2013年10月、文部科学省は、現在、小学校の高学年で実施している英語教育を3年生から正式な教科として前倒しする方針を固めました。実施は未定ですが、政府の意向は、東京オリンピック開催年の2020年までには始めたいとしています。
これをきっかけに、未就学前から英語を学ばせたいという親御さんの要望が高まり、幼児の早期英語教育が再燃しています。気になる幼児英語教育の今と課題を検証します。
英語教育前倒しの背景には、
1.国家戦略の必要性から世界に通用するグローバルな人材を育成すること
2.中国、韓国はすでに小学生から英語を教科として導入していること
3.EUでは、母国語以外に2つ以上の言語の習得が義務付けられていること
などがあります。
近隣アジア諸国の中で、日本人のTOEFLの平均スコアが下から2番目という結果に対して、英語能力の向上に政府が危機感を覚えたことが主な理由です。
また、英語を母語、公用語、准公用語とする諸外国が多く、英語は世界の共通語に近い存在ということもあります。
・3、4年生で週1~2回
「外国語活動」としての授業、教科書はなし、遊び中心、成績に反映されない
・5、6年生 週3回
正式な教科としての授業、検定教科書あり、成績に反映
このように今後検討されていきます。
では、幼児の早期英語教育の今はどうなのでしょうか?
1. 保育園・幼稚園の「早期英語教育」導入
2. 民間の英会話教室の「幼児コース」新設
3. プリスクールの急増
教師の間では「英語よりまず母国語」とする意見が多い中、我が子に英語で苦労させたくないと考える親御さんの熱意は大変なものです。
早期英語教育を取り入れた「英語コース」を持つ幼稚園や保育園が人気なのはその反映です。
しかし、注目したいのは、3番目の「プリスクール」です。
株式会社アルクの2009年度調査によると、全国のプリスクールは既に293校に上り、年々増加の一途をたどっています。2002年時には18校しかなかったのですから、大変な勢いです。
プリスクールとは、幼稚園でも保育園でもない「英語だけで保育を行うスクール」です。
時間も各スクールによって1日に数時間から週1日~5日程度まで差がありますが、幼児たちは、その間、一切日本語を耳にしません。
メリット: 学習能力の高さ ネイティブ同様の発音と理解が期待できる
デメリット: 費用が高額 年間平均60~70万程度 首都圏を中心とする都市部のみ
プリスクールのコンセプトは、「母国語と同じように外国語を習得すること」にあります。
したがって、英語を日本語に言い換えることも、日本語を英語に言い換えることもしません。
Appleは、そのままAppleです。子供が自然に言葉を覚えるように、大人が優しく何度も何度も語りかけます。
また、幼児が理解できない単語も使いません。ネイティブの保育士たちが子供たちに寄り添い、コミュニケーションを取ることで、自然に理解力が高まります。幼児の聴く力は大変なもので、すぐにネイティブと同じ発音ができるようになります。こういったことを全て遊びのなかで楽しく学習するのがプリスクールの特徴なのです。
このように幼児の英語教育が成功しているなか、課題はいかに継続するかです。
小学校に上がってからも週に数回は英語だけで話す場所を作るか、英会話スクールに通うかなど英語を使う場所や機会が必要です。
せっかく身体で覚えた英語を忘れないためにも話せる場所の確保と文法一辺倒の日本の英語教育とのギャップをどうするかが今後の課題ではないでしょうか。
参考
小学校における英語教育の在り方に係る現状と課題、主な意見
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/siryo/06032707/002.htm
小学英語授業、3年生からに前倒し 文科省検討
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG23011_T21C13A0MM0000/
プリスクールが増加、関東に集中~アルク調べ
http://www.eigokyoikunews.com/news/20080303/10.html
プリスクールの魅力
http://www.sunrise-kids.com/contents/witching.html
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