いよいよ夏本番! 怪談を語らせたら右に出る者はいない稲川淳二さん、今年も各地をくまなく回る『MYSTERY NIGHT TOUR 2019 稲川淳二の怪談ナイト』で全国に涼を届けてくれます。怖くて優しい怪談を、ぜひ体感してみてください!

令和初の『稲川淳二の怪談ナイト』、今年は48公演を行うそうですね。

すでに回ったところもありますが、これでも昨年よりは減らしたんですよ。去年は公演の最終日が11月になってしまい、もう夏とは言えないぞと。それと令和になって、自分を長持ちさせなきゃいけないなと思ったもので(笑)。

ツアー中は、どんな気持ちで過ごしているのでしょうか?

ツアーが始まってしまえば、楽なんです。どこも毎年行っている会場なので、地元のイベンターとは長い付き合いですし、お客さんも常連さんが多いんです。ライブで各地を回っていると、テレビに出ているだけでは出会えない素晴らしいファンの方々との出会いがあります。
私のために会場まで足を運び、熱心に手紙をくださる人がいます。小学3年の子どもさんから、こんなお手紙が届いたんですよ。「うちのお父さんは稲川さんのライブが大好きで、毎年参加しています。でも僕のことは"子どもだからダメだ"と連れて行ってくれません。帰ってくると、稲川さんのライブで聞いた話を教えてくれます。僕はもう少し大きくなったら行けると思うので、その代わり、お父さんから聞いた怖い話を教えます。よかったらツアーで使ってください」と。でもね、それは私がライブでした話なんです(笑)。ただ、とても正確なので驚きました。お父さんは私の話を正確に、小学3年の息子へ伝えたんですね。そして息子さんは私に、それを間違えずに伝えてくれた。ふと思ったんです。私がいつか逝ったとしても、私がした話は残っていくんだなと。無性に嬉しくなりましたね。

稲川淳二さん

稲川さんは、現代の"語り部" なんですね。

ある難病の青年から「いつか稲川さんの怪談を生で聞くのが、僕の夢です」というお手紙をもらいました。どうやら彼は、動けないようなんです。送り主の住所を調べてみると、そこは終末医療の病院でした。彼は、手足を動かすことが難しい難病にかかっていたのです。
私はいてもたってもいられず、かなり遠くにあるその病院までうちのスタッフに出向いてもらい、「稲川がここで怪談をしたいと言っている」と伝えてもらったんです。院長先生はとてもいい方で、「ぜひ、来てください」と言ってくれました。ただ「心臓の悪い人がいるので、時間は45分でお願いします」とのこと。私の怪談はとても怖くて、聞いていたアナウンサーが飛び上がっちゃったくらいなんですよ。そう伝えましたが、「それでもやってください」と言うので、私は自腹で現地へと向かいました。
まさに蝉時雨が耳をつんざく盛夏、着いた建物は大正時代に建てたのかと思うくらい古い。中に入ると、折り紙で作った輪っかを飾りつけた黒板に「歓迎 稲川淳二さん」と書いてありました。みんなで一生懸命作ってくれたかと思うと、感動しましてね……。 院長先生は「本当に稲川さんが来てくれるとは、思わなかった。ここに人はまず来ない。ましてや芸能人が来るなんて! みんな今日を待ち望んでいたし、おかげで院内が明るくなりました」と言っていました。 私が怪談を話すと、後方から見守っていたお母さん方はみんな泣いていました。怖いからではありません、自分の子どもが喜んでいる姿が嬉しかったそうなんです。最後に、車椅子に乗った青年が「サプライズです」と大きな額を私に渡してくれました。見ると、松と鷹の立派な切り絵。「稲川さんが来てくれると聞いて、彼は寝ないで作ったんですよ」と院長先生から聞き、こんな精魂込めたものを私ごときがもらっちゃいけないと感じました。「素晴らしいものを見せてくれてありがとう、私は気持ちだけいただきます」と伝えたんです。 すると院長先生が「稲川さん、それは違う。稲川さんに受け取ってもらいたくて、彼は一生懸命作ったんですよ」と。ありがたく頂戴して、私は思わず涙しました。それまでは「自腹でこんな遠くまで来たんだし、いい話を聞かせてやろう」と、どこかカッコつけたい気持ちがあったかもしれない。でもこのサプライズで、「怪談をやっていてよかった」と心から思いました。

稲川淳二さん

怖い話をしに行っているのに、エピソードは温かいですね。

怪談は怖いものではなく、人を結びつける楽しいもの。だからみんな、怪談をするんです。修学旅行や林間学校で、みんな集まって夜に怖い話をしたでしょう?  実は北国のほうが、怪談は多いんです。雪国に住む大人は、冬になると出稼ぎに出かけます。家に残るのは祖父母と子どもたちで、娯楽はそんなにない。だから子どもが「おじいちゃん、あの話をして」と怪談をせがむんです。「あの話」と言うくらいですから、何度も聞いた話です。何度聞いても楽しめる、そして世代をつないでいく、それが怪談なんじゃないかと私は思うんです。

今回は、どんなツアーになりそうですか?

