赤ちゃんに食べさせてはいけない食品として知られているはちみつ。食べるものに気をつかう妊娠中は、ママもはちみつを制限した方がよいのか、疑問に思いますよね。ここでは、妊娠中にはちみつを食べてもよいのか注意点とともに解説します。

妊娠中にはちみつを食べても大丈夫！

「赤ちゃんにはちみつを食べさせるのはよくない」と一般的に言われていますが、妊婦さん自身もはちみつを制限するべきなのでしょうか。
実は、妊婦さんがはちみつを食べても問題はありません。通常と同じように料理に混ぜたり、そのまま食べたりできます。妊婦さんが摂取したはちみつがおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはないため、無理して控えようとしなくても大丈夫です。ただし、食べすぎてカロリーを過剰に摂取し、体重が増加してしまわないように注意しましょう。体調と相談しながら、適量をとるようにしてください。

1歳未満の赤ちゃんにはNG

妊婦さんがはちみつを食べても特に問題はありませんが、1歳未満の赤ちゃんにはちみつを食べさせることは控えましょう。赤ちゃんがはちみつを摂取すると、「乳児ボツリヌス症」を発症する恐れがあるからです。

「乳児ボツリヌス症」は、はちみつに含まれる「ボツリヌス菌」が原因で起こります。赤ちゃんはまだ腸内環境が未成熟のため、「ボツリヌス菌」に抵抗できる菌がいません。大人なら抵抗力がある「ボツリヌス菌」が腸内で繁殖してしまうリスクが高いのです。たとえ加熱したはちみつや加工品であっても、完全に「ボツリヌス菌」が死滅していない可能性があります。1歳未満の段階ではちみつが含まれる食品は与えないように注意しましょう。

赤ちゃんにはちみつを食べさせ始める時期や、「ボツリヌス菌」が含まれるほかの食材についての詳細は、「赤ちゃんはいつからはちみつを食べていい？誤って口にした場合の対処法も」の記事も、あわせてご覧ください。

妊娠中にはちみつを食べるメリット

妊娠中は赤ちゃんへの影響が心配で、はちみつを控えてしまう妊婦さんもいるでしょう。しかし、むしろはちみつには妊婦さんの健康維持を助ける多くの効能があります。妊娠中にはちみつを食べると期待できるメリットを確認していきましょう。

エネルギーの補給

はちみつには、糖質、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素、ポリフェノールなどの体を整えるうえで大切な成分が含まれています。はちみつの成分の８割は糖質です。糖質は体や脳が活動するためのエネルギー源になる栄養素で、すばやく体に吸収されます。糖質が多く含まれるはちみつは、赤ちゃんのためにも体力をつけておきたい妊婦さんのエネルギー補給にも役立ちます。

便秘の改善

ホルモンバランスの影響やつわりによる水分の減少などによって、妊娠中は便秘になりやすいですよね。はちみつは便秘の改善にも有効です。はちみつの糖質にはオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖にはビフィズス菌などの腸内細菌を増殖させる働きがあります。はちみつを摂取することで腸内環境が整い、免疫力のアップにもつながります。

風邪症状の緩和

妊娠中は飲み薬も制限されますが、はちみつには殺菌力や抗炎症作用があるため、体力回復、咳止め、喉の痛みの緩和などに効果的です。口腔や咽頭部分の感染・炎症を抑え、痰の切れもよくしてくれます。体調が少しおかしいなと感じても、飲み薬を手軽に飲むことはできませんが、はちみつなら心配なく摂取できます。

また、ビタミン・アミノ酸・ミネラル・酵素などの体の健康維持に欠かせない栄養素が含まれるため、免疫力を高めてくれて風邪予防にも効果を発揮します。

疲労回復

妊娠中は慣れない体の変化で、疲労を蓄積させている妊婦さんも多いでしょう。はちみつは疲労回復にも役立ちます。はちみつの主成分である果糖とブドウ糖は「単糖類」であるため、消化作用なしでそのまま体に吸収されます。エネルギー源である糖がすみやかに体に届きますので、疲労回復につながります。はちみつは砂糖よりカロリーが低く、少量でも甘みを感じられるため、体重管理が必要な妊婦さんにとってもうれしい食品です。

