できてしまった妊娠線は、残念ながら完全に元のように戻すことはできません。しかし、限りなく目立たなくすることは可能なので治らないと諦めてしまわないでくださいね。この記事では今日からできるケアの方法やコツについてお伝えします。また、妊娠線ケアに特化したケアクリームの商品についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

妊娠線ができる原因とは？

妊娠線とは、妊娠して大きくなるお腹や、急な体重（体型）の変化に皮膚が追いつかず起こってしまう肉割れ線のことです。妊娠線はお腹のほかにも胸やヒップ、太ももなどに出現します。

妊娠線ができる原因のひとつとして、皮膚の構造があげられます。皮膚は表面から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の３層からなり、妊娠によりお腹などが急に大きくなると、伸縮性と柔軟性のある表皮が伸びます。しかし柔軟性に乏しい真皮が、急激な伸びに対応できないため断裂してしまい妊娠線ができてしまうのです。

また、もうひとつの原因としてあげられるのは、妊娠中に増加する副腎皮質ホルモンです。副腎皮質ホルモンは、皮膚の代謝や、肌の張りを保つコラーゲンの生成などを抑えてしまいます。妊娠中は、これらのホルモンが原因で皮膚の弾力性が低下してしまうため、皮膚の断裂も起こりやすい状態になっているのです。

できたばかりの「新妊娠線」は、ピンク色のひび割れのような線で、表面は凸凹しています。なかには、その色が少しずつ濃くなり暗紫色や赤紫色になる方もいます。産後６か月くらいになると、色がついていた妊娠線も徐々に薄く白っぽくなり、目立たなくなります。このような妊娠線を「旧妊娠線」といいます。そのため、経産婦さんの中には、これらの妊娠線が同時にみられることがあります。

また、妊娠線に間違われやすい「正中線」は、お腹の中央や、へその下から恥骨にかけて現れる茶褐色の線のこと。妊娠によるホルモンの影響で一時的に浮き出てくる線です。正中線は多くの妊婦さんにみられますが、出産すると消失し跡も残りません。

できてしまった妊娠線は消せるの？

妊娠線は、真皮が断裂して起きるものです。産後、妊娠線は白く目立たなくはなりますが、一度断裂した真皮は再生できないため、残念ながら妊娠線は完全に消すことは難しいでしょう。しかし、次の章でご紹介するような自宅でできるマッサージや保湿といったケアをすることで、妊娠線を目立たなく薄くすることは可能です。

自宅でできる妊娠線マッサージ方法

妊娠線を目立たなくするには、セルフマッサージと保湿が効果的です。
マッサージは、血液やリンパの流れをよくしてくれ皮膚の代謝を促すことが期待できます。また、保湿をすることにより肌の弾力性が高まり、皮膚のたるみも防いでくれます。マッサージの際には、クリームやオイルを使用すると、肌に負担がかかりにくいだけでなく、保湿剤が肌により浸透しやすくなるため、妊娠線を目立たなくする効果が期待できます。

ここでは、妊娠線ができやすい、お腹・胸・太もも・ヒップのマッサージ方法についてご紹介します。
なお、セルフマッサージをする際は、清潔な手にクリームやオイルをたっぷりとり、手の中で温めてから塗布しましょう。人肌に温めることで保湿剤がより浸透しやすくなり、マッサージの滑りもよくなるため、肌への負担が少なくなります。また、強い力は必要ありません。皮膚をさするくらいの力で行ってください。また、体調の悪い時は無理にマッサージをする必要はありません。そんな時は無理のない範囲でざっと保湿剤を塗布するだけでもしておくと良いでしょう。

お腹のマッサージ方法

おなかの中心から外側に向けて、時計回りに円を描くようにマッサージします。
下腹部をそけい部に沿いながら外側から内側にむけて円を描いてマッサージします。
下腹部を下から上へ上下左右にマッサージしながら保湿剤をなじませながらマッサージします。

胸のマッサージ方法

乳房の下に反対側の手をあて、胸を持ち上げるように下から上へ小さな円を描きながらマッサージします。
リンパの流れを意識しながら鎖骨沿い、そして鎖骨から脇をさすりマッサージします

ヒップのマッサージ方法

両手でお尻を下から上へ持ち上げるように円を描きながらマッサージします。

太もものマッサージ方法

太ももを両手ではさむようにし、膝から円を描くように足の付け根に向かってマッサージします。

妊娠線の治療方法５選

一度できてしまった妊娠線を消すことは難しいですが、医療機関で治療を受けることで目立たなくすることはできます。ここでは、セルフケアに限界を感じる方や、妊娠線をなるべく分からないようにしたい方におすすめの治療方法についてご紹介します。

なお、ご紹介する治療方法はすべて自由診療になり、場合によっては複数回の治療が必要です。ここでは、1回分の料金目安を紹介しますが、妊娠線の範囲や大きさ、病院やクリニックによって料金が異なるため、治療を検討される方は、治療方針もふまえて医療機関に確認をしましょう。妊娠線の治療は美容皮膚科や形成外科でご相談できます。

レーザー治療（フラクショナルレーザー）

肌に目に見えない微細な穴を開ける治療法です。回復する過程でコラーゲンが生成され、新しい皮膚に生まれ変わることで妊娠線の改善が期待できます。複数回の治療を受けることでかなり目立たなくすることが可能です。

料金目安：1回30,000円〜くらい

炭酸メソ

ダメージを受けている真皮部分に注射針で炭酸ガスを注入する治療法です。注入した部分の血流が改善し皮膚の代謝を上げます。また、注入時の一時的な皮膚のダメージが、コラーゲンの生成を促します。これらの作用により皮膚再生が促進され、妊娠線の改善が期待できます。レーザー治療と同様、複数回の治療を受けることでかなり目立たなくすることが可能です。

