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産後クライシスとは?症状や原因、夫婦仲を改善する対処法までご紹介

出産・産後

出産・産後

2022/9/6

産後クライシスとは、病気の名前ではありませんが、出産後数年の間に夫婦仲が急速に悪化することを指す言葉です。主に現れることとしては、配偶者に不満を感じイライラしたり、夫婦のコミュニケーションが減ったりすることが挙げられます。この記事では、その原因や対処法について、妻・夫目線それぞれから詳しく解説しています。

「このままだと、産後クライシスで夫婦仲が悪くなってしまうかも…」とお悩みではありませんか?産後クライシスは、どの家庭でも起こりうるものです。今回は産後クライシスで見られる現象やその原因、夫婦仲を改善する対処方法について紹介します。

この記事の監修者

精神科医、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医

岡田夕子先生

岡田夕子先生2005年3月に国立大学を卒業、その後小児科医を経て精神科医に転向。単科精神科病院を中心に勤務を行い、精神科医歴は10年を超える。現在はクリニック勤務となり、児童思春期を専門としているが、一般精神科外来も多数行っている。

産後クライシスの特徴とは?症状はいつまで続く?

「産後クライシス」とは、出産をきっかけに数年のうちに夫婦仲が急速に悪化することです。次のような状況が続いている場合は、産後クライシスに陥っている可能性があります。

・ちょっとしたことで配偶者にイライラしてしまう
・配偶者に愛情を感じなくなる
・一緒にいるだけで不満がたまってしまう
・夫婦間の会話やスキンシップなどコミュニケーションが減っている
・妻もしくは夫が子どものことばかり考えていて自分が放置されていると感じる
・セックスレスが続いている
・配偶者に攻撃的な態度を取ってしまう

このような状況が続いていると、いずれ離婚に至ってしまう可能性もあるので注意が必要です。お互いが夫婦関係を修復しようと改善を試みなければ、状況を大きく変えることは難しいでしょう。

産後クライシスと産後うつ病の違い

産後クライシスとよく間違われやすいのが、産後うつ病です。産後うつ病は産後のママのホルモンバランスの変化やストレス、毎日の睡眠不足などが原因で起こります。
産後うつ病については「産後うつ病とはどんな症状?精神科医が解説」の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

赤ちゃんとママ

出産後は慣れない育児や家事で精神的に追い詰められ、うつ状態になりやすい時期です。「自分の子育てが正解かわからず不安」「赤ちゃんを可愛いと思えない」「自分なんて母親失格、子育てをする権利なんてない」という気持ちが少しでもあれば、産後うつ病の可能性を考えてもいい状態かもしれません。

産後うつ病は精神的な甘えによるものではなく、疲れやストレスで起こる病気の一つです。気になる症状があれば早めに受診しましょう。一方で産後クライシスは、病気ではなく出産を契機にした夫婦仲の悪化です。ただ単に不仲な状態が続いているのであれば、関係の修復に努めることで改善が期待できます。

産後クライシスはいつまで続く?

一概にいつからいつまでとは言えませんが、産後クライシスは赤ちゃんが生まれてから2~3年ほど続くことが多いといわれています。長い場合だと4~5年ほど続くケースもあるようです。一般的には子どもと会話ができるようになり、意思疎通が行える時期になると症状が改善してくる傾向にあります。

いつまで続くかは、妻の体調がどれくらいで回復するか、子育てにどれほど夫婦で協力しあえるかによって変わるため、夫婦次第ともいえるでしょう。お互いが理解し合うことで会話が増えれば、次第に関係は修復されていきます。

産後クライシスになる主な原因

産後クライシスになる原因はさまざまです。ただ単に夫婦仲が悪くなるのとは違い、ストレスやお互いのすれ違い、意識の違いなどいろいろな理由が絡み合って起こります。ここでは、主な5つの原因について見ていきましょう。

出産によるホルモンバランスの変化
女性の体は、妊娠出産を通してホルモンバランスが大きく変化します。ホルモンバランスが急激に変わることにより、ちょっとしたことでイライラしたり不安になったりしてしまうことがあるのです。

自分でもコントロールできないほど気分が変化するため、夫にあたってしまうこともあるかもしれません。出産後、ホルモンバランスが整ってくると自然に症状が改善していくといわれていますが、人によっては産後うつ病と見分けがつきにくい場合があるので注意が必要です。

子ども優先の生活になること
出産後は当然、子ども優先の生活になります。ご飯を食べるのもお風呂に入るのも、外に出かけるのも子どもの授乳時間や寝るタイミングによってすべて左右される状況が数か月、数年と続くのです。好きな時間にゆっくりご飯を食べたり出かけたりすることができなくなり、今までとの生活とのギャップでストレスがたまってしまう方はとても多いでしょう。

夫が育児や家事に協力的でない
本来なら妻と夫が協力して育児や家事を行っていくのが望ましい姿です。しかし、古い価値観や考えをもっている男性だと、いまだに「育児や家事は女性がするもの」と思っている方もいます。

