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厚切りジェイソンさんインタビュー「僕は目標を立てるのが嫌い。それよりも大事なのは自分が一番活躍できる分野の知識を磨きながらずっとアンテナを張っていること。」

日本でも必修化が迫ったプログラミング教育。親や学校の混乱に喝を入れてくれるのは、お笑い芸人の厚切りジェイソンさん。実は芸能界にデビューする以前はITの道一筋で、現在も芸能活動の傍らIT企業の役員として深くこの業界に携わっています。話題はプログラミング教育にとどまらず、小さなお子さんを持つ父親として、そして日本に長く住んでいるアメリカ人として、いろんな視点から考える教育論についても話が及びました。

自分だけができる特別なスキルがあると活躍しやすい!それがプログラミングと日本語でした

厚切りジェイソンさん:僕が生まれた33年前はもう世界にいろんなものが出来上がっていて、宇宙まで人間が行っていたし、もちろん飛行機も飛んでいて。それでも家のなかにはまだパソコンがなかったんです。
でも僕が10歳になる頃にはほとんどの人が家にパソコンを持つようになったし、20歳になるとインターネットで全世界が繋がるようになって、さらにスマホで誰でもどこからでも簡単に全人類の知識が調べられるようになりました。そういう進化がちょうど僕が義務教育を受けていた最中に周りに起きていたので、インターネットがあれば1人でも少人数でも、スケールが大きいことや世界的なことができるようになると確信したんです。

mama’s life編集部:そういう世界的な変化を肌で感じるうちに、IT業界に進みたいと思われた?

厚切りジェイソンさん:そうですね。あとはうちのお父さんが急にリストラされて自分の会社を作って、家でエンジニアのコンサル的なことをやるようになったので、わりと早い段階で家のなかにパソコンがあったんです。
それでお父さんが使わなくなったパソコンは僕が使っていいと言われていたので、早くからパソコンに触れる機会があったことも、ITをやっていきたいと思うようになった理由だと思います。

mama’s life編集部:大学ではコンピューターサイエンスを専攻されたそうですね。

厚切りジェイソンさん:日本では大学の専攻とは違う分野に就職をするという人も多いですけどアメリカは専門性が問われる社会なのでプログラマーとして就職したいなら当然コンピューターサイエンスの学士が必要なんですね。だから僕はその方面へ進みました。

mama’s life編集部:その後は学んだ専門性を生かして就職されたわけですが、プログラミングをやっていて良かったと思うことはありましたか?

厚切りジェイソンさん:最初に就職した会社では電子レントゲンの保管をするシステムのプログラミングを3年やりましたし、そのあともわりといい仕事ができているのは、プログラミングができたお陰だと思っています。
最初に日本に来たのは学生時代で、1年間日本の企業のインターンとして研究をしていたのですが、そのあとまた日本に住みたいと思ったときも2つの会社から内定をもらえました。
そのときの僕が選んだほうの会社の待遇はもう1社の5倍も高かったんですよ。それで失敗したらクビだけど、成功したらとんでもない待遇がもらえる。そういうところに参加できたのは良かったし、さらにそこから出世コースに乗って24歳で日本法人の社長もやることができた自分の経験から思うことは、自分だけができる特別なスキルや専門知識があると社会では活躍しやすい、出世しやすいと思います。
僕の場合はそれがプログラミングのスキルと、第二外国語として勉強していた日本語だったわけなんですけど。

mama’s life編集部:それにしても24歳で社長ってすごい経歴ですよね。

厚切りジェイソンさん:日本ではそう言われるけど、アメリカでは当たり前ですよ。実力があればそうなりますし、実力があっても認められなければ自分で起業します。日本では専門性を問われない社会でジェネラリストが求められるし、キャリアは年数に比例する。その考え方がアメリカとは全然違うんです。

mama’s life編集部:ちょっと話が飛びますが、よくプログラミングを学ぶことで論理的思考力が付くと言われますが、ご自身がプログラミングを学んだことで、身についたと感じる能力はありますか?

厚切りジェイソンさん:仕事以外のところでも、プログラミング思考は使えていると思います。僕の場合、老後のための資産運用とか投資は論理的に計算して考えて、ただただドライに、感情的にならずにプログラミングのようにルールを決めて毎月やっていて、それはある程度はうまくいっています。

プログラミングは子どもが楽しくパソコンを覚えることが一番大事

mama’s life編集部:ご自身の将来についても人生計画ができているのでしょうか?

