EARTH MALL with Rakuten Magazine 未来を変える読み物

2022/6/28更新

「これからの未来」への話。vol.1(後編)

小川珈琲株式会社

持続可能な社会を作り出すためには、いま、自分たちに何ができるかを考え、課題に対して誠実に向き合い続けることが大切なことだと思います。そのヒントを探すべく、「サステナブル」な取り組みに感銘を受けた生産者や企業の方に、「EARTH MALL with Rakuten」編集長・平井江理子がお話をお伺いします。第1回のパートナーは「SDGs」という言葉が世の中に浸透する前から、エシカルな珈琲づくりに邁進し、珈琲文化を紡いできた「小川珈琲」の取締役経営企画室長・小川雄次さんです。

築100年以上の町家を改築し、伝統と革新性が感じられる

“100年先も続く店”を目指す。

小川:新しくオープンした「小川珈琲 堺町錦店」は、「京の台所」として愛される錦市場からほど近い場所にあります。築100年以上の町家を幾度か改築を繰り返して作った建物で、伝統的なものを大切にしながら革新性が感じられる店づくりを目指しました。この店では、メニュー開発においても新たな挑戦をしています。例えば、京都産の小麦を使った食パンを作ってみるとか。京都を代表する本格ブーランジェリー「ル・プチメック」創業者の西山逸成さんに監修いただきました。“京都産の小麦はパンには不向き”という通説があったのですが、試行錯誤の末に小麦本来の味を立たせた、毎日でも食べられるような軽やかな味わいを生み出すことに成功したんです。砂糖やバターを使わずに引き算で作られたパンですね。
平井:本当に毎日でも食べたくなるような味わいでとても美味しいです。京都の食材を使って地域全体を盛り上げていきたい、という想いもサステナブルな取り組みのひとつですね。何をやるにも徹底されていらっしゃるところが凄いです。地元の生産者の方との交流を通して、小川珈琲さんにも新たな広がりが生まれていらっしゃいそうですよね。

「炭焼きトースト 糀バターと季節のコンフィチュール」¥900。牧草だけをエサとして飼育された牛のミルクで作ったグラスフェッドバターと京都「佐々木酒造」の米糀を合わせた「糀バター」。バターは練り上げて滑らかな状態にすることでより味わい深いものに。

「自家製ミルクセーキ」¥750。京丹波で育てられた「みずほ産桜たまご」の卵黄をドリンクに使って。残った卵白は無駄にせず、メレンゲ菓子にしてトッピング。昔ながらの喫茶店にあるメニューをモダンに仕立てた。
小川:そうですね。当店にいらしていただけたら、自然と京都の食材を食べられるようになっていると思います。ほかにも、自身の農園だけでなく、高齢化や後継者不足によって生まれた耕作放棄地も活用している宇治茶の生産者さんとのお付き合いもさせて頂いています。そうやって、長期的に関係を結ぶことで地元の産業を守っていきたい、という思いがありますね。
平井:メニューにもオーガニックやフェアトレードの認証について記載されていたり、京都ならではの食材が並んでいたりするので一つ一つ食べてみたくなりました。サステナブルな取り組みとして、そのほかに力を入れていることはございますか?

大量に出る麻袋をアップサイクルするなど、

新しい仕組みづくりに挑戦する。

小川:コーヒー生豆が入っている麻袋が毎日大量に出るのですが、意外とリサイクルしづらいものなんです。ですが、なんとかアップサイクルできないか、と商店街を巻き込んでこの麻袋を使ってプランターを作ろうと計画中ですね。あとは、テイクアウトのカップやビンは持ってきていただくことを推奨しています。今後、そのシステムが定着していくような働きかけを推し進めたいと思っています。

平井:小川珈琲さんのHPで「SDGs宣言」という言葉を使って、自然環境を守る活動や、持続可能な社会を保つ活動について発信されていらっしゃいますよね。このような発信をされた理由を教えていただけますか?
小川: 「SDGs」という言葉が生まれる前にやってきたことがたくさんあって、 「SDGs宣言」という言葉を用いて発信した方がより多くの方に認知してもらえるようにも思いました。HPで宣言したのが2018年ですね。その後、2021年に「SDGs推進委員会」を発足しました。社内の士気が上がるように、という想いからですね。

社内で「SDGs推進委員会」を立ち上げ、

取り組みについて定期的に話し合うことを大切に。

お話を伺ったのは、「SDGs推進委員会」の委員長も務める取締役経営企画室長の小川雄次さん。堺町錦店のリードバリスタの山田真理さん(左)、総合開発部 企画開発課の名久井柚香さん(右)も委員会のメンバーとして、社内外を横断するサステナブルな活動に参加している。
平井:委員会ではどんなことをやっていらっしゃるのでしょうか?
小川:各部署での「SDGs」の取り組みについて毎月報告し合い、オウンドメディア「珈琲の広場」では、“一杯のコーヒーからできること”というコーナーを設け、各自の活動をコンテンツとして発信しています。ありがたいことに学校からリクエストをいただき、「SDGs」に関する出前授業を社員が行うことも増えました。小さな草の根的なことから大きなことまで、各個人ができることをやっている感じですね。「SDGs」という言葉の受け取り方も人それぞれ違ったりするので、社員からのリクエストもあって、全社で勉強会を行うこともあります。自社でやっているフェアトレードやオーガニック認証に関する説明や「SDGs」の説明を行うなどその都度、いろいろな切り口で行っています。
平井:社員の方の反応はどんな感じですか?
小川:社員が200名ほどで、約30名の社員が「SDGs推進委員会」のメンバーに公募してきました。お客さまやお取引先さま、バイヤーさまから弊社の取り組みについてお問い合わせをいただくことも多く、認証のコーヒーについて質問をされる機会が多いので、きちんとご説明ができるようでありたい、というメンバーの誠実さを感じますね。
平井:みなさんの意識の高さに感心します。個人レベルの草の根から始めてみようというのも、無理がなくていいですよね。活動自体がサステナブルではないと意味がないですよね。
平井:今回、小川珈琲さんがサステナブルな店舗をオープンされたということでお伺いしましたが、会社としての商品との向き合い方、地域文化、生産者へのリスペクトなど、誠実な姿勢に色々と学ばせていただきました。サステナブルな取り組みには正解がないので、やはり自分自身で考えて何ができるか、をやっていくことが大切なことですよね。小川珈琲さんの今後の取り組みも楽しみにしています。本日はありがとうございました。
PROFILE
小川珈琲株式会社

今年で創業70周年を迎える、日本を代表する京都のロースター。エシカルコーヒーの本格的な取り扱いを他社に先駆けて行い、現在では有機JAS認証コーヒー販売量と国際フェアトレード認証コーヒーの国内資本販売量累計ともに、国内スーパーマーケットにおいてナンバーワンのシェアを誇る。2020年には、「京都 小川珈琲 SDGs宣言 一杯のコーヒーからできること」で第21回グリーン購入大賞 中小企業部門において大賞を受賞。2021年、社内に「SDGs推進委員会」を発足し、その活動を同社のオウンドメディア「珈琲の広場」(https://coffee-no-hiroba.jp/)にて発信中。2022年2月、同社が長年取り組んできたサステナブルな活動の新たな拠点として、「小川珈琲 堺町錦店」(https://www.oc-ogawa.co.jp/nishiki/)をオープン。


小川珈琲 (https://www.oc-ogawa.co.jp)

小川珈琲 楽天市場オンラインショップ
Photo by: Mitsuru Wakabayashi Edit & Text by : Seika Yajima

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