マットレスは枕とならび、睡眠の質を左右する重要な寝具のひとつです。睡眠は人生の3分の1を占めるとも言われているため、こだわりたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ご自身に合ったマットレスの種類や特徴を解説するほか、買い替えるタイミングもご紹介します。こだわりたい条件を選択していくと、おすすめの商品を見つけられるので、ぜひ参考にしてみてください。
椚 大輔
株式会社悠デザイン 代表取締役。家具メーカーに約7年勤め、2016年にベッド専門情報メディア「ベッドおすすめランキング」を開設。国内・海外メーカーへ取材を重ね、レビューした商品は100を超える。ベッド・マットレス専門家としてテレビや雑誌・新聞等に出演・協力も行う。
マットレスの役割とは?
マットレスとは、ベッドフレームや床の上に敷く弾力性がある厚めの寝具のことです。マットレスは体の負担軽減を重視していて、敷布団は保温性や吸放湿性を重視した設計をしている点が異なります。
マットレスの主な役割は、「寝姿勢保持」と「体圧分散」です。寝姿勢保持とは、立った状態と同じような姿勢(背骨がなだらかなS字カーブ)をキープすることです。
寝姿勢が保持できないマットレスは体が沈み込みすぎてしまいます。一方で、しっかりと体を支えられる反発力があり、ヘタリにくいマットレスは寝姿勢保持性が高いと言えます。
体圧分散とは、マットレスから体にかかる圧力(体圧)を分散することです。体圧分散性は低すぎると圧力によって痛みを感じやすく、逆に高すぎても寝心地が悪く感じ、寝姿勢も崩れやすくなるのでご注意ください。
マットレスは、硬さや大きさなど様々な観点で選び、心地良い睡眠環境づくりを目指しましょう。
マットレスを買い替えるタイミング
マットレスの耐久性は使用する環境や条件によって異なります。以下のような特徴が見られたら買い替えのタイミングです。
- ヘタリ(形状の劣化)がある
- 体が深く沈み込みすぎている感覚(硬さの劣化)がある
- コイルがギシギシときしむ音がする
- バネが当たる感覚(バネ当たり)がある
- 10年近く経ち自身の好みや体つきが変わってきた
なお、メーカーやショップによっては、「引き取りサービス」を実施していることもあるため、買い替え時に利用するのもおすすめです。
あなたにぴったりのマットレスを選ぼう
マットレスはサイズだけでなく、低反発や高反発、厚さや硬さなど、好みの寝心地に合わせて選びましょう。
メーカーによっても得意とする機能の特徴や価格が異なるので、ぜひご自身に合うものを見つけてください。
STEP 7
サイズを選ぶ
- 1人ならセミシングル〜セミダブルがおすすめ
- 2人なら最低でもダブル以上がおすすめ
まずは、マットレスのサイズ選びが重要です。サイズが合わないと睡眠の質が悪くなり、日常生活にも影響を及ぼします。
マットレスの種類 | サイズ |
---|---|
セミシングル | 幅80cm×長さ195cm |
シングル | 幅97cm×長さ195cm |
セミダブル | 幅120cm×長さ195cm |
ダブル | 幅140cm×長さ195cm |
ワイドダブル | 幅150cm×長さ195cm |
クイーン | 幅160cm×長さ195cm |
キング | 幅180cm×長さ195cm |
※メーカーによって寸法が異なる場合があります
マットレスのサイズは、1人ならセミシングル〜セミダブルから、2人ならダブル〜キングから選ぶと良いでしょう。
人は肩幅(平均40cm〜45cm)の2.5倍〜3倍ほどの寝返りを打つと言われています。1人の場合でも部屋に余裕があるなら、寝返りの幅を考えてセミダブル(幅120cm)を選ぶのがおすすめです。
また、人が熟睡できる限界の狭さは幅70cmと言われています。2人の場合は、ダブルサイズ(幅140cm)でも狭く感じることもあるため、クイーンサイズ以上を選ぶのが理想的です。別々のベッドを2台並べたい場合は、「厚み」に差が出ないように注意して選びましょう。