料金目安：1回（手のひらサイズ）35,000円～くらい

ダーマローラーあるいはダーマペン

ダーマローラーは超極細の無数の針がついたローラーを肌の上で転がすことで、表皮や真皮に微細な穴を開ける治療法です。また、ダーマペンは、ペンの先についた超極細の針で表皮や真皮に穴を開けます。穴を回復させようとする自然治癒力を利用して、妊娠線の改善が期待できます。レーザー治療よりもダウンタイムが短いのが特徴です。人によっては1回で効果を実感する方もいます。

料金目安：1回（腹部中心・臀部）65,000円～くらい

高周波治療(サーマクール)

高周波（RF・ラジオ波）の熱エネルギーを照射することで真皮を収縮させ、伸びきった皮膚を引き締める治療法です。また熱エネルギーの作用によりコラーゲンの修復と再生が促され、新しい皮膚に入れ替わります。これらの作用で妊娠線の改善が期待できる治療法です。高周波治療は、時間をかけてコラーゲンを再生させるため、効果があらわれるまでは人によって3か月～半年程かかることがあります。

料金目安：1回200,000円〜くらい

コラーゲンピール（マッサージピール）

トリクロロ酢酸を主成分とするピーリング剤を用いて真皮に浸透させ、コラーゲン生成を強力に促す治療法です。真皮でコラーゲンが生成されるため、奥深くからハリ感が生まれ、妊娠線の改善が期待できす治療法です。
料金目安：1回15,000円～くらい

他にも、PRP皮膚再生医療やリアクト（リジェネラ）などの治療もあります。

妊娠線ケアの効果を高めるポイント

妊娠線ケアの効果を高めるために、気を付けて欲しいポイントについてご紹介します。

保湿ケアを十分に行う

妊娠線を目立たなくするためには、皮膚の代謝を活発にすることが大切です。それらを促すには肌の保湿が必要になります。肌が乾燥してしまうと、古い角質層が溜まった状態になり皮膚の代謝が下がってしまいます。肌に十分な潤いを与えキープすることによって、妊娠線を目立たなくすることが期待できます。なお、お風呂の際にゴシゴシ皮膚を擦ると皮膚が乾燥しやすくなるので、優しく洗うこと、お風呂上がりにすぐに保湿するようにすると良いでしょう。

肌に優しい服を着る

刺激が強い衣類や、摩擦が強い衣類を着用してしまうと、デリケートな産後の肌を傷つけてしまいます。妊娠ケアの効果を上げるためには、肌にやさしい綿などの素材の服を選ぶことも大切です。また、産後ベルトなどを直接装着するのは避けてください。肌に優しいインナーの上から装着するか、ガーゼ生地のような肌に優しく通気性のある腹巻を着用して装着するなど、肌への刺激が最小限になるように心がけましょう。

妊娠初期から予防ケアをする

妊娠線ができる前の妊娠初期からスキンケアをすることは、とても大切です。妊娠初期から肌の保湿をすることで、肌の弾力性や柔軟性が高まり、妊娠線ができにくくなるためです。また、もし妊娠線ができたとしても、出現を最小限に抑え、目立ちにくい軽度の妊娠線で済む可能性が高まります。妊娠中は肌がデリケートになり乾燥しやすいため、お腹だけではなく全身のスキンケアを心がけましょう。

また、これ以外にも基本的な予防として、なるべく睡眠はしっかりとること、体調の良い時は適度に身体を動かすこと、タンパク質やビタミン（特にビタミンA,C,E,B2,B6）、ミネラルを摂るように意識すると良いでしょう。また、急激に体重が増加すると妊娠線ができやすくなることに加えて、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症のリスクが増えるので、食べ悪阻の時期や妊娠半ば以降のお腹が大きくなりやすい時期は特に体重を増やしすぎないように気をつけましょう。

おすすめの妊娠線ケアクリーム3選

妊娠線ケアを行う際には、デリケートな妊婦さんにも使用できる妊娠線に特化した妊娠線ケアクリームがおすすめです。妊娠線ケアクリームには、肌の水分蒸発を抑え、潤いを保つオイルタイプと、肌に水分を補い潤いをキープしてくれるクリームタイプ、肌に潤いを与え着け心地がさっぱりするローションタイプがあります。

ここでは、おすすめの妊娠線ケアクリームについてご紹介します。保湿成分や添加物の有無など、商品によって特徴が異なるため、肌質やテクスチャーなど自分に合った商品をみつけてください。

ノコア 妊娠線ケアクリーム

産後の妊娠線ケアに特化した妊娠線ケアクリーム。エステ級の美容成分配合で肌へのやさしさを追求しているため、全身にも使うことができます。肌の柔軟性やハリをよくし、スキンケアを続けることで妊娠線を目立たなくする効果が期待できます。

Mamacharm ママクリーム

高保湿成分配合で、無添加にこだわった妊娠線ケアクリーム。ミルクタイプのクリームだから、伸びがよくベタつきにくいため快適に使用することができます。妊婦さんが好きな柑橘系のやさしい香りで、スキンケアが癒しの時間になります。

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できてしまった妊娠線は、ケアによって目立たなくすることが可能です。妊娠中はもちろん、産後も全身のスキンケアを続け、少しでも理想の体を手に入れましょう。とはいえ、妊娠線ができてしまっても、赤ちゃんを育てた自分とお腹にぜひ誇りを持ってくださいね。

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