美食の街として名高いリヨンの北に広がる、フランス東部ブルゴーニュ地方はボルドー地方と並ぶ、フランスワインの二大銘醸地のひとつです。
その地方名は中世にこの地を支配したブルグント族に由来し、十四世紀から十五世紀にかけては現在のフランス東部ばかりか、ベルギー、ドイツの一部を含んだブルゴーニュ公の領土として、ブルゴーニュ公国の名で知られていました。
ワインに関わる歴史は古く、二~三世紀にはすでにローマ人の手でブドウ栽培が始められており、十二世紀以降、この地に根付いた修道院の僧たちによって、ワイン造りが発展しました。
ブルゴーニュ地方のワイン産地はいくつかの地区に分けられており、最北端にあるのは辛口白ワインで名高いシャブリ地区です。そして赤ワインの銘醸地コート・ド・ニュイ、白ワインの銘醸地コート・ド・ボーヌを経て、新酒(ヌーヴォー)で知られるボジョレー地区を最南端に抱えています。
ブルゴーニュワインの特徴は、ひとつは生産者の種別で、地方内の農家からブドウやその果汁、ワインを買付けて自社名義で仕上げる「ネゴシアン」と、みずから所有する畑で獲れたブドウをワインに仕立てる「ドメーヌ」というスタイルが存在しています。
またブドウ品種にも大きな特徴があり、ほとんどのワインが赤はピノ・ノワール、白はシャルドネという単一のブドウ品種から造られています。
ブルゴーニュ地方のワインには、法律によって定められた格付けが存在しています。
その格付けは畑ごとになされており、最上位のものは「グラン・クリュ(特級畑)」、続いて「プルミエ・クリュ(一級畑)」とされています。
大規模な造り手の多いボルドーと違い、ブルゴーニュの畑の多くは、複数の造り手が分割所有しているため、同じ畑のワインであっても、生産者によってまったく別のワインとなります。
そのためブルゴーニュワインを選ぶには、畑名と合わせて生産者の名前も知っておくことが重要な要素となるのです。
また評判の高い生産者の一級畑のワインが、無名な生産者の特級畑のワインよりも高価な価格で取引されることも珍しいことではなく、それがブルゴーニュワインが難しいと評される一因にもなっています。
格付けワインのほかにも、格付け外の畑名で市場に出されるワインや、特定の畑に限らずにその村で収穫されたブドウを使って造られる「村名ワイン」、さらには村をまたいで地区内のブドウで造られる「地区名ワイン」、ブルゴーニュ地方全体のブドウをもとにした「地方名ワイン」というカテゴリがあります。
基本的に原料となるブドウの収穫範囲が狭いほど、上級ワインとして扱われている点は、フランスワイン全般に見られる特徴です。
シャブリ地区
コート・ド・ニュイ地区
コート・ド・ボーヌ地区
コート・シャロネーズ地区