厚切りジェイソンさん:それはないです。僕は目標を立てるのが嫌いですし、「何歳までに○○をやる」と無理やり締め切りを決めると、その年齢になったら成功していたらそれで終わる、成功してなかったら今まで頑張った分はなんだったのかとがっかりして終わる、の2つの選択肢しかないと思うんです。それよりも大事なのは自分が一番活躍できる分野の知識を磨きながらその機会が来るまでずっとアンテナを張っていること。そして自分が持っているスキルを最大限に使えるものが来たときに動き出せばいいんです。就職を例にするなら、自分がやりたいことを自分から取りにいけば、向こうは“いくらでもいるから別にお前じゃなくてもいい”と思って低い給与待遇でいくけど、向こうから“あなたしかいない。ぜひやってください!”って言われる立場になればいいんです。僕はそれをやっていたから、24歳で日本法人社長になったときも、僕以外にその会社が必要としていたスキルを持っている人がいなかったんです。選挙で相手がいなくて立候補する、みたいな感じですね(笑)。

mama’s life編集部:唯一無二の人材になれるように自分の得意分野を見つけてそのスキルを磨くことが大事なんですね。そして現代のスキルのひとつと言われているのがプログラミングですが、ジェイソンさんも娘さんとプログラミングを一緒にやっているそうですね。何かきっかけがあったのでしょうか?

厚切りジェイソンさん:僕が子供のときにもプログラミングを勉強していたっていうこともありましたし、今は日本でも「これからの時代に必須になる」と言われているので娘にも経験させたいと思って、小2の長女が楽しめる要素を見つけて、それをプログラミングで作ったりしています。例えば娘と僕とお菓子の写真を撮って、娘の顔からお菓子が飛び出して、それが僕の顔に当たったら音が鳴るとか。娘に「こんなに簡単に動かせるんだ」って思わせることで、本人が楽しくパソコンを覚えることが一番大事なので、どうやって工夫するかを親子で話しています。今は僕が子供の頃よりも簡単に楽しくプログラミングができるツールや教材がいっぱいあるので、小さいお子さんでも取り組みやすいと思います。

子供にやり方を教えるのではなく、子供に学ぶ喜びを覚えさせること

Mama’s life編集部:2020年には日本の小学校でも必修化されるそうですが。

厚切りジェイソンさん:はい、そのようですね。僕の考えですが、プログラミングのための特別な時間を作るんじゃなくて、プログラミングをわからない先生が他の教科の授業のなかでプログラミングを取り入れるだけでは、うまくいかないと思うんですよ。
他の教科を教えながらついでにプログラミングをって言われてもパンクしちゃう。僕がアメリカにいたときは担任の先生とは別の特別な先生がプログラミングを教えるためだけに来ていました。だから日本でも特別な先生と特別な時間を用意する必要があると思います。
そうでないと国語や算数のついでにプログラミングを学びましょうでは、子供がただ混乱するだけ。この間僕の娘の参観日に行ったらタブレットを使う授業があったんですけど、先生も使いこなせてないから子供も使えてなくて、ただトラブルを解決するだけで時間が終わってしまって。今のままだと「プログラミング教育の必修化」でそういうことが増えていくだけなんじゃないかなと……。

Mama’s life編集部:それだとどっちにもマイナスですよね。

厚切りジェイソンさん:結局プログラミングの勉強もできてないし、算数や国語もそのせいで遅れることもあると思うんですよね。英語もそうですけど、他の教科の片手間に教えるんじゃなくて、特別な時間を作って、専門の先生がやらないと意味がない。
必修化だから親は安心して任せられると勘違いしてしまうけど、英語もプログラミングも全部が中途半端で終わってしまう。どちらも大事なのは家庭での補足なんです。そもそも日本の親は学校や先生に期待しすぎて教育機関に任せっきりしすぎだと思います。

Mama’s life編集部:英語もプログラミングも、本格的に学びたいなら個々人が頑張らなくてはいけないと。

厚切りジェイソンさん:そうです。学校でやるべきことは、子供にやり方を教えるのではなく、子供にそれらを学ぶ喜びを覚えさせることなんです。「プログラミングがあります。プログラミングがあればこういうことができます。あとは自由にやってください」で十分です。
英語も同じで、自分はなんで英語をやらなければいけないか、どういうツールを使えばできるようになるのかだけを教えて、あとは自分でできるような仕組みを作るべきだと僕は思うんですね。でも日本の親は学校はやり方も正解もすべてを丸暗記して教えてくれる機関だと思っているから、子供たちに学ぶ喜びがなくなるし、受験で勉強が嫌いになるっていう子供が多いのは残念だなと思います。

親は子供が自分で自分の将来を作り上げていくためのサポート役

Mama’s life編集部:では3人の娘さんを持つご自身の子育て論はありますか?

