妊娠・授乳・妊活中でもワクチン接種して大丈夫?みんなの疑問を専門家に緊急取材
2021/12/7
20~30代の感染割合が急増し、若者の接種率向上が課題となっているコロナワクチン(正式名称:mRNAワクチン)。そもそもコロナワクチンは、妊娠中・授乳中・妊活中の女性が接種しても問題ないのでしょうか? 大学を中心に感染症の予防啓発活動をしている「みんながヒーロープロジェクト(慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム)」を通じての専門家のお二人を紹介いただき、ママたちの気になる疑問をぶつけてみました。今回は、産婦人科医の「竹元葉」先生、聖路加国際大学看護学研究科 国際看護学 教授で助産師の「大田えりか」さんに緊急取材し、ワクチン接種におけるご意見をうかがいました。
目次
<今回お話を伺ったお二人>
sowaka women’s health clinic 院長
産婦人科医
竹元葉 さん
聖路加国際大学 看護学研究科 国際看護学 教授
助産師
大田えりか さん
<取材協力>
みんながヒーロープロジェクト(慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム)
医学・環境情報学など、有志の研究者・専門家・クリエーター・学生らと協働で、新型コロナウイルス予防啓発ツールを開発し、オンラインを通じて世代別・段階的に感染症の情報をわかりやすく発信している啓発プロジェクトです。
妊娠中のワクチン接種、気になる母体や胎児への影響は?
まず気になるのは、コロナワクチンが妊娠中・授乳中・妊活中の身体に与える影響。これについて、専門家の見解は次の通りです。
Q.妊娠中のコロナワクチンの接種ですが、母体や胎児に悪影響は及ばないのでしょうか。
竹元先生(以下、竹元):妊娠中・授乳中・妊活中、いずれの場合も問題ありません。胎児への影響もないといわれています。現状、mRNAワクチンは、ファイザー社製とモデルナ製しかありません。
この2つは、妊婦さんへの安全性が確認されています。早産・流産・奇形など報告はなく、副作用も一般の方と比べ、極端に増えた報告はあがっていません。ワクチン接種自体、基本的にメリットしかないものです。
──具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
大田えりか教授(以下、大田):ウイルス感染を予防できますし、万が一感染しても重症化を防ぎやすくなります。特に妊娠後期の女性は、お腹が大きくなるにつれて、肺も圧迫されますから。そこでコロナに感染すると重症化しやすい。あらためて、妊婦さんがワクチンを打つ意味は大きいと感じます。
また、コロナに感染した妊婦さんは、早産リスクが高まることがわかりました。主な要因は「デルタ株」への移行です。従来株とは違い、デルタ株は20~30代の若者や小さな赤ちゃん、新生児にも感染する特徴があります。
──重症化した方もしくはデルタ株に感染した方、どちらが早産になりやすいのでしょうか?
大田:重症化した方です。ただ、重症化までいかなくても、早産になる可能性はあります。「重症化=必ず早産」ではなく、「リスクが高まる」わけですね。
最近の研究ですが、妊婦さんのワクチン接種により、お腹の中の赤ちゃんにも抗体ができることがわかりました。妊婦さんがワクチン接種済みの場合、ウイルス抗体をもった赤ちゃんが生まれてくる……つまり、ワクチンはママから赤ちゃんへのギフトでもあるんですよ。
妊婦さんに好ましい接種タイミングはある?接種する際の注意事項も
たくさんのメリットがある妊婦さんのワクチン接種。続いて、ワクチンの最適な接種タイミングや注意事項についてうかがいました。
Q.接種するのに好ましい時期はありますか?
竹元:なるべく早く打っていただきたいです。これまで「ワクチン接種は妊娠12週まで」というルールがあったものの、今はどの時期に打っても問題ないとされます。ただし、出産時期は予定日に生まれるとも限らないので、少なくとも正期産の時期に入るまでに2回目の接種を終えておいた方が安心ですね。
大田:妊娠12週前後は、赤ちゃんの手足や心臓がつくられる「器官形成期」にあたります。以前のルールでは、その時期を避けていたわけですね。2021年8月14日、「日本産婦人科学会」は妊婦さんのワクチン接種において、時期を問わず推奨する旨を通知しました。(※)
いずれにしても、ワクチンはいつ打っても大丈夫です。
(※)「新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(第 2 報)」日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会/日本産婦人科感染症学会
Q.1回目の摂取が出産前、2回目の摂取が出産後になる方もいるはずです。この場合、ワクチンの有効性が変化することはありますか?また、注意事項はあるのでしょうか?
