妊娠初期の熱っぽさは正常!特徴や風邪との見分け方を解説|医師監修
2024/7/17
妊娠初期はプロゲステロンというホルモンの作用で基礎体温が高くなるため熱っぽさを感じます。この発熱は赤ちゃんに影響がないことが多いです。妊娠初期の発熱の特徴や母子に及ぼす影響などを医師監修のもと解説します。
生理が遅れ、妊娠の可能性を考えている方の中には、同時に感じる熱っぽさが不安な方も多いと思います。妊娠初期の症状なのか、赤ちゃんに熱の影響がないか気になりますよね。
そこで、この記事では妊娠初期の熱っぽさの特徴や風邪との見分け方について解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の監修者
コロンビア大学病院 一般産婦人科医
常盤真琴先生
山形大学医学部卒業、日本医師免許取得。ニューヨーク大学メディカルセンターにて産婦人科研修を修了。米国医師免許取得。現在コロンビア大学病院にて一般産婦人科医として勤務。
目次
妊娠初期は熱っぽい症状が出る
妊娠すると、なんとなく熱っぽい感じがするとよくいわれます。実際に、妊娠に気がつく最初の症状が身体の熱っぽさだったという方も多いようです。それもそのはず、妊娠初期はプロゲステロンというホルモンの作用で、基礎体温の高温期が続くのです。
基礎体温で、排卵から2週間以上の高温期が続いたら、妊娠の可能性が高いでしょう。妊娠による初期の熱っぽさは病気ではなく生理現象であり、基本的に異常ではありません。
妊娠初期の症状について詳しく知りたい方は「妊娠はいつわかる?超初期症状の内容&チェックリスト付き【助産師監修】」もあわせてご覧ください
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妊娠初期の熱は母子への悪影響はない
妊娠初期の熱は、感染症などの症状とは違い、高熱は出ません。妊娠初期の熱は、妊娠を維持するホルモンである「プロゲステロン」の作用によることが多い傾向です。そのため、この熱がお腹の赤ちゃんに悪影響を与えることはありません。
熱っぽさやほてりによる不快感があること以外、基本的に母体や胎児への悪影響はありません。また、ホルモンの作用による発熱のせいで、つわりがひどくなったり流産したりすることはないので、安心してくださいね。
妊娠初期の熱っぽさの特徴
妊娠初期の熱っぽさには、どのような特徴があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
体温が37度前後で保たれる
妊娠すると、お腹の中で赤ちゃんを育てるためのホルモンの分泌量が増加し、体温が上昇します。個人差はありますが、体温は37度前後で経過することが多い傾向です。
季節によっては、ほてったり汗をかきやすくなったりもします。一方、体感はいつもと変わらないと感じる方もいます。
病的な症状はないのに発熱が2週間以上続く
妊娠に伴う発熱は生理現象のため、咳や鼻水などの病的な症状はありません。病的な症状がないのに高温期が2週間以上続く場合には、妊娠の可能性があります。妊娠による熱の場合は、胎盤が完成する妊娠13週目頃まで高温期が続く傾向です。
高温状態が続くことにより、身体のだるさなどの症状が出ることがあります。服薬が必要なほどの症状ではないことが多いため、無理せず快適に過ごせる環境を整えてしのぎましょう。
寒いシーズンの場合、暑ければ無理に厚着などで体を温める必要はありません。暑いシーズンの場合も、冷却シートや保冷まくらなどを使って対策しましょう。しかし、体の冷やしすぎには注意が必要です。
妊娠による熱か風邪による熱かを見分ける方法
妊娠の心当たりがあるからといって、必ずしも妊娠による発熱とは限りません。風邪など病気による発熱の可能性もあります。ここでは、熱が妊娠によるものか病気によるものかを見分けるポイントを紹介します。
病的な症状があるか
妊娠による発熱か病的な発熱かを区別をするには、病的な症状があるかどうかがポイントです。風邪は、ウイルスや細菌が原因です。寒気がしたり、咳や鼻水などの症状が出たりすることが多いです。しかし、妊娠による発熱の場合は、生理現象なので、咳や鼻水などの症状は出ません。
妊娠による熱か病的な熱かを見分けるためには、病的な症状があるかどうかを観察してみましょう。
38度を超える発熱があるか
個人差はありますが、妊娠による熱は37度程度の人が多い傾向です。38度を超えることはほとんどありません。そのため、38度以上の発熱がある場合は風邪などの病気の可能性を考慮しましょう。
妊娠が分かった後で38度以上の発熱があるときには、早めに医療機関を受診してくださいね。
発熱が長期間続いているか
妊娠すると、黄体が妊娠黄体となりプロゲステロンを分泌し続けるため、基礎体温が下がりません。個人差はありますが、受精してから10週程度(妊娠12~13週くらい)まで高温状態が続くとされています。一方、風邪の場合の発熱は3日~1週間程度で治まることが多いです。
長期間発熱が続くようであれば、妊娠初期の発熱の可能性が高いといえるでしょう。しかし、病気の可能性も完全に否定できません。長期間の発熱が続く場合は、念のために医療機関を受診し、妊娠か病気かを診断してもらいましょう。
妊娠初期に注意すべき感染症
妊娠初期で発熱したときに、「妊娠による発熱にちがいない」と思い込むのは危険です。妊娠中でも風邪や感染症にかかる可能性があるからです。
妊娠中は免疫力が下がるため、妊娠していない時に比べて、風邪や感染症にかかりやすいことがわかっています。ご自身の体調で何かおかしいと思ったら、周りの人に相談したり医療機関を受診したりしましょう。ここでは、妊娠初期に注意する感染症について紹介します。
インフルエンザ
秋から冬になるとインフルエンザに感染してしまうのではないかとが心配になりますよね。妊娠中にインフルエンザにかかると、合併症を起こしやすいとされています。特に、妊娠後期は症状が重症化しやすいため、早く治療を開始することが大切です。
妊娠中でもインフルエンザのワクチンを接種することが可能です。まずは、かかりつけの医師に相談してみましょう。
新型コロナウイルス
厚生労働省の資料によると、妊娠中に感染しても、基礎疾患を持たなければ経過は同年代の妊娠していない女性と変わらないとのことです。また、おなかの赤ちゃんへの感染もまれであり、異常や死産、流産を起こしやすいという報告はありません。しかし、妊娠中に肺炎になると、重症化する可能性があります。
新型コロナウイルスのワクチンも妊娠中の接種は可能です。かかりつけの医師に相談して判断すると良いでしょう。
風疹
風疹は発熱のほか、発疹やリンパ節腫脹などの症状が起こるウイルス性感染症です。妊娠4~20週で初めて風疹にかかると、赤ちゃんが難聴や白内障、心臓疾患などの先天性風疹症候群になるリスクが高まります。
風疹の予防はワクチン接種です。しかし、妊娠中に風疹のワクチンを接種することはできないため、妊娠する前からの予防が大切です。女性と共にその家族もワクチン接種が奨励されています。
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妊娠初期は、ホルモンの影響で発熱することがあります。数週間にわたり37度前後の熱っぽさが続く傾向です。しかし、一般的に咳などの病的な症状は出ません。発熱のみとはいえ体のだるさを感じる方もいるので、その時はできるだけ快適な環境で過ごすようにしましょう。
妊娠初期の発熱は生理現象のため、お腹の赤ちゃんには影響がありません。しかし、妊娠初期でも風邪や感染症にかかる可能性もあります。高熱や病的な症状がある場合は早めに受診しましょう。
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