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ウイスキーの歴史
「命の水」に由来する琥珀色の蒸留酒
ウイスキーの誕生について明確な記録は残されていませんが、中世の錬金術との関係があったといわれています。錬金術師が「アクア・ヴィタエ(生命の水を意味するラテン語)」と呼んだ不老長寿の秘薬が、蒸留酒であったということです。
この製法がやがてアイルランドとイギリスに伝わり、現地で造られていたビールを蒸留して生まれたのが、ウイスキーだといわれています。
楽しみ方
ロック、ハイボールなど楽しみ方も色々
ストレートで飲む以外にもオンザロック、カクテルと楽しみ方は豊富です。食事に合わせるのであれば、水割りやソーダで割ったカクテルのハイボールなど、アルコール度数を低めに調整して楽しむとよいでしょう。食後にゆったりと楽しむ場合はストレートやオンザロックが定番です。
飲み方が色々あるウイスキーは、グラスもどんなスタイルで飲むかによって使い分けます。自分好みのグラスを探すのも楽しみのひとつです。
製法
麦から生まれ、木樽で熟成、そしてブレンド
麦を発芽させて、麦芽の酵素によって澱粉を糖化させることから、ウイスキー造りは始まります。それを濾過した麦汁を酵母によって発酵させ、さらに蒸留することで、ウイスキーのもととなるアルコール度数60度強の液体が生まれます。蒸留された液体は木樽で熟成され、琥珀色の原酒となるのです。
その原酒はブレンダーと呼ばれる職人によってブレンドされることで、味わいが決まります。そして度数が40度程度になるよう加水して瓶詰めされ、ウイスキーとして市場に出されます。
五大ウイスキー
世界に名だたるウイスキーの五代名産地
ウイスキーの五大名産地と呼ばれるのは、イギリスのスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、そして日本です。
ドイツ南部より南の欧州各国はワインの生産地と知られていますが、イギリスやアイルランドは気候的にブドウの栽培北限を超えているため、麦を原料としたビール、そしてウイスキーが根付いたのです。またアメリカ大陸には、アイルランドから多くの人々が移住した背景もあり、ウイスキーが造られるようになりました。
アイリッシュウイスキー
ウイスキーという名称はそもそも「命の水」を意味する、アイルランド語が由来だといわれています。古い歴史を持ちながら、最大の輸出先であったアメリカの禁酒法制定や、内戦の影響もあり1920年代には多くの蒸留所が閉鎖されました。1960年代以降大手の合併や国策の支援もあり、なめらかな口当たりのウイスキーは世界に広く愛されています。
アイリッシュ~穀物の香り豊かでなめらかなスタイル
アイリッシュ・ウイスキーはスコッチと違い基本的にピートは使用しないため、原料である穀物の香りが豊かに残っていると評されます。また、単式蒸留機によって三回の蒸留工程を経るため、口当たりのなめらかな味わいに仕上がります。
現在は四ヶ所の蒸留所が稼動しています。
代表的な銘柄
スコッチウイスキー
スコットランドのウイスキーは、麦芽を乾燥させる際に用いるピートという泥炭の燻し香が特徴です。これによってスモーキーな香りが生まれます。単一の蒸留所のモルトウイスキーだけをボトリングしたシングルモルトや、グレーンウイスキーを混ぜることで調和を図るブレンデッドなど世界中で人気です。
シングルモルト・スコッチ~個性がファンを惹きつける
大麦の麦芽のみを使い、単式蒸留器で蒸留したものをモルトウイスキーと呼びます。
スコッチの中でも人気の高いジャンルで、特に単一の蒸留所のモルトウイスキーだけを瓶詰めしたシングルモルトは銘柄ごとの個性が楽しめることで、多くのファンを虜にしています。
代表的な銘柄
ブレンデッド・スコッチ~ウイスキーの代名詞的存在
モルトウイスキーにトウモロコシなどから生まれる、グレーン・ウイスキーをブレンドして生まれるのがブレンデッド・スコッチ・ウイスキーです。
ピートで燻した麦芽の風味、樽による熟成で生まれる複雑な香味など、ウイスキーの人気を古くから支える、代名詞的存在です。
代表的な銘柄
その他のスコッチ~独自ブレンドのボトラーズものも
ブレンデッド・スコッチの原酒として欠かせないグレーン・ウイスキーは単体で瓶詰めされるものは稀です。複数の蒸留所のモルトウイスキーを合わせたブレンデッドモルト・スコッチも少ないながら生産されています。
また蒸留所から樽買いをした原酒を独自にブレンドするボトラーズ・ブランドものもファンに人気の高いジャンルです。
代表的な銘柄
ジャパニーズウイスキー
日本初の蒸留所は、現在のサントリーの前身、寿屋の鳥井信治郎氏が、スコットランドでウイスキー造りを学んだ経歴を持つ竹鶴政孝氏を醸造長に迎え1924年にスタートさせた、山崎蒸留所です。二人の尽力で1929年には国産初のウイスキー「白札」が発売されました。その後竹鶴氏は独立し、ニッカウヰスキーの前身となる会社を設立。国産ウイスキーの普及に努めました。
ジャパニーズ~優しく新があるスコッチスタイル
スコッチを手本として造られ始めた日本のウイスキーですが、国内の嗜好に合わせてピート香を控えたソフトな味わいに仕上げられています。
古くからハイボール、水割りとカクテルで楽しむスタイルも定着しており、定番のギフトとしても使われるウイスキーは、日本人にとって親しみ深い洋酒のひとつです。
代表的な銘柄
アメリカンウイスキー
アメリカにウイスキー造りをもたらしたのは、スコットランドやアイルランドからの移民です。原料には新大陸で手に入りやすかったライ麦やトウモロコシを使用しているのが特徴です。禁酒法の時代に蒸留所の閉鎖が相次ぎましたが、同法の廃止、第二次世界大戦の終戦を経た1950年代に復興を遂げ今にいたっています。
バーボン~日本のバーでも人気の甘く香ばしい味わい
アメリカのウイスキーでもっとも知られているのはトウモロコシをメインに、ケンタッキー州中心に造られるバーボンでしょう。
内側を焼いたホワイトオークの樽で熟成されるバーボンは、甘く香ばしいニュアンスがあり、日本のバーでも親しまれている、おなじみのウイスキーです。
代表的な銘柄
その他のアメリカン~日本でもおなじみのテネシー
テネシー州で造られるウイスキーは、特にバーボンとは区別されテネシー・ウイスキーと呼ばれています。蒸留後にサトウカエデの木炭で濾過される工程が特徴で、日本でも人気の銘柄に代表されます。
また、ライ麦を主原料にしたライ・ウイスキーや80%以上トウモロコシを使用し、新樽熟成をしないコーン・ウイスキーなどがあります。
代表的な銘柄
カナディアンウイスキー
カナダのウイスキー産業が大きく発展したのは、皮肉にも隣国アメリカの禁酒法時代でした。国内生産がなくなり、アイルランドのウイスキーが輸入禁止となる中で国境を接するカナダを、ウイスキーを求めるアメリカ人が秘密裏に訪れたのです。ライトでスムーズな口当たりを特徴にした人気のウイスキーです。
カナディアン~ソフトで軽快なカナダスタイル
五大ウイスキーの中では、もっともライトでスムーズな味わいと評されています。
ライ麦主体のフレーヴァリング・ウイスキーとトウモロコシ主体のベース・ウイスキーを、再利用のバーボン樽や古樽などで三年以上熟成させます。それらをブレンドすることで、特徴的なソフトで軽快な味わいを生み出しています。
代表的な銘柄