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妊婦がチーズを食べても大丈夫?危険なチーズの種類を解説

妊娠

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2022/3/7

妊婦さんはナチュラルチーズを食べると、母体と胎児に悪影響が及んでしまう危険性があります。そこでこの記事では、食べてはいけないチーズの種類や妊婦が安全にチーズを食べる方法について解説します。妊娠中の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

管理栄養士

端場愛さん

学生寮や老人保健施設、クリニックで勤務経験を積んだのち、フリーランスの管理栄養士へと転向。体と栄養の関係を多くの人に分かりやすく伝えるために、ライターとしても活動中。今日よりちょっと元気になれるレシピ開発が得意。

免疫力が低下している妊娠中は、ナチュラルチーズを食べることで母体だけでなく、赤ちゃんに影響が出る場合があります。しかし、なぜ妊娠中にナチュラルチーズを食べると危険なのでしょうか。この記事では、ナチュラルチーズに潜む危険性と、食べてはいけないチーズの種類、安全に食べるための方法をご紹介します。

妊婦はナチュラルチーズの摂取NG

非加熱状態のナチュラルチーズは、妊娠が判明してから出産までの全期間、避ける必要があります。その理由は、ナチュラルチーズにはリステリア菌が潜んでいる可能性があるからです。リステリア菌というのは、食中毒菌の一種。妊婦さんは一時的に免疫が下がっているため、感染リスクが高くなるのです。リステリア菌に感染した場合、胎盤を通してお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、非加熱のナチュラルチーズは避けましょう。

妊婦がナチュラルチーズを食べた時に起きる可能性がある症状

もし妊婦さんがナチュラルチーズを食べてリステリア菌に感染した場合、主に3つの症状が起きる可能性があるとされています。

1. リステリア食中毒
リステリア菌に感染すると、悪寒や発熱、筋肉痛などの症状が現れます。インフルエンザやほかの感染症などに似た症状が起きることも多く、食中毒との区別がつきにくいこともあります。また、食中毒症状が現れるまで約3週間の潜伏期間があり、食べてすぐに症状が現れないのも特徴です。感染した場合の胎児への主な影響として、流産や早産などがあるため、決して侮ってはいけません。なお、感染時期が妊娠初期になるほど、赤ちゃんの予後があまりよくないと言われています。そのため、妊娠が判明したらナチュラルチーズは控えてください。

なお、リステリア菌は、生卵にも付着していることがあります。詳しくは「妊婦さんは生卵を食べちゃダメ?生卵に潜むリスクや食べる際の注意点とは【産婦人科医監修】」の記事で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

2. 敗血症
赤ちゃんに感染した場合、敗血症のような症状が現れる可能性があります。敗血症とは、血液中で見られる感染症のことです。症状が数時間から数日の間に現れるタイプと、数週間後に現れるタイプがあります。感染時期が早期であった場合、出産直後に敗血症の症状がみられるのが特徴です。
敗血症の兆候が見られる赤ちゃんは、哺乳力が弱かったり、元気がなくぼんやりとしていたりします。また、皮膚が灰色であったり、低体温あるいは発熱が見られたりすることもあるのです。

3. 髄膜炎
敗血症の合併症として起こりやすいのが、髄膜炎です。髄膜炎とは脳と脊髄を覆う膜で起こる炎症のことです。適切な治療を施さないとほとんどの新生児が死亡するといわれています。たとえ健康な状態で生まれたとしても一気に重篤化し、24時間もしないうちに瀕死の状態になることもあるのです。
髄膜炎が起こった場合、敗血症と同じような症状が見られたり、異常な眠気、嘔吐、けいれんなどが見られたりします。

出典:厚生労働省「リステリアによる食中毒」
   農林水産省「リステリア・モノサイトゲネス(細菌)」
   MSDマニュアル「新生児の敗血症」
   MSDマニュアル「新生児細菌性髄膜炎」

