助産師監修|母乳はいつまであげるべき?時期の目安とメリットを解説
2024/1/31
母乳をいつまであげるのかお悩みの方へ、やめる時期(卒乳)の目安をわかりやすく解説します。WHOでは2年以上の授乳を推進しており、メリットも多くある母乳ですが、問題も多いもの。それらの問題の対処法も助産師監修のもと紹介します。
「いつまで母乳をあげるべき?」「何歳ぐらいから離乳食に移行すべき?」など、初めて育児に挑戦するママは悩んでしまいがちです。
そこで、今回は母乳をいつまであげるべきかについて解説します。この記事を読めば、卒乳の時期の目安が判断できるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
バースコンサルタント・助産師
古市菜緒さん
助産師として1万件以上の出産に携わり、7千人以上の方を対象に講師を務める。その他、妊娠・出産・育児に関する刊行物・商品・サービスなどの監修、産院のコンサルなどを行う。2児の母。
目次
母乳はいつまであげるべき?
母乳はいつまであげるべきという明確な基準はありません。子どもの成長やママの考え方、育児環境などから卒乳の時期を決めることが大切です。
しかし、卒乳時期の目安を知っておくと安心できるでしょう。ここでは、WHO(世界保健機関)と厚生労働省の考えをご紹介します。
WHOは2歳以上、厚生労働省は1歳6か月まで
国民の健康を増進や保護に努めているWHO(世界保健機関)と厚生労働省の考えをみておきましょう。
WHOは2年以上の母乳による育児を推奨しています。その理由は、1歳半までの赤ちゃんは免疫力が低く、栄養素の高い母乳を与えることでワクチン効果が見込めて、免疫力を上げることができるためです。
その一方で、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドは1歳~1歳6か月まで母乳をあげるべきだと述べています。その理由は、1歳6か月になると母乳や育児用ミルク以外の食べ物を摂取できるようになるためです。
こちらは目安で、子どもの成長や母親の子育てに関する考えを尊重することが大事だとガイドラインでは記載されています。
参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
母乳はいつまで出る?
母乳は授乳を続ける限り出続けます。なぜなら、赤ちゃんが乳首を吸うことで、母乳を維持するプロラクチン、母乳を噴出させるオキシトシンとういうホルモンが分泌されるためです。授乳をやめるとこれらのホルモンの分泌量が減り、2~3日目で母乳は減り始め、個人差は大きいですが、おおよそ数か月から1年ほどで出なくなります。
卒乳と断乳の違い
卒乳と断乳の違いは、赤ちゃんの意思で行われるかどうかです。
断乳は、ママの意思で計画的に母乳を与えるのをやめることをいいます。仕事に復帰したり2人目を妊娠したかったりなど、家庭の事情で行われます。赤ちゃんが離乳食から栄養を取れるようになれば、断乳しても問題ありません。
その一方で、卒乳とは赤ちゃんの意思で母乳を飲まなくなることをいいます。また、最近では母親の意思や計画で授乳回数を減らし、赤ちゃんが抵抗せずに母乳を飲まなくなれば卒乳と捉える風潮もあります。
母乳をやめるタイミングはいつ?目安は?
母乳をやめるタイミングは以下の通りです。もし、今の状態で母乳をやめても大丈夫だろうか?と悩んだときは、かかりつけの小児科医に相談してみてください。
1日3回離乳食を食べられたら
一般的に生後6か月前後で母乳と共に補完食(=離乳食)を与え始めます。離乳食を3回食べられるようになり栄養を摂取できるようになっていれば、母乳をやめても問題ありません。
しかし、赤ちゃんは新陳代謝が活発なため、水分をこまめに摂取する必要があります。そのため、母乳以外の水分(ミルクやお茶など)を、ほ乳瓶だけではなく、マグやストロー、コップなど飲めるようになってから母乳をやめたほうが安心できるでしょう。
夜に長い時間の睡眠をとれたら
赤ちゃんが夜に長い時間の睡眠を取るようになったら、夜間断乳を始められます。夜間断乳を行うコツとしては、赤ちゃんがお腹を空いて起きないように、夕食はしっかり離乳食を食べさせ、寝る前はたっぷり母乳やミルクを飲んでもらうことです。
夜間断乳すると、母乳を飲まないと赤ちゃんが寝ないという状況が解消できて、夜間以外の授乳回数も減らすことが可能です。そして、赤ちゃんもスムーズに卒乳できるようになります。
夜間断乳については「夜間断乳はいつからできる?助産師監修で成功ポイントや注意点を解説」で詳しく解説しています。
保育園の入園や職場へ復帰したら
保育園の入園や職場の復帰に向けて、断乳する方もいます。
職場の育休期間が終わる、早めに職場復帰しないといけないママは、子どもを保育園に入園させると母乳が与えられません。
保育園で「お子さんがミルクを飲まない」という報告を受けずに済むように、保育園の入園前からミルクの練習をして断乳する方も多いです。赤ちゃんがミルクを飲むようになれば、授乳せずに済むため、胸が張ることもなく仕事に集中できるようになります。
卒乳のタイミングについては「卒乳はいつからできる?赤ちゃんが卒乳する適切なタイミングや進め方を紹介」で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。
母乳をあげることのメリット
母乳をあげることは、体調や精神面などの観点から、赤ちゃんにもママにもメリットがあります。
赤ちゃん:栄養と免疫物質が多く含まれている
母乳にはタンパク質や脂質、ビタミン類、カルシウム、マグネシウムなどの多くの栄養が含まれています。これらは、赤ちゃんの皮膚や筋肉、内蔵、骨などの成長に役立つ栄養素です。
また、母乳には免疫物質(免疫グロブリンAやラクトフェリン)も含まれており、赤ちゃんの免疫力を強化できます。これらの免疫物質はミルクには含まれていません。
母乳はミルクよりエネルギーが低く、消化・吸収が良いため、胃腸や肝臓、腎臓の機能負担が少ないです。つまり、体に負担をかけずに栄養素が取れます。
赤ちゃん:あごの発達を促す
母乳をあげると、赤ちゃんのあごの発達を促すことができます。なぜなら、赤ちゃんが母乳を飲むときには、あごや舌を使わなければいけないためです。哺乳運動により、顎の筋肉トレーニングができます。顎の発達は咀嚼力を上げるとともに、正しい歯並びをつくる基礎にもなるのです。
ママ:産後の健康を整えられる
赤ちゃんに母乳をあげると、ママの心身の健康状態が整う効果が期待できます。理由のひとつとしては、授乳することで分泌されるオキシトシンに抗うつ効果があるためです。ある研究では、オキシトシンの分泌量が多い方は不安症状やうつ症状になっている方が少ないことが判明しています。ほかにも乳がんなどの病気のリスクを下げる効果があるともいわれています。
ママと赤ちゃんのスキンシップ
授乳は母児の体が密着し、スキンシップが取りやすくなります。赤ちゃんは、ママの肌の温もりを感じることで安らかな気持ち、安心感を抱きます。その一方で、ママは、赤ちゃんが母乳を飲む姿に生命力を感じられて幸福感を得られるでしょう。授乳時間は、母子の信頼関係を築く時間として有効です。
卒乳後に起こることと対処法
赤ちゃんに母乳をあげなくなり卒乳を迎えると、乳房が張って痛みを伴ったり、精神状態が不安定になったりします。これらの症状が出た場合の対処法を把握しておきましょう。
母乳が溜まり乳房が張る
赤ちゃんが母乳を飲まなくなり卒乳しても、ママの体内ではしばらくは同じ量の母乳を作ろうとします。その結果、母乳が溜まり乳房が張り、痛みを感じてしまうこともあるでしょう。しかし、頻繁に搾乳を行ってしまうと、母乳は作り続け、張りも持続してしまいます。
そのため、最後におっぱいを飲んだときから、徐々に搾乳の間隔をあけて作られる母乳の量を減らしていくことが大切です。
もし、胸が張って痛みを感じる場合は、水で濡らしたタオルなどを当てて冷やしてください。
また、胸が張るだけでなく、肩こりや頭痛、吐き気などつらい症状がある場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
乳房が垂れやすくなる
授乳による脳への刺激がなくなると、プロラクチンの分泌量が減少して乳腺が縮小し、母乳が出なくなります。授乳期間中は通常より胸が大きくなりますが、母乳が作られなくなれば胸は元のサイズに戻ります。一度大きくなった胸が縮むと、クーパー靭帯によるたるみがでるため、胸が垂れやすくなってしまいます。
また、赤ちゃんを育てるために授乳したり、おむつを替えたりするときは猫背になりがちです。悪い姿勢を続けると血行不良や大胸筋が衰えて胸が垂れやすくなります。
バストの形を維持したい方は、育乳マッサージや大胸筋を鍛えるトレーニングを行うのもよいでしょう。また、補正下着の着用によりバストの形を維持できます。
発熱や乳房の腫れや痛みといった症状が出る
卒乳する際に、乳腺炎にかかるママもいます。乳腺炎になると乳房が赤く腫れて痛んだり
発熱したりします。乳腺炎を知らないママは風邪と間違えてしまい発見が遅くなることも多いです。
乳腺炎を何もせずに放っておくと症状が酷くなり、高熱や少し触れただけでも激痛を生じることもあるため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
精神状態が不安定になる
授乳をやめると、プロラクチンとオキシトシンのホルモンの分泌量が減少していきます。ホルモンバランスが乱れると、自立神経も乱れるため注意してください。
焦燥感や不眠、食欲不振、涙もろいなどのうつの症状がみられることがあります。これらの症状を産後うつとも呼びますが、家族の協力を得て家事を控えるなど、ストレスがかからない環境で休養を取りましょう。また、症状が酷い場合は、早めに医療機関に相談してください。
産後うつについては「産後うつ病とはどんな症状?精神科医が解説」で詳しく紹介しています。
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母乳は何歳まであげるべきだという明確な基準はありません。WHOは2歳以上まで、厚生労働省は1歳6か月まで母乳をあげることを推奨しています。しかし、子どもの成長や母親の考えを尊重することが大切です。
母乳をあげるメリットを踏まえた上で、いつ頃、卒乳すべきかを検討されてみてくださいね。
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