出産費用の自己負担はいくら?都道府県別の平均は?もらえる給付金も解説
2021/10/13
妊娠から出産、子育てにかけて必要になる費用の平均金額は気になるところ。この記事では、妊娠や出産にかかる費用や、自己負担の金額、都道府県によって異なる平均費用や、出産費用を抑えるために使える制度をわかりやすく解説します。妊娠・出産にかかる費用や制度を確認して、出産に備えましょう。
出産にかかる費用は、分娩方法や地域などによって異なりますが、平均は50万円ほどとされています。「新しい家族を迎えるのは楽しみだけど、出費が心配」というパパ・ママもいらっしゃると思います。
この記事では、出産費用の都道府県別平均や自己負担額、出産費用を抑えるために利用できる制度などについてわかりやすく解説します。
なお、「出産準備にかかる費用」や「産休」について解説した、以下の記事もおすすめです。ぜひ併せてご覧くださいね。
◇産休とは?取得条件や期間、もらえる手当金をわかりやすく解説!
◇出産準備にはどれくらい費用がかかる?節約方法や助成制度について紹介!
目次
出産費用はいくらかかる?自己負担の金額は?
出産にはどれくらいの費用がかかるか気になるママ・パパもいらっしゃると思います。
2016年に公益社団法人国民健康保険中央会によって行われた調査「正常分娩分の平均的な出産費用について」によると、出産費用の平均は50万5,759円となっています。
内訳 | 金額 |
入院料 ※平均6日 | 112,726円 |
分娩料 | 254,180円 |
室料差額 ※1 | 16,580円 |
新生児管理保育料 ※2 | 5621円 |
産科医療補償制度 ※3 | 15,881円 |
検査・薬剤料 | 13,124円 |
処置・手数料 | 14,563円 |
産科医療補償制度 | 15,881円 |
その他 | 28,085円 |
合計 | 505,759円 |
※1 個室を希望した場合などに発生する費用
※2 生まれた赤ちゃんの保育・検査のための費用
※3 制度に加入している病院を利用した場合にかかる掛け金。産科医療補償制度とは、この制度に加入している医療機関で出産し、分娩時に万が一のことがあって重度の脳性まひとなった場合、家族と赤ちゃんの経済的負担を補償する制度。
出産時には、健康保険から「出産育児一時金 」として、子ども一人につき全国一律42万円が支給されます。出産一時金の額を超えた費用は自己負担となるため、平均して8万5,759円は自分たちで用意する必要があるということになります。
そのほかに、出産を迎えるための準備にも費用がかかります。「出産準備にはどれくらい費用がかかる?節約方法や助成制度について紹介!」で詳しくご紹介しましたので、あわせてご確認ください。
■都道府県別の平均出産費用は?
出産費用の平均額は、出産する施設(病院、助産所など)や出産のタイミング、分娩方法によっても大きく異なります。
特に地域による差は大きくなっています。たとえば、全国平均値が一番低い鳥取県では39万6,331円であるのに対し、一番高い東京都では62万1,814円と、その差額はなんと約22万円。
鳥取県の平均値であれば出産育児一時金の42万円でまかなえますが、東京都では自己負担額が20万円近くにもなるという計算になります。
特に都市部で高額になる傾向がある出産時の自己負担額を少しでも減らすため、行政では一時金の増額が検討されています。
出典:国民健康保険中央会 2016年度出産費用の統計情報より
出産育児一時金とは?出産費用をまかなえる?