厚切りジェイソンさん:自分がやりたいことをできるような人になってほしいので、スキルを持つよりも自信を持って自分がやりたい方向に進める人になってほしいです。
だから自分の娘には「こうやりなさい」と言いたくないし、何がしたいのかを自分で考えて、自分がそれをやるためには何が必要なのかを計算して、計画を作ってそれをできるようになってほしいっていう話をしています。
「英語を勉強しなさい」ではなくて、「将来何がしたい? それなら英語を覚えたほうが有利だよね」っていうことですよね。子供に無理やり「あれしなさい、これしなさい」って強制して学ぶことを嫌いにさせるよりも、本人が夢中になれるようなことを自分で見つけて、本人が「じゃあやる!」って決めて始めたほうが努力できると思うんです。自分がやりたくてやってることと、やらされていることでは意欲が全然違いますから。
だから子供には自分の強いところを自分で見つけてそれを自分で磨いていけるような意思を持っていてほしいと僕は強く思っています。

Mama’s life編集部:そうしたら子供のために親ができることとしては、子供自身は何が好きなのか、どんなことに向いているのかを見極めるために、いろいろな体験をさせてあげることなんでしょうか?

厚切りジェイソンさん:そうですね。とりあえずなんでもやる。子供によって向き不向きもあるし、子供の興味もどんどん変わりますけど。もし「やってみたけどつまらない」って子供が言うなら「そうか。じゃあこれもあるよ、あれもあるよ」って提示してあげればいいんです。親は子供にどうなってほしいか決めるのではなく、子供が自分で自分の将来を作り上げていくためのサポート役である必要があると思います。

Mama’s life編集部:では最後の質問になりますが、プログラミング必修化を不安に思っている親御さんに一言、エールを送っていただけませんでしょうか?

厚切りジェイソンさん:不安になっている人は、たぶんプログラミングに触れたことがないからなんで自分が不安になっているのかも理解していないと思います。
日本人はまだ何もやってないのに不安ですと相談してくる人が多い! 
まずはやってみて難しそうだと思ってから不安になりましょう。日本にも「案ずるより産むが易し」っていう言葉がありますし、やってみれば意外と簡単かもしれない。とりあえず「自分もわからないけど、一緒にやってみようか」って言って子供と一緒にプログラミングをやってみる姿を見せることが何より大事です。
親が焦っているだけで何もしなければ、子供も何もしない人になってしまう。でもやってみて不安を解決しようとしている姿を見せれば、子供も同じようにまずはやってみるはずです。だから親もプログラミングとはなんなのか、まずは触れてみる。そこからじゃないですか? 
今は簡単で楽しいプログラミング教材が大量にあるから、入り口も広くなっています。難しそうって言っている方は、ずっと昔の0と1でできた世界のイメージのままだと思うんです。最近は本当に時代が変わっているので、最新のプログラミング教材は何があるのかを自分でとりあえず調べてやってみてください。やってみたからといってなんの損も恥も、悪いこともないし、スクラッチとか、ビスケットとか、無料で使える教材もたくさんありますから。やらない理由はゼロですよ!

厚切りジェイソン
ワタナベエンターテインメント所属。1986 年、アメリカ・ミシガン州出身。 17歳のとき、飛び級でミシガン州立大学へ入学後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校へ進み、 エンジニアリング学部コンピューターサイエンス学科修士課程修了。 日本でIT企業役員として働きながら、2014年にお笑い芸人としてデビュー。 芸歴5ヵ月で 『R-1ぐらんぷり2015』 決勝へ進出。現在、バラエティ、CMなどで活躍中。 著書に『日本のみなさんにお伝えしたい48のwhy』、『厚切り英単語』がある。

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