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2021/12/28更新

【サステナブルな買いもの入門】サステナブルな商品の選び方

「サステナブルなお買いもの」とは、環境や人権に対して十分に配慮された商品やサービスを選択して購入することです。「環境や人権」など、普段は耳慣れない単語だと、なかなかイメージが湧きにくい……。ということで、食と農林水産業のサステナビリティを考える「あふの環(わ)」事務局の、農林水産省大臣官房地球環境対策室長の 久保牧衣子さんにお話を伺いました。

“サステナブルな商品”ってなんですか?

食品に関してお話しますと、エコラベルが付いている商品が目安になります。 例えば身近でよく見るものは「有機JAS認証」が付いている商品。このラベルは化学農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として生産された有機食品で農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられているものです。


また、水産物にフォーカスすると「MSC認証」や「ASC認証」、「MEL認証」といったラベルがあります。これらは水産資源や環境に配慮し、適切に管理された漁業で獲られた水産物、環境と社会への影響を最小限に抑えた養殖場で育てられた水産物であることを表しています。


輸入品に関しては、例えば「国際フェアトレード認証」が付いている商品に注目してみましょう。自然環境に配慮しつつ生産者の労働環境や生活水準をきちんと保証し、公平・公正な取引の上で生産された製品を証明するものです。開発途上国の原料や製品を適正な価格で販売することで、開発途上国の生産者や労働者の生活改善や自立をサポートするという意義もあります。これらは一例で、ほかにも温室効果ガスの排出量を示したものや生物多様性に配慮したものなど様々なエコラベルがあり、これらは “サステナブルな商品”を選ぶ際の目安になると思います。

選ぶ時の基準、買いもののコツはありますか?

ふだんのお買いものでは「今日は〇〇を買い足そう」と言ったように、お買いものリストのメモを頼りに買いものをする方も多いと思います。そういった場面で急いで用を足すのではなく、たまにはゆとりを持ってお買いものに出かけて、食品のパッケージに記載されているラベルを眺めてみる、ということを意識してみてはいかがでしょうか。「私の故郷の県で生産されたんだ」とか「オーガニックなんだ」といったように、生産段階に思いを馳せながらお買いものをする小さな心がけが“サステナブルな商品”を発見する、ひとつのきっかけになると思います。


一方でエコラベルが付いていない商品の中にも減農薬など環境に配慮して生産された野菜や果物などがあります。そうしたものは色付きや形など、見た目が多少悪くなってしまうものがあります。お店によっては、「見た目は悪いけれども中身はおいしいです」とちゃんと書いてくれていることがあります。そうやって、商品の生産背景に想いを馳せると、「一皮剥けば中身は同じ」「調理すれば、不揃いも気にならない」という発想が持てるように。見た目と味は別ですので、減農薬で生産されたものを選ぶのもいいと思います。

サステナブル消費の展望について

今年11月に開催されたCOP26でも、森林減少の9割は農業由来であるという報告がありました。私たちは身の回りに食品があることが当たり前な生活をしていますが、例えば国内生産を支える化学肥料は、ほぼ全て原材料を輸入に依存しています。さらに、化学肥料は生産過程で大量の化石燃料を使っています。これからの地球のためには、国内にある資源を循環利用する農業に転換していく必要があると思います。


農林水産省では、今年、「みどりの食料システム戦略」を策定し、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立に向けてさまざまな取り組みに着手しています。ただ、「生産段階で化学肥料を減らそう」としても、「消費」が見た目重視だったり、欠品を許さなかったりするため、結局は「消費」が変わらなければ生産の現場は変われないという問題があります。


食料システムというのは単に生産するだけではなくて、生産に必要な物の調達から生産、加工、流通、消費に関わるこの全体を「食料システム」と捉えて、それをいかに持続可能にしていくかということを考えることがとても重要です。自分たちが“将来世代”に対してできることが日々のお買いもの活動にある、と考えてみて欲しいですね。環境に配慮した消費活動は、ある種の“投票行動”。少しでも環境に優しいことをしようとするためには、多少商品が高くても、それこそが将来世代に資源をつないでいくためのコストと思って、消費活動を続けていくことが大切だと思います。日々の食品の選択は“未来に繋がるお買いもの”。是非、日々のお買いものを見つめ直してみませんか。

農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課地球環境対策室長
久保牧衣子さん



1998年農林水産省入省。ジェトロパリ事務所、輸出促進グループ総括補佐、ミラノ万博日本館副館長、大臣官房政策課企画官などを歴任。2019年4月より大臣官房環境政策室長、本年7月の組織再編に伴い現職に。

まずはここから始めてみよう!

何気ない日々のお買いものが、環境や社会にここまで影響を与えているんですね。「サステナブルなお買いものをスタートしてみたいけど、何を買えばいいのかわからない…」という方は、今回のお話しを踏まえて、まずはここからスタートしてみてはいかがでしょうか。(EARTH MALL編集部)
① オーガニック食品を探してみる

野菜や卵、加工食品など実はたくさんの種類が販売されています。


・オーガニック食品
② エコ認証ラベル付きの商品を探してみる
商品のパッケージに記載されている認証ラベル。サステナブルな商品選びの強い味方です。
③ 「サステナブルな商品の選び方」をチェックしてみる

買いものをする際に覚えておきたい8つのキーワードを中心に、サステナブルな買いものを楽しむガイドとしてご活用いただけるページです。

・SUSTAINABLE SHOPPING GUIDE

「サステナブルなお買いもの」とは、環境や人権に対して十分に配慮された商品やサービスを選択して購入することです。もっと詳しく知りたい方は第1回の記事もご覧ください。

・【サステナブルな買いもの入門】 サステナブルな買いものって?

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