1年を通して同じ日焼け止めを使っている、またはたくさんの日焼け止めの中から何を選べば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。
日焼け止めは、使うシーンや肌質、日焼け止めのタイプを踏まえて選ぶのがおすすめです。また、日焼け止めは適切に使うことで本来の効果が得られやすくなります。
本記事では、日焼け止めの必要性や役割、選び方をご紹介します。こだわりたい条件を選択していくと、ご自身にぴったりの日焼け止めを見つけることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
1997年に帝京大学医学部を卒業後、同大学内皮膚科学教室に入局。2000年に都内の美容皮膚科院長に着任後、2004年に渋谷スキンクリニックを開業し現在に至る。ホームスキンドクターとして、あらゆる世代の“より美しくなりたい”という願いに応えるため、一般皮膚科・美容皮膚科だけでなく、美容婦人科や鍼灸治療、メディカルエステ、ネイルケアなど、様々な角度から美しさへのアプローチが可能なクリニックで、日々皆様のお悩みやご要望に向き合っている。
まずは日焼け止めを知ろう
紫外線から肌を守ってくれる日焼け止めを選ぶには、基本的な知識が必要です。
まずは日焼けの原因である紫外線の肌への影響や、日焼け止めでよく聞くSPFとPAの違い、日焼け止めを塗ることで紫外線から肌を守る仕組みを解説します。
紫外線の肌への影響
太陽の日差しは波長により赤外線と可視光線、紫外線に分けられます。紫外線は「UV」とも呼ばれ、波長が長い順にUVAとUVB、UVCの3つがあります。
UVAは、地表に届く紫外線の約9割を占めています。波長が長く窓ガラスも透過するため、肌の真皮にまで到達します。大量に浴びると皮膚の弾性がなくなり、しわやたるみの原因になります。
UVBは、肌の表皮に影響を与え、大量に浴びると皮膚が赤く炎症し、メラニン色素の沈着により皮膚が黒くなります。UVBはシミやそばかすの原因になる紫外線です。
UVCは、オゾン層によって吸収さるため地表には到達しません。そのため、人間が影響を受けるのは主にUVAとUVBです。
SPFとPAの違い
日焼け止めを選ぶ時、パッケージに表示されているSPF値とPA値を意識して購入しているでしょうか。
SPF(Sun Protection Factor)とは、シミやそばかすの原因になるUVBから肌を守る効果の程度を「数値」で表したものです。2〜50の数値で表し、数値が大きいほどUVBを防止する効果が高く、50+が最高値になります。
PA(Protection Grade of UVA)とは、しわやたるみの原因になるUVAから肌を守る効果の程度を「記号」で表したものです。「+」「++」「+++」「++++」の4段階で表し、+の数が多いほどUVAの防止効果が高くなります。
日焼け止めの仕組み
日焼け止めは紫外線の影響から皮膚を守る役割があり、紫外線防止剤として、以下2つのどちらかが使われています。
- 紫外線散乱剤
- 紫外線吸収剤
紫外線散乱剤は、肌表面に受ける紫外線を乱反射させて、肌への紫外線の影響を防ぎます。一般的に「ノンケミカル」と呼ばれる日焼け止めです。一方、紫外線吸収剤は、吸収剤自体が紫外線を吸収し、肌への紫外線の影響を防ぎます。
日焼け止めを使う季節はいつ?
日焼け止めは、晴れの日だけでなく雨の日や曇の日でも肌に影響を与えているため、1年中使うのが基本です。
一般的に紫外線量が多くなるのは6月〜8月の夏場ですが、UVAの量は3月頃から増えはじめています。ピークの月に比べてUVAとUVBの量は半分以下になるものの、冬場の1月でも紫外線は存在しています。このように、季節にかかわらず1年を通しての紫外線対策が必要です。
ただし、UVAやUVBの紫外線量は季節により変動するため、季節に合わせて日焼け止めを使い分けるのがおすすめです。例えば、UVA量が多い春・秋・冬はPA値が高いものを選び、UVB量が多い夏はSPF値も高いものを選びましょう。
あなたの日焼けタイプは?
