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授乳中のカフェイン摂取はNG?赤ちゃんに与える影響や摂取量の目安を解説

妊娠

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2022/7/14

授乳中にカフェインを摂取した際の赤ちゃんへの影響と、1日あたりの摂取量の目安を解説しています。カフェインはママや赤ちゃんの体にさまざまな影響を及ぼすため、授乳中は摂取量に気をつける必要があります。この記事では、飲み物ごとのカフェイン含有量や、授乳中におすすめの飲み物を紹介しています。

この記事の監修者

日本小児科学会専門医・同指導医、米国小児科専門医、米国小児救急専門医

井上信明先生

日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。

授乳中にカフェインを摂取してはいけないのか、気になっているママも多いのではないでしょうか? 授乳中は赤ちゃんへの影響を考え、カフェインの摂取は控えたほうがいいとされています。

この記事では、授乳中にカフェインを控えるべき理由と、赤ちゃんに与える影響についてわかりやすく解説します。

授乳中はカフェイン摂取を控えるべき?どんな影響がある?

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェイン。母乳育児中はカフェインの摂取量に気をつける必要があるといわれています。これは、母乳を通じて赤ちゃんが微量のカフェインを摂取してしまうためです。

赤ちゃんがカフェインを摂取しすぎると、体調等に悪影響がでる可能性があります。

とはいえ、カフェインは有毒とまではいえず、授乳中は一切摂取してはいけないわけではありません。ただ、WHOや欧州食品安全機関などは1日のカフェイン摂取量を制限するよう提唱しています。

ここでは、カフェインの作用とカフェインが赤ちゃんに及ぼす影響についてご紹介します。

そもそもカフェインの作用とは?

カフェインというと、「眠気覚まし」のイメージがあるかと思います。そのイメージのとおり、カフェインには中枢神経を興奮させ、眠気をとったり集中力を高めたりする作用があるとされています。

適切に摂取することで、がんのリスクを低減する効果などがあるという研究結果もあり、大人にとってはメリットも多い成分だと考えられています。

ただし、過剰に摂取すると、不眠や心拍数の増加、下痢や吐き気などの悪影響が出ることもあるため注意が必要です。大人より体の小さい赤ちゃんの場合は、少量でも悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取量に気をつける必要があるのです。

授乳中のカフェイン摂取が赤ちゃんに与える影響

授乳中にカフェインを摂取することが推奨されない理由は、母乳を通して赤ちゃんにカフェインが渡ってしまうためです。

母乳は血液から作られるため、ママの食べたものは血液に溶けだし、母乳をとおして赤ちゃんの体に入ります。ママが大量のカフェインを摂取していれば、赤ちゃんにもカフェインが渡ってしまうのです。 なお、過去に行われた研究では、ママがカフェインを摂取すると、その摂取量の1.5%ほどまでが母乳に含まれていました。

赤ちゃんは肝臓の代謝機能が未熟で分解に時間がかかるため、少量のカフェインでも影響をきたす可能性があります。なお、カフェインを摂取しすぎた場合は、赤ちゃんの寝つきが悪くなる、落ち着きがなくなるなどの影響が出ることがわかっています。

出典: C M Berlin Jr, H M Denson, C H Daniel, R M Ward
“Disposition of dietary caffeine in milk, saliva, and plasma of lactating women”
National Library of Medicine. PMID: 6691042

授乳中に摂取していいカフェイン量の目安

我慢の連続だった妊娠期を終えて、大好きなコーヒーでほっと一息つきたいママも多いですよね。「コーヒーなどのカフェインを含んだ飲み物は、一滴も摂取NG」というわけではありません。

カフェインは赤ちゃんに微量の影響が出る可能性はありますが、タイミングに気をつけて適量を摂取するのであれば、健康への影響はないとする研究結果も出ているのです。

カフェインを含んだ飲み物を安心して飲むためにも、授乳中のカフェイン摂取量の目安を把握しておきましょう。

本章では、カフェイン摂取量の目安や、飲み物ごとのカフェイン含有量、母乳育児中のママがカフェインを摂取していいタイミングについてご紹介します。

諸外国のカフェイン摂取量の目安

今のところ、日本では授乳中に摂取していいカフェインの量は定められていませんが、諸外国では目安となる摂取量が提唱されています。

例えば、カナダでは、妊婦や授乳中の女性のカフェイン摂取量は、最大1日で300mg(コーヒーで2杯程度)までとすることを推奨しています。

オーストリア保健・食品安全局(AGES)では、妊娠中および授乳中はカフェインの摂取を控えるよう推奨しており、同じく1日300mgを超えないよう注意を呼びかけています。