「生まれる前は、一緒に子育てしようねと言っていたのに…」と妻が夫に対して幻滅してしまうケースも多いようです。自分だけ自由が奪われ、さらに育児や家事の負担がすべてのしかかってくることを不平等に感じ、不満がたまって夫婦仲の悪化につながることがあります。

協力的でない夫

育児への不安
育児には絶対的な正解がありません。そのため、とくに初めて子育てをする方は、何が正しくて何が間違っているのかわからず過度な不安を抱えてしまうことがあるでしょう。

子どもをどうやって育てていけばいいのか自分は必死に調べているのに、夫は何も気にしている様子がないと感じてしまうこともあるかもしれません。また、お互いに調べた結果、意見が食い違うこともあり得ます。そうしてコミュニケーションが減ったり、コミュニケーションを取ってもぶつかってしまったり、お互いに不安が不満に変わっていくことがあります。

産後クライシスにならないための対処法・乗り越え方

産後クライシスを乗り越えるためには、積極的にコミュニケーションを取るように心がけたり、育児や家事について2人で話し合ったり、お互いの意見を尊重して譲り合ったりすることが大切です。何も対処せず放置していると離婚に至ってしまうこともあるので注意しましょう。

もし離婚を少しでも考えている場合は、一時的な感情に振り回されていないかを改めて確認してみてください。一時的に別居してお互いに冷静になるという方法を取る夫婦もいます。

妻ができること

産後クライシスにならないために、妻ができることをみていきましょう。

イライラや不満は、ホルモンのせいだと言い聞かせる
産後は誰でもイライラしやすくなったり、不安を感じたりしやすくなるものです。決して自分だけがこのような状態になっているわけではありません。「ホルモンのせいだから仕方ない」と開き直ると、意外と心が楽になることもあります。

一人で抱え込みすぎず、夫や家族に頼る
他人がどんな悩みをもっているのかを察するのはとても難しいものです。察してくれるのを待つのではなく、思っていることや頼みたいことは言葉にして夫や家族に伝えましょう。

夫婦

夫とコミュニケーションをしっかり取る
夫婦で会話が少なくなればなるほど産後クライシスの症状は悪化していきます。悩みや不満がある場合はコミュニケーションを取ってお互いの気持ちを共有し、話し合いを行ってみてください。家族や友人などに相談してみるのもよいでしょう。

子どもを預けたり、家事代行を利用したりする
一時保育を使ったり家族に子どもを見てもらったりして、少しでもいいので1人でいる時間を作ってみてください。家事代行を利用して日々の負担を減らすのもおすすめです。何でも自分でやらなきゃと完璧主義になる必要はありません。もっと楽に構えましょう。

夫ができること

産後クライシスの状況を乗り越えるために、夫ができることをみていきましょう。

妻の変化を受け入れる
「出産してから妻が変わってしまった」と感じている男性がいるかもしれません。小さな命を守るために妻が変わってしまうことは当たり前のこと。

ホルモンバランスの変化もあるため、妻の変化を「自分に興味がなくなった」とは捕らえず、「出産したら変わるものだ」と受け入れるようにしてください。そして、自分も一緒に子育てをするパパへと変わっていきましょう。

育児や家事など、できることはないか探して積極的に行う
出産後は妻が育児や家事をメインに行い、男性はこれまで通り働きに出るという状況になってしまうことが多いのが現状です。

働いていて疲れている気持ちもわかりますが、妻は1日中ひとときも心が休まる時間がありません。妻と夫それぞれに違う大変さがあるとは思いますが、自分でも行える育児や家事は必ずあるはずですので積極的に協力しましょう。

育児の様子

妻がストレス解消できるような自由な時間を作れるように協力する
産後の女性は、多くの方が「自由になる時間が欲しい」と思っています。1日中子どもに付きっきりでいるのは精神的にも体力的にも大変なものです。これは実際に経験してみないと大変さがわかりません。少しでもよいので、妻が一人で自由に過ごせる時間を作ってあげてください。

家族や妻との時間を大切にする
妻に対して、ストレスに感じたり不満に思ったりすることは多かれ少なかれあるでしょう。家族とは言え元は他人ですから、すれ違うことは必ずあります。しかし、妻は家族であり人生のパートナーです。二人で過ごす時間を大切にしようと意識することで、その思いが妻にも伝わるでしょう。

感謝の気持ちを言葉で伝える
「ありがとう」と、感謝の気持ちは積極的に伝えるようにしてみてください。この一言があるだけで、妻は「育児や家事を私がやって当たり前と思っているわけではないんだね」と安心してくれます。感謝の気持ちをお互いに共有できるようになれば、自然と夫婦仲は改善していきます。

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産後クライシスとは、出産後に夫婦仲が悪くなってしまうことです。イライラしたりコミュニケーションが減ったりしていると感じている方は、育児や家事を一人で抱えこまずに誰かに頼ったり、お互いに感謝の気持ちをもちながら過ごすように心がけてみてください。

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