なお、大きいサイズのマットレスを選ぶと引っ越しの難易度が上がり、廃棄が困難になる点には注意しましょう。
STEP 7
種類を選ぶ
- ボンネルコイルは予算を抑えたい方に
- ポケットコイルは多くの方に合いやすい寝心地
- 低反発ウレタンはフィット感が好きな方
- 高反発(高弾性)ウレタンは寝返りが多い方に
- ファイバーは蒸れにくさを求める方に
マットレスは、主に以下の5種類に分けられます。種類ごとの特徴を以下の表にまとめたので参考にしてみてください。
種類 | 特徴 |
---|---|
ボンネルコイル |
|
ポケットコイル |
|
低反発ウレタン |
|
高反発(高弾性) ウレタン |
|
ファイバー |
|
椚 大輔
上記の種類以外に、日本ではフランスベッドのみが生産している「高密度連続スプリング®」もあります。ボンネルコイルと見た目が似ているので同じにされやすい傾向にありますが製法が全く異なります。
高密度連続スプリング®は一列を1本のバネでひと繋ぎにして作るため、アメフトでいうとスクラムを組むような構造となり、耐久性が非常に高いことが特徴です。
オープンコイル構造なので通気性が良く、体の動きへの追従性が高く、沈み込みすぎないため寝返りしやすいです。特に体格ががっしりとした方におすすめですよ。
高密度連続スプリング®を選びたい方は、「ブランドを選ぶ」でフランスベッドを選択しましょう。
STEP 7
厚さを選ぶ
- 9.9cm以下は手軽さを重視する方に
- 10cm〜19.9cmはマットレスの入門編におすすめ
- 20cm〜29.9cmは寝心地と耐久性を追求したい方に
- 30cm以上は最高級ホテルのような寝心地を実現
マットレスの厚さは寝心地やお手入れに影響します。目安として「薄型マットレス(厚さ12cm以下)」と、「ベッドマットレス(厚さ13cm以上)」のカテゴリーに分かれます。
薄型マットレスの場合、底付きの心配が少なくなるのは10cm以上、持ち運び・移動のしやすさを考えると12cmくらいまでに抑えるのが目安です。一方ベッドマットレスの場合は、反発性やクッション性など寝心地の良さを考えるなら16cm以上が目安です。
また、マットレスが厚くなるほど重さが増すため、重量やお手入れの仕方なども考慮に入れておきましょう。
以下の表に厚さごとの特徴をまとめているのでマットレス選びの参考にしてみてください。
厚さ | 特徴 |
---|---|
9.9cm以下 |
|
10cm〜19.9cm |
|
20cm〜29.9cm |
|
30cm以上 |
|
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厚さ20cm〜29.9cmの中には、10,000円以下の商品もあります。ただし、そうした商品は素材の密度が低かったり、バネを限界まで引っ張ってほとんど圧縮せずにポケットコイルを作ったりしている場合もあり、耐久性が低いので注意が必要です。
厚さ25cmレベルのしっかりとした寝心地を求めるのであれば、最低でも30,000円以上くらいのマットレスを選ぶと安心です。
ヘッドボード付きのベッドフレームの場合は、マットレスの厚さによって見た目が不格好になってしまう場合があるので注意しましょう。
STEP 7
硬さを選ぶ
- かためは寝返りが打ちやすい
- ふつうは中間のバランス型
- やわらかめは体にフィットする
マットレスの硬さは体型や体重、寝姿勢や今使っているマットレスの寝心地との比較、好みで選ぶのがおすすめです。
硬すぎるマットレスは、仰向けで寝た時に腰部分がフィットせず浮いてしまい、逆にやわらかすぎると、マットレスに体が沈んで寝返りが打ちづらいなどのストレスを感じる可能性があります。
ご自身に合ったマットレスの硬さを選ぶことは、体への負担や睡眠の質へ大きく影響します。そのため、体型(性別)と寝姿勢(沈み込みの深さ)に考慮して選ぶのがおすすめです。
なお、ご自身のBMI値(体重kg÷身長m÷身長mで算出)を参考にするのも1つです。以下の表でBMIごとにおすすめの硬さをご紹介していますので、参考にしてみてください。
