福島県の酪農専門の農協を前身に持つ酪王乳業は、1975年に創業。その代表する商品の1つである「酪王カフェオレ」は、創業の翌年である1976年に発売スタート。地元の人では知らない人がいないほど、福島のソウルドリンクとして親しまれているロングセラーの商品です。「発売当初からカフェオレの味わいは、基本的に変えていません。変わらない美味しさを届け続けていることが、私たちの使命ですね」。そう語るのは、酪王乳業の専務取締役である鈴木伸洋さん。
酪王カフェオレのこだわりは、新鮮な生乳を使った商品づくり。搾りたての牛乳が24時間以内に工場に届けられ、酪王カフェオレに使用されています。「牛乳は生きている飲み物だから、やっぱり鮮度は大事ですね。商品はその生乳をたっぷりと使い、牛乳本来の甘みを生かしたミルク感にこだわっていますね。地場の乳業メーカーだから出来ることを大切にしています」と鈴木さん。商品パッケージには、生乳50%以上を使用と表記されていますが、実際には生乳が70%ほど使われているそうです。
原材料である生乳は、福島県内の約200軒の契約牧場が生産。乳牛の健康状態や生乳の成分(脂肪分、たんぱく質、総菌数など)といった品質を、県内の獣医や酪農家を指導する職員と連携しながら、酪王乳業では徹底的に管理。常に安定した品質かつ安心・安全な生乳の供給ネットワークを構築しています。また、生産から加工、販売までをワンストップで提供することも、いつまでも変わらない味わいを守り続けるために大切にしていることです。
福島県内の酪農家の復興を目的に始まったミネロファームは、酪王乳業が契約する牧場の1つ。牧場長である紺野宏さんは、美味しい牛乳づくりで大切なことは、「乳牛のストレスをなくすこと」と教えてくれました。「牛舎の清潔を保つために、おがくずをたっぷり使うこと。元気がもりもりになる栄養価の高い餌を与えること。当たり前のことを、当たり前にやることがやっぱり大事。あとは日々の観察ですね。乳牛の毛づやや目の輝きを見て、健康状態にいつも気を配っています」。
福島県内の学校給食の牛乳を提供するなど、県民にとって小さいころから慣れ親しんでいる酪王乳業の商品。だからこそ、「変わらない商品を作ることが大切」と鈴木さんは語ります。「小さいころの記憶は、大人になっても変わらないことが多いと思うんですよね。だから、昔からのファンを大切に、いつまでも変わらずに、どの世代にも愛される美味しさを届けることが大切にしていきたいです」。
そして、その美味しさは、昔からのファンだけではなく、県外にもその輪は広がりつつあるそうです。イベントを実施すると、全国各地からファンが集まるなど、酪王カフェオレの美味しさは多くの人を魅了。商品以外にも、さまざまなグッズ展開をするなど、酪王乳業の今後の展開にも目が離せません。