竹元:接種タイミングでワクチンの有効性が変化することはありませんが、余裕があるなら早めに打った方が良いですね。少なくとも、出産直前は避けるのが無難でしょう。
お産は何が起こるかわかりません。赤ちゃんに抗体が移行する時期、産後の体力回復期間などを考えると、遅くても出産1ヶ月前に打った方が良いですね。発熱など副反応が出た場合も、ご本人の体調が楽だと思います。
Q.産後、コロナワクチンを接種する最適なタイミングを教えてください
竹元:体調が良ければすぐに打っていただきたいですが、赤ちゃんとママは1ヶ月くらい自宅から出ないことも少なくありません。まずはご家族の方にしっかり打ってもらい、感染症対策を徹底。ママの体調が安定してきたら打つのがベストでしょう。
──私も産後3ヶ月、非常につらい思いをしました。同じような経験をされるママもいるのでは……と感じています。
大田:そうですね。私としては、ママの体調や生活が落ち着いてくる、産後3ヶ月頃がおすすめです。お産直後は体力が戻らなかったり、眠れなかったりして、フラフラのママもたくさんいますので……。ご家族はもちろん、ご自身の体調と相談し、いつワクチンを打つのか決めてはいかがでしょうか。
ワクチン接種前に主治医へ相談した方がいい?
妊婦さんのワクチン接種は、事前準備が大切。「主治医に相談した方が良い……?」「もしも感染したらどうすれば……」などを詳しく聞きました。
Q.産婦人科の検診を受けてからワクチンを接種するなど、事前準備は必要でしょうか?
竹元:通常の妊婦検診を受けている場合、接種前に別途、受診する必要はありません。もちろん、赤ちゃんへの影響が心配で受診する方はいらっしゃいます。当院でも、「心配なら受診いただいて構いません」とお伝えしています。
大田:基本的には必要ありませんが、どうしても心配ならご相談いただく形ですね。
竹元:そうですね。どちらにしても、かかりつけの病院でワクチンを打てるのが理想です。
コロナにかかってしまったら…もしもの場合への備え方
誰もが感染リスクを抱えているコロナウイルス。万が一、出産前に感染してしまったら……妊娠中の方はどう行動すべきなのでしょうか?
Q.コロナに罹患すると、出産時に受け入れてくれる病院が狭まると聞きました。事前に確認しておくことはありますか?
大田:どの病院に搬送されるかは、事前に調べておいた方が良いでしょう。主治医に確認することをおすすめします。
コロナウイルスに罹患(りかん)した妊婦さんの場合、NICU(新生児特定集中治療室)や小児科、産婦人科などがある大きな病院しか、受け入れることができません。そのため、あらかじめどの病院に搬送されるか知っておくと、ご家族の方も準備できると思います。
──実際に、コロナウイルスに感染してしまったら……?
大田:濃厚接触・感染を疑った場合は、PCR検査を受けましょう。民間のPCR検査キットも販売されていますので、まずは自分から行動することが大切です。
竹元:保健所はすでにパンク状態です。電話が繋がらなかったり、折り返しの連絡がなかったりすることも少なくありません。かかりつけの病院で相談に乗ってくれたら良いですが、難しければ民間のPCR検査を受けるしかありません。
検査結果が陽性の場合、検査センターと連携したオンライン診療を受診できます。そして、次の日には保健所から連絡が来るはず。残念ながら、できるだけ外に出ず、自力で何とかするしかないのが現状です。
ワクチン接種後、赤ちゃんに母乳をあげていい?
続いて、ワクチン接種後の授乳についてうかがいました。出産前・出産後にワクチン接種した場合、授乳に影響はないのでしょうか。
Q.ワクチン接種後も、授乳を続けてもいいのでしょうか?
