KITCHEN LABO@blue monkey room 今月のラボ『盛り上がる丸鶏研究』

2020.11.18

茹で鶏は、色々なソースで盛り上がる。

まずは茹で鶏の鍋選びについて。事前情報で鶏の体躯が30cm以上ありそうだったので、非常に大きな寸胴鍋を用意していたのですが、必要ありませんでした。というのは「鍋が大きすぎると水分の蒸発が早く、せっかくのスープの取れ高も下がる(ヒグチ)」から。鍋はできるだけ鶏のジャストフィットサイズを選びます。



水3L、昆布10g、干し椎茸3枚、干しエビ20gを一緒に沸かします。丸鶏全体に塩をまぶして10分ほど置き、鍋が沸いたら弱火にして鶏を入れます。

15分ほどしたらカットした野菜を加えます。野菜は出汁の出るものであれば何でもOK。あとで茹で鶏と一緒に食べます。今回は玉ねぎ、ニンジン、マッシュルーム、カブ、ブロッコリーを入れました。

トータルで45分ほど茹でたら完成。湯上がりのように白くてピカピカな茹で鶏。
ソースは手前から、「サルサ・ヴェルデ」イタリアンパセリたっぷりの爽快なソース。塩窯鶏にも合います(レシピは別途記載)。
「茶馬燕直伝・おうちよだれ鶏のたれ」危険なやみつき必須のたれ。(レシピは別途記載)
「エビソース」鶏とエビで実は好相性。作り方は、エビの殻や味噌も一緒になった市販ペーストを同量の鶏のゆで汁で伸ばすだけ。
「レバーソース」新鮮な鶏レバーの繊細な風味。作り方は、みじん切りの玉ねぎ、鶏レバー、アンチョビをオリーブオイルで一緒に炒めて香ばしい香りがしてきたら鶏のゆで汁で適度に伸ばして完成です。
「塩レモンたれ」お口直しのソース。フレッシュ感で他のソースの旨味を引き立てます。作り方は、塩漬けしたレモンをみじん切りにしてオリーブオイルと和えるだけ。

ソースは今回サポーターを務めてくれた山内千夏さんのサルサ・ヴェルデ、平野佐知さんが提供してくれた藤沢中華の名店「茶馬燕(チャーマーエン)」中村秀行シェフ直伝のおうちよだれ鶏のタレを含む全5品。茹で鶏には、これをかけたいというメンバー推奨のタレとソースが揃いました。足すことの、事前ミーティングで話題になった「台湾馬告(マーガオ)」という胡椒のような山椒のような風味のある、台湾先住民族の人々が食してきたスパイス。このスパイスは要チェックです。

ソースのRECIPE

サルサ・ヴェルデ

材料 (作りやすい量)

  • イタリアンパセリの葉 30g(3パック分くらい)
  • 白ワインビネガー 大さじ2
  • アンチョビ 2枚
  • パンの白い部分 15g
  • ケッパー(塩漬け) 10g
  • ゆで卵(黄身のみ) 1個
  • EVオリーブオイル 大さじ3
  • 塩・胡椒 適量

作り方

パンは細かくちぎり、ビネガーに浸して柔らかくしておく。
フードプロセッサーにパン、アンチョビ、ケッパーを加えて回す。イタリアンパセリとゆで卵の黄身を加え、オリーブオイルを2回に分けて加えて回す。塩胡椒で味を整える。

「茶馬燕」直伝・おうちよだれ鶏のたれ

材料 (作りやすい量)

  • 老干媽(ろうかんま)豆豉風味 20g
  • 醤油 12g
  • 米酢 4g
  • 黒酢 4g
  • 豆板醤 6g
  • ラー油 20g
  • にんにく(みじん切り) 小さじ1弱
  • ごま油 大さじ1

作り方

老干媽豆豉風味の豆豉を取り出して、包丁で粗みじん切りにする。
にんにく(みじん切り)とごま油を弱火にかけ、好い香りがしてキツネ色になるまで炒める。
①②と他の材料を全て合わせる。トッピングでパクチー(みじん切り)、ローストピーナッツ(粗く刻む)、煎りゴマ(分量外)を好みで加えて食べる。

ITEM

縄時食品株式会社

¥ 750(税込)

有限会社三角屋水産

¥ 600(税込)

※商品情報は2020年10月26日時点の内容です。

魚介や干し椎茸の出汁をしっかり吸った丸鶏は、しっとりとした食感から滲み出る旨味が感じられます。そして、めくるめくソースの世界へ。どのソースも個性的で違う料理のように茹で鶏の味わいが変わります。軍鶏系は非常に良い出汁がでるので、このスープを使った楽しみ方も色々。最後まで盛り上がりますよ。私達は迷った挙句、おかゆと麺、両方で締めました。

蒸し焼き丸鶏、塩釜の効果。

もう一つの丸鶏は、塩釜焼きです。なぜそもそも塩で窯なのか?塩は一番火が入りにくい素材でゆっくりと火が入るからです。そして、肉から出た蒸気が塩に入り、蒸気と塩が一緒になって肉に戻る。結果、ちょうど良い具合に塩味も入る。そんな一石二鳥の役割を果たすのが塩釜です。

では、塩釜焼とは実際どうやるものなのか?メンバーも興味津々です。まずは卵白を泡立てて、塩を加えていきます。目安としては鶏1kgあたりに卵白1個、塩1kg。今回は鶏が大きかったので、卵白3個に塩3kg使いました。使用する塩は、ミネラル分の多い顆粒タイプであればどれでもOK。複数種ブレンドしても味わい深し。



卵白を泡立てて、何回かに分けて塩を加えます。塩と卵白は握ってギリギリくっつくかなぐらいの硬さ。焼いた時に出る鶏肉の水分を吸収させて固めるので、サラサラしているくらいで大丈夫。

オーブンの天板にサラシに巻いた丸鶏を置き、鶏の周囲を塩卵白で覆っていきます。全体が隠れるぐらい山状に盛ったらオーブンで焼きます。最初200℃で30分。その後180℃に温度を落としてさらに20分焼きます。

焼き上がり。塩釜を金槌で割りながら外していきます。

サラシに水を当てながら外すと布だけが綺麗に剥がれます。

現れたのは、パツンパツンの美しい黄金色の丸鶏でした。ヴィーナス誕生のような輝きです。金槌で塩釜を割っている時も相当に盛り上がりましたが、サラシを外した丸鶏に、メンバーからはどよめきと溜息が漏れました。盛り上がりを超えて、神々しさの前に沈黙です。