2023.08.21

日本酒の飲み方は?美味しく飲むための基本からツウなアレンジ方法まで紹介

日本酒の飲み方は?美味しく飲むための基本からツウなアレンジ方法まで紹介

日本酒をもっと楽しみたいと思っているものの、日本酒にはどういった飲み方があるかよく知らない、という方は多いのではないでしょうか。

日本酒は、同じ銘柄でも温度やアレンジ方法によってがらりと変わった味わいが楽しめるので、いろいろな飲み方を知るとより楽しめるようになります。

この記事では、酒と食に関するセミナーなども行う専門家の友田晶子さん監修のもと、冷酒や熱燗など温度による飲み方の違いや、日本酒を上手に楽しむための基本的な飲み方を紹介します。

さらに、ツウな飲み方やアレンジした飲み方、温度による飲み方別におすすめの日本酒も紹介するので、これから日本酒をもっと楽しみたい方はぜひ参考にしてください。

監修者
友田 晶子

日本のSAKEとWINEを愛する女性の会 代表理事

友田 晶子(ともだ あきこ)

米どころ酒どころ福井県に生まれ、ワインの輸入販売やフランス留学を経験。現在は、業界30年以上のキャリアと感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー・イベントの企画・開催、ホテル旅館・料飲店・酒販店・輸入業者などのプロ向けコンサルティングと研修を行っている。お酒にまつわる書籍を20冊以上執筆したほか、田崎真也氏オーナーのワインバー「アルファ」(銀座)代表を歴任。お酒を通じて女性の教育・活用 社会進出支援に力を入れる一般社団法人「日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称:SAKE女・サケジョの会)」の代表理事として活動中。

アイコン目次

温度の違いによる日本酒の飲み方

日本酒は幅広い温度で楽しめるお酒で、同じ日本酒でも温度によって味わいや風味が異なります。

日本酒の温度による呼び方の違いを以下の表にまとめました。

温度 呼び方 特徴
冷酒 5℃ 雪冷え 冷たいため香りが立ちにくく、細かな味わいを感じにくい
10℃ 花冷え 飲んでいるうちに徐々に香りが広がり、スッキリとした味わい
15℃ 涼冷え 華やかな香りを感じられ、味わいにとろみを感じられる
常温(冷や) 20℃前後 室温 やわらかな香りや味わいが感じられる
ぬる燗 30℃ 日向燗 香りが引き立ち、なめらかな味わい
35℃ 人肌燗 米や麹の良い香りが引き立ち、さらりとした味わい
40℃ ぬる燗 豊かな香りを感じられ、ふくらみを感じられる味わい
熱燗 45℃ 上燗 引き締まった香りと味わいの中に柔らかさが感じられる
50℃ 熱燗 シャープな香りが感じられ、辛口で切れ味の良い味わい
55℃ 飛び切り燗 強いお酒の香りを感じられ、辛口な味わいになる

次の項目では、分類ごとにその飲み方や特徴を詳しく紹介します。

冷酒

冷酒とは、日本酒を冷蔵庫で冷やして5~15℃程度の冷たい状態で飲む方法です。

冷酒の中でも、具体的な温度によってさらに呼び方が異なります。

  • 5℃:雪冷え(ゆきひえ)
  • 10℃:花冷え(はなひえ)
  • 15℃:涼冷え(すずひえ)


温度が低いほどのどごしがスッキリと軽くなり、フレッシュさを楽しめるようになります。冷やすことで日本酒特有のクセも抑えられ、香りも落ち着き飲みやすくなります。

ただし、冷やしすぎると日本酒の風味が感じにくくなってしまう場合もあります。冷酒で日本酒を味わいたい時は、果実のような香り高い吟醸酒や大吟醸酒がおすすめです。

容器ごと冷蔵庫で冷やしグラスの中での温度の変化を楽しむ飲み方や、オンザロックと呼ばれる氷を入れる飲み方もあります。

常温

日本酒の常温は20℃前後をさし、冷や(ひや)とも呼ばれます。

口に含んだ時にやや冷たさを感じる程度の温度で、冷酒よりも日本酒特有の香りや風味が引き立つため、利き酒をする時は一般的に常温で行います。

常温はバランス良く味を感じられる飲み方で、常温が向いている日本酒は多くあります。特に純米酒のような米の旨味をより感じる日本酒は常温で飲むのがおすすめです。

ぬる燗

ぬる燗は、口に含んだ時に温かさを感じる、30~40℃程度の体温程度で飲む方法です。

ぬる燗の中でも温度によって呼び方が異なります。

  • 30℃:日向燗(ひなたかん)
  • 35℃:人肌燗(ひとはだかん)
  • 40℃:ぬる燗(ぬるかん)


