産後うつ病とはどんな症状?精神科医が解説
2021/12/10
産後うつ病とは、どのような症状で、いつごろ起こるものなのでしょうか。この記事では、産後うつ病をマタニティブルーズと比較しながら、主な症状・原因・対処法について詳しく解説しています。
この記事の監修者
精神科医、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医
岡田夕子先生
岡田夕子先生2005年3月に国立大学を卒業、その後小児科医を経て精神科医に転向。単科精神科病院を中心に勤務を行い、精神科医歴は10年を超える。現在はクリニック勤務となり、児童思春期を専門としているが、一般精神科外来も多数行っている。
目次
最近、産後うつという言葉がよく聞かれるようになりました。正式には、「産後うつ病」といいます。
産後うつ病は、誰もがかかる可能性がありますが、予防や、適切な治療で治すことが可能な病気でもあります。(ただし、産後うつ病は躁うつ病のリスクが高い人がなりやすいなどの説もあります。)
今回は、そんな産後うつ病について、症状やマタニティブルーズとの違い、もし産後うつになった場合の対応を解説します。
産後うつ病とは?どんな症状が起こるかチェックしておこう
産後うつ病は、産後どれくらいの時期に発症するのか、どのような症状が出るのかについてご紹介します。
産後うつ病の症状
産後うつ病にかかると、精神面や身体面に症状が現れます。個人差があるものの、以下のような症状が出る可能性があります。但し、すべての症状が出るわけではありません。
・不安、緊張、パニックになる
・イライラする
・希望を持てない
・集中力や記憶力が弱くなる
・気分が変化しやすい
・せかせかする
・興味に欠ける
・自分を責める
・自分を情けなく思う
・子供や夫に愛情を感じない
・疲労感・不眠が出る
・食欲がなくなる
産後うつ病を発症する時期は、出産直後が多いとされています。日本の場合、里帰り出産を終えた頃、または親の産後の手伝いが終わる産後1か月前後は、産後うつ病が起こりやすい時期と考えられています。
産後うつ病については産後2週間以後に発症したもの、と正式には定義されています。しかし、統計をとってみると産後うつ病のほぼ全ての症例で産前から何かしらの症状があるという報告も多いのが実情です。早ければ出産の半年前から症状が現れ始める人もいます。「産後」というネーミングから産後でないと起こらないと考えがちですが、そうではない例もあることを頭の片隅に置いておいてください。
産後うつ病は、重症度によって治療方法が違います。しかし、適切な治療を受けることによって治る病気です。産後の心の病気は早期に対応しないと長引くことがあるため、少しでもおかしいなと思ったら早めの受診をおすすめします。
産後うつ病とマタニティブルーズの違いとは?
産後うつ病と並んで、耳にする言葉に「マタニティブルーズ」があります。ここでは、産後うつ病とマタニティブルーズの違いについて解説します。
・マタニティブルーズ
マタニティブルーズは生理的な変化であり、産後のホルモンが影響しているのではないかと考えられていますが、原因ははっきりと分かっていません。マタニティブルーズの場合は治療の必要はなく、時間の経過とともに症状はなくなっていきます。産後3〜10日頃に発症し、症状は軽く2週間ほどで良くなります。症状は、一時的な軽い抑うつ感、不安、集中力の低下、涙もろさ、感情の不安定、睡眠障害などです。
・産後うつ病
産後うつ病は、産前から発症するという説もありますが、定義上は産後2週間以降に発症します。いつまでの発症を産後うつ病と呼ばなくなるかは決まっていません。不眠、不安、気分不調、食欲不振などの前駆症状の続き、強い抑うつ症状が出てきます。
マタニティブルーズは一時的な軽いうつ状態であるのに対し、産後うつ病は症状が重く、治るまでの時間も長くなっています。また、症状が生じる時期もマタニティブルーズは産後2週間以内、産後うつは産後2週間以降と違いがあります。
産後うつ病かもと思ったら、チェックリストで自己診断しよう
産後うつ病の可能性が気になった方は、まずは自分で手軽にできるセルフチェックを試してみるのもよいでしょう。
例えば、イギリスで開発され※、日本語に翻訳して広く使用されている「日本語版 EPDS (Edinburgh Postnatal Depression Scale)」というセルフチェックがあります。主に、妊娠中から産後1年頃まで使用が可能です。日本語版 EPDSは、インターネット上で公開されていますので、気になった方は検索してみてください。
ただし、チェックリストはあくまでも目安です。健康状態が気になる方は、心療内科や精神科を受診して、まずは話を聞いてもらうことをおすすめします。
※エジンバラ産後うつ病自己評価票 (Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS)
産後うつ病の原因は何?