竹元:ワクチンを打った人はもちろん、過去に感染した人も授乳を続けて問題ありません。これについては、「WHO(世界保健機関)」が2021年9月19日にInstagramに投稿した「Science in 5」において、予防接種部門を統括する「ケイト・オブライアン博士」が詳しく解説しています。英語の投稿ですが、興味のある方はぜひご覧ください。
大田:私には2歳の子どもがいて、ワクチン接種後も授乳を続けています。厚労省のサイトによると、米国CDCは、授乳中の方にも、新型コロナワクチンの接種を推奨しています(※1)。mRNAワクチンの成分そのものは乳腺の組織や母乳に出てこないと考えられています(※2)。
授乳中にmRNAワクチンを受けた方の母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体が確認されています。こうした抗体が、授乳中の子供を感染から守る効果があることが期待されています(※3)。
※1 「新型コロナワクチンQ&A」厚生労働省
※2 「ABM STATEMENT Considerations for COVID-19 Vaccination in Lactation」ACADEMY OF Breastfeeding Medicine
※3 「Maternal and Neonatal Morbidity and Mortality Among Pregnant Women With and Without COVID-19 Infection (2021.4.22)」JAMA Network
※3「Coronavirus disease 2019 vaccine response in pregnant and lactating women: a cohort study (2021.9.1)」American Journal of Obstetrics & Gynecology
ワクチン接種を悩む妊産婦さん、妊活中の女性へのメッセージ
──最後となりますが、ワクチン接種を悩んでいる妊婦さんや、妊活の女性に一言いただけますか?
竹元:去年(2020年)からみていて思うのですが、“コロナ禍”で里帰りを諦めた方、母親学級・両親学級に通えない方が多くみられます。特に初産の方は、十分に準備できずにお産を迎えて、産後のケア・サポートを受けられないケースも少なくありません。
私も当事者です。今現在、お腹の中に赤ちゃんがいます。それでもワクチンを接種しました。発熱などの副作用はありましたが、意外となんともないですよ。怖いという気持ちがあるのはわかります。ですが、ワクチンを赤ちゃんへのギフトとして、検討していただきたいです。
大田:赤ちゃんを守れるのは、お母さんしかいません。本当に大切なことだからこそ、ぜひ行動に移していただきたいです。現実問題、いまだワクチン接種を予約できていない妊婦さんはたくさんいます。かかりつけの病院に相談したり、家族に協力してもらったりして、できるだけ早くワクチンを接種してもらいたいです。
妊産婦さんに知って欲しい!自宅から無料で利用できる「オンライン相談会」「かかりつけ助産師サービス」「全国コロナ検定」の活用を
──余談ですが、“コロナ禍”で自治体主催の両親学級、母親学級などはなくなっていますよね。妊娠中に不安なことがあった場合、かかりつけの病院以外で、相談できる場所はあるのでしょうか?
大田:地域の助産院なども相談に乗ってくれると思います。薬・ワクチンで知りたいことがあるなら「妊娠と薬情報センター」や、各都道府県の「助産師会」に電話相談するのがおすすめです。東京都在住者の場合、オンライン相談も受けつけていますよ。
竹元:そうですね。最近は助産師会を中心に、ボランティアで“コロナ禍”の妊婦さんをサポートする動きがみられます。
──なるほど。そういえば、今回取材を協力いただいた「みんながヒーロープロジェクト」が感染症教育の一環で開発した「全国コロナ検定(※)」なども話題になっていました。ウイルス・ワクチンの知識を夫婦で学ぶことで、日々の感染症対策に活かすのもいいですね。
竹元先生、大田さん、本日はありがとうございました!
・全国の相談窓口 公益社団法人 日本助産師会
・妊娠と薬情報センター 国立成育医療研究センター
・東京都助産師会無料オンライン相談(東京都在住妊婦対象)
・全国コロナ検定
「全国コロナ検定」は、医師監修のもと、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムらが参学共同開発した感染予防知識と行動を再確認することができるクイズ形式のオンライン教育ツール。
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今回もっとも印象に残ったのは、「ワクチンは赤ちゃんへのギフト」という言葉。すごくポジティブなフレーズで、ワクチン接種へのイメージが大きく変わりました。妊娠中・授乳中・妊活中を問わず、ワクチンは早急な接種が望ましいとのこと。旦那さまやご家族にも協力してもらい、早い段階でワクチン接種を済ませたいですね。
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