約130年前の磐梯山の水蒸気爆発で起きた山体崩壊(岩なだれ)で土砂が流れ込み、河川がせき止められたことで生まれた「五色沼湖沼群」。大小を合わせると、300以上の湖沼がその周辺に存在すると言われ、裏磐梯を代表する観光スポットの1つです。実際に全長約3.6キロメートルの自然探索路を歩いてみると、大きな岩に所々で出会うことができ、噴火当時の面影に触れることができます。
五色沼と言えば、変化に富んだ水面の美しい色彩が大きな魅力。噴火口近くの銅沼(あかぬま)から流れ出た鉄分や硫黄を含んだ水。地下から湧出する地下水。雪解け水や雨水といった真水。その3種類が混じり合うことが、五色沼の美しい色彩が生まれているそうです。「それぞれの沼ごとに、混じり合う水の比率が異なり、湖沼のPH(酸性やアルカリ性の程度)がそれぞれに違っています。水面の色は、五色沼周辺の自然の力が作り出した特別な贈り物ですね」とネイチャーガイドを務める本多勝男さんは語ります。
季節はもちろん天候や時間帯が違うだけでも、五色沼の水面の色彩が変化するそうです。そのなかで、本多さんのオススメは、弁天沼とるり沼の2つの湖沼。「弁天沼は、女性的な繊細な沼です。見る高さによっても、太陽の高さや風の強さ、水深によっても、色が変わって見えます。そして、るり沼は、本当に鮮やかな青色が美しい。水面の幾重にも複雑な青色のグラデーションは、見ていて楽しいですね」。また、赤沼は酸性値が高く、酸化した鉄分の赤色と湖面の青色のコントラストが面白く、探索路周辺ではそれぞれに個性に富んだ湖沼と出会うことができます。
五色沼は、湖面の色彩だけではなく、裏磐梯の豊かな自然もその魅力の1つ。多様な動植物の生命が息づき、神秘的な美しさを演出しています。「雪解けから目覚める春は、木々の新緑の柔らかな色合い。そして、夏は見るもの全てが鮮やかに移り変わり、秋は色とりどりの紅葉が美しい。冬は一面の銀世界になります。季節の色と一緒に五色沼を楽しむのも、魅力の1つですね」。と本多さん。
裏磐梯ビジターセンターから歩き始めると、その終点にあるのが裏磐梯物産館。散策を楽しんだ後は、物産館で名物の山塩ラーメンを楽しんではいかがでしょうか。山塩は地元の温泉水を煮詰めて作った手間暇がかかる希少価値の高い塩のこと。その山塩を使用したラーメンのスープは、まろやかで散策後のカラダに優しい味わい。また、周辺には温泉が数多くあり、立ち寄ってみるのも一興です。