現在、産後うつ病の原因ははっきりと分かっていないものの、ここでご紹介する5つの要因が関係している可能性が指摘されています。また、危険因子としては過去の産後うつ病、躁うつ病・うつ病の人が家系にいることがあげられます。
1.身体的な疲労の蓄積
産後は、妊娠・出産を経て、体力が消耗している時期です。それに加えて、授乳などの育児で寝不足にもなりやすく、身体的な疲労が蓄積しやすくなります。
2.ホルモンの変化
妊娠中は赤ちゃんをおなかの中で育てるホルモンがたくさん出ています。しかし、出産するとおなかの外で育てるホルモン(母乳のホルモン)が出てきます。身体の中で劇的な変化を起こすホルモン状態に対応することが難しくなることも、産後うつ病の要因と考えられています。
3.親になったというプレッシャー
親になったプレッシャーを感じてしまい、心が疲労してしまうことが考えられます。
4.育児への不安
育児行動への不安は、多かれ少なかれ誰しもあるものですが、非常に深い不安を感じてしまう場合、気分が落ち込むことがあるでしょう。
5.周りのサポート不足
家庭の環境に対して、周りのサポート不足が深刻な場合は、身体の疲労も重なって心理的にも落ち込みやすくなります。
産後うつ病の対処法とは?
産後うつ病の対処方法や予防方法について紹介します。
無理をしすぎず休む
あまり頑張りすぎないことが大切です。「母親だからこれくらいやって当たり前」と思い、無理をしすぎると、どこかで支障をきたします。母乳による授乳以外は母親以外誰でもできるため、家事や育児について家族と分担するとよいでしょう。また、家事代行や育児サポートなどを利用するのも1つの手です。
また、夜間の授乳などで、寝不足になりがちです。赤ちゃんと一緒に休めるのが理想ですが、それができない場合は少しでも横になったり座ったりして休憩しましょう。
誰かに相談する、頼る
身体や心が辛いときは、誰かに相談しましょう。家族や友人、医療従事者でもいいですし、SNSなど知らない人に打ち明ける方があっているならそれでも構いません。話すことによって、気持ちが楽になることがあります。
行政では、無料相談を受けているところが多いため、保健センターや役所に問い合わせてもよいでしょう。市町村に子育て世代包括支援センターを設置して、出産前後の母親のことや子育てについて、サポートができる部署を設けています。辛いことを我慢せずに、このように相談したり助けを求めたりしてください。保健センターなどへの相談は、保健師さんの家庭訪問をお願いすることもできます(無料)。家庭訪問では体重を測ってくれたり、相談事を聞いてくれたりしますが、保健師さんに「ちゃんと育っているよ」と言ってもらえると安心する方が多いです。
病院を受診する
かかりつけの産院を受診することも大切です。必要に応じて、精神科・心療内科やカウンセリングなどを紹介してくれます。
周りの人ができること
いつもそばにいる家族の方は、母親の様子がおかしいと思ったら、まずは話を聞いてあげましょう。気持ちを吐き出させてあげ、寄り添い受け止めることを意識してください。そして、もし病院を受診したほうがよいと感じたら、付き添って受診するようにしましょう。
周りの人が知っておくこと
妊婦さんや産後の母親は、自分のサポートを希望することが少ないことを知っておいてください。すると、おのずと母親への声掛けや様子を気にかけることができるでしょう。
また、産後うつは母親や赤ちゃんが悪いわけではありません。「頑張れ」「なんとかなる」という言葉掛けは、良くないとされていることを覚えておいてください。普段だと励ましになる言葉も、出産後には気持ちを追い込む言葉となりかねません。また、年配の方のアドバイスは現在では間違った育児になっていることも少なくありません。良かれと思って言ったことが、赤ちゃんに害になってしまうこともあると覚えておきましょう。
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産後うつ病についてご紹介しました。産後うつ病は、誰もがかかる可能性のある病気です。もし、産後うつ病が疑われる場合は、ご紹介したチェックリストを活用してみてください。そして、心療内科やカウンセリングにかかることも検討してみてくださいね。
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