TOHOKU HEROES 浄土ヶ浜旅館 女将・山根 千春さん

岩手県宮古市は、北上山地の最高峰「早池峰山」を有し、美しい川が流れ、三陸沖が目の前にあるということから観光地として人気の街でした。
10年前のあの日、地震発生からおよそ1時間後に津波が押し寄せました。陸地を駆け登って到達した津波の高さが、40mを超えた地区もあったといいます。
当時海沿いに立っていた「浄土ヶ浜旅館」は津波によって、外壁しか残らないほどの甚大な被害を受けました。

浄土ヶ浜からの風景

「町全体にどこもまともなところがない状態で、宿の再開を考えられる状況ではありませんでした」と、女将の山根さんは当時の様子を語ります。一度は宿をやめる決断をしましたが、常連だったお客さまからの励ましや、津波で流されたはずの楽天トラベルアワードの盾*が見つかったことなどをきっかけに、震災から2年後に旅館を再建。再びお客さまをお迎えし、今日まで地域とともに歩んできました。
*楽天トラベルアワードは、日本全国約35,000の登録宿泊施設の中から、過去1年間において、顕著な実績をあげ、高い評価を得られた宿泊施設を表彰する制度です。


再建された浄土ヶ浜旅館


震災後も、楽天トラベルアワードを受賞

震災後は、”心の復興”として人と人を繋ぐ活動や町の歴史を通した地域おこしなどに精力的に取り組んできた山根さん。「地域のみんなと、どうせだったら震災前よりも良くしようと。一つでも宮古の魅力を知ってもらって、地域ごとお客様に来てもらえる街になって、最終的には自分のところにも来ていただけたらなと思っています」と言ってほほえみます。


地域一丸で毛ガニ祭り


朝ごはんフェスでは東北1位に輝いた

宮古の「今」のおすすめはジオ観光で、現在女将もジオガイドの勉強中。トレイルコースを歩いたり、走ったり。シーカヤックで海に出れば海から街を見ることもでき、コロナ禍に合った楽しみ方ができるのが魅力です。宮古の伝統にヒントを得て生まれた「瓶ドン」という新しい名物もおすすめ。GWや夏の観光シーズンに多くのお客様にお越しいただくことを楽しみにしているそうです。


震災後に生まれた名物「瓶ドン」

コロナウイルス対策を行っております

取材した宿

浄土ヶ浜旅館

陸中海岸国立公園の中心岩手県宮古市を代表する景勝地「浄土ヶ浜」から車で10分、料理に定評のあるアットホームな旅館。元気な女将がお出迎えします。