日焼けの度合いは皮膚のメラニン色素の量で変わります。メラニン色素が少ないほど肌は白く、多いほど肌は黒くなる傾向にあります。皮膚の色であるスキンタイプは、紫外線を浴びた時の反応を示すフィッツパトリック(Fitzpatrick)分類により、以下の6つに分けられます。
スキンタイプ | 肌色 | 紫外線による反応 |
---|---|---|
Ⅰ | 青白い色 |
|
Ⅱ | 白色 |
|
Ⅲ | 暗めの白色 |
|
Ⅳ | 淡褐色 |
|
Ⅴ | 褐色 |
|
Ⅵ | 黒色 |
|
紫外線のダメージは、スキンタイプⅠが最も高く、スキンタイプⅥにかけて低くなります。
日本人は、スキンタイプⅢとスキンタイプⅣが多いと言われています。スキンタイプⅢは紫外線を浴びると皮がむける方が多く、スキンタイプⅣは小麦色に焼ける方が多いです。
あなたにぴったりの日焼け止めを選ぼう
日焼け止めを選ぶ際、使うシーンによってこだわりたいSPF値やPA値は異なります。使い心地を重視するなら、好みのテクスチャーも確認する必要があります。
メーカーによっても得意とする機能の特徴や価格が異なるので、ぜひご自身に合うものを見つけてください。
STEP 5
シーンを選ぶ
- 日常生活はSPF10〜30、PA+かPA++
- 短時間の屋外活動はSPF30~50、PA+++
- スポーツ観戦・登山・ハイキングはSPF30〜50、PA++++
- 炎天下でのレジャー・マリンスポーツはSPF50以上、PA++++
使うシーンによりおすすめのSPF値とPA値、日焼け止めを選ぶポイントは異なります。
使うシーン | SPF値 | PA値 | 日焼け止めを選ぶポイント |
---|---|---|---|
日常生活 (通勤通学や買いもの) |
SPF10〜30 | PA+ PA++ |
|
短時間の屋外活動 (スポーツやレジャー) |
SPF30〜50 | PA+++ |
|
スポーツ観戦 登山・ハイキング |
SPF30〜50 | PA++++ |
|
炎天下でのレジャー・マリンスポーツ | SPF50以上 | PA++++ |
|
STEP 5
肌質を選ぶ
- 乾燥肌はノンケミカルと保湿成分に注目
- 敏感肌は低刺激で無香料・無着色を
- 脂性肌・混合肌はテクスチャーを重視
肌質によって、日焼け止めを選ぶポイントは異なります。
肌質 | 日焼け止めを選ぶポイント |
---|---|
乾燥肌 |
|
敏感肌 |
|
脂性肌・混合肌 |
|
吉田 貴子
肌質は、季節によって変わる方もいらっしゃいます。花粉が多い時期は乾燥肌や敏感肌に合うタイプのものを、乾燥肌だけれどもニキビができている場合は混合肌に合うタイプのものを選びましょう。
肌の状態はご自身では判断つかないこともあるので、皮膚科の先生などに相談するのもおすすめです。
STEP 5
テクスチャーを選ぶ
- スプレーは塗りづらい髪や背中に
- ローション・ミルクは肌に優しい
- ジェル・パウダーはべたつきが苦手な方に
- クリームはレジャーにおすすめ
日焼け止めのテクスチャーには様々な種類があります。それぞれの特徴をまとめました。
テクスチャー | 特徴 |
---|---|
スプレー |
|
ローション |
|
ジェル |
|
ミルク |
|
クリーム |
|
パウダー |
|
吉田 貴子
テクスチャーは好みがありますが、仕上がりやご自身の肌の状態をみてテクスチャーを選ぶのも重要です。例えばクリームタイプは落ちにくいですが、肌に負担がかかることもあるため、敏感な状態やニキビがある時はジェルタイプにするなど、使い分けても良いでしょう。
STEP 5
メーカーを選ぶ
- メーカーごとにシリーズを展開
- 顔やボディに使えるものにも注目
- 美容成分を含んだものやメイクアップ効果があるものも
日焼け止めはメーカーによって、特徴が様々です。以下で各メーカーの特徴や扱うシリーズをご紹介します。
メーカー | 特徴 |
---|---|
花王(ビオレ・キュレル) |
|
KOSÉ |
|
ラ ロッシュ ポゼ |
|
資生堂 |
|
アクセーヌ |
|
ロート製薬 |
|
大正製薬 |
|
KANEBO |
|
コスメデコルテ |
|
伊勢半 |
|
吉田 貴子
メーカーやシリーズにより、強みが異なります。肌質や肌の状態はもちろんですが、お好みのテクスチャーや仕上がり、目的別で選ぶと良いでしょう。
STEP 5
予算を選ぶ
- 普段使い用なら1,000円程度
- 成分にこだわるなら2,000円〜3,000円
- 機能性が高いのは5,000円程度
日焼け止めは一般的にSPF値やPA値が上がるほど、機能性や値段が高くなる傾向にあります。1,000円以下のものから5,000円以上のものまで値段の幅が広いため、ご自身の肌質や使うシーンによって選ぶことも大切です。
吉田 貴子
ご予算の中でお選びいただくと思いますが、使うときに量を調整しやすいアイテムをお選びいただきたいです。
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吉田 貴子
シーン別でお選びいただくことも重要ですが、季節によっては日常生活だとしてもSPF・PAの数値は高いものを選んだ方が良い場合があります。紫外線が強くなる春夏のハイキングや、屋外活動はSPF50以上、PA++++がおすすめです。