出産育児一時金とは、全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)に申請すると、子ども一人につき一律42万円が支給される制度です。なお、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40万4,000円となります。
出産育児一時金は、流産や早産、死産、中絶も対象となっており、被保険者またはその家族である被扶養者が妊娠4ヵ月(85日)以上で出産した場合に支給されます。自治体によっては、独自の手当金制度を設けているところもあるので、事前に確認しましょう。
■出産育児一時金の3つの受け取り方
出産育児一時金には、以下の3つの受け取り方があります。
1.直接支払制度
直接支払制度は、協会けんぽが出産育児一時金を病院などの医療機関に直接支払う制度です。
メリットは、出産時に手続きできる点です。デメリットは、もし、出産費用が一時金の範囲内だった場合は、協会けんぽに差額を別途請求せねばならず、多少手間がかかる点です。
この制度を利用する場合には、出産予定の医療機関に被保険者証を提示し、退院までに「直接支払制度の利用に合意する文書」に同意しなければなりません。
2.受取代理人制度
受取代理人制度は、被保険者が受け取るべき出産育児金を医療機関が代理で受け取る制度です。
メリットは、出産費用が一時金の範囲内だった場合は差額が自動的に銀行口座に支払われるため、あらためて申請する手間がかからない点です。デメリットは、出産前1~2ヵ月前に忘れず手続きを行う必要がある点です。
この制度を利用する場合には、「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」に必要事項を記入し、協会けんぽに申請します。
3.産後申請方式
産後申請方式は、出産費用を自分で払い、産後に協会けんぽに申請して一時金を受け取るという方法です。
メリットは、クレジットカード払いができる医療機関であれば、大きな額の支払いとなるため、ポイントが貯まる点です。デメリットは、先に自分で出産費用を支払うため、50万円ほど用意しておかなければならない点です。
出産した病院が直接支払制度や受取代理制度を採用している場合でも、希望すれば産後申請方式を選択できるため、確認してみましょう。
平均以上かかることも!注意したい出産費用の+α
ここまで解説してきたのは、あくまで出産時にかかる費用についてです。このほかにも、妊娠から出産までにはさまざまな費用がかかります。ここでは、特に注意したい出産費用を3つ取りあげて解説します。
■注意したい出産費用①妊婦健診の費用
妊婦健診(妊婦健康診査)とは、妊娠中のママと赤ちゃんの健康状態を確認するためのものです。
妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回、妊娠36週から出産までは1週間に1回行われ、通常14回が目安の受診回数となっています。妊婦健診は1回5,000円前後であることが多いですが、特殊な検査を行う場合は1万円以上かかる場合もあります。妊婦健診に関しては、各自治体が無料券・補助券を配布していることが多いため、ホームページや役所の窓口などで確認しておきましょう。
■注意したい出産費用②正常分娩ではない場合
まず「正常分娩」がどんな分娩を指すかというと、自然分娩など、医療行為を行わずに赤ちゃんが産道から産まれることを指します。つまり「正常分娩ではない分娩」は、それ以外の分娩を指すということです。
帝王切開の場合、出産費用は高くなりますが、行われる医療行為が健康保険の対象となるため、自己負担分は安くなります。帝王切開は、持病などで事前に帝王切開での出産と決まっている場合のほか、ママや赤ちゃんの状況によって緊急帝王切開となる場合もあります。
また、無痛分娩(和痛分娩)の場合は、麻酔などの医療行為が必要ですが、健康保険の適用外となります。そのため、10~20万円ほどの追加費用が必要になることが多いです。
■注意したい出産費用③マタニティグッズや赤ちゃんグッズ
入院などでかかってくるお金のほか、マタニティグッズ、赤ちゃんのお世話に必要なおむつや衣類、ベビーベッドなども欠かせません。
ここにかかる費用は、親戚や友人から譲り受けたり、レンタルを利用したりすることで安く抑えることができます。出産での多額の出費に不安を感じている方は、ここで上手に節約していくようにしましょう。
出産費用が戻ってくる?知っておきたい高額療養費制度・医療費控除
高額になりがちな出産費用ですが、場合によっては医療制度が利用でき、出産にかかった費用が一部控除されることもあります。
ここでは、高額療養費制度と医療費控除について解説します。
■高額療養費制度とは?
健康保険では、医療費の上限額が年齢や所得に応じて定められています。高額療養費制度は、医療機関や薬局などで支払う医療費が1ヵ月(その月の1日から末日まで)の上限額を超えた場合に、超えた額を支給するというものです。
対象となるのは、保険適用となる診療で患者が支払った自己負担額。自己都合による差額のベッド代や先進医療にかかる費用などは対象外です。出産時においては、医療行為が行われる帝王切開などが対象となります。
■医療費控除制度とは?
医療費控除制度は、1年間にかかった医療費が一定の額を超えたときに、確定申告をすることで費用が返ってくるものです。
妊娠・出産に関する費用は、以下のようなものが対象になります。
【医療費控除制度で帰ってくる費用の例】
・ 妊婦健診の費用
・ 入院費(病院食も含む)
・ 分娩費
・ 赤ちゃんの入院費
・ 産後の1ヵ月健診
・ 通院や入退院のときにかかる交通費
・ 緊急時のタクシー代
・ 治療目的での医療機関受診
・ 不妊治療費
入院時の身の回り品や病院で出る食事以外の出前や外食、里帰り出産時の交通費などは対象外です。
控除される金額は所得によって異なりますが、年収450万円(所得税率20%)の方を例として計算してみます。
【支払い】
・ 出産時にかかった医療費50万円
・ その他医療費など5万円
【受給】
・ 出産育児一時金42万円
この年の医療費控除対象額は、以下のようにして求められます。
1.1年の医療費合計-補填された金額-10万円=医療費控除額
(50万円+5万円)-42万円-10万円=3万円
2.医療費控除額×所得税率=医療費控除で戻ってくる金額
3万円×20%=6,000円
この事例では、6,000円戻ってくるということになります。
ここで紹介した方法で、みなさんも試算してみてくださいね!
妊娠・出産では何かとお金が必要になるため、不安を感じるかもしれません。しかし、出産育児一時金や各種制度を利用すれば、必要最低限の出費でまかなえるはずです。利用できる制度がないか、出産前によく調べておきましょう。
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