日本酒は、温めると香りや旨味が引き立ちふくよかでまろやかな味わいになります。純米酒や本醸造酒、普通酒はぬる燗で飲むのがおすすめです。

ぬる燗は、湯煎や電子レンジを活用して上手に作ることができます。

【湯煎でぬる燗を作る方法】

  1. 日本酒を入れた徳利にラップをかける
  2. 沸騰直前の熱湯で2分半湯煎する


短時間にすることで、アルコールやお香りを飛ばさずに温めることができます。

【電子レンジでぬる燗を作る方法】

  1. 日本酒を入れた徳利にラップをかける
  2. 電子レンジ500Wで約50秒温める(常温の日本酒1合の場合)


徳利の中の上部と下部で温度ムラが出てしまう場合は、約20秒温めてから一度取り出し、徳利を振って中の温度を均一にしながら温めましょう。

熱燗

熱燗は、ぬる燗よりもさらに熱く温めた50℃前後で日本酒を飲む方法です。

熱燗も温度によって表呼び方が異なります。

  • 45℃:上燗(じょうかん)
  • 50℃:熱燗(あつかん)
  • 55℃:飛びきり燗(とびきりかん)


日本酒は温めると香りや味わいがシャープになり、冷酒や常温では感じ取れないような細かな味わいまで感じられる点が魅力です。

辛口の日本酒が好きな方におすすめの飲み方で、純米酒や本醸造酒のようにしっかりとした味わいの日本酒が向いています。

熱燗もぬる燗同様に、湯煎や電子レンジで温めて作るのが一般的です。

【湯煎で熱燗を作る方法】

  1. 日本酒を入れた徳利にラップをかける
  2. 沸騰直前の熱湯で3分湯煎する

【電子レンジで熱燗を作る方法】

  1. 日本酒を入れた徳利にラップをかける
  2. 電子レンジ500Wで約60秒温める(常温の日本酒1合の場合)


温めることで香りが飛んでアルコールの刺激が残り本来の旨味が損なわれてしまう恐れがあるため、温めすぎないように気をつけましょう。

一度温めてから、時間が経つにつれて温度の変化による日本酒の風味の違いを感じられるのは、熱燗ならではの楽しみ方です。

日本酒の上手な飲み方

日本酒を上手に楽しむには、適切な飲み方を心掛けることも大切です。日本酒を飲む時に意識したい上手な飲み方を3つ紹介します。

和らぎ水と一緒に飲む

和らぎ水とは、日本酒を飲む時に一緒に飲む水で、飲み過ぎの防止や悪酔い、二日酔いを予防する効果が期待できます。

日本酒はアルコール度数が高いものでもストレートで飲むことが多いため、胃や腸への刺激を和らげるためにも和らぎ水が重宝します。

和らぎ水は、常温で用意するのがおすすめです。

一口ずつゆっくり飲む

日本酒は香りや味わいを楽しめるお酒なので、一気に飲まずに一口ずつゆっくり味わう飲み方がおすすめです。

小さなおちょこは一口で飲んでしまいがちですが、お米の旨味を味わいながらゆっくりと楽しみましょう。

おつまみと合わせて楽しむ

日本酒のみを続けて飲むのではなく、同時におつまみを楽しむのもおすすめです。肝臓の負担の軽減や、飲み過ぎの防止にも繋がります。

日本酒の銘柄や、好きな温度に合わせたおつまみを選んでみるのも日本酒を上手に楽しむコツです。

例えば、冷酒には魚の塩焼きやお刺身、だし巻き卵などの素材の味を感じられるもの、熱燗にはおでんやサバの味噌煮などの温かい煮込み料理が良く合います。

銘柄と合わせてお気に入りの組み合わせを見つけてみるのもおすすめです。

日本酒のツウな飲み方

日本酒のツウな飲み方

日本酒の上手な飲み方の基本がわかったら、次はツウな飲み方に挑戦するのも良いです。おすすめのツウな飲み方を3つ紹介します。

食事に合わせて日本酒の種類を選ぶ

日本酒は、原料となるお米が作られる土地や造り方、銘柄により風味や香りが全く異なるところが魅力です。

そのため、それぞれの日本酒の個性や味の特徴から、料理の味をより引き立てる相性の良い日本酒を選ぶのは、ツウな楽しみ方のひとつです。

基本的には、食事の味の系統が似ている日本酒を選ぶのがおすすめで、例えば冷たい料理には冷酒、温かい料理には熱燗、甘い味付けの料理には甘口、塩気のある料理には辛口の日本酒が良く合います。

