赤ちゃんの状態を示すバロメーターでもある胎動。しかし、胎動があまりに激し過ぎると赤ちゃんの様子が心配になってしまうかもしれません。今回は、胎動が激しいときの赤ちゃんの状態を詳しく解説するとともに、注意が必要な胎動や、胎動の痛みが強い場合の緩和方法をお伝えします。

胎動とは？臨月になると激しいの？

胎動は、赤ちゃんの元気のバロメーターであり、胎動があることは、赤ちゃんが元気な証拠です。ここでは胎動とはどういうものか、また臨月を迎えるときの胎動や、注意すべき胎動についてご紹介します。

胎動とは

胎動とは、ママのお腹の中で赤ちゃんが動くことをいいます。赤ちゃんは妊娠8週の頃（妊娠3か月）になると、手足を動かすようになり、超音波検査（エコー検査）でもその姿を確認することができます。しかし、ママが胎動を感じるようになるのは、もう少し先になります。

赤ちゃんが大きくなると、動きもダイナミックになるため、ママは少しずつその動きが分かるようになります。経産婦さんで早い方では妊娠16～20週頃に胎動を感じ始めることが多く、経産婦さんの方が初産婦さんより早く胎動を感じる傾向にあります。

そして、最初はわずかに感じていた胎動も、妊娠週数を経るにつれダイナミックな動きに変化していきます。

胎動が始まる時期や、時期ごとの感じ方などについては「胎動はいつからどんな感じで始まるの？胎動の感じ方をママたちに調査！」の記事でも詳しく解説していますので、こちらもご覧くださいね。

臨月を迎えた赤ちゃんの胎動

出産間近である臨月（妊娠10か月、妊娠36週）を迎えると、赤ちゃんは出産に向けて、ママの骨盤に入り込んできます。臨月を迎えたママお腹の中は、体長が50㎝近くなった赤ちゃんにとっては動ける空間が狭くなります。また、ママの骨盤で頭が固定されることで、今までのように激しくは動けなくなります。その結果、赤ちゃんの動きが鈍くなるとされています。
ただし、胎動がなくなったり、少なくなったりするわけではありません。出産間近まで胎動をしっかり感じることができます。もしも、胎動が少なくなったと感じた場合は、病院を受診しましょう。

胎動で注意すべきポイント

赤ちゃんはずっと動いているわけではありません。20分～30分ぐらいのサイクルで起きたり寝たりを繰り返しています。しかし、長時間にわたって胎動を感じない場合は、赤ちゃんにトラブルが起きている可能性があります。速やかに病院を受診しましょう。

なお、胎動が少ない場合に受診するべき目安については「胎動が少ないと危険？ママ・赤ちゃんの原因と受診する目安や検査内容を解説【産婦人科医監修】」の記事で詳しくご説明しています。

赤ちゃんが元気かどうかをチェックする方法のひとつに、「胎動カウント法」があります。胎動カウント法にはいくつかありますが、その一つが「10回カウント法」です。
これは、お母さんが静かに座るか横になった状態で、胎動が10回動くのに何分かかるかを確認するものです。90％のお母さんが35分以内で10回の胎動を感じることができると言う研究があります。

なお、赤ちゃんのしゃっくりは胎動カウントの回数には含みません。ちなみに、しゃっくりは赤ちゃんの横隔膜が発達する過程で起こる現象です。赤ちゃんは羊水の中で呼吸をしていませんが、子宮の外に出た時に呼吸を始められる準備をしているのです。大人がしゃっくりすると不快感がありますが、赤ちゃんはしゃっくりを不快とは感じていません。しゃっくりをしていること自体が正常な発達をしている証拠なので、しゃっくりは胎動カウントでカウントされなくても、赤ちゃんが元気にしている証拠です。

もし、30分以上かかるようであれば、赤ちゃんが途中で寝てしまった可能性があるため、もう一度カウントをし直しましょう。しかし、胎動を10回感じるのに、2時間以上かかるようであれば、赤ちゃんの元気がないと判断する施設も多いですが、意見が分かれるところです。もし心配な場合はかかりつけの病院に相談しましょう。