硬さ | 特徴 |
---|---|
かため |
|
ふつう |
|
やわらかい |
|
椚 大輔
ご自身の好みがハッキリしている方は別ですが、マットレス選びに不安がある場合は「自分が思っているよりも硬め」を選ぶと後から調節しやすくおすすめです。
実際に寝てみて、もし「自分には硬すぎるな」と思ったら、敷きパッドやマットレストッパーで、やわらかく調整しやすいです。逆にやわらかいマットレスを硬く調整するのは難しいのでご注意ください。
STEP 7
特徴を選ぶ
- 抗菌防臭タイプは衛生面が気になる方に
- 吸湿タイプは汗をかきやすい方向け
- 涼感・クールは夏におすすめ
マットレスの特徴の一部を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
特徴 | 詳細 |
---|---|
抗菌防臭 |
|
折りたたみ可能 |
|
吸湿 |
|
防ダニ |
|
涼感・クール |
|
エッジサポート |
|
椚 大輔
シーツや敷パッドで、補助的に機能性(例えば、防ダニや吸湿、涼感)を追加できることもあります。マットレスの特徴に強い希望がない人は選択肢を狭めるだけなので「こだわらない」を選んでも良いです。
STEP 7
ブランドを選ぶ
- 品質・耐久性重視なら老舗ブランド
- ウレタン系なら海外ブランド
- コスパに優れたブランドにも注目
気になるブランドや、ブランドごとのこだわりを意識してマットレスを選ぶ方法もあります。以下にそれぞれの特徴をまとめているので参考にしてみてください。
ブランド | 特徴 |
---|---|
シモンズ |
|
サータ |
|
シーリー |
|
フランスベッド |
|
日本ベッド |
|
エアウィーヴ |
|
マニフレックス |
|
テンピュール® |
|
パラマウントベッド |
|
ニトリ |
|
タンスのゲン |
|
西川 |
|
※NASA(米国航空宇宙局)がロケット打ち上げ時に、宇宙飛行士にかかる重力を緩和するための衝撃吸収素材として開発した素材の名称
椚 大輔
マットレスメーカーのラインナップはたくさんありますが、まず検討すべきは各メーカーが基準として考えるスタンダードモデルです。
スタンダードモデルは、各メーカーが考える「幅広い層の人たちに合う寝心地」を目指して作られている傾向があり、ワールドワイドで展開する世界的なマットレスメーカーは、各国の特性に合わせてカスタマイズされていることが多いです。
つまり、平均的な体型の人で、失敗するリスクが少ないのがスタンダードモデルということです。
STEP 7
予算を選ぶ
- 厚さや使用人数によって価格は変わる
- 基本的に価格が高いほど耐久性も高くなる
マットレスの価格はサイズにより大きく異なります。価格は耐久性にも関係しているため、基本的には高価格モデルほど素材や構造が優れており、高い耐久性が期待できます。
長期間(約8年以上)使用できる目安としては、シングルサイズ30,000円以上のマットレスを選ぶと安心です。
椚 大輔
価格は「厚さ」にも関係します。同等の素材を使っている場合、薄いマットレスの方が安く仕上げられるからです。
しかし、ある程度の厚さ(目安として15cm前後)がないと、素材本来の性能が発揮されにくく、結果的に寝心地の差に繋がることもあります。
予算を決める時は耐久性・寝心地・手軽さなどの優先順位やバランスをよくご検討ください。
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椚 大輔
マットレスの長さについて補足すると、一般的なマットレスの長さ(丈)は195cmですが、ショート丈(約180cm)や、ロング丈(200cm以上)というサイズも商品によっては選べます。
選ぶ目安は、ショート丈が身長160cm以下の方、ロング丈が身長180cm以上の方です。身長が180cm以上の方が一般的なマットレスを選ぶと、足がはみ出てしまう場合があるので注意してくださいね。