食べてはいけないナチュラルチーズの種類

リステリア菌は妊婦さんだけでなく、赤ちゃんにも悪影響を及ぼすことをご説明しました。では、すべてのナチュラルチーズを食べてはいけないのでしょうか。まず、ナチュラルチーズには主に以下のような種類があります。

【白カビタイプ】
・カマンベール
・ブリーなど

【青カビタイプ】
・ゴルゴンゾーラ
・ババリアブルー
・スティルトンなど

【ウォッシュタイプ】
・エポワスなど

【フレッシュタイプ】
・カッテージチーズ
・クリームチーズ
・モッツァレラ
・マスカルポーネ
・クワルクなど

【ハードタイプ】
・パルミジャーノ
・ゴーダなど

このうち、白カビ、青カビ、ウォッシュ、フレッシュタイプのチーズは避けましょう。特に輸入品のチーズは殺菌されておらず、リステリア菌に感染するリスクが高くなってしまいます。

ハードタイプのチーズは意見が分かれるところですが、以前日本に輸入されたゴーダチーズからリステリア菌が検出されたことから、やはり妊娠中はは口にしない方がいいでしょう。

「どれがナチュラルチーズか分からない」「種類を覚えきれない」という人は、パッケージ裏の種類別の欄をチェックしましょう。「ナチュラルチーズ」と記載されているので、確認してから購入すると安心です。

妊婦が食べてもいいチーズはある?

どうしてもチーズが食べたい人や、つわりの関係などでチーズが食べたくなってしまう人もいるでしょう。そんなとき、食べられるチーズはあるのでしょうか。

加熱したナチュラルチーズ

先ほどナチュラルチーズは控えるよう紹介しましたが、実は加熱したナチュラルチーズであれば口にしてもかまいません。たとえば、モッツアレラチーズを乗せて焼いたピザなどの料理は、食べてもOKです。リステリア菌は熱に弱く、75℃で1分以上加熱すると死滅します。

また、4℃以下の低温や12%程度の高塩分の環境下では増殖ができるため、冷蔵庫から取り出したチーズを食べるのは危険です。やはり安全に食べるには、75℃で1分以上加熱することを徹底しましょう。

プロセスチーズ

もうひとつ、プロセスチーズも妊婦さんは食べられます。プロセスチーズとは、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱処理を施してから作られたチーズのことです。加熱処理をはさんで加工されるため、リステリア菌が死滅しています。

国産のナチュラルチーズは殺菌した生乳を使用している、あるいは加熱処理が必要とされているため、ほとんどのチーズがプロセスチーズに該当します。そのため、食べてもよいという意見もありますが、すべての国産チーズが安全とは限りません。免疫力が低下している妊娠中は、少しの菌でも感染してしまう可能性があるので、しっかりと商品表示を確認してから購入しましょう。あるいはチーズを加熱して食べるよう、徹底してください。

妊婦がナチュラルチーズを食べてしまった場合の対処法は?

リステリア菌の存在を知らずに、ナチュラルチーズを食べてしまったという妊婦さんもいるかもしれません。赤ちゃんに影響が及ばないか心配な人もいると思うので、食べてしまった場合の対処法をお伝えします。

まず、ナチュラルチーズを食べたからといって、必ずリステリア菌に感染するわけではありません。あくまでも、感染する可能性が高くなるだけです。万一発熱、悪寒、吐き気など体調不良が見られる場合はすぐに病院を受診しましょう。自覚症状がなくても不安な場合は、かかりつけの医師に相談すると安心です。

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非加熱の製法で作られるナチュラルチーズには、リステリア菌が潜んでいる可能性があります。リステリア菌に感染すると、妊婦さんだけでなく胎児にも悪影響を及ぼし、流産や早産、敗血症、髄膜炎など危険な状態になることもあるのです。妊娠中はナチュラルチーズを避けるか、加熱してから食べる、プロセスチーズのみを食べるといった工夫をしてください。

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