KITCHEN LABO@blue monkey room 今月のラボ『盛り上がる丸鶏研究』
2020.11.18
茹で鶏は、色々なソースで盛り上がる。
まずは茹で鶏の鍋選びについて。事前情報で鶏の体躯が30cm以上ありそうだったので、非常に大きな寸胴鍋を用意していたのですが、必要ありませんでした。というのは「鍋が大きすぎると水分の蒸発が早く、せっかくのスープの取れ高も下がる(ヒグチ)」から。鍋はできるだけ鶏のジャストフィットサイズを選びます。
ソースは今回サポーターを務めてくれた山内千夏さんのサルサ・ヴェルデ、平野佐知さんが提供してくれた藤沢中華の名店「茶馬燕(チャーマーエン)」中村秀行シェフ直伝のおうちよだれ鶏のタレを含む全5品。茹で鶏には、これをかけたいというメンバー推奨のタレとソースが揃いました。足すことの、事前ミーティングで話題になった「台湾馬告(マーガオ)」という胡椒のような山椒のような風味のある、台湾先住民族の人々が食してきたスパイス。このスパイスは要チェックです。
ソースのRECIPE
サルサ・ヴェルデ
材料 (作りやすい量)
- イタリアンパセリの葉 30g(3パック分くらい)
- 白ワインビネガー 大さじ2
- アンチョビ 2枚
- パンの白い部分 15g
- ケッパー(塩漬け) 10g
- ゆで卵(黄身のみ) 1個
- EVオリーブオイル 大さじ3
- 塩・胡椒 適量
作り方
① パンは細かくちぎり、ビネガーに浸して柔らかくしておく。
② フードプロセッサーにパン、アンチョビ、ケッパーを加えて回す。イタリアンパセリとゆで卵の黄身を加え、オリーブオイルを2回に分けて加えて回す。塩胡椒で味を整える。
「茶馬燕」直伝・おうちよだれ鶏のたれ
材料 (作りやすい量)
- 老干媽(ろうかんま)豆豉風味 20g
- 醤油 12g
- 米酢 4g
- 黒酢 4g
- 豆板醤 6g
- ラー油 20g
- にんにく(みじん切り) 小さじ1弱
- ごま油 大さじ1
作り方
① 老干媽豆豉風味の豆豉を取り出して、包丁で粗みじん切りにする。
② にんにく(みじん切り)とごま油を弱火にかけ、好い香りがしてキツネ色になるまで炒める。
③ ①②と他の材料を全て合わせる。トッピングでパクチー(みじん切り)、ローストピーナッツ(粗く刻む)、煎りゴマ(分量外)を好みで加えて食べる。
ITEM
※商品情報は2020年10月26日時点の内容です。
魚介や干し椎茸の出汁をしっかり吸った丸鶏は、しっとりとした食感から滲み出る旨味が感じられます。そして、めくるめくソースの世界へ。どのソースも個性的で違う料理のように茹で鶏の味わいが変わります。軍鶏系は非常に良い出汁がでるので、このスープを使った楽しみ方も色々。最後まで盛り上がりますよ。私達は迷った挙句、おかゆと麺、両方で締めました。
蒸し焼き丸鶏、塩釜の効果。
もう一つの丸鶏は、塩釜焼きです。なぜそもそも塩で窯なのか?塩は一番火が入りにくい素材でゆっくりと火が入るからです。そして、肉から出た蒸気が塩に入り、蒸気と塩が一緒になって肉に戻る。結果、ちょうど良い具合に塩味も入る。そんな一石二鳥の役割を果たすのが塩釜です。
では、塩釜焼とは実際どうやるものなのか?メンバーも興味津々です。まずは卵白を泡立てて、塩を加えていきます。目安としては鶏1kgあたりに卵白1個、塩1kg。今回は鶏が大きかったので、卵白3個に塩3kg使いました。使用する塩は、ミネラル分の多い顆粒タイプであればどれでもOK。複数種ブレンドしても味わい深し。
現れたのは、パツンパツンの美しい黄金色の丸鶏でした。ヴィーナス誕生のような輝きです。金槌で塩釜を割っている時も相当に盛り上がりましたが、サラシを外した丸鶏に、メンバーからはどよめきと溜息が漏れました。盛り上がりを超えて、神々しさの前に沈黙です。