欧州食品安全機関(EFSA)では、習慣的なカフェイン摂取に対して、1日当たり200mgまでであれば乳児への健康リスクは増加しないと評価しています。

これら諸外国の評価をみると、摂取してもよいカフェインの量は1日あたり200~300mg、コーヒーだと1日1~2杯程度といえそうです。

参照:「カフェインの過剰摂取について」農林水産省

【飲料別】カフェイン含有量

以下に、カフェインを含む飲み物ごとのカフェイン含有量と、1日の摂取量の目安を一覧でご紹介します。 なお、コーラやエナジードリンク以外の飲み物(コーヒー、インスタントコーヒー、紅茶など)は、抽出方法によって多少カフェイン含有量が変わりますので、ご注意ください。

カフェインを含む飲み物 100mlあたりのカフェイン含有量 1日の摂取量の目安(カフェイン300gまで) 抽出方法
コーヒー 60mg 500ml コーヒー粉末10 g/熱湯150 ml
インスタントコーヒー 57 mg 526mlg インスタントコーヒー 2 g/熱湯 140 ml
紅茶 30mg 1L 茶5 g/熱湯360 ml、1.5~4分
緑茶(せん茶)・ほうじ茶・ウーロン茶 20mg 1.5L せん茶 10 g/90°C430 ml、1 分
ほうじ茶15gを90度の湯650mlで30秒
ウーロン茶15gを90度の湯650mlで0.5分
玉露 160mg 187ml 茶葉10gを60度の湯60mlで2.5分
コーラ 13mg 1日1本程度まで
エネルギー飲料 40mg 1日1本程度まで

授乳中のママの場合、カフェインの摂取量は、コーヒーなら1~2杯程度にとどめておきましょう。お茶類との飲み合わせにも注意が必要です。例えば、コーヒー2杯にペットボトルの緑茶を1本飲んでしまうと、1日のカフェイン摂取量は300mgを超えてしまいます。

なお、コーラやエネルギー飲料は、カフェイン量だけみると1日あたりに飲める量は多くなりますが、糖分の取りすぎにもなるため、授乳中は飲みすぎないよう注意しましょう。

参照:「食品中のカフェイン」食品安全委員

カフェイン飲料を飲む場合のベストなタイミングは?

母乳育児中のママがカフェインを摂取するのにおすすめのタイミングは、「授乳直後」です。

大人の場合、カフェインを摂取してから30分~2時間後に血中濃度が最大になり、徐々に低下していきます。カフェインは肝臓で代謝され、2~8時間で半減、さらに数時間かけて代謝されていきます(カフェインの代謝時間は個人差が大きいことがわかっています)。

新生児期を過ぎると、一般的な授乳間隔は早くても3時間ほど。その間に、血中濃度は徐々に下がっていきますから、次の授乳までにある程度カフェインを排出でき、赤ちゃんへの影響を軽減できます。

反対に、カフェイン摂取後30分~2時間は授乳を避けたほうがいいでしょう。なお新生児や未熟児で生まれた赤ちゃんは、カフェインに敏感に反応することもありますので、新生児期だけはカフェインを含む飲み物を控えた方が良いかもしれません。あるいは、コーヒーを飲んだ後に授乳をし、その後赤ちゃんがいつもより泣くようになる、目が覚めてテンションが高いように感じる時は、しばらくカフェインを含む飲み物はさけた方が良いでしょう。

コーヒーや紅茶の代わりにおすすめ!授乳中にぴったりな飲み物

赤ちゃんが不眠になったり興奮してぐずってしまったりしてはママも大変ですから、授乳中はなるべくカフェインを含まない・含有量が少ない飲み物を選ぶようにしましょう。

カフェインの少ない飲み物としては、以下がおすすめです。

授乳中におすすめの飲み物
・麦茶
・たんぽぽコーヒー
・デカフェ
・カフェインレスコーヒー
・ハーブティー
・ハイビスカスティー
・ローズヒップティー
・豆乳(1日200mlほど)
・牛乳(1日1.5杯ほど)

授乳中の水分補給として飲むなら、白湯や麦茶がおすすめです。どうしてもコーヒーを飲みたい方は、コーヒーと似た香りを持つたんぽぽコーヒーや、カフェインゼロのデカフェ、カフェイン量を抑えたカフェインレスコーヒーなどを飲むようにしましょう。

お茶の時間を楽しみたい方は、ハーブティーやハイビスカスティー、ローズヒップティーなどノンカフェインで香りを楽しめるお茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。

豆乳や牛乳も、少量であれば、よい栄養素を摂ることができるのでおすすめです。

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ここまでは、小児科医の井上先生に監修いただきました。授乳期のカフェイン飲料は、有毒とまではいえないものの、赤ちゃんへの影響を考えると摂取を控えたほうがいいでしょう。もしもコーヒーなどを飲む場合は授乳が終わったタイミングで、1日1~2杯を目安に摂取しましょう。

妊娠期に引き続き、なかなか好きなものを食べたり飲んだりできない授乳期ですが、赤ちゃんの健やかな成長のため、あと少し、乗り切っていきましょうね。

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