KITCHEN LABO
今月のラボ
『国産レモン丸ごと!コース料理と保存食』
2021.6.16
デザートその①
レモンパイ
(レモンカード)
デザートは、レモンカードを使ったパイです。レモンカードはデリケートなので、市販のものはコーンスターチなどを使って固まりやすくしているものが多く、粉っぽさを感じるものが多いのですが、ご紹介するレモンカードは、ふんわり滑らかで、全く別な食感です。
RECIPE
材料
- <レモンカード>※レモンメレンゲパイ2台分
- 全卵 1個
- 卵黄 3個
- グラニュー糖 90g
- レモン果汁 100g
- *約1個分
- バター 100g
- レモンの皮のすりおろし 1個分
作り方
① ボウルに全卵及び卵黄3個を割り入れてよくほぐし、グラニュー糖を加えてしっかり混ぜ合わせる。
② ①にレモン果汁を混ぜて、小さくカットしたバターを加える。
③ ②を弱火の湯煎にかけながらまぜ、バターが溶けたら一度濾す。(より滑らかに仕上げたい場合。漉さなくてもOK)
④ ③にレモンの皮のすりおろしを入れ、再度ごく弱火の湯煎にかけながら優しく混ぜ続ける。10分ほどでとろみがついてくるが、さらにさらっとするまで(14〜15分が目安)湯煎にかける。
⑤ 煮沸した瓶につめ、冷蔵庫で保存する。(1週間ほどもちます)
材料
- <レモンメレンゲパイ>※直径20cmのパイ2台分
- 冷凍パイシート 20cm×20cm 2枚
- <メレンゲ>
- 卵白 100g
- *約3個分
- グラニュー糖 100g
- 粉砂糖 50g
- レモンの皮のすりおろし 適量
作り方
① 冷凍パイシートは5〜10分ほど室温に戻し、めん棒で軽く伸ばしてパイ皿にしっかり敷き込む。縁からはみ出た部分をナイフの背で切り落とし、底面の部分にフォークをさし数カ所穴を開ける。その上にクッキングシートを敷いて重石を乗せる。
② 210℃に温めたオーブンで15分焼く。
クッキングシートを重石ごと外し、温度を200℃に下げて皿に15〜20分焼き、室温でさましておく。
<メレンゲ>
① ボウルに卵白とグラニュー糖を一つかみ入れ、ハンドミキサーの低速でほぐすように泡立てる。泡立ってきたら、残りのグラニュー糖を3回に分けて加えながら高速で泡立て、角がピンと立つ固めのメレンゲを作る。
② ①に粉砂糖とレモンの皮のすりおろしを加えてしっかりと混ぜ合わせる。
(メレンゲ菓子を先に準備し、別添えする場合※上の写真右)
③ ②を直径1cmの丸口金をつけた絞り出し袋に入れ、オーブンペーパーを敷いた天板の上にお好みのサイズに絞り出す。
③ 110℃に温めたオーブンに入れて2時間焼き、冷めたら乾燥剤を入れた缶などで保存する。
<レモンパイの仕上げ>
① パイ生地にレモンカードをのせて、表面をざっくりならす。その上に全体を覆うようにメレンゲをこんもりのせて、ゴムべらで表面を数カ所つついて角を作る。
② 200℃に温めたオーブンに入れて約10分、メレンゲの角に焦げ目がつくまで焼く。
※メレンゲ菓子を先に準備し、別添えする場合。一口サイズに焼いたパイ生地、レモンカード、メレンゲを皿に盛り付け、タイムをあしらう。
▶︎レモン使いのポイント
湯煎で丁寧に混ぜ合わせます。火を入れすぎるとダマになるので注意。レモンの皮を投入した後はごくごく弱火で混ぜます。しばらく混ぜると、皮に含まれるペクチンでとろみがついて表面の白いクリームの下から黄色いクリームが出てきます。全体が黄色く混ざり、ボールの底に線がつく粘度(下の写真)になったら完成。
ITEM
※商品情報は2021年5月26日時点の内容です。
デザートその②
レモンのヨーグルトアイスクリーム
(レモンカード)
もっと気軽にレモンカードを使うデザートなら、アイスクリーム。簡単に作れて、冷凍庫で保存しておけるのも良いですね。
RECIPE
材料
- 生クリーム 150g
- グラニュー糖 35g
- ヨーグルト 120g
- *水切り後は60g
- レモンカード 60g
作り方
① ボウルに生クリームとグラニュー糖を入れ、8分立てに泡立てる。
② ①に水切りしたヨーグルトを加え、ゴムべらでさっくり混ぜ合わせる。
③ ②にレモンカードを加え、混ざり切らない程度に混ぜ合わせる。
④ 容器に③を入れ、ピチッとラップをして冷凍庫で冷やす。1時間後、2時間後を目安にスプーンなどで全体をかき混ぜ、3時間から一晩以上冷やす。
▶︎レモン使いのポイント
レモンカードは乳製品との相性も良いので、ヨーグルトと混ぜ合わせます。ざっくり混ざった程度(写真下)で完成。ヨーグルトはコーヒーフィルターを使って水切りすると半日程度で固形分と乳清に分かれます。