私は以前から「70歳を超えたら本物の怪談ができる」と言っていました。71歳となり、元号も令和になり、次のステップに上がったような気がします。
私の怪談は大きく分けると、笑える話・うんと怖い話・優しい話の3つに分類されます。今年はすごく怖いのに笑える話もあれば、サスペンス調もあります。サスペンス調のお話は、トイレを我慢しながら書いていたら、我ながらちびったくらい(笑)。そして、今までやったことのないちょっと冒険的なものにも挑戦します。私の話は、怪談ながら他とはちょっと色合いが違う。だから"稲川怪談"と呼ばれます。話を聞いているうちに涙する可能性が高いですから、ハンカチ2枚とパンツを3枚くらい持って来てください(笑)。

ツアーを楽しみにしている人、そして「行ってみたいな」と思っている人へ、メッセージを!

怪談は確かに怖くもありますが、どこか懐かしい優しさもあります。怖くて楽しい時間を、みなさんと共有したいですね。

稲川淳二さん

稲川さんのオフと言えば、やはり冬なのでしょうか……?

よくそう言われるので、「冬になると空気を抜かれて折りたたまれて、押し入れにしまわれるんだよ」と浮き輪みたいに話していましたが(笑)、実は冬も忙しいんです。以前、夏に来られない人のためにライブをやってみたところ、満員になりまして。それ以降、冬もライブをやっています。 「夏と冬、両方行きたい」というお客さんが、意外と多いんです。なぜなら夏は新作怪談ですが、冬は以前やったものを話します。「もう一度聞きたい」とか、「以前の話を知って生で聞いてみたい」という人が、結構います。

稲川淳二さん

ツアーで各地を回りますが、地方での楽しみは?

おいしいものを食べることですね。量はそんなに食べませんが、お酒を飲むのが好きだから、必ずおいしいお店を訪れます。もしくは、持ち帰りできるものを食べたり。 例えば広島で必ず食べるのは、『あなごめしうえの』のあなごめし弁当。ベテランのお偉いイベンターさんが、わざわざ朝一番に並んで買ってきてくれるんですよ。ありがたいし、おいしいしで、うれしいことです。まぁ、あなごめし弁当を楽しみにしているのは、私以上にうちのマネージャーなんですけどね(笑)。
あと、仙台の『一隆』の牛タン! ほっくりしていて、ハフッと食べる肉厚なタンがとてもおいしいです。『一隆』に人を連れて行くと、みんな「大丈夫か?」と思うくらい、夢中で食べますよ(笑)。

趣味はありますか?

コレクションすることですね。もともとは、ブリキのおもちゃを集めるのが趣味でした。双眼鏡も一時期、集めていたかな。20年以上前に、中古カメラ屋さんで古い双眼鏡を見つけてね。「上海で入手した、ドイツ人が作った双眼鏡」と由来が書いてあったんです。双眼鏡を伸ばして見てみたら、上海が見えたね(笑)。それから恐竜のフィギュアも集めているし……、いろいろと集めすぎて、寝る場所がなくなっちゃいましたよ(笑)。

稲川さんの愛用品や、オススメのアイテムはありますか?

東北楽天ゴールデンイーグルスのグッズ

東北楽天ゴールデンイーグルスのグッズ
キャップユニフォームグローブを持っています。仙台に行くと、楽天イーグルスの試合をたまに見に行くんです。楽天のイメージカラーの赤、とてもいい色だよね。いわゆる"えんじ"ですが、強そうに見える。羽がついているロゴもいい。私は工業デザイナーでもあるので、デザインや色にはこだわりがあるんですよ。

黒霧島

黒霧島
焼酎を飲み始めたころは芋焼酎派で、そのあと「こんなにうまい酒があるんだ」と麦焼酎に一旦流れましたが、結局元に戻りました。水割りで飲むのが好きですね。私の場合、日本酒をたくさん飲むと翌日に響きますが、焼酎なら結構飲んでも、次の日ちゃんとろれつが回ります(笑)。

けん玉

けん玉
なんとなくこけしに似ているし、遊んでも楽しいので、集めるようになりました。すっかり夢中になり、今は全部で200個くらいあるかな。大きなものになると、玉が赤ちゃんの頭くらいあるけん玉もありますよ。

稲川淳二(いながわ じゅんじ)さん

稲川淳二(いながわ じゅんじ)さん

1947年生まれ。
ラジオ放送での怪談が好評を博し、現在は怪談の語り部として活躍。
1993年から『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト』で全国を回るように。
また工業デザイナーとしての活動も継続中で、「車止め」のデザインで平成8年度通商産業省(現・経済産業省)選定グッドデザイン賞を受賞。

私のオススメ

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キャップユニフォームグローブを持っています。仙台に行くと、楽天イーグルスの試合をたまに見に行くんです。楽天のイメージカラーの赤、とてもいい色だよね。いわゆる"えんじ"ですが、強そうに見える。羽がついているロゴもいい。私は工業デザイナーでもあるので、デザインや色にはこだわりがあるんですよ。
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黒霧島

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焼酎を飲み始めたころは芋焼酎派で、そのあと「こんなにうまい酒があるんだ」と麦焼酎に一旦流れましたが、結局元に戻りました。水割りで飲むのが好きですね。私の場合、日本酒をたくさん飲むと翌日に響きますが、焼酎なら結構飲んでも、次の日ちゃんとろれつが回ります(笑)。
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けん玉

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なんとなくこけしに似ているし、遊んでも楽しいので、集めるようになりました。すっかり夢中になり、今は全部で200個くらいあるかな。大きなものになると、玉が赤ちゃんの頭くらいあるけん玉もありますよ。
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