以下の表では、お酒の種類別の特徴とともに、相性の良い料理の例を挙げています。

お酒の種類 味わいの特徴 相性の良い料理の例
純米系 お米の香りがふくよかに香る 白米に合うしっかりした味付けの料理
例:煮物、肉料理、野菜炒め
吟醸系 フルーティーな香りと爽やかな味わい 素材の味を活かしたあっさりした料理
例:刺身、カルパッチョ
普通・
本醸造系
淡麗辛口で、香りは控えめ 幅広い料理と合う
例:冷奴。魚の塩焼き
古酒系 複雑で重厚な 熟成させた料理や甘みの濃い料理と合う
例:うなぎの蒲焼、豚の角煮

利き酒を楽しむ

利き酒とは、色・香り・味の3つを判定基準として五感を使って日本酒の品質を判定することです。本来は、日本酒の品質チェックを目的に酒蔵や酒飯店が行いますが、一般の方にも浸透しつつあります。

日本酒を口に含んだらすぐには飲まず、舌の上で転がすようにして味わいます。複数の日本酒を比較しながらじっくりと楽しむのもおすすめです。

酒器を楽しむ

日本酒を飲むための酒器にはさまざまな種類があり、飲み方に適した器を選ぶのもツウな飲み方のひとつです。

酒器の素材や形状が異なると日本酒の温度変化や口当たりの感じ方も異なるため、銘柄と器の組み合わせで数多くのパターンが楽しめます。

日本酒に使われる主な酒器の中で、最もポピュラーなのは「おちょこ」です。こぶりなサイズ感で少しずつ飲めて、温度が変化しにくく注ぎたての香りを楽しめます。

ほかにも、おちょこより大きくて深さがある「ぐい呑み」もあります。

厚みのある陶器は熱燗の温度を保ちやすい、容量が多い酒器は温度の変化による風味の違いが楽しめる、口径が大きい酒器は香りが広がりやすい、ワイングラスで飲むとしっかりと豊かな香りを感じられるなど、それぞれに特徴や魅力があります。

日本酒をアレンジする飲み方

日本酒が好きでよく飲む方は、いつもの飲み方と異なる飲み方もおすすめです。

反対に、日本酒をあまり飲んだことがない初心者の方でも、アレンジすればそのまま飲むよりも飲みやすくなる場合があります。

次の項目では、日本酒をアレンジする飲み方を5つ紹介します。

ロックで飲む

ロックとは氷を入れる飲み方です。一般的には焼酎やウイスキーで用いられる飲み方ですが、日本酒にもおすすめです。

ロックは冷酒よりも軽やかで滑らかな味わいになり、氷が溶けだしてアルコール度数が下がるため、お酒が弱い方でも飲みやすくなります。

カクテルやサワーにして飲む

日本酒は、カクテルやサワーとして飲むのもおすすめです。オレンジやキウイ、グレープフルーツなどの柑橘類との相性も良く、生搾りで贅沢に香り高く仕上げる、100%のジュースで割るなどして飲むのも良いです。

さらに炭酸水やサイダーで割ると、より爽やかな味わいに仕上がります。

割り方を変えることで日本酒特有の香りが落ち着き、アルコール度数も下がります。自分好みの割り方や組み合わせを見つけるのもおすすめです。

みぞれ酒にして飲む

みぞれ酒とは、お酒を凍らせてシャーベット状にしたもので、暑い夏にぴったりの飲み方です。居酒屋やバーで提供されるみぞれ酒の中には、グラスに注いだ瞬間に日本酒がシャーベット状に凍るものもあります。

家庭で作る場合は、グラスに日本酒を注いでラップをかぶせ、時々かき混ぜながら4~5時間冷凍庫に入れておくと、シャーベット状に仕上がります。

みぞれ酒は、味わいが爽快な日本酒や、12度~14度程度のやや低めのアルコール度数の日本酒が向いています。

バニラアイスにかける

日本酒をバニラアイスにかけるアレンジ方法は、いつもと違う味わいを楽しみたい時におすすめです。

バニラアイスに日本酒をそのままかけるだけで完成する手軽さが魅力です。

発泡性のある日本酒をかけてクリームソーダ風に味わうなど、銘柄やアイスの種類によってさまざまな風味を楽しめます。

日本酒でゼリーを作る

日本酒はゼリーにしても美味しく楽しめます。

作り方は簡単で、まずはお鍋に日本酒と水、グラニュー糖などを入れて沸騰させ、火を止めた後にゼラチンを入れて溶かします。そして、型などに流し込み冷蔵庫で冷やし固めると日本酒ゼリーの完成です。