胎動カウント法は、病院に行かなくても、赤ちゃんの元気をチェックすることができる方法です。自宅でも簡単に行えるため、胎動をしっかり感じることができる妊娠28週以降ぐらいから、多くの病院で推奨されています。

出典：
産婦人科診療ガイドライン 産科編2020／日本産婦人科学会／日本産婦人科医会

胎動が激しい時、赤ちゃんは何をしているの？

あまりに胎動が激しくなるとびっくりする妊婦さんもいるでしょう。妊娠週数が経過し、赤ちゃんの筋肉や骨、心臓が発達すると、胎動もダイナミックなものになっていきます。赤ちゃんはお腹の中でさまざまな動きをすることで、より骨や筋肉を発達させ、お腹の外で生活する日のために準備をしています。

胎動が激しく、痛みを感じるような時は、赤ちゃんが手足を曲げ伸ばしして、お腹の中から押していることが多いです。また、痛みを感じなくても、赤ちゃんが動いている感覚があるときは、体を上下に回転させたり、左右に旋回させたりしている場合が多いです。その他、胎動を振動として感じる場合は、赤ちゃんがしゃくりをしている可能性があります。これらは全て、赤ちゃんが元気に成長している証拠ですので、心配はいりません。

胎動が激しくても大丈夫？

赤ちゃんが成長するにつれ、胎動も激しくなっていくことは当然の現象です。そのため、胎動が激しいことは、何も問題なく、むしろ赤ちゃんが元気に成長している証拠ですので、安心してください。もし、心配であれば、かかりつけの病院に相談してみましょう。妊婦健診で赤ちゃんが元気な様子を確認することができたら、安心してマタニティライフを過ごすことができるでしょう。

胎動が痛いと感じる場合

胎動が激しい場合、時々痛みを感じる場合もあります。そのような場合は、キックやパンチのような激しい動きと一緒に、赤ちゃんの手足や体の一部が、ママの膀胱や胃などの臓器や、肋骨に当たっている可能性があります。妊娠週数が進むと、赤ちゃんが大きくなり、お腹の空間が狭くなるため、胎動による痛みを感じる頻度も高くなる傾向にあります。

胎動が激しい場合の対処法

胎動が激しくても心配はいらない、と分かっていても、その痛みがつらい場合もありますよね。残念ながら、胎動の痛みを緩和する医学的な処置はありませんが、和らげる方法はあります。ここでは、胎動が激しくて困ったときの対処法を紹介します。

・痛いところをさする、温める
胎動で痛みを生じた場合は、その部分をさすりましょう。また、痛みが強い場合は温めたり、お風呂に入ったりするのもよいでしょう。痛い部分をさする、温めることで、ママのお腹の緊張を解き、痛みを緩和することができます。

・赤ちゃんに話かけてあげる
痛い部分をなでながら、赤ちゃんに話しかけてあげるのもよいでしょう。ママだけでなく赤ちゃんもリラックスすることで胎動の場所をずらすことが期待できます。その際に、音楽を聴いたり、パパがお腹を撫でてあげたりすることで、ママのリラックスにつながり、お腹の緊張が解けやすくなります。

・体勢を変える
体勢を変えることで、痛みを緩和できる可能性があります。例えば、寝ている場合は、寝返りを打つ、クッションや枕を使って足や頭を上げるなどして、楽な体勢を探しましょう。また、起きている時に胎動による強い痛みを感じる場合は、体を揺らす、体を動かすのがおすすめです。赤ちゃんの位置をずらすことで、痛みを緩和できる可能性があります。

胎動は赤ちゃんが元気な証拠ではありますが、あまりに激しく痛みがあるのはツライですよね。胎動を感じる時間は、人生のうちでほんのわずかです。出産までのこの時間を愛おしく過ごすためにも、胎動のツライ痛みには、ぜひ今回ご紹介した緩和方法を実践してみてくださいね。

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＜この記事の監修者＞