余ったレモンを保存するには。
さて、レモンをまとめ買いしたものの、一部しか使わない、皮だけすりおろして中身が余った、もしくは逆に、果汁を絞って皮が余ってしまった。さてどうしましょうか!? ここからは、レモンの保存法です。
保存方法①レモンペースト
まずは、目から鱗な冷凍レモンを使うペーストです。一度、冷凍して解凍したレモンを、塩や砂糖と合わせてペーストにするだけで保存食に。レモンは冷凍すると細胞が壊れるので、フードプロセッサーなどで回しやすくなります。また、冷凍すると苦味が弱まるので、皮や白いワタ部分も扱いやすくなります。レモン以外の柑橘でも同様にできます。塩や砂糖の代わりに、アルコールと一緒にペーストにしても長期保存できます。
作り方
① 余ったレモン(丸ごと、皮だけ、中身だけなども)を、くしがた、適度な大きさに切って冷凍します。
② ①を解凍して、フードプロセッサーで回してある程度水分を出します。
③ 塩味のペーストならレモンの重量に対して15%の塩、甘味ペーストならレモンの重量に対して80%の砂糖を加え、再びフードプロセッサーで混ぜてペースト状にします。
④ 煮沸した瓶に③を入れ、保存します。塩味ペーストなら一年程度、甘味ペーストは1ヶ月程度冷蔵保存可能です。
▶︎レモンペーストの使い方
塩レモンペーストは、オリーブオイルで伸ばせばカルパッチョソースやサラダのドレッシングに。
甘レモンペーストは、醤油や魚醤と合わせて甘じょっぱいソースにすると、肉や魚に合う万能だれになります。上の写真は左から塩レモンペースト、甘レモンペースト、右の二つはグレープフルーツの皮を塩、ウィスキーと合わせて作ったペースト。色々な柑橘でできます。
保存方法②塩レモン
生のレモンをくし切りにして塩漬けにしておくと、レモンの酵素の働きが発酵を促し、保存性の高い塩レモンができます。写真は右が1年後、左が3年後の塩レモンです。熟成過程により味わいや風味が変化するので、熟成期間の違うものを常備しておくと違いも楽しめます。熟成するほど香りの強い食材やクセのある食材との相性が良くなります。
作り方
① レモンをくし切りにして、レモンの重量の50%の塩分で漬け込みます。
▶︎塩レモンの使い方
みじん切りにして肉の下味や、ソースのベースに。今回のコース料理では、メインの豚ひき肉と混ぜ合わせて使いました。発酵の浅いものなら、炭酸やトニックウォーターで割ってドリンクにするのも良いです。使い方は無限。普段のお料理に少しずつ入れて変化を見てみてもいいですね。
保存方法③酵素シロップ
こちらはレモンに限らず、余った色々な柑橘を保存するのに便利な酵素シロップです。発酵が始まるまでは冷蔵庫には入れず、直射日光の当たらない場所に置きます。泡が出てきたら発酵が始まった証拠です。
RECIPE
材料
- レモン他柑橘類 600g
- *柑橘:砂糖=1:1.1の割合が基本。
- 砂糖 660g
- カルダモン 5粒
- 生姜薄切り 5枚
- ローリエ 3枚
- コリアンダーシード 10粒
作り方
① 柑橘は洗って、皮ごと厚さ1cmくらいの輪切りにする。種も抜かずにそのまま使う。
② ガラス瓶に、砂糖→材料→砂糖→材料と3〜4段重ねて、最後は砂糖でふたをするようにかぶせる。
③ ガラス瓶は、密閉せずに、軽くふたをする。
④ そのまま翌日まで置くと、砂糖が溶けてくるので、きれいに洗った手で、1日1回混ぜる。(傷のある手では混ぜないように。)
⑤ 1週間〜10日(冬場は2週間くらい)で、小さな泡が出てくる。混ぜるとシュワシュワと気泡が上がってくるようになったら出来上がり。
▶︎酵素シロップの使い方
自分オリジナルのカクテル、モクテル(ノンアルコールのカクテル)のベースのシロップとして色々な割り材で試すと楽しいです。フレッシュなフルーツや、その果汁、ハーブを添えると清涼感が増します。
レモンを様々に使ってみましたが、コース料理で使って食べても飽きることなし。料理をしながらずっとレモンの香りに包まれているのは、癒し効果もあるような。研究員からは「レモンは魔法」という名言もでました。お肉をたくさん食べても、スイーツを食べてもレモンと一緒だと“罪悪感がない”感じがすると言うのです。それは気のせいかもしれませんが(笑)、使えば使うほどその魅力や使いやすさを実感するのがレモン。まずは一品、気になったものから試してみて下さい。
ITEM
※商品情報は2021年5月26日時点の内容です。
編集・文:柴田香織
撮影:猪原悠(TRON)
料理・場所協力:blue monkey room