作る工程で水と混ぜ、さらに火にかけるためアルコール度数が低くなります。

アルコールが弱い方にもおすすめの楽しみ方で、レモンを合わせると爽やかな味わいになり、より食べやすくなります。

日本酒の飲み方や注ぎ方のマナー

日本酒は、ビジネスやお祝いの正式な席で飲むことが多いお酒でもあるため、飲み方や注ぎ方のマナーを知っておくことも大切です。

お酌をする時は、基本的に徳利(とっくり)からお猪口(おちょこ)や盃(さかずき)に注ぎます。手の甲を上に向けて、8分目程度まで注ぐようにしましょう。

お酌を受け取る時は、必ずお猪口や盃を手に持ち、注いでもらったあと一口だけ口をつけてから置くのがマナーです。

また、徳利の中をのぞいてお酒の量を見る、振ってお酒の量を確認するなどの行為は、「のぞき徳利」「振り徳利」と呼ばれマナー違反になるため注意しましょう。

【飲み方別】日本酒のおすすめ4選

楽天市場で取り扱いのある日本酒の中から、専門家が選んだ飲み方別(冷酒、常温、ぬる燗、熱燗)のおすすめを紹介します。ぜひ参考にしてください。

冷酒で飲むのにおすすめ「八海山 純米大吟醸」

容量 720ml
蔵元 八海醸造
産地 新潟県
種類 純米大吟醸酒
アルコール度数 15.5度
味わい 切れがよく飽きのこない透明感のある味わい
おすすめの飲み方 冷酒
おすすめの付け合わせ 濃い味付けの料理、サバの味噌煮など

八海山は、新潟県南魚沼市の八海山の伏流水で造った日本酒です。麹はすべて手づくりで、使用する酒米は山田錦や五百万石、美山錦を組み合わせ、45%まで精米しています。品な甘やかさがふわっと広がるのが特徴です。

常温で飲むのにおすすめ「男山 御免酒 特別純米原酒」

容量 720ml
蔵元 男山
産地 北海道
種類 特別純米酒
アルコール度数 13度
味わい 爽やかな酸味が立つ辛口
おすすめの飲み方 常温
おすすめの付け合わせ 肉料理、海鮮、天ぷら、だし巻き卵、魚の塩焼きなど

辛口でありながらも、爽やかな酸味と優しい味わいが特徴の特別純米酒です。冷やや冷酒でも美味しく味わえて、肉料理はもちろん、魚料理や卵料理など、幅広い食材や料理と相性の良い日本酒です。

ぬる燗で飲むのにおすすめ「菊正宗 上撰 純米樽酒」

菊正宗 上撰 純米樽酒

菊正宗 上撰 純米樽酒

容量 1,800ml
蔵元 菊正宗酒造
産地 兵庫県
種類 純米酒
アルコール度数 15度
味わい 吉野杉の爽やかな香り。純米酒らしい余韻ある旨味
おすすめの飲み方 ぬる燗
おすすめの付け合わせ 焼き鳥、いわしの蒲焼、豚肉の味噌焼き、和え物など

日本酒にまつわるさまざまな賞を獲得した、実力のある名高い日本酒です。辛口でやや淡麗な味わいは、和洋中問わず濃厚な味付けの料理や、香辛料を多く使った料理と特に良く合います。キリッとしたのど越しも菊正宗の特徴です。

熱燗で飲むのにおすすめ「賀茂鶴 特別本醸造 超特撰特等酒」

容量 720ml
蔵元 賀茂鶴酒造
産地 広島県
種類 特別本醸造酒
アルコール度数 15.8度
味わい ふくよかな香りと深いコク、濃醇な旨味
おすすめの飲み方 熱燗
おすすめの付け合わせ 鍋料理、ネギ焼きなど

賀茂鶴は燗にして旨い日本酒を専門家が選ぶ大会「燗酒コンテスト」で複数回金賞や大賞を受賞しています。さまざまな料理に合い、晴れの席にもぴったりな日本酒です。

まとめ

日本酒は、冷酒から熱燗まで、温度によって異なる風味や味わいを楽しめるのが特徴です。それぞれの飲み方の特徴を知っておくと、より深く日本酒を楽しめます。

日本酒を上手に楽しむコツは、和らぎ水を用意し、一口ずつゆっくりとおつまみとともに味わうことです。

紹介したツウなアレンジ方法を試して、ぜひお気に入りの飲み方を見つけてみてください。

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2023/12/29 22:15更新