族にイライラする気持ちが抑えられなかったりといった複雑な心境を体験する人がいます。これを「ガルガル期」と呼び、産後特有の時期だとされています。今回は、ガルガル期のママの心境や、どのように接したらよいかについて紹介します。
ガルガル期とは、動物が子どもを守るときに唸ることに例えて、出産後の女性の心理や様子を表した言葉です。専門的な用語ではありませんが、最近知られるようになった言葉です。
産後は、ホルモンの劇的な変化が起こるうえ、頻回な授乳、赤ちゃん中心に動かなければならないなど、これまでの自分の生活とは違ったサイクルになります。さらに、家族が増えることによるプレッシャーによって、心のバランスを保つことが難しくなることもガルガル期の原因だと考えられています。
ガルガル期には、ママは具体的にどのような気持ちになるのでしょうか。いくつかの例を見てみましょう。
・パパのあやし方や抱っこの仕方など些細なことでもイライラしてしまう
ガルガル期では、「パパが家事や赤ちゃんのお世話をするときの手際や方法が気に入らない」「赤ちゃんが心地よさそうにしているとなんだか嫌な気持ちになってしまう」といった気持ちになることがあります。
・他人に赤ちゃんを触られるとイライラしてしまう
衛生面に関して敏感になってしまい、赤ちゃんに触る他人の手が不潔ではないかと気になってしまうことがあります。手を洗ってほしいと思っていても、言い出せないことによってさらにストレスを感じることも。
・特定の人に対してイライラしてしまう
家族や親戚など、 特定の人に赤ちゃんを触られることや、その人の言動が嫌だと思ってしまうこともあります。一度気になると、そのことが目についてその人と同じ空間にいることさえも嫌になってしまい、イライラが募るということもあります。それが身近な人であると、会うことが避けられずストレスとなります。
・理由もなくイライラする
産後は、特にこれといった理由がなくても心が険しくなります。身近な人にあたって後悔することも。自分の気持ちのコントロールが難しく、些細なことや理由がなくてもイライラしてしまいます。後になって、「なぜあんなにイライラしていたのか」と後悔し、自己嫌悪に陥ることもあります。
現在のところ、ガルガル期には「出産後は○ヶ月続く」という定義はありません。個人差が大きいため一概には言えませんが、出産から3ヶ月ほどの間に落ち着くことが多いようです。ママや赤ちゃんの健康状態、パパや周囲のサポートなどによっても違うかもしれません。
ガルガル期を乗り越えるために大切なことは、自分の気持ちをパパや周囲の人に伝えることです。ママの本音としては、自分が大変なことを周りの人に察してほしいところですが、何も言わずに心の中をわかってもらうのは難しいものです。
自分に近い人ほど、言わなくてもわかって欲しいと思う気持ちがありますが、まずは自分の気持ちを話してみましょう。例えば、「〇〇のときにイライラしてしまう」「△△が嫌だと感じる」など、具体的に伝えられるといいですね。そのときに、実はママ自身も戸惑っているということを話しましょう。
直接伝えることが難しい場合は、メールやLINEなどのツールを使って気持ちを伝えてもよいでしょう。自分の気持ちが落ち着いているときに書いておき、よく読み返して送信しましょう。イライラしている相手にメッセージを送ること自体がストレスとなりますが、それと同時にわかって欲しいという気持ちも持っていることでしょう。そのことを正直に伝えてみましょう。その際、感謝の言葉も忘れずに表せると理想的ですね。
ガルガル期であるママに一番近いパパは、どのように接したらよいのでしょうか。パパも一生懸命にやっていることとはいえ、ママのガルガル期を一緒に乗り越える必要があります。そのためのママへの接し方を紹介しますので、参考にしてください。
赤ちゃんのお世話よりも、家事をする割合を多くしてみましょう。風呂やトイレなどの水回りの掃除などは、仕事があってもスキマ時間にやっておくことができます。料理ができない場合は、惣菜やお弁当などの利用も提案してみましょう。
また、上の子どもがいる場合には、可能な限りお世話を担当することもよいでしょう。しかし、場合によっては、赤ちゃんのお世話をしてほしいママもいます。どうしたらよいか迷う場合は、ママに聞いてみてもいいですね。
ママの不安や不満などの、不安定な気持ちを受け止めることも大切です。どう反応したらよいかわからない場合は、批判や意見、アドバイスなどはせずにただ「そうだったんだ」「そんな気持ちになっているんだね」とただ認めて話を聞くだけでOKです。そうすると、ママは「自分の話を聞いてくれた」と感じることができ、少しは気持ちが落ち着くでしょう。
ママがパパにストレスを感じているかもしれないと思ったら、少し距離をおいてみましょう。ママや赤ちゃんを見守るだけでも大丈夫です。温かい眼差しでママの様子を見守ったり、赤ちゃんのお世話をしたりしてみてください。
パパの気持ちも落ち込むことがあるかもしれません。そんなときには、パパもママに気持ちを伝えてみてください。お互いに思っていることを伝え合うと、共感し合えることも出てくるでしょう。大切なのは、夫婦で乗り越えようとする気持ちです。
ママがストレスを感じていることが何かがわかる場合、それを避けることができるといいですね。例えば、来客や義父母の訪問などです。「赤ちゃんに会いに来るだけだから、何もしなくてもいい」と言われても、ママにとってはそうはいかないものです。お化粧をしたり部屋を片付けたりと、気を遣う事柄が増えるとストレスにもなります。できる限りストレスになる可能性があることは、避けてあげられると理想的です。どうしても避けられない場合は、パパが接待に徹して、ママの負担を軽くできるように配慮しましょう。
パパは、パパ自身のことは自分ですることも大切なことです。これまではママにしてもらっていたことでも、自分でやりましょう。例えば、シャツのアイロンや朝食の準備、ゴミ出し、洗濯物を畳んでしまっておくことなどです。食器を流し台に持って行くだけでも、ママはその動作を行わなくてもよくなります。ママは、自分ができる最大限のことを行っているでしょう。パパも自分ができる最大限のことができるようにチャレンジしてみてくださいね。
ガルガル期のママは、イライラして攻撃的になることもあり、パパや周囲の家族はびっくりするかもしれません。しかし、ママ自身も戸惑っていることが多いものです。ガルガル期間は一時的なものであり、パパや周囲のサポートでママの気持ちが楽になることもあります。一緒に乗り越える気持ちで接してみてくださいね。
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<この記事の監修者>
助産師・看護師・保育士
河井恵美先生
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために大学院に進学。現在はシンガポールの産婦人科クリニックに勤務し、オンラインサービスのエミリオット助産院でも様々な相談を受け付けている。保育士の資格も活かし、妊娠・出産・育児に関する記事執筆・監修などを行っている。
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