2022/3/9更新
みんなのサステナブル vol.2(前編)
クリエイターや生産者をはじめ、暮らしを楽しむスペシャリストが「楽天市場」の中から選んだサステナブルな日用品や愛用品をエピソードとともに紹介していく連載「みんなのサステナブル」。第2回目のゲストは菓子研究家の長田佳子さん。一つ一つの食材選びを丁寧に行い、心と体に優しいお菓子を作り出す長田さんが考えるサステナブルな買いものとは?
〈foodremedies〉という屋号で菓子研究家として活動する長田佳子さんのお菓子作りは“食材との対話”から始まります。例えばそれはオーガニック食品店で見つけた食材、平飼いで大切に育てた健康な鶏から産み落とされた卵、無農薬や減農薬に留意して作られた作物やハーブなど。素材そのものの味を生かし、丁寧に作られたお菓子は、食材の取り合わせの妙、食感、香りの豊かさに癒される優しい味わいです。
長田さん手作りのショウガのさわやかな香りがほのかに広がるちょっぴりスパイシーなジンジャークッキー。「アリサン」の有機ピーナッツバターを添えて好みでつけていただいてもコクが出て美味しい。
「アリサン 有機ピーナッツバタークランチ ミニサイズ(120g)」864円(税込)~)
乳化剤、安定剤、油、塩を一切使用していないオーガニックピーナッツバター。ピーナッツのつぶつぶ感そのままの食感を楽しめます。手作りドレッシングやソースの材料にしてみても。
>アリサン 有機ピーナッツバタークランチ ミニサイズ
「『楽天市場』で取り扱いがあるオーガニック食品を取り扱っているメーカー『アリサン』の食材は15年前くらいから愛用しています。きっかけは埼玉県日高市にある『アリサンカフェ』でいただいた食事。オーガニック食材を使って作られた料理が全部美味しかったんです。『アリサン』にはクオリティが高い食材がたくさん揃っているのでお菓子作りによく使うようになりました。このピーナッツバターは家にストックしていると何かと便利。食パンに塗ったり、生クリームに混ぜたりすると味に深みとコクが増します。アーモンド、クルミなどナッツ類がない時に代わりに使ってみるのもおすすめです」
また、オーガニックの紅茶をお菓子に使い、味そのものに風味を出す工夫をすると豊かな味わいを導くことができるといいます。
「ひしわ 農薬を使わずに育てた紅茶 缶タイプ 100g」734円(税込)
海抜5,199mのケニア山の山麓での農薬を使わずに栽培されたお茶の葉で作られた紅茶。抽出すると綺麗なオレンジ色の水色がカップに映えます。しっかりとした味わいながらもマイルドな口当たりが特徴。
>ひしわ 農薬を使わずに育てた紅茶 缶タイプ 100g
「ひしわ 農薬を使わずに育てた紅茶」を加えて作ったキャロットケーキ。「小さじ1杯の茶葉を生地に加えると香り高く豊かな味に。クリームチーズを添えなくても満足感のある味わいになります」
体に負担をかけない食材選びにこだわり続けてきたことで、いつからか自分でも作物を作りたいと思うようになり、“自然に近い暮らし”を強く求めるように。機が熟し、昨年、東京から山梨に移住。仲間とともに耕作放棄地を開墾して畑を作り、ハーブや野菜を育て、収穫した作物をお菓子作りに使う機会が増えたといいます。少しずつ自分たちの畑が育っていくことの喜びを感じるなかで、素材との向き合い方にも変化が訪れたそうです。
「山梨に移住する前は作りたいお菓子や何かしらのテーマが先行していて、そのために必要な食材を取り寄せていました。今は素材に導かれて、お菓子を作るように。ひとつの食材と向き合って『何ができるか』を実験するように考える時間が楽しいんです。例えば、りんごひとつとっても品種の違いによって味はだいぶ異なりますし、若いものと熟したものの味の個体差も大きく違います。素材の状態に向き合い、生のまま使うのがいいか、煮ていただくのか、それとも焼いたほうがいいか、より意識して考えるようになりました」
「オーガニック バニラビーンズ 有機 JAS コモロ産 グルメブラック」660円 (税込)~
「このバニラビーンズはアップルパイやプリンに使うと上質な風味が出て美味しくなります。さやの中のビーンズがしっとりとしていて、少量使いでも香り豊かで感動しました」
>オーガニック バニラビーンズ 有機 JAS コモロ産 グルメブラック
「倉庫だった物件が空いたことを知り、思い切ってそのスペースをアトリエにすることを決心しました」と長田さん。月に一度のオープンデイに〈foodremedies〉のお菓子が食べられます。
果樹園が並ぶ自然豊かな一角にある長田さんのアトリエ「SALT and CAKE」。
4方向に窓がある開放感のある空間は、時間の移ろいによって刻一刻と変化する光と影に包まれる静かな時間が流れています。
月1回のオープンデイには地域に住む生産者、寛ぎの時間を大切にしている老若男女、県外からの客人が集い、思い思いの時間を過ごしているといいます。
時には会話が弾み、新たな交流が生まれることもあるとか。記事の後編では、長田さんが地域の人々と交流するなかで感じた気づき、今後取り組みたい課題についてお話を伺いました。
PROFILE
長田佳子〈foodremedies〉
レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)など。2021年7月より登録制による動画配信のお菓子教室を開催。アトリエ「SALT and CAKE」は、毎月第3日曜日にオープン。foodremedies.jp
Photo by: Mitsugu Uehara Edit & Text by : Seika Yajima