また、はちみつの疲労回復効果を最大限に引き出すためには、レモンと組み合わせることも効果的です。レモンに含まれるクエン酸には、ビタミンやミネラルの吸収を助ける作用があります。はちみつとレモンをあわせることで栄養成分が体に吸収されやすくなり、素早い疲労回復につながります。もちろん、レモンも妊娠中でも食べられる果物ですので、安心です。

美味しいはちみつの選び方

健康な体づくりのためにもぜひ食べたいはちみつですが、せっかくなら美味しいものを選びたいですよね。「はちみつ」と一言で言っても種類はたくさんあり、どれを選ぶべきか迷う方もいるでしょう。ここからは、美味しいはちみつ選びのポイントを解説します。

市販のはちみつには、「天然はちみつ」「純粋はちみつ」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」の４種類があります。種類によって加熱や加糖がしてあるかが異なります。それぞれの違いは以下のとおりです。

・天然はちみつ
蜂の巣から採集したはちみつの不純物をろ過して取り除いたもの。加熱処理をせず成分もそのままのため、はちみつ本来の味や効能を得られる

・純粋はちみつ
添加物や化合物を加えていないもの。未熟な状態で採取し、加熱濃縮したはちみつも含まれるため、安価なものも多い

・精製はちみつ
加熱処理して水分を飛ばし、はちみつの色や香りを取り除いたもの

・加糖はちみつ
水あめ・果糖・ショ糖などの成分を人工的に加えたもの

はちみつは加熱をせず、ほかの材料を一切加えていないもののほうが、本来の栄養素や殺菌作用を損なわずにすみます。健康や美容面での効能を重視したい場合は、「天然はちみつ」や「純粋はちみつ」のように、加糖されていない、未精製のものを選ぶのがおすすめです。ただし、「純粋はちみつ」の場合には、加熱処理を行っているものも含まれていますので、安価な商品には注意しましょう。安さだけに目を向けずに、原料名や人工甘味料・添加物（保存料）の有無などにも注目して選ぶことが大切です。

また、産地もはちみつを選ぶ際の判断ポイントになります。原産地や、どの花からとれたはちみつかを見てみましょう。一般的には、海外産は強い甘さが特徴的で、国産は繊細な味わいのものが多いといわれています。妊娠中に食べるものですから、信頼できる養蜂園や養蜂場から直接購入し、成分にこだわってみるのもいいかもしれません。はちみつを採取する花の種類によっても風味は変わりますので、いくつか食べ比べてみて、自分に合うものを見つけてみてください。

妊娠中に食べてはいけないものは？

ここまで説明したとおり、はちみつは妊婦さんでも安心して食べられますが、食品の中には、妊婦さんが食べてはいけないものもあります。例えば、生ハム・ナチュラルチーズ、スモークサーモンなどの「生もの」は摂取してはいけません。生ものに含まれる「リステリア菌」によって、食中毒のリスクが高まるからです。また、
アルコール飲料も妊娠中～授乳中にかけては摂取してはいけません。食品にアルコールが含まれていることもありますので、成分表をよく確認しましょう。

妊娠中に食べてはいけないものや注意するものについては、「妊婦さんが食べてはいけないもの一覧！チョコはOK？管理栄養士が解説」「妊婦がチーズを食べても大丈夫？危険なチーズの種類を解説」で詳しく説明していますので、ぜひあわせてご確認ください。

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はちみつは赤ちゃんには食べさせてはいけない食品ですが、妊娠中や授乳中のママは問題なく食べることができます。むしろ疲労の回復や便秘の改善などのうれしい効果も見込めますので、妊娠中の健康維持のために、毎日スプーンひとさじ程度